みやぎ蔵王スキー場でファットバイク体験

みやぎ蔵王スキー場でファットバイク体験

みやぎ蔵王スキー場の樹氷原をファットバイクで見に行くツアーに行ってきました!

久しぶりの投稿になってしまいました。FRAMEでマウンテンバイクの連載をしている北澤コウです。オルタナティブバイシクルズという自転車やパーツの輸入をする会社をやったり、本や記事を書いたりしています。今回は普通のマウンテンバイクから、少し趣向を変えてファットバイクの話をしたいと思います。

ファットバイクとは

ファットバイクもマウンテンバイクの一種と言っていいかと思いますが、約10センチ以上の太いタイヤを履いた自転車のことを指します。日本でも2~3年前から流行り出しているので、見た方もいるかも知れません。オートバイや軽自動車くらいの太さのタイヤを履いたユーモラスな見た目で、一度見たら忘れないでしょう。

元々は雪上や砂浜を走るために開発された自転車で、僕も静岡県と愛知県の間にある遠州灘という約100㎞の砂浜を3日間かけて走破したことがあります。スノーライドもちょこちょことはやったことがあるのですが、今回は、みやぎ蔵王スキー場に本格的なスノーライドに行ってきました。1月19日です。

ファットバイクでスノーライド

このスノーライドは実はかなり本格的です。標高1100mのすみかわスキー場から、標高1800mの樹氷原を目指すツアーです。気温はなんとマイナス20度!にもなるというのです。冬山の経験のない僕は、登山好きの友達に色々と装備のことを聞いて揃えました。

このツアーですが、仙台のディメンションというマウンテンバイクショップさんが3月からツアーを計画していて、僕らはその実験台として参加しました。3月になれば気温もあがり、雪も締まって走りやすいのですが、1月は寒いし、雪も締まっておらず走りづらいということでしたが、超面白そうなので行くことにしたのです。今回のガイド役は、ディメンションの店主の樋口さんで、同行は僕のマウンテンバイクの師匠のUKIさんです。

僕のバイクはOTSO(オツォ)と言うブランドのカーボンの軽量ファットバイクで、それに4.6インチ(約11.5センチ)のファットタイヤを履かせました。タイヤの空気圧は、なんと0.1bar以下!普通のロードバイクのタイヤの空気圧がだいたい7barなので、その低圧ぶりが分かるかと思います。

ボヨンボヨンなんですが、これくらいじゃないと柔らかい雪の上はタイヤが埋まってしまって走れないのです。そしてポギーと呼ばれるハンドルのグリップのところに付けるハンドウォーマーを装着しました。

ウェアですが、雪山用のアンダーウェアの上下に、下は冬用の自転車用のタイツにゴアテックスのレインパンツ、上はフリースとゴアテックスのジャケット。そして冬用のグローブです。ネックウォーマーも欠かせません。口をこれで覆っていないと寒くて呼吸もできないからです。

一番気を使ったのはシューズ。KEENのマイナス30度まで大丈夫なデュランドポーラーという防水、耐寒のスノーシューズです。ソールも薄めなので、ペダリングしやすそうなのも決め手でした。これに冬山登山用の厚手のウールのソックスです。

いざ、スノーライドへ

いよいよ出発です。輪行で最寄り駅から始発電車に乗り、大宮駅から新幹線で仙台に向かいます。同行のUKIさんと車内で落ち合い、これから始まる冒険に胸を高鳴らせます。ちなみに、UKIさんとは3月にアラスカで開催されるファットバイク世界選手権にも一緒に行きます。今回は、そのための訓練の意味もあるのです。

仙台駅の新幹線改札に行くと、ディメンションの樋口さんが待っていてくれました。そして樋口さんの運転する車に乗り込み、さっそく蔵王を目指します。遠くの山の上に雲がかかっているのが気がかりです。

1時間ほど走ると蔵王のスキーエリアに入ります。道はばっちり凍結していて、運転にも気を使います。山道に入ると、一面雪です。天気は良いのですが、スキー場に近づくと風が強くなってきました。スキー場に到着すると、案の定かなり吹雪いていて、雪山の経験のない僕は既にかなり不安です。

バイクを車から降ろして組み立てます。スキー場の更衣室を借りて着替え、走る準備を整えさっそくスタート!

