映画『サバイバルファミリー』を自転車乗りの視点で見た!

電気が使えない! でも自転車があれば生きられる?
サイクリストも楽しめる映画「サバイバルファミリー」


映画「サバイバルファミリー」 (c)2017フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

ある朝、突然すべての電気が使えなくなった! そんな極限状態に放り込まれた家族が生き延びようと奮闘する様子をコメディータッチで描く映画『サバイバルファミリー』(矢口史靖監督)が全国上映中です。電気のない世界では自転車が大活躍。サイクリストが見ても楽しめる作品です。

高級腕時計よりも貴重なのは「1本の水」?


電気がなくなった最初の夜は、不便を楽しむ余裕もある (c)2017フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

明かりがつかない、家電製品が使えない、スマホやPCも動かない。電車やエレベーターも止まったまま。浄水場やポンプも止まっているので、蛇口をひねっても水さえ出ない……。

そんな不便だらけの状況に突然放り込まれたのは、亭主関白の夫(小日向文世)と専業主婦の妻(深津絵里)、大学生の息子(泉澤祐希)、そして高校生の娘(葵わかな)。最初こそ、街灯が消えて見えるようになった夜の星空を楽しむ余裕もありますが、やがて食料や水、燃料の不足に直面。しのびよる生存の危機に、どうする家族!?

2003年夏に北米で起きた大停電に着想を得たという本作品ですが、大停電といえば3・11(東日本大震災)での計画停電も記憶に新しいところ。当時は原発事故の影響で、店先から飲料水のペットボトルも姿を消しました。

作品でも、1本の水を得ようと高級腕時計を差し出すものの「そんなもので腹の足しになるか!」と断られるシーンが出てきます。たとえお金があっても、生きるために最低限必要な飲み水を手に入れることさえままならない。電気のない不自由さや都市生活のもろさなど、3・11の時に感じたことを本作品は思い出させてくれます。

生きるため。家族は自転車で西をめざす


試練やトラブルの連続。どうなる家族!? (c)2017フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

「田舎に行けば水や食べ物があるはずだ」。家族は妻の実家がある鹿児島をめざし、自転車にまたがって東京を後にします。ところが自転車は息子のクロスバイクを除けば、ママチャリに3輪車、昔懐かしい実用車というように、長距離走行には向いていない車種ばかり。まともな地図さえありません。

もうそれだけで道中の苦難は保証されたようなもの。しかも途中、スポーツサイクルでさっそうと走る避難者と出くわすことで、家族が乗る自転車のスペックの低さが鮮明に……。

それでも家族はペダルを漕ぎ続けるしかありません。そして都市生活では生気に乏しかった家族が、さまざまなトラブルや試練を経る中でみるみるカッコよくなっていくのが印象的です。眠っていた「生きる力」が体の内側からみなぎってきて、身なりは汚れているのに表情が凛々しくなっていく。サバイバル映画でありながら自転車ロードムービーとしても楽しめます。

「その時」に試される「自転車力」とは


日頃のメンテナンスが「その時」への備えになる (c)2017フジテレビジョン 東宝 電通 アルタミラピクチャーズ

さて3・11以降、非常時に強い移動手段としても見直されている自転車ですが、いざ「その時」に役立つ「自転車力」とは?

例えばパンクしても自分で直せることがそうですし、長距離でも疲れない乗り方やメンテナンスの方法を知っていることもその一つでしょう。サドルは地面に両足がベタッと付く高さでは疲れやすいので、爪先が着く高さまで引き上げるのもコツです。

何より、普段からタイヤにしっかり空気を入れておいたり(空気が少ないとパンクしやすい)、チェーンに小まめに油を差したり、ブレーキの利きを調整したりと、日常点検を怠らないことが、いざという時への一番の備えとなります。

『サバイバルファミリー』を観た後は、まず自分の自転車が快適に乗れるかどうかをチェックしてみてはいかが?

斉藤円華

WRITTEN BY斉藤円華

ジャーナリスト/ライター、サイクリスト。本格的なサイクリング歴は高校以来30年近くにわたる。スポーツ自転車の好みが1980年代で停止したままとなっており、とりわけクロモリのホリゾンタルフレーム、ランドナーほかドロヨケ付自転車には目がない。自転車フリマを物色するのがここ数年のマイブームに。

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