オープンカーといえば「屋根がない」ことを最大の特長とするクルマ。 猿が見てもわかるレベルの圧倒的な開放感が魅力です。みなさんの中にも「一度は乗ってみたい」という方は多いのではないでしょうか。

しかし実際に所有するとなると、なかなかハードルが高い気がしてしまうのもオープンカーの宿命。その特殊性から、唯一無二の楽しさと引きかえに多大な犠牲を払う必要があるのでは、と考えがちです。

そこで今回は、通勤・買い物からドライブ・旅行までオープンカー1台で生活する筆者が、オープンカーライフの実情をお伝えします 。オープンカーに乗る<苦労>と<楽しさ>に分け、また世間一般のイメージとのズレについても 弁明できればと思います。

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(筆者の所有者:ホンダS2000。出典:HONDA


1999〜2009年に生産されていたS2000は、自動車史に残る名車S800(1966〜1970年)にルーツを持つ本格オープンスポーツ。超高回転型 エンジンやシフトフィール抜群のトランスミッション、高剛性シャシーなどが特長で、乗客の快適性という概念はほぼありません。エアコンが付いていることに感謝します。

オープンカーの中でもかなりストイックな部類に入るため、S2000ゆえの苦労/楽しさがあると思いますが、ここではなるべく一般的なオープンカーについて考えていきます。



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苦労1 狭い


クルマの形にも依るでしょうが、屋根を閉めた状態ではやや窮屈さを感じます。ただ、その屋根を開けた瞬間にオープンカーは地球と同じ広さになります。もはや宇宙と同じ広さです。

これ以上広いクルマはこの世に存在しません。この話に納得してしまった方は潜在的なオープンカーバカなので、今すぐ購入を検討しましょう。

また屋根をしまうスペースがあるため、トランクも必然的に狭くなります 。といっても旅行の荷物 くらいなら大体のクルマは問題なく積めますが、ゴルフバックとなるとかなり車種が限定されます。

特にハードトップ(メタルトップ)はトランク内に収納するタイプが多いので、荷物が多いとオープンにできない可能性があります。

乗車定員もほぼ2人か4人。あたり前ですが2人乗りの場合は自分以外に1人しか乗れないので、大勢で遊びに行くときは友人の車かレンタカーで、ということが多いです。
 
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(ソフトトップ(幌)(マツダロードスター)出典:carview


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(ハードトップ(メタルトップ)(ボルボC70)出典:opencar.jp


苦労2 視界が悪い(クローズ時)


後方視界は普通のクルマに比べるとどうしても劣ります。 少なくともソフトトップの場合、クローズ時の側方&後方視界は絶望的です。街乗りする際は、一般車よりも少し注意深さが必要かも知れませんね。

ちなみに オープン時はむしろ視界良好です。

苦労3 屋根の開閉が手間?


これは意外と簡単なので心配ありません。筆者の車は10秒かからないくらい。全自動タイプの車でも20〜30秒が相場です。

よく「途中で雨が降ってきたらどうするの?」と聞かれるのですが、道路の脇に一旦停止するか信号待ちですぐに閉められます。車から降りる必要もありません。高速道路などすぐに止まれない場所を走る際は、天気予報を事前にチェックするか、レインコートを着ておくかのどちらかです(※冗談です)。

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(ソフトトップの開閉(マツダロードスター)出典:clicccar


苦労4 雨漏りする


これはオープンカーの持病と言っていいでしょう。最近のクルマは新車で雨漏りすることはまずないと思いますが、経年劣化でソフトトップに穴が空いたり、各部の隙間をシールしているゴム類が硬化したりすると漏ります。

筆者も15年落ちの中古S2000を購入したため雨漏りがありましたが、ソフトトップとウィンドウとの隙間をシールするゴムパッキンを交換してもらって治りました。

また雨漏りではありませんが、大雨×ソフトトップの場合、上部に溜まった水がドアを開けた際に流れ落ちてきたり、こなかったりします。

苦労5 虫が入ってくる、鳥の糞が降ってくる


雨もそうなのですが、走行中はフロントウィンドウに守られるため、車内に何かが入ってくることはあまりありません。また、虫が飛んでいるところをゆっくり走っても、ほとんどは右から左へ素通りしてくれます。

