「自転車通勤」を社内制度化するための課題と解決方法とは? ーー自転車通勤制度導入の先駆者・株式会社ゴールドウイン【前編】

自社ブランドである「GOLDWIN」他、「エレッセ」、「チャンピオン」、「ザ・ノース・フェイス」、「ヘリーハンセン」など多くのライセンスを持ち、スポーツウェア・スポーツ用品の製造販売を行っている株式会社ゴールドウイン。今回は、そんな同社の「自転車通勤」への取り組みをご紹介します。

スポーツ業界の企業として「自転車通勤制度」を導入した先駆け的存在の同社。前編では、管理本部総務部の鈴木直(すずき・ただし)さんに制度のメリットや課題を惜しみなく教えていただきました。

他社事例がないからこそ、手探り状態でスタート

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ーー 2010年から「自転車通勤制度」を導入されていますが、まずはその背景から教えてください。

制度の導入を検討したのは2009年頃からです。その当時、自転車関連ブランドとして「GOLDWIN」「SCOTT(2012年11月まででライセンス終了)」を扱っており、社員の顧客視点浸透のための施策として企画しました。それに加え、自転車は社員の健康にとってもいいですし、私自身も自転車が好きだったので担当者として奔走しました。また、社長の西田も熱心なサイクリストなので、制度の提案がしやすい土壌が社内にあったんです。

しかし、問題はそういった制度を導入している他社の事例がなかったこと。本当に手探り状態からのスタートとなりました。

ーー そこから制度化するために何を行ったのでしょうか?

まずは450人くらいいる本社スタッフに社内アンケートを実施しました。出てきた声をまとめると、乗り越えなければいけない課題が多いということが明確になりましたね。特に、事故対策はどうするか、駐輪場はどうするか、通勤手当はどうするか、といった3点です。当社が2010年から自転車通勤を制度化できたのは、その課題を1つひとつクリアしていけたことが大きいですね。

ーー それでは1つひとつの課題について教えてください。まず「事故対策」についてはどうされたのですか?

当社で制度の活用を希望する社員には申請書の記載を義務づけました。具体的には、自転車運転における7つの禁止事項や履行義務を設け、それを守ることで事故を未然に防いだり、もしもの時の対策ができると考えました。

運転禁止事項

・飲酒運転

・過労運転

・無灯火運転

・整備不良状態での運転

・携帯電話、ヘッドフォンスピーカーを使用しながらの運転

・天災地変、その他道路事情が安全運転に困難と予想されるとき

・その他、道路交通法令が禁止している事項に該当するとき

履行義務

・ヘルメット、グローブの着用

・任意保険(賠償責任20,000千円以上)への加入

・本社地下駐輪場への登録・駐輪

・事故時の速やかな報告

また、本社ビルを起点として走行距離半径2km以上20km以内に居住している社員を対象に、申請を許可をするようにしました。現在まで、この内容が守られていることもあり事故は起こっていません。

ーー 「駐輪場問題」についてはいかがでしょうか?

本社ビル地下1階のスペースを活用し、駐輪場として同制度利用者に提供しています。現在は20台くらいとめられるラックが3本置いてありますが、そろそろいっぱいになりそうです(笑)。また、夏場は汗をかくのでシャワー室も用意しています。(7:30?8:40の間、1人10分/リンスインシャンプーとボディソープを完備)

ーー シャワーがあるのは自転車に乗る社員の方には嬉しいですね。最後に「通勤手当」はいかがでしょうか。

ポイントは自転車通勤をしている社員が得をしていると他の社員に思われないようにすること。その点、当社は本店が富山県にあり、車通勤をしている社員が多いので、その制度を応用しました。具体的には、片道の通勤距離に応じて通勤手当金額の支給基準を設け、悪天候時の運転は禁止事項に触れているので、その際は電車通勤を勧めています。

自転車通勤手当基準

2km?9.99km:4100円/月

10km?14.99km:6500円/月

15km?20km:11300円/月

当初は9名からスタートし、現在は…

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ーー 色々な課題を乗り越えてスタートしたのですね。では、実際に制度をはじめてみて、どのくらいの社員が利用されましたか?

当初は9名からスタートしました。最初は主に自転車アイテムを取り扱っている部署や、自転車部に所属している社員です。そのため、普段からロードバイクに乗っていて自転車の技術や知識を持っている社員が、会社の許可を得てより自転車を活用できるようになったと言ってもいいと思います。

そして、2015年現在の時点では15名と増え、さらには色々な部署の社員が制度を活用しています。ミニベロ(小径車)など、制度導入当時のように本格仕様ではない自転車で通勤している社員もいます。特に震災以降、都内に住む社員の足として自転車の有効性が再認識されたことで、興味を持つ社員が増えましたね。

ーー

自転車通勤は健康やエコ対策にもなり、興味を持つ企業も多くなってきました。しかし、実際に制度を導入するには多くの課題があるのも事実。

今回取り上げた株式会社ゴールドウインの取り組みを参考にしながら、ご自身の企業にあった制度を導入してみてはいかがでしょうか。

後編では、制度導入後の社員の声から具体的なメリットや制度導入のためのポイントなどをご紹介していきます。

後編はこちら:
「自転車で通勤時間を楽しもう!」そのために企業としてできることとは? ーー自転車通勤制度導入の先駆者・株式会社ゴールドウイン【後編】

WRITTEN BY松田 然

合同会社スゴモン代表兼ライター。旅をしながら仕事をするスタイルを取り入れ、自転車で日本全国47都道府県を走破。働き方や旅、自転車を中心にこれからのライフスタイルのヒントをブログなどで発信中! http://moyulog.com/

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