最初はゲレンデの端を、ファットバイクを押して進みます。ゲレンデが終わり、頂上へ向かう雪の積もった道を走り始めます。しかし思ったよりも新雪が道を覆っていて、タイヤが埋もれてしまい中々走れません。この季節はやはり難しいみたいです。

雪道に慣れた樋口さんはクルクルとペダルをこいで先に進みます。僕らは乗ったり、バイクを降りて押したりしながら、なんとか着いていきます。しばらく行くと、少し慣れてきたので、自転車に乗る時間も増えていきました。しかし、バランスを取って、ペダリングの重い雪道を走るので、体はかなり疲れてきます。


(ガイド役の樋口さん【左】とUKIさん【右】)

頂上の樹氷原へ向かう観光客を乗せた雪上車が後ろから近づいてきます。中のツアー客は僕たちを見てびっくりしています。手を振って、挨拶。しばらく行くと避難小屋があったので、そこでしばし休憩しました。

一面の雪化粧

再スタートし、難しい雪道をバランスを取りながら必死に登り、カーブを抜けたところで、視界が開けました。一面の雪景色。山も森も全て雪化粧。こんな経験は初めてでした。

相変わらず走ったりバイクを押したりしながら標高を稼いでいくのですが、いよいよ風が強くなり雪も舞い、吹雪になってきました。ブリザードというやつです。

頂上の樹氷原まではあと3㎞というところですが、ここから更に雪が深く、進むのが難しくなるというので、その少し上の、雪がない時期には大黒天というバス停があるところで記念撮影をして引き返すことにしました。遭難の恐れがあるからです。凍傷で指を失うこともあるそうです。吹雪の風が顔に当たり、痛いです。マイナス20度近くになっているようでした。

下りは一転して、楽しいスノーダウンヒル!ハンドルを取られないように慎重に、すべるタイヤをうまくコントロールしながら下ります。思わず歓喜の声が口から洩れます。前を行くUKIさんが調子に乗ってスピードを上げ、転倒。しかし雪なので痛くありません。

辛い登りに比べ、下りは本当にあっという間に終わってしまいました。戻って来たすみかわスキー場は太陽ポカポカ平和そのもので、先ほどの極寒の吹雪がウソのようです。マイナス5度程度の気温が暖かく感じられました。ネックウォーマーを外そうとすると、自分の息の水分でバリバリに凍っていました。

スキー場の食堂で味噌ラーメンを食べて、やっと人心地つきました。スゴイ体験でした。残念ながら今回は頂上の樹氷原へは行けなかったのですが、初めての本格的なスノーライドに満足。また次回チャレンジしたいです。


(樋口さんにもらった写真。天候がよければ、この樹氷原を見に行けたのに。。)

ここ、宮城蔵王はファットバイクに乗って樹氷原を見に行けるという、恐らく世界中でも他に例がないロケーションです。色々な事情でツアーはまだ本格始動とはなっていませんが、ぜひツアーが始まり、多くの人たちにこの素晴らしい経験をしてもらえたらと思いました。

またファットバイクのおかげで、自転車のフィールドが更に広がったことにも、感銘を受けました。普段の山でのマウンテンバイクとはまた違った素敵な体験でした。自転車って本当に面白いなと改めて思いました。3月のアラスカでは、スノーライドの本場の様子もまたこのFRAMEのサイトでお伝えできればと思います。

LINK:Dimension(
ディメンション)

WRITTEN BY北澤 肯[コウ]

MTBやバイクパッキングの普及啓発、関連ギアの輸入販売をおこなうオルタナティブバイシクルズ主宰。好きなものはクラフトビール、ぬか漬け、てんぷらソバ、キャンプ。 最近、車の免許を取得し、車が楽しい盛りの二児の父。Radio Head、Perfume、Bump of Chickenをよく聴きます。

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