たまに意味不明な動きをするやつや、狙ったように落ちてくるやつがいて、車内に着地します。筆者の場合、夜の山中を走っていたら大きめの虫が降ってきたことが2度ほどありました。私は虫が大の苦手なので、早く飛び去ってくれることをひたすら願うしかありません。

鳥の糞に関しては、そもそも外出先で降ってくる確率がかなり低いと思われるので、心配しない方がいいでしょう。

苦労6 トンネルは地味に辛い


下の写真ではカッコよく映っていますが、トンネルの中は排ガスが溜まりがちな上に音もこもるので、基本的に臭い&うるさいです。

短ければなんてことないのですが、1km以上あるようなトンネルに入ってしまうと「だれかここから出してくれーー!」と叫びたい衝動に駆られます。

対処法としては、左右のウィンドウを閉めるとだいぶ軽減されます。

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(ホンダS2000 出典:HONDA


苦労7 排ガス、埃で顔や服が汚れる?


・一日中、バスやトラックと並走したい
・一日中、工事現場巡りがしたい

上記のような願望がある方はオープンカーに向いていません。一般車に比べれば、排ガスも浴びやすく埃もかぶりやすいかも知れませんが、少なくとも私は実感したことがありません。強いて言うなら、渋滞と長いトンネルの連続には注意した方が良いでしょう。

苦労8 日焼け


これはある程度の諦めが必要です。夏は日焼け止めが欠かせません。ただ、個人的な意見としては<夕方〜日の出>こそがオープンカーのゴールデンタイムなので、昼間はムリにオープンにする必要はないと思っています。

04 日が暮れるとオープンカーのゴールデンタイムがスタート!

(ホンダS2000 出典:HONDA


苦労9 夏は暑そう、冬は寒そう?


オープンカーは季節モノという先入観があるようですが、実際はほぼオールシーズンです。どの時期にも必ず、最高に気持ちいいシチュエーションが存在します。

オープンが本当に辛いのは、夏の昼と冬の夜だけ。「冬は昼でも寒いでしょ!」という正論が聞こえてきそうですが、暖房を効かせると露天風呂気分で逆に気持ちいいです(※寒冷地ではさすがに顔が凍ると思います)。

またこれは余談ですが、車の暖房はエンジンの排熱を利用しているので、ガンガン使っても燃費にはほぼ影響ありません。

苦労10 クローズ時の静粛性


ソフトトップは薄っぺらいので、色んな音が入ってきます。主に屋根の 風切り音と雨音。雨音は傘をさしているのと同じ音がします。その点、ハードトップタイプでは一般車と同じレベルが期待できそうです。

また古い車で屋根の立付けが悪いと、ミシミシ音がするかも知れません。購入前にチェックしましょう。

苦労11 オープン時の静粛性(風切り音)


まず外の音がモロに入ってくるので、一般車のような静粛性を求めてはいけません。一方で「風が凄そう」というベタな印象をよく耳にしますが、最近のクルマは空力性能に優れているため、思ったより風は巻き込んできません。筆者の車では以下のような状況です。

・〜80km:特に意識せず助手席と会話できます。無意識のうちにちょっと大きめの声で喋っています。
・80km〜120km:意識して大きな声で喋る必要があります。スピーカーからの音楽等はほぼ聞こえません。
・120km〜:ジェットコースターの感覚が楽しめます。
(※公道では法定速度を守りましょう!)

いずれも窓だけ閉めれば1ランク下がるような感覚です。なお、4人乗りオープンカーの後部座席には風よけがないので、高速道路はのらない方がいいでしょう。

苦労12 目立つ、恥ずかしい?


