いくつになっても乗っていたい!グランプリ受賞者に聞くカスタムの魅力(後編)

自転車ブランドFUJIのカスタムコンテストのグランプリを受賞したminatoさんとカスタムを担当した竹洞さんにお話をお聞きした前編では、理想通りのカスタムを行うコツや、カスタムの魅力についてお聞きしました。

前編はこちらから。
カスタムグランプリ受賞者に聞く、理想の自転車を手に入れるコツ(前編)

今回のコンテストの応募資格は一般ユーザーのみでお店は応募できません。minatoさんが竹洞さんにカスタムを依頼する形で、この自転車は作られました。

後編は、minatoさんが自分だけの1台を手に入れるまでや、初心者がカスタムを行うにはどこから手を付ければ良いかなどを紹介していきます。

カスタム初心者が自分だけの1台を見つけるまで

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女性には敷居が高いように思えるカスタムの世界。学校教員で女性のminatoさんが自身の自転車のカスタムを手がけれもらうまでには、どのような経緯があったのでしょうか?

minato氏(以下、minato)「最初に竹洞さんのお店を見た時は、正直立ち寄りづらかったんです。竹洞さんはとても真剣に自転車をいじっていたので、話しかけづらい雰囲気で。なので、最初は同僚の女の子と一緒にお店に行きました。そうしてお店に行ってみたら、イメージしていたより気さくな人で、その日のうちに自転車のカスタムをしてもらいました。」

竹洞寛行氏(以下、竹洞)「僕のお店は男性のお客さんが多いんです。店の工房にはカスタムのための工具や機械も多く用意しているし、マニアックに見られるのでしょうか。でもお客さんは性別に関係なく歓迎しています。
ほとんどの自転車屋さんのスタッフは自転車が好きな人です、様々な方に自転車を楽しんでもらいたいと思っている人が多いと思いますよ。」

多くの自転車屋さんは、性別を問わず自転車を楽しんでもらいたいと考えている人が多いと感じています。?自分だけの1台を持ちたいという方は、まずお店に相談に行くことをおすすめします。
お店では、おすすめのパーツやカスタムの方向性など、様々な相談に乗ってくれるはずです。

カスタムを始めるならどこから?

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工具を揃えれば自分でもできるカスタムですが、お店に任せることで、より高度なカスタムを行うこともできます。初心者がカスタムを行う時に、どこから手を付ければ良いかを聞いてみました。

竹洞「これは僕の考え方ですが、僕は見た目だけ変えるのはカスタムじゃないと思っています。?乗り物ですから、壊れなくて、安全に長い期間付き合える1台にすることが重要です。
自転車は人それぞれに適した形があると思うんです。毎日長距離を走るための自転車と、買い物に使うための自転車では求められる機能が違います。まずはそこを踏まえたうえで見た目を変えていくのが良いんじゃないでしょうか。」

minato「私は自転車は乗るばかりなので、よく分からないのですが、一緒にカスタムの完成形を考えてくれる店は少ないので、親身になってくれるお店を選ぶと良いんじゃないかと思います。?パーツについて分からなければ、聞けば答えてくれますし、私も竹洞さんに色々と提案してもらって、満足のいく自転車を手に入れることができました。」

見た目だけでなく機能や安全性にも気をつけてカスタムを行うこと、自分でもパーツの交換などはできますが、プロの仕事に学ぶところも数多くありそうです。

カスタムのこだわり

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次に、今回グランプリを受賞した自転車のこだわりはどこなのか、竹洞さんに伺ってみました。

竹洞「まずはminatoさんにいただいたイメージ図をもとに、車体のカラーを落ち着いた小豆色に変えました。車体からクラシックなイメージで統一した方が良いと思いましたので、車輪を木製のものにして、サドルとハンドル部分は革製のものを使用しています。
ブレーキは、?通常の自転車に使われるキャリパーブレーキだとブレーキシューの当たり面が痛みやすく、女性なのでメンテナンスの面も考えてドラムブレーキにしてあります。
予算もあまり高すぎるといけないので、機能と見た目が両立できるよう、価格を抑えられるところは抑えて作っています。」

竹洞さんの手がけた自転車の実物も見せていただいたのですが、一見派手さは無いものの、細部にこだわりが見え、通好みの渋い1台だと感じました。?たとえば、グリップやバーテープ、サドルの交換をするだけで、自転車の見た目や乗り心地はガラリと変わります。まずは手の届く範囲から手を入れてみると、ご自身の自転車に愛着がわくことでしょう。

誰も乗っていない1台を目指して

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インタビューの最後に、竹洞さん、minatoさんの両者に「自転車とはなにか?」という質問をしてみました。

minato「私の場合は、いくつになっても乗っていたいものですね。その時はスポーティなものは乗れないかもしれないので、3輪で可愛いものを竹洞さんに作ってもらうのもいいかも。」

竹洞「自転車は『乗る人次第』な乗り物です。ライフスタイルや好きなものによって、その人にとってベストな1台があるはず。僕はそれを実現する手助けがしていきたいです。」
自分だけの1台、乗り物として長く付き合っていけるもの、それを手に入れることは幸せなことかもしれません。

今回コンテストを主催した株式会社アキボウの山本様にコンテストへの思いを聞きました。
「『どうせ乗るなら誰も乗っていない自分だけの自転車に。』というのがコンテストの原点にあります。
そのためには時間も、お金も、モノに対する愛情も必要にはなってきますが、そういう原点的なところに少しでも視点を持っていきたい。自転車を見ることで『どんな方がオーナーなんだろう』と妄想が膨らむ。今後もそんな素敵なカスタムバイクにお目にかかれたら嬉しいです。」

多くの道具と同じように、自転車は持ち主の個性を表します。持ち主によってカスタムされた個性ある1台を見たときに、自転車好きなら思わず「うーむ」とうなってしまうはず。
「自分だけの1台」と言える自転車が街中にひとつ、またひとつと増えていくことを願って、この記事の締めくくりにしたいと思います。

(終)

その他のインタビュー記事はこちらからどうぞ。

スズキ ガク

WRITTEN BYスズキ ガク

1986年生まれのライター・編集ディレクター・元自転車屋の店員/ 大学を卒業後、自転車日本一周と、ユーラシア大陸輪行旅行を行う。 編集ディレクターとしての担当媒体は「未来住まい方会議 by YADOKARI

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