挑戦する冒険家を応援するモンベルチャレンジ支援。繋がりから生まれる自然環境保護と社会貢献

前編はチャレンジ支援の概要についてと、実際に制度を利用した海外自転車旅の体験を紹介しました。後編は、株式会社モンベルの東京営業所の広報部の金森課長(写真右の男性 以下金森)と青木さん(写真左の女性 以下青木)から、チャレンジ支援について伺ってきました。

(前編はこちら)

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年間100件以上の応募

-モンベルのチャレンジ支援を知らない人も多いのではないでしょうか?

金森 何か他媒体を利用して、積極的に発信ということは行っていません。しかし、昔から当社の商品を使いたいと言っていただける方はいましたので、そのような方には今のチャレンジ支援のように商品の提供はおこなっていました。

青木 ホームページ上では常に募集をかけているのですが、ページの階層が深いので気付かれない可能性は大きいです。トップページの「モンベルについて」をクリックしていただければチャレンジ支援について記載はあります。

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-昔から冒険家への支援は行っていたのですね。今のような応募型のチャレンジ支援はいつからスタートしたのですか?
金森 ホームページに応募フォームを設けたのは2011年からになります。1980年代からヒマラヤ遠征や、南極隊などの装備品のサポートは行っていました。実際の現場でアイテムを使っていただき、商品のフィードバックをもらっています。

年間100件近くの応募があり、それ以外にも飛び込みの営業もありますね。応募全体の4分の1が国内で、残りの4分の3が海外の挑戦です。基本的には期間を決めて審査を行っています。これからチャレンジ支援を受けたいと思っている方には、積極的に支援をしていきたいです。

当社ではモンベルクラブ・ファンドという独自の基金があり、自然環境保護や社会貢献につながる活動に対してサポートをしています。チャレンジ支援に関しても、こちらの基金を運用し、サポートに充てています。

青木 モンベルクラブ・ファンドの活動や実績に関しては、モンベルクラブの会員様の会報誌に毎号掲載をしています。ホームページからも閲覧できるので見てみてくだいね。

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自然環境保護と社会貢献に繋がる会員制度

-基金がどのような活動に使われているか分かるのは素晴らしいですね。では、チャレンジ支援は、どのような人たちの活躍を求めているのでしょうか?

金森 これからチャレンジをしようと考えている意欲が高い人や、発想が面白いユニークな人たちを応援したいと思っています。植村直己賞のように、結果に対して何か提供するのではなく、これから挑戦しようという冒険や、自然保護など、大小関係なく社会貢献度が高いことを望んでいますね。

チャレンジ支援は、冒険だけでなく、自然保護活動、社会福祉、野外教育、などモンベルクラブ・ファンドの考えに基づいていからです。

-私もチャレンジ支援の制度を利用させていただきました。御社が被支援者に求めているのは最終的な報告書のみ。「これだけでいいのかな?」と少し驚きました。

金森 報告書のみで大丈夫です。なぜなら当社は、お伝えした通りモンベルクラブ・ファンドの基金を運用して支援を行っています。もともと支援を大前提としているので、収益とは切り離して考えています。他社は収益からお金を出しているので、ロゴマークをつける、メディアなどを利用してPRをすることを求められるかもしれません。

モンベルクラブ・ファンドは会員1名につき、年間50ポイントがファンドに貯まる仕組み。会員であること自体が、自然環境保護や社会貢献と繋がるようになっています。そのため、当社の収益を考えるのではなく、会員様が満足していただけるようなユニークで独創的な活動に支援を行っているのです。

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-チャレンジ支援の制度を利用した私は、御社だけでなく会員の方にも助けられていたのですね。最終的な報告書はどのように利用されるのですか?

金森 チャレンジ支援を受けていただいた方の報告書は、とても重要と考えています。広報部から企画部へ送り、改善点を今後の商品開発に生かしてます。当社の商品を過酷な環境で使用していただくので、企画会議で話し合うだけでは得られないような生きた情報が得られます。それが我々の財産になります。テスターを呼ぼうとしたら、もっとお金がかかりますからね(笑)

-生きた情報が社内にあるというのは強みになりますね。

青木 チャレンジ支援の報告書だけでなく、社内には社員専用のアイディアシートもあります。既存にある商品の改善案や、こんなものがあったらいいな!という新規のアイディアを提案できるシートです。

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-事例はあったりしますか?

金森 例えば、私が発案したULポーチがあります(笑)。アイディアというのは誰もが持っていて、この商品はたまたま私が声をあげただけ。「地球の歩き方」が入るサイズで、できるだけ軽いバッグがほしかったんです。始めは2種類ぐらいしかありませんでしたが、売れたことによって、今では数十種類のラインナップが増えています。

青木 他にも、今では主流となったサーマラップスカートがあります。登山やキャンプの時に、簡単に脱着できる女性向けの巻きスカートです。こちらの商品も当社の女性スタッフのアイディアにより開発されました。最初に考えた人は素晴らしいと思います。金森のように…(笑)

金森 そうですね(笑)社内にはどこにでもシートがあるので、年間1000件以上のアイディアが生まれます。当社の商品のほとんどが、そこから開発されたと言っても過言ではありません。

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冒険にフタをしていては世界が広がらない

-旅や冒険は自己満足でやっている人もいると感じます。そういった人でも企画次第では支援をしていただけるのですか?

金森 やはり応募する人には目的意識持ってほしいと思います。それさえもっていれば、審査の段階ですぐにダメということはありません。当社が支援する人たちの思いの本質は自己満足にあるはずですからね。応募される人のほとんどは一生懸命さが伝わってきます。エントリーシートでは求められる内容も多いので、書くこと自体が難しいはずですから。

何か新しいことに挑戦しようとしている人は諦めずに応募をしてほしいです。冒険にはお金とモノが必要。それを無駄と思っていては、挑戦者も当社も世界が広がっていきません。

青木 最近の応募で大学生の方の応募がありました。スポーツバイクに乗り始めたばかりと言っていましたが、自転車日本一周に挑戦しています。始める前から立派な考えをお持ちになっていたので、帰ってくる頃にはきっと逞しくなっていると思います。

-若い人には積極的にチャレンジ支援に応募していただきたいですね。他社のアウトドアメーカーと御社の違いはありますか?

金森 それは当社の商品開発コンセプトにあります。ひとつは「Fast & Light」です。軽ければ素早く動くことができ、それが安全に繋がります。ふたつ目が「Functions is beauty」です。形から入るのではなく、機能を追求することで無駄なものを削ぎ落とします。その結果、シンプルで美しい商品に仕上がります。こういった部分が他社メーカーとは違った強みになっていると思います。

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まとめ

チャレンジ支援を利用した私は、それをモンベルだけのお力だと思っていました。しかし実際には約65万人のモンベルクラブ会員の方たちあっての支援だったのです。

情熱が溢れる若い方だけでなく、昔から色褪せることがない夢を持ち続けたシニアの方もチャレンジ支援を利用して、世界を舞台に挑戦しています。夢を語るだけで終わらせるのではなく、行動を起こしてあなたの世界を広げてみてはいかがでしょうか。モンベルは、そんな挑戦者を応援し続けます。

モンベルクラブ・ファンド

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WRITTEN BY熊谷賢輔

6年間の商社勤務を経て退社。その後は、自転車で日本一周を実行し、続いてアラスカ→カナダ→アメリカ西海岸→メキシコを距離にして11,000kmを11ヶ月をかけて走破。帰国後は、日本で旅しながら仕事をするワークスタイルを実践中。ひとつの仕事に固執するのではなく、常に新しい価値や出会いを創造していきたい。

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