常にオープンで走らなければいけないというルールはありません。まず屋根を閉めましょう。あなたが開けた方が気持ちいいと思えるときだけ開ければいいんです。あとは助手席に乗る方の気分も伺いましょう。

目立ちたくてしょうがない方は常時オープンにして 爆音で音楽を流せば完璧ですが、 頭の悪さが先に目立ってしまうので気をつけましょう。

苦労13  維持費


これはクルマによって大きく変わりますが、一般的にオープンカーはスポーティだったり、ラグジュアリーだったりするので、保険/税金/ガソリン代等が高くなる傾向にあります。

さらにソフトトップは劣化するため、保管状態・年数によっては交換の必要が生じるかも知れません。リアウィンドウがガラス製かアクリル製か、でも劣化の度合いが変わってきます。

ちなみに、筆者の車は2000ccのエンジンで燃費も10km/L以上なので、任意保険以外は普通のクルマと大差ないレベルです。

苦労14 セキュリティ


ソフトトップの場合は、セキュリティの弱さが否めません。車両盗難というよりも、幌(ほろ)へのいたずらや車上荒らしです。犯人からすれば大きめのカッターで切り取るだけの簡単なお仕事です。

シャッター付きのガレージがあれば何の心配もいりませんが、そこまでブルジョワではない方は追加のセキュリティシステムを入れたり、家からすぐ見える場所に置いたり、カーカバーをしたり、日々祈ったりして対策しましょう。私は祈っています。

次に楽しさです。
オープンカーの楽しさはだいたい想像がつく部分もあると思いますが、ここでは「みんなが想像してるよりもずっと楽しいよ!」という私の心の叫びを聞いてください。

楽しさ1 開放感/爽快感


風を切って走る感覚は、快感以外の何者でもありません。一人で運転していても顔が勝手にニヤケて「気持ちいいーーー!!」と叫びたくなりますし、実際に叫んだこともあります。

これは私の個人的な印象ですが、オープンカーはバイクとクルマの中間のような乗り物です。それを中途半端と捉える方もいるでしょうが、私に言わせれば完全なる良いとこ取りです。

ヘルメットなしで乗れて、お尻も痛くならない、エアコンもある、音楽も聴ける、荷物も積める、日よけ雨よけも付いてる 。バイクの爽快感をクルマの快適性で味わえる、そんなイメージを持っていただけたらと思います。
※もちろん、バイクにしかない楽しさ・快適さもたくさんあると思いますが、その紹介はバイク乗りの方に託します!

楽しさ2 臨場感


オープンカーをドライブすると、道中、全ての一瞬、一瞬で、その場の空気がダイレクトに伝わってきます。一般車では窓を流れる映像でしかなかったものが、一気に現実のものとして五感に訴えかけてきます(味覚はありませんが)。

山道を走れば、木陰のひんやりした空気、植物や土のにおい、木々が揺れる音、 鳥や虫の鳴き声 、川の流れる音、とにかく全てを感じます。また夕焼けや星空、都市の夜景、並木道など、ふとした時に出逢う美しい景色も、遮るものなくパノラマで見ることができます。

<苦労>の方で述べたように、なにかしら臭かったりうるさかったり、暑かったり寒かったりすることもあります。しかし、オープンの魅力はその裏返しでもあるんです。

05 オープンカーなら山ドライブがおすすめ(BMW Z4)

(出典:BMW


 

楽しさ3 新たな人とのつながり


その希少性ゆえ、まずオープンカーを見かけるとムダに親近感が湧くようになります。またオープンカーが集うイベントや同好会が日本各地に無数にあるので、普通に暮らしていたら絶対に出会わなかったであろう人たちとの出会いがあります。

さいごに


いかがでしたか。「あれ、こんな感じなら買ってみようかな」と思っていただければ幸いです。また私の見解では、この記事を最後まで読んでいる時点であなたがオープンカーに興味津々であることは変えがたい事実です。

クルマは大きな買い物ですが、家とは違ってどうしてもダメなら何度も買い替えられます。オープンカーの魅力を味わわずに人生を過ごすことは、にんにくの美味しさを知らずに人生を過ごすこととほぼ同じです。次々と「買えない理由」を探しているよりも、それぞれの状況に合わせて「買えるオープンカー」を探してみてはいかがでしょうか。

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(TOP画像出典:WINDY