「ちょっと足を延ばせば行けるところ」に連れて行ってくれるスポーツ自転車の魅力
date : 2017.01.20 update : 2017.05.26

はじめまして。普段は「ぐるりみち。」というブログで本やらアニメやらグルメやらの話をしております、けいろー(@Y_Yoshimune) と申します。今回はスポーツ自転車初心者として、思うところをざっくばらんに書かせていただきました。

とあるチャリンコ小僧の思い出と、スポーツ自転車への憧れ

「スポーツ自転車」への憧れは、昔から漠然と持っていたように思う。

もともと、ガキンチョのころから自転車に乗るのが好きだった。誕生日に子供用のマウンテンバイクを買ってもらって以来、学校から家に帰るなりすぐさまそれに飛び乗り、茨城の田舎道を走りまわっていた小学生時代。友達の家へ行くこともあれば、迷わない程度によく知らない道を無目的に走りまわることもあった。当時の自分にとっては、勉強道具よりもゲーム機よりもなによりも、自転車こそが「相棒」だった――そう言っても過言ではないほどに。

中学生になってからも、相変わらず自転車にはよく乗っていた。週末は隣町のTSUTAYAまで20分ほどチャリを走らせ、気になるCDをレンタルしたらまっすぐ帰宅。MDコンポを使って録音したあと、当日中にまた隣町まで往復してCDを返却する。そんな生活を、毎週のように続けていた。当日料金ならばレンタルCDは安いし、自転車で向かえば、浮いた交通費の分だけ余計にCDを借りることもできる。

そのころの自分にとっての自転車は、言わば貴重な「足」であり、節約ツールだった。自転車それ自体にお金をかけることはしなかったため、見た目はボロボロ、油も切れてギコギコ音を立ててはいたものの、パンクは自分で直していた。……自転車屋さんに持ち込むよりも節約になるしね!

とはいえ高校生にもなると、さすがに子供向けMTBは乗りまわせない。学校も電車通学となり、部活も忙しくなったため、長年お世話になった相棒は手放して、自転車とは無縁の生活を送ることになる。

――と見せかけて、相も変わらず「節約」のために乗りまわす機会は何度かあったのだけれど。ほとんど使われていなかった妹のママチャリを借りて、当時住んでいた埼玉のベッドタウンから東京の上野までペダルをグルグルギコギコ。行きは地図を見ながら川沿いや国道を走り、帰りは線路沿いをぜぇぜぇ言いながら漕いで走った記憶がある。片道およそ25km、とてもママチャリで走るような距離じゃない。……我ながら、バカだと思う。

いわゆる「スポーツ自転車」と出会ったのは、大学生のときだ。

ふらっと覗きに行った自転車サークルの体験入部で、江ノ島サイクリングへ。先輩から借りたクロスバイクの乗り心地は最高で、「スポーツ自転車って、こんなに楽しいのか!」と気持ちよく走ったことを覚えている。……結局、入部はしなかったのだけれど。いざスポーツ自転車の購入費用を聞いてみたら、一介の学生にはとてもじゃないけれど払えないような高額っぷり。貴族の趣味じゃないですか……。

そんなこともあり、自転車とは無縁のまま卒業するかと思っていたのだけれど、卒業間近の長期休暇で唐突に再会することになる。ぶらっと一人旅で訪れた広島・尾道にて、「しまなみ海道」の存在を知ったのだ。全長75km。いまだ訪れたことのない四国の地を目指して、レンタサイクルで瀬戸内海を超えられる素敵な道のり。――むちゃくちゃおもしろそうじゃないか!

