自転車ネットワーク計画づくりに貢献! 初当選から一貫して自転車問題に取り組む若手区議

都市部で自転車が安全に利用できるよう、ネットワーク状に通行空間を整備する「自転車ネットワーク計画」。2015年、東京23区では7番目に世田谷区が自転車ネットワーク計画をとりまとめました。計画の策定に貢献したのは、初当選から一貫して自転車の安全利用に取り組む若手区議でした。

8年間で43回質問

世田谷区議のひうち優子さんは、生まれも育ちも世田谷区。2007年4月に世田谷区議選で初当選後、3期連続で務めるひうちさんが当初から重点政策に掲げているのが「自転車政策」です。

「地方議員が最初に議会で行う質問は『議員が今後最も重視する政策』と見なされます。私は自転車政策について質問したのですが、他の議員には『自転車なんて』という感じで、相手にされませんでした」(ひうち区議)

こうした逆風にもめげず、ひうちさんは自転車政策に注力。議会で質問した回数は過去8年間に合計43回に上ります。世田谷区内には自転車レーンがすでに8か所設置。区の自転車ネットワーク計画では、区の道路における自転車通行空間を、今後10年で160km以上整備(そのうち優先路線が約72km)する方針です。

「優秀政策提言賞」を受賞

ひうちさんは自転車ネットワーク計画の策定に尽力した功績が認められ地方自治で優れた活動実績を表彰する「第10回マニフェスト大賞」の「優秀政策提言賞」を受賞しました。

ところが全国的には、交通量の多い都市部でも、計画を策定している自治体はいまだ80か所にとどまるのが現状。「政策全体の中で、自転車は後回しになってしまうことも考えられます」と、ひうち区議。自転車通行空間の整備を進める上でのヒントはあるのでしょうか。

「幅の狭い道路でも、自転車レーンの代わりにナビライン(走行帯)やナビマーク(矢羽根表示)が設置可能な場合があります。自転車通行空間の設置に反対の区民はほとんどいませんでした。昨年2月、世田谷区内を走る国道246号の約2kmに自転車レーンが設置され、自転車の蛇行が減りました。自転車通行空間はクルマにも安全です」(ひうち区議)

交通安全教育が大事

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そもそも教職の道を目指していたというひうちさんが、政治を志し、自転車の安全利用に取り組むきっかけは何だったのでしょうか。

「教育実習を通じ、刺激や意欲を生む健全な競争や人材交流が教育の場にも必要と感じました。それが政治を目指した動機です。ただし、教育の場で成果が見えてくるまでには時間がかかります。一方、地域には速やかな対策が必要なものもあります。大学生の頃、私は青信号の横断歩道を渡ろうとして、信号無視の自転車と衝突しかけたことが何度かありました。それを家族に話すと、家族もやはり同じような危険に遭っている。何とかしなければいけないと痛感しました」

自転車の安全利用には、自転車ネットワークの整備などのハード面に加え、自転車に乗る人の意識改革も大事。ひうち議員が今後、特に力を入れたいのが交通安全教育です。

「自転車は車両であり、交通弱者にとっては凶器にもなります。スタントマンが交通事故を実演する『スケアード・ストレイト』は交通安全教育に効果的です。一度スケアード・ストレイトを見ると、交通事故の怖さと、ルールやマナーの大事さが本当によくわかります。また、運転免許を持たない人には、交通標識の教育も重要です。交通標識を印刷した下敷きを配布できたらいいと考えています」

生徒の目線で効果的な交通安全教育の方法を考えるのは、教職の道をめざしたひうち議員ならでは!? 今後の活躍に注目です。

<ひうち優子さんプロフィール>

2007年に世田谷区議選に初当選し、3期連続で務める。一貫して自転車の安全利用をテーマに活動を続け、8年間に議会で行った自転車関連の質問は43回に上る。東京学芸大、慶応大卒業。行政書士としても活躍するほか、ミス世田谷に選ばれるなどユニークな経歴を誇る。趣味はトレッキングや自転車など。

<参考サイト>

ひうち優子オフィシャルサイト

(取材に協力いただいたお店:MARGO
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WRITTEN BY斉藤円華

ジャーナリスト/ライター、サイクリスト。本格的なサイクリング歴は高校以来30年近くにわたる。スポーツ自転車の好みが1980年代で停止したままとなっており、とりわけクロモリのホリゾンタルフレーム、ランドナーほかドロヨケ付自転車には目がない。自転車フリマを物色するのがここ数年のマイブームに。

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