生活の質を高めるためにできることとは? – スペシャライズド・ジャパン代表の1日から考える

生活の質を高めたい、健康的で充実した生活を送りたいと考えたことはないだろうか?そのために何か実践している方もいるかもしれない。

昨年11月に公開し反響を呼んだスペシャライズド・ジャパン代表望月氏は、スポーツバイクを中心に生活の質を高めるため、ロードバイク40km、ランニング10km、スイム2kmを毎日おこなっている。

別に無理をしているわけでは決してない。「自転車に乗っているうちに、自然と日常がこうなったんです」。ストイックすぎるようにも見えるが、「多くのアイデアがペダルを回しているうちに浮かんでくる」と聞けば、話は変わってくる。

どういう考えにもとづいてそのような生活をおくっているのか、望月氏に1日密着してきた。

BIKE(40km):宮ケ瀬ダムのコースから1日がはじまる

s_DSC_2793
望月氏の朝のトレーニングは厚木市内のスペシャライズド・ジャパン本社から宮ケ瀬ダムをめぐるおよそ40kmのバイクコースではじまる。

厚木市内の平坦コースを抜けると宮ケ瀬ダムに向けての上り坂が見えてくる。勾配10%と、走り慣れていないものにとっては息が上がるほどきつい難所である。

300m程度を駆け上がり宮ケ瀬ダムへ。上りきると緑に囲まれたルートになり爽快なライドを楽しめる。

s_IMG_6195

通常であれば1時間半程度でまわるコース。当日は宮ケ瀬ダム周辺の気温は20度と快適な条件だった。

望月秀記さん(以下、望月)「大事なのは日々の体調に合わせてそのコースを選ぶこと。今日回ったのが基本コースです。仕事までに戻ってくることが大事なので40kmぐらいがちょうどいい。」

緑豊かな自然を感じながらライドする1時間半は、日々難題に取り組む望月氏の頭をリフレッシュさせる準備運動だ。

Run(10km):お昼になったらすぐに着替えて河原沿いをランニング

s_DSC_3093

ランチタイムのランニングはおよそ7km。慣れない私たちにあわせてくれたが、通常は10km走るそうだ。

12時になると即座に更衣室に移動し着替える。ビジネススタイルからランニングに着替える時間はたったの25秒。昼の1時間できっちりトレーニングを行い、ランチの時間を確保するためにも着替えの時間短縮は必要なスキル。

マラソン大会前は距離を伸ばすが、限られた時間の中でいかにトレーニング効率を上げていくかは大事なポイント。

望月「大会前であれば30kmペース走を何本かやらなくてはとなるけど、仕事には影響させたくない。一度にその時間はとれないから7kmを1日3回やって、それを40日ぐらい連続して行うわけです。笑っちゃうでしょ!楽しくなってくるでしょ(笑)」

ビジネスを最優先しながらトライアスロンやマラソンを完走するための身体づくりを実践し続けた結果たどりついた形が今のスタイルになっている。

SWIM(2~3km):終業後にスイムで仕上げ

そして終業後は近くのプールで2~3kmスイム練習をして1日を仕上げる。

トライアスロンのオリンピックディスタンスはスイム1.5kmではじまり、その後バイク40km、ラン10kmと続く長丁場。スイムで身体の力を抜いて効率よく泳ぎきることは、完走に向けて重要なポイントになる。

望月「スイムで大事なのは力を抜くことなんです。水の中で力を抜く、そして体のローリング。水の中で力を抜いて上手くローリングかけることが大事な能力です。」

s_DSC_3379_edit

手のかき方や水の抵抗を少なくするフォームなど、トライアスロンビギナーな私たち向けに1時間みっちりレクチャー。

朝のバイク練習から先頭にたち、ペースだけでなく手信号でも集団をリードし、ランニングでもまわりにあわせてペースをつくり、スイムでもメンバーの課題意識が強いと感じるや率先してレクチャーしてくれるリーダーシップにはあらためてビジネスマンとしても刺激をうけた。

この生活はクリエイティブに考えた結果のスタイル

s_DSC_2908
スペシャライズドの理念は「Innovate or die」。常にイノベーションを求める姿勢が、ライダーからの熱烈な支持をうけている所以だ。

望月「大テーマは、スポーツ自転車を生活の軸に置きつつどのように生活全般の質の向上を得ていくか。このテーマをいろいろ詰めていきたい。時間の使い方だけでなくあらゆることを創造的に行うことが必要。」

望月氏の主要課題は、スポーツ自転車を通じた生活全般の質の向上。徹底してライダーの立場に身を置くことを追及した結果、今の生活スタイルができている。

望月「日々イノベートですよ。自分たちが気づいていない、時間や身体、機材の使い方を見つけ出していく過程の中で広めていきたい。ライダーの生活に革新をもたらし奮い立たせるのは、自ら実践しなければ人に伝えられない。理解され支持されるブランドのポジションでありたい。」

常にイノベートすることを意識し様々なことにチャレンジしていく姿勢を貫く。創造的なアプローチに取り組んだ結果、朝起きて家を出発するまでの所要時間はなんと5分。これもきちんと準備ができているからできるスタイル。「あれこれ余計なことを考えず、1日を飛び出していくことですよ。」

望月「自転車を販売して終わりでなく、買っていただいてから楽しんでもらうことにこの商売の醍醐味はある。」

自転車を購入していただくことはきっかけにすぎず、生活全般のスキルを自転車を通して向上させたいと望月氏は語る。実際に、スポーツ自転車のおかげで、身体的、精神的能力の向上を実感できるまで、自身を持ち上げてきた。