「しまなみ海道を走破する」ことに謎の魅力を感じた自分は、大学生特有のノリと勢いでもって、そのまま愛媛・今治までレンタサイクルで走りきってしまったのだった。……体育会系の肉体を持っているわけでもないので、最後のほうはマジでキツかったけれど。それこそ、「もう懲り懲りだ」と感じるくらいには。片道を一回だけでも走りきれれば満足っすよ……。もういいや……。

ところがどっこい。そんなことを言いつつも、なんだかんだで尾道としまなみ海道に魅了されてしまった自分は、幾度となくそこを走ることになる。どこかに遠出したい、思いっきり羽を伸ばしたい――そんな旅行欲求がわいてきたら、その次の連休には迷わず夜行バスで広島へ。

早朝から午前中にかけて尾道の街を散策したら、お昼前にはレンタサイクルを借り、今治を目指してスーパーギコギコタイム。瀬戸内海の島々を駆け抜けるのはいつも楽しかったし、最後はヘトヘトになりながらも「また来たい!」と思える達成感があった。しまなみ海道はいいぞ。僕のような文系もやしっ子でも楽しんで走ることのできる距離で、すばらしい景観が待っている。

そういった経験があったからだろうか。ここ数年、なんとなく「自分の自転車が欲しい!」と考えるようになっていた。特に最近は、マンガ『ろんぐらいだぁす!』にハマったり、自転車系の創作同人誌に興味を持ったりで、スポーツ自転車関連のコンテンツに触れる機会も増えつつあったので。自転車乗りさんのブログもちらほらと目に入るようになり、物欲は高まる一方。うごごごご!


『ろんぐらいだぁす!』©三宅大志/一迅社

そして昨年10月、ついにスポーツ自転車を購入してしまったのだった。
……間違いなく、人生最高額の買い物である。

自宅に自転車をお迎えしてからは、何度か近場をふらふらと漕いでみたり、サイクリングロードを走れるところまで走ってみたりと、それなりに自転車ライフを満喫している格好。最近は忙しかったり体調を崩したりで乗れていないけれど……やはり、自転車はいいものだ。超たのしい。

「ちょっとそこまで」を広げてくれる、新しい自分の「足」

ぶっちゃけ、購入を検討するべく調べるまでは、「ロードバイク」と「クロスバイク」の違いもよくわかっていなかった自分。そんなド素人が最初の一台に選んだのは、TREKのロードバイク・EMONDAシリーズ。店員さんにあれこれ相談しつつ、予算にギリギリ収まるセール品を選んだ形。ま、まあ最初ですし……とりあえずはこんなもんかしら? というラインで。

その帰り道、自宅までの15kmの道のりで早速、ロードバイクの魅力と怖さの洗礼を受けた。

体力的にはまったく問題なく、ゆったりと快適に走っていたのだけれど、試しに交通量の少ない道路で加速してみたら「なにこれめっちゃ進むうううぅぅぅううううぅぅう!?」と。あまりの軽さとスイスイ走れる感覚にびっくり&感動したのだった。同時に、「これ、調子に乗ると事故るやつだ……」と真顔で冷静にもなったけれど。

その一方で怖かったのが、幹線道路。ちょうど平日の夕方、家路を急ぐ車であふれかえる幹線道路を走って帰ったため、真横をすさまじい勢いでビュンビュンと抜き去っていく乗用車がマジで怖い。

ただでさえ混雑している時間帯、運転手さんのフラストレーションがたまっているだろうことは自身の「ドライバー」としての経験からも予想ができる。つまり、「そんな環境でロードバイク初心者がふらふらと走るのは自殺行為でしかない」と。途中からは道を選びつつ、おとなしく歩道を低速で走って帰ることにしたのだった。

そんな、おっかなびっくりだった納車日も、なんとか無事に走り終えて帰宅。じゃあ次に、本格的にロードバイクデビューするにあたってどこへ走りに行こうか――と考え、翌日に向かったのが多摩湖だった。東京西部の自宅からはほどほどの距離で、聞くところによればサイクリングロードもあるという話。デビュー戦にはちょうど良いんじゃないかしら。西武ドームもあるし(?)。

実際、その道のりは素直に「楽しい」と言えるものだった。

自分のよく知る「自転車」よりも軽く速く、風を切って走るのは気持ちがいいし、ほどよい疲労感も悪くない。考えてみれば、少年時代に短距離走よりも長距離走が得意だった自分は、瞬発的に激しく動くスポーツよりも、こうして長時間かけて体を動かす自転車のほうが向いているのかもしれない。街によって移り変わる景色を眺めながら、どこまでも走って行けるような気がした。

