振動を吸収するステム「ShockStop」を使ってみた。

こんにちは。サイクルメカニックの石橋です。今回はロングライド、グラベルライド、さらにはシクロクロスにおいて快適な乗り心地を後押しする画期的なアイテムをご紹介します。

衝撃吸収ステム「ShockStop」

その画期的なアイテムとは、アメリカのパーツメーカー「Redshift Sports」からリリースされている振動吸収ステム「ShockStop」です。ステムとはハンドルとフォーク(フレーム)を繋ぐ自転車には欠かせないパーツです。そのステムを上下に可動させることで、走行中にハンドルに伝わる振動を吸収してしまおうという発想です。

前輪からの衝撃に対応するには、フォークに振動吸収性の高い素材を使用したり、カーボンのしなりを生かして振動を吸収するのが一般的ですが、ステムでその役割を果たそうという考えは今まであまりなく、私自身も非常に興味深いアイテムです。

Redshift Sports
Shock Stop

サイズ:6°(リバーシブル)90、100、110、120ミリと30°100ミリのハイライズの5種類
重量:238g~
トラベル量:10㎜~20㎜
コラム径:OS(1 1/8)
クランプ径:31.8
参考価格:税別19,950円

その効果は舗装路やグラベルライドから生じる恒常的な振動を減らし、大きな衝撃は最大70%削減が見込まれています。では、その詳細なメカニズムを見てきましょう。

※ShockStopは基本的に道路やグラベル(砂利道)用に作られているので本格的なオフロード走行には使用できません。深刻な怪我や死亡事故を引き起こす可能性もありますので、ご注意ください。

振動吸収にはエラストマーを使用

振動吸収の役割を果たすのが、エラストマーという素材です。いわゆるゴム素材で、写真のようにエラストマー自体が色分けされていて、それぞれ固さが異なります。

基本的な設定は、ユーザーの体重にあったエラストマーを選び、ステムの中に組み込んでいきます。私の体重が65kgであり、推奨されているエラストマーの組み合わせは60(ブルー)と70(オレンジ)です。

また、エラストマーを装着する際は、必ず車体につけて行います。エラストマーを抑えるプリロードボルトを締める際、上からステム先端部を押さえないとネジ山を痛めることがあるからです。(※画像は便宜上車体から取り外した状態で撮影しています)

あえて自分の体重よりも重めのエラストマーを装着するとステムの可動域が少なくなり、振動吸収性を抑えることができます。この辺りは乗った時の好みで使い分けても良いと思います。

早速乗ってみました【インプレッション】

まず、インプレッションに使用するロードバイクのデータは以下の通りです。

フレーム:チタン製
フォーク:カーボン製
タイヤサイズ:700×23c(シュワルベ・ワン)
ハンドル:カーボン製
ライダー体重:65kg

実走はFRAME編集部がある二子玉川のサイクリングロードとその近郊の舗装路で行いました。まず、細かい振動が無数に伝わる砂利の道では、想像以上にステムが可動し、ハンドルへ伝わる衝撃を拾ってくれる印象です。

ステムにスプリングがついているのではないかと思うくらいの振動吸収力には驚きです。

立ちこぎや、ダンシングによって左右に応力が掛かる場面では、可動域の剛性が気になるところですが、構造的に全く不安がなく、安心してハンドルに体重を預けられます。

時速30km前後の高速走行の場合、道がしっかり舗装されていれば、ShockStopの出番はあまりないのですが、まれにアスファルトが削れていたり、割れている箇所はShockStopの恩恵を受けることができました。

導入の是非は

冒頭でもありましたが、ShockStopはロングライド、グラベルライド、シクロクロスに大きく力を発揮してくれるアイテムです。長時間のライドや常に振動にさらされるライドにおいては、腕や体全体の疲労を軽減する意味でも、導入する価値は非常に高いと思います。逆にスプリントのレースやヒルクライムなどのスピード重視のライドや軽さが重要な場面では、あえて選ぶ必要はないと思います。

ロングライドを快適に楽しめるエンデュランスロードバイクにShockStopをアッセンブルすることで、さらなる快適性も得ることができそうです。さらに振動吸収性が低いと言われるアルミフレームにShockStopをアッセンブルすると、快適な乗り味を手に入れることができるのではないでしょうか。

また、タイヤの空気圧を低くするほど、ハンドルに伝わる振動をコントロールできますが、その分パンクのリスクも高まるため躊躇してしまいがちです。しかし、ShockStopを導入すれば、ステムが振動を吸収してくれるため、低圧にして振動吸収性を手に入れる必要がなくなり非常にメリットは大きいのではないでしょうか。

ShockStopは取外しが比較的容易なので、その時のライドの内容に合わせて、ShockStopを使うライド、使わないライドと言ったように使い分けるのも賢い方法です。

※ShockStopは基本的に道路やグラベル(砂利道)用に作られているので本格的なオフロード走行には使用できません。深刻な怪我や死亡事故を引き起こす可能性もありますので、ご注意ください。

最後に

ShockStopは今までありそうでなかったアイテムな気がします。ロングライドやグラベルライドがさらに普及してくると、よりグレードアップしたShockStopの登場も期待していしまいます。

今回は実際にそのアイテムを使用してみるインプレッションも交えてお伝えしてきました。今後も購入の参考にしていただくためのインプレッションを積極的に行っていきますのでお楽しみに。

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WRITTEN BYVIKING the MAINTENANCE

都内のプロショップに10年間在籍後、2015年VIKING the MAINTENANCE を設立。東京・西新宿を拠点にスポーク自転車の組付け、カスタマイズ、メンテナンスを軸に展開中。年2回富士山麓でサイクルイベントも企画中。 http://www.viking-the-maintenance.com/

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