あきらめない人の車いす「COGY」で可能性を開く – 元小学校教員鈴木社長が目指すこととは

8月7日(日)新宿高島屋 2F JR 特設会場にて『ダイバーシティ・コミュニケーションを体験しよう!PEOPLE DESIGN PLAZA』が開催されました。本イベントで「COGY」を出展されていた、株式会社TESSの鈴木堅之社長に直接お話をお伺いしました。

前編はこちら。

-HPもネーミングも非常にデザインで訴求している様に感じられました。どこら辺にこだわられているんですか?

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(COGY公式サイトより)

車体自体は、明るい黄色や赤色などでポップな感じにしています。デザインも曲線を多用し、柔らかい印象を与えられる様にしました。乗る人が疲れない体勢にしつつ、デザインにもこだわる為に、高強度の7000番代のアルミを使用しています。

-7000番のものを利用されているんですね。自転車のフレームでも良く利用されていますよ。

車いすには通常、5000番台のアルミを使用しています。構造的に、曲線を出したり、シンプルな作りで強度を持たせたかったため、こだわった上で7000番代を採用しました。
肌に接する部分や、シートのウレタンなど、ディティールだけでなく素材から多くの試行錯誤を行いました。COGYのユーザーは日本だけに限られていない為、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)の認証やCEマークを取得しまた。

-ハンドルの機構も面白いですよね。

ペダルとチェーンで動かすので、自転車に近い機構になっています。COGYは自転車とも非常に似た機構なので、左右に曲がるときはハンドルを操作します。右側についたクルクルと回すハンドルは零戦からアイディアをもらいました。

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ワイヤーで後輪の操舵を動かすのは零戦の機構と一緒で、その場で小回りの効く回転が出来ます。

-なるほど、機構が自転車に似ているんですね。第一印象がリカンベントの自転車に似ているなと感じたのですが、初期のコンセプトは同じなんですか?

その質問はよく聞かれます。ご期待いただいたところ恐縮ですが、偶然の一致です。(笑)研究の中で車いすと電極の話をさせていただきましたが、座りながら漕ぐという動きを自然にしていくと、従来型のサドルにまたがる形ではなく、椅子にペダルが生えている様な形になりました。その結果、リカンベントの様に体の前にペダルが来る構造となっています。

推測になりますが、漕ぐ力を伝わらせる機構にすると自然とこういった形に近づいていくのではないかと思います。

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-他にも自転車と似ている部分はありますか?

自転車と似ている部分としては、ペダルです。通常のペダルとは別に、引き足も活用できる様に、ホールドペダルという器具も用意しています。足を固定化する事で、伝わる力も増します。これを利用してトレーニング施設でもCOGYを活用してもらいたいと考えています。
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トレーニング施設では、エアロバイクなどを使う場所もあるそうですが、サドルから脱落するリスクがあり、誰かがついている状態で漕ぐのが好ましいとされています。COGYは座って漕ぐのでトレーニング機器としても優れています。VRトレーニングもありますし。

-VR!?VRトレーニングという機能はどのようなものなのでしょうか?

ネット環境があれば、グーグルマップなどと繋げてペダリングしながら、街の中を散歩できます。漕いだ回数に応じて、ストリートビューが移動し、身近な場所も天気に関係なく散歩できたりと、とても面白いシステムです。屋内でトレーニングできるので、周りに気を遣うことなく、退屈せずにトレーニングできます。

-話が変わるのですが、鈴木社長は元々こうしたリハビリなどの研究をされていた方なんでしょうか?

元々、小学校の教員をしていて、担当していたクラスに車いすの児童がいらっしゃいました。せっかくみんなと一緒にいても、運動会も、遠足にも参加できなくて、何かいい方法はないものかと模索していた時、足で漕ぐ車いすを東北大学の先生が開発されたというのをテレビで見て、すぐに尋ねていきました。

現場を拝見して、全く動くことができなかったおばあちゃんが、車いすに乗ったら足を動かし喜んでいるのに衝撃を受けて、子ども達にも乗せたいと強く思いました。

もしかしたら、将来部活もできるかもしれない、好きな仕事にも就くことができるかもしれない、COGYの研究で大きく可能性を広げるチャンスだと思いました。それで、小学校を退職し、会社を設立しました。

-今後はどの様な製品を作られますか?
エコで、コンパクト、地球にも優しく使いやすいものを作っていこうと思います。日本は徐々に障害をお持ちの方にも暮らしやすい環境作りが進んでいます。とはいえ、坂道やでこぼこ道など、車いすでは気軽には出向けない場所がたくさんあります。そんな環境の中で、ハンデがなく自由に生活を送って頂けるようにアシストできるものを作りたいと考えています。

また子ども用のCOGYも是非作って子供たちにも使ってもらいたいと考えています。

-COGYについて興味を持っている人に一言いただけますでしょうか?
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乗っていただくと、はじめは少しだけ動いたりといった感じの人も多いです。何か動きそうだぞとか、必ず何か感じて頂けると思います。とりあえず、興味を持って頂いた方には、一度乗って頂きたいです。今回のイベントに限らず、体験会やショールームでの展示を順次開催していきます。是非HPなどをご覧ください。
試乗できる会場ついて

編集後記

鈴木社長とお話させて頂いた中で「障害を負ってしまうと何かを諦める。諦める事が習慣化しがちなことが悲しい。COGYを使って少しでも諦めてしまった事と向き合うことの一助になれば。」という言葉が非常に印象的でした。

いろいろな障害を抱えた方が、今回の体験会に参加していらっしゃいました。COGYに乗る事で体験できる、「自分の足で前に進む」ということ。それは十二分に人を笑顔にしたり、驚きを与えるものであったと思います。もう一度動きたいと願う本人はもちろん、従来の車いすで手助けをしていた周りの方達も、笑顔になっている様子を目の当たりにして、心からこの製品を応援したいと思います。

こうしたイベントに参加していない人にもCOGYが認知され、多くの人が使う道具になってくれる日を期待しています。

COGY 公式サイト

WRITTEN BY宇佐美フィオナ

ロシアと日本のハーフのライター。主にカルチャーや、日本の文化、アンダーグラウンドな企画・インタビューを生業としています。スポーツ全般は見るのもやるのも好きで、トレーニングやストレッチは365日ハードにやってます。

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