意外や意外!「100km走れるようになるテクニック」とは

あなたは出来てる?「100km走れるようになるために絶対必要なこと」とは

クロスバイクやロードバイクを購入して走るようになると、周りの人によく言われるのが100kmの壁。100km走ったことがある/ないが、「自転車乗り」と名乗っていい境目のように言われることもありますよね。

100kmって例えば世田谷から熱海まで。漫画・アニメでおなじみの『弱虫ペダル』で有名な江ノ島ーR1ー箱根ーR1最高地点ー芦ノ湖までが56kmくらいなので、往復を走れば100kmくらいってことになります。けっこうな距離です。

で、この距離、まったくの初心者がどうすれば走れるようになるんでしょうか。ちまたでよく言われているのは「まずは25km走れるように練習して、何回か走れたらそれの往復50km。50km何回か走ったら、集団ライドで100kmにトライ」ってことですが、これで本当に走れるようになるんでしょうか。

やはりこういうことはプロ中のプロに聞くしかない。ということで、恐れ多くも元アテネ五輪ロード日本代表、日本選手権2回優勝など輝かしい戦歴を持つ元プロ選手の田代恭崇さんに質問を投げかけてみました。田代さんは現在湘南で「リンケージサイクリング」というライドイベントや初心者向けのライディング講座を開催する会社の代表を務めています。

田代恭崇さん
田代恭崇さん

「距離が走れれば『自転車走れる』かっていうと、そうじゃないですよ。距離が伸びるのはその人の体力により個人差があるので、そこを基準にしないほうがいいと思います。例えば僕のところの講座では全くの初心者でも4回目の講座で平坦80kmを走りきりますよ」とニコニコ顔で答える田代さん。いや、それは田代さんがすっごくスパルタだからじゃないですか?選手時代の田代さんは鬼のようだったと、チームメイトだった別府史之選手が以前言ってました……。

「いえいえ(苦笑)。自転車で走れるようになるために大事な最初の1歩は『しっかり停まれるか』ってことなんです。100km走れても、ヒルクライムの大会などに出ている人でも、この基本が出来てない人って思っている以上に多いんですよ」

思ったところで停まれないから、車道が怖い

田代さんが言う“しっかり停まれる人”というのは、

  1. 状況によって右足でも左足でも自在に足をついて停まれる
  2. 急な状況でもバランスを崩さすに停車できる
  3. 両方のブレーキをしっかりかけて、目標物(停止線など)で停車できる

ということ。ううむ、クリート付けてる人は左右どちらかの足だけ外すのに慣れちゃって、もう片方の足は外せなかったりしますね……。

停車&スタート時の姿勢。踏み出し足のほうのペダルを上にして停車。
停車&スタート時の姿勢。踏み出し足のほうのペダルを上にして停車。
ブレーキをかけるときはバランスをとるため両方の足を並行に。これも出来てない人が多いとか。(C)リンケージサイクリング
ブレーキをかけるときはバランスをとるため両方の足を並行に。これも出来てない人が多いとか。(C)リンケージサイクリング

「僕のところの講座で、目標物を決めてそこでぴたっと停まる練習をしてもらうと、ほとんどの人ができません。これ車に置き換えて考えてみると、停まるべきところで停まれない車なんて危なくて走れないですよね」