サイクリングロードを自転車で走行中、ランナーを追い越す時どうする?

FRAME編集部では自転車に乗っている時に遭遇する場面を例に、実際にどんな行動が良いのか考える連載を行っています。

前回の左折専用レーンを直進したい場合に続き、今回は第四弾として今回は以下のシチュエーションについて考えてみたいと思います。

この状況で何を考え・何をすべきか、FRAME編集部で日本で一番真剣に自転車乗りの権利を考えていると理解しているNPO法人自転車活用推進研究会事務局長の内海潤さんに回答をお願いしました。

内海さんのコラムに移る前に、FRAME読者の回答を見ていきましょう。

声掛けをする

無理に追い越しはしない

なんとかランナーに視認してもらう

あなたはどのように考えますか。それでは内海さんの見解を聞いてみましょう。

サイクリングロードの多くは自転車専用道でない

東京だと荒川や多摩川沿いなどにサイクリングロードと呼んでいる道があるが、残念ながら自転車専用道ではない。通称がひとり歩きしてしまっているけれども実際は歩道(自転車歩行者道)だったり、緊急用河川敷道だったりする。

誤解を招くといけないので多摩川河川敷道は区間によって「たまリバー50」や「府中多摩川かぜのみち」などと名称を付けてウォーキングやランニング、散策を通じて都民の健康づくりに、と東京都がホームページでも呼びかけている。自転車を楽しんで、とは書いていない。それどころか「自転車と歩行者の事故が増えています。自転車は歩行者優先で徐行しましょう」と書いてある。通称多摩サイは法的に歩道なのだ。通っても良いが自転車本来の速度を出してはいけない。ましてトレインを組んでランナー達を蹴散らして走るなど、もってのほか。自転車専用道ではないのだから。

徐行ではランナーを抜けないが


徐行の定義は、すぐに止まれる速度。クルマだと20km/h程度だが、自転車は一体何km/hなのか? 唯一記録に残っているのが昭和53年の国会答弁だが、当時の警察庁交通局 鈴木良一交通企画課長が「時速四、五キロぐらいのことであろうと思いますが」と説明している。

鈴木課長は自転車に乗らない人だったのだろう。4〜5km/hで自転車を運転するとフラフラして、まともに進めない。これでは、かえって危ない。ということで後年、警察内で実験をして6〜8km/hを自転車の徐行速度と定義し直した。ところが人の歩く速さが時速4〜5km/hで、ジョギングだと6〜8km/hなので、自転車で徐行するとランナー達を追い越せないことになってしまうが、中には歩道指定されていない河川敷道もあるので、徐行義務がない場所について解説したい。

問題は速度差にある


皆さんも経験があると思うが、いきなり歩いている横を自転車が走り去ると速度差にヒヤッとする。ちょうど自転車が車道でクルマに抜かれるのと同様、相対速度の違いに恐怖を覚える。以前この稿でも紹介したが、車道を走る自転車にバックミラー装着を推奨する理由は後方から接近するクルマの情報が収集できるからだ。敵を知れば対策できるが情報不足だと不安になる。

とは言え、歩行者やランナーにバックミラーを持たせるのは現実的でないから、自転車で追い越す際に声を掛けてあげるとよい。例えば「自転車が右から抜きまーす」と声掛けすれば彼らは避けることもできる。その上で歩行者のすぐ横ではなく、なるべく離れてゆっくり追い越そう。そうすれば、さらに不安は小さくなって自転車乗り全体の評価も上がる。チャリンカスなどと呼ばれることも少なくなるだろう。自転車の市民権確立は相手を尊重するところが出発点だ

我が物顔せず共存を目指す


通称荒サイではサイクリストと少年野球チームの仲が悪かったり、犬の散歩をしている人のリードが危ないと文句を言ったり、某チームが公式練習に使ったりしたこともあって自転車乗りの評判は芳しくなかった。道路管理者である荒川下流河川事務所では「新・荒川下流河川敷利用ルール」を作成し、利用者相互に理解を求めている。

利用者の中で自転車は交通強者なので交通弱者を保護する義務があるが、サイクリングロードなのだから自転車が本来の速度で走るのは当然の権利だという間違った認識が様々な軋轢を生んできた。今後は歩み寄って共存できる方法を模索していかないと早晩、締め出しを食らってしまうだろう。

子どもや孫たちの代まで自転車が走れる道として残してあげたい。我々の仲間が利用マナーを呼び掛けるチラシを配布して自転車乗りたちの自覚を促すと共に、河川敷のゴミ拾いなどをして他の利用者との相互理解を求める活動を定期的に行なっていて頭が下がる。相互理解や尊重する気持ちがあれば世の中は少し住みやすくなる。権利を主張する前に果たすべき義務があることを忘れてはいけない

FRAME編集部より

いかがでしたか? 内海さんの回答は徐行義務がない場所では「右から抜きます」と声をかけて追い越すというものでした。

またFRAMEのTwitterで回答を募集したツイートでは、大きく2つの観点から意見が分かれていました。無理に追い越すことをしないというそもそもの意見と、どうにか存在を気付いてもらう努力をしてみるというものでした。

こうした問いをきっかけに、あなたも安全に自転車の法律について、また安全に走行することについて改めて考えてみてくださいね。

内海潤

WRITTEN BY内海潤

NPO法人 自転車活用推進研究会 事務局長 東京サイクルデザイン専門学校の非常勤講師として次世代の自転車人を育てる一方、イベントや講演会などを通じて自転車の楽しさや正しい活用を訴える活動を続けている。テレビへの出演多数。共著書に「これが男の痩せ方だ!」がある。別名「日本で一番自転車乗りの権利を考えている*事務局長」(*FRAME編集部見解)

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