そして、電車や徒歩に変わる「足」としても、ロードバイクはメリットのある乗り物であると感じた。というのも、それなりに距離があるとはいえ、多摩湖は身近な週末スポット。過去にはすぐ近所の所沢に住んでいたことがあるにもかかわらず、わざわざ多摩湖まで足を延ばしたことはなかった。なにげに今回、初めて訪れる場所なのだ。

言うなればそれは、「徒歩で向かうにはちょっと遠いけれど、電車で運賃を払ってまで行こうとは思わない場所」。そんな近くて遠い場所まで運んでくれたのが、このスポーツ自転車だった。

体力的にも時間的にも制約があるなかで、三十路手前の運動不足の成人男子を、今まで行けなかった「ちょっと足を延ばせば行けるところ」まで気軽に運んでくれる乗り物。これまで行く機会のなかった場所へ小旅行気分で走って向かえるのは、とても素敵な週末体験であると感じたのだった。――ただし、ろくに準備もせずに向かったため、翌日はケツが死んだ。あうち。

それ以来、暇を見つけては自転車を漕ぎだし、「ちょっと足を延ばせば行けるところ」を目指して走るようになった。あるときは荒川サイクリングロードで榎本牧場まで、あるときは中学時代にママチャリで走った道をたどるように上野恩賜公園まで、またあるときは、今度は多摩湖自転車道の始点から多摩湖を目指してゆったりと走ってみた。

年末年始にかけて乗る機会が減ってしまったものの、それでも、暇を見ては自転車に乗ってふらっと出かけるのが楽しみになりつつある。もうちょっとお金に余裕があれば、サイクルウェアや各種バッグもそろえたいのだけれど……今はまだ私服+リュックサックでもなんとかなっているので、まあいいか、と。装備はこれからの課題ということで。

“課題”といえば、やはりネックになるのが自転車置き場と盗難の問題だ。購入当初こそ「これで交通費を半分に減らしてやるぞー!」と息巻いていたものの、今のところ、都心への移動手段としては自転車をまったく活かせずにいる。何と言っても盗難が怖いし、安心できる自転車置き場を見つけるにも一苦労。

この辺は我ながら甘く見ていたポイントであり、ロードではなくクロスバイクを買うべきだったんじゃないか――と少しだけ後悔している部分でもある。ただ走りに行くだけならばこれ以上に魅力的な乗り物はないのに、街乗りに使おうとすると途端に不便さを感じてしまう今日このごろ。サイクルラックのあるお店を事前に調べておかないと、にっちもさっちもいかない状況だ。

――とまあ、当初予定していた用途とは少し異なる結果になったとはいえ、やっぱり自転車に乗るのは最高に楽しい。

今後の展望としては、とりあえず目先の目標として海まで自転車で走って出てみたいのと、それに伴って徐々に走る距離を伸ばしていきたい。いつも自転車で出かけるときはお昼すぎスタートになってしまっているため、1日でMAX50km程度しか走れていない現状があるので……。しまなみ海道を走れたわけだし、もうちょい早起きして漕ぎだせば、「ちょっと足を延ばせば行けるところ」のその先まで行けるはず。でも、海もいいけど、山もいいよね……。

何はともあれ、まだまだスポーツ自転車初心者の身である自分。自転車に乗り慣れないことには何も始まらないので、これから暖かくなる時期にかけて徐々に慣らしていけたらいいなーと考えている次第であります。

もし今後、どこかのサイクリングロードにて、明らかに不慣れな様子で走っているTREK乗りを見かけたら、お声がけくださいな。


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Written by けいろー

けいろー(@Y_Yoshimune)/ブログ「ぐるりみち。」 フリーライター。インターネット大好きゆとり世代。新卒入社したメーカーで営業職として働くも、身体を壊して退職。無職期間にブログを書いていたら仕事をもらえるようになったので、ノリで独立。ウェブメディアで記事を書いたり、ライブパンフレット制作のお手伝いをしたりしています。はやくにんげんになりたい(おしごとください)。