自分のスタイルを日常生活に溶かし込む

s_DSC_2928
ビジネスマンとして多忙な日々を送りながら、トライアスロンやマラソンの距離をトレーニングすることは至難の業だ。その実現のキーワードは「割る」にある。

望月「ヒントは『割る×consistency』。それを高いレベルで維持して行っていく。高いレベルで維持しながら少しずつメニューを変えていく。こうじゃなきゃいけないではなく、色んな形で割る。」

「割る」とは、トレーニングの強度と頻度を分割するということ。また「consistency」とは日本語で言うとコツコツのようなニュアンス。日々のトレーニングを生活スタイルにあわせて分割し、習慣的に継続し実践していくことがビジネスアスリートであり続けるために必要な要素だと。

このスタイルを続けていき、日常に「溶かし込む」ことが現時点のゴールだという。日々の体調にあわせて距離を変えたり、トレーニングのパターンを変えるなど継続的に行うことを重視している。

望月「日常のエネルギーが100あったとしたら、ライドの次にランニング、その次にスイムで100を使い果たすという感じではない。朝のライドをやってパワーアップされ、エネルギーが増える感じ。」

すべてのアクティビティが仕事へのパワーにも転換されているのが望月流。そして、身体と対話しながら力のかけ具合を調整し、力を発揮するタイミングを見極める。

望月「身体との対話なんですよ。これは自転車では楽しい部分。関節の動きの連動性も、極めて短い時間の中で力を入れたり抜いたりする。コース全体を見据えて力を繰り出すタイミング。日々の生活でも同じものを大事にしているんですよ。だから、日常に溶かし込む。」

トレーニングでもビジネスでも日々創造的な思考プロセスを通じて質の向上に努める。これを、日常に溶かし込むと表現する望月氏。そして、ペダルの上からビジネスに通じるアイデアも生まれているという。

望月「これから5年10年の間に、自転車を開発・製造・販売するだけの会社ではなく、ライフスタイルがメインの会社になると思います。」

スポーツ自転車が人々のそれぞれのレベルにあった生活をデザインする存在になり、それをプロデュースする会社がスペシャライズドだと。

一歩踏み出せ!

s_DSC_3254
ビジネスアスリートとして溶かし込んだ日々の生活を送る望月氏。今年は東京マラソンとその翌々週に開催された横浜マラソンにダブルエントリーし連続完走、さらにタイムを縮めているというから驚きだ。

生活全般の質向上を目的としているビジネスアスリートは、マラソンなどの大会で目標タイムの設定はしない。それは終わりのない目標設定だという。

望月「アスリートであれば金メダルを取りたいとか自己ベストを出したいとかってなる。そこの入りが違うんです。会社でいえば売上はもちろん大事だが、それが1番先に来るとおかしなことになってくる。スポーツ自転車の可能性はもっと別のところにある。」

自転車で生活全般のスキルにフォーカスし、スキルを磨き続けることが大事だと説く。自転車は生活も仕事もドライブをかける要素をもっていると。

そして2週間で2つのフルマラソンを完走し、結果としてタイムも縮めていくにはセルフマネジメント力の向上が不可欠になる。

望月「食事や休息のプロセスも楽しんでいますよ。どれくらいで回復するか、どういう食事をとるべきなのか。走るスキルをどう高めるのか、そしてペースが大事。日々の仕事もある中で、肉体とメンタルをマネジメントする。そういうものをこのプロセスを通じて高めるんだという意識が大事。」

自転車トレーニングに取り組む以前は、10回以上フルマラソンを走ったが、歩かずに走り切ったことはなかったという。自転車を通じて身体との対話を続けた結果、自身の身体能力を確実に向上させている。「スポーツ自転車では4時間から10時間の長時間、楽しく身体を『動かし続ける』トレーニングができる。これがマラソンにも有効だった!多くのランナーは『身体を長時間にわたって動かし続ける』という考え方が抜けているケースが多い。」

そして、ビジネスマンとしてチームへのリーダーシップも発揮する。今年9月後半に行われる村上・笹川流れ国際トライアスロン大会には、トライアスロン経験がない社員にも「一歩踏み出せ」と鼓舞する。さらにはパートナー会社にもその想いを共有し、ともにチャレンジを促す。

望月「はじめの一歩ってある。トライアスロンに出ると決めると、マインド上のブロックを超えて一歩踏み出すわけですよ。それは仕事でも大事。」

村上・笹川流れ国際トライアスロン大会に総勢8名で挑むスペシャライズド・ジャパンのメンバー。すでに溶かし込む毎日がはじまっている。

追記、早朝オープンウォータースイム(OWS)

ビジネスアスリート体験から2週間後OWSにも参加させていただいた。朝7時から約1時間、本番に向けた一歩踏み出した実践トレーニングがスタートした。

宮ケ瀬ダムライド同様に、早朝OWSも爽快な体験だった。
13445913_10209628152961166_1688322848_o

FRAME編集部

WRITTEN BYFRAME編集部

FRAME編集部はロードバイク、MTB、ミニベロ、トライアスリートなど、全員が自転車乗りのメンバーで構成されています。メンテナンスなど役立つ情報から、サイクリングのおすすめのスポット情報、ロードレースの観戦まで、自転車をもっと楽しくするライフスタイル情報をお届けします。

他の記事も読む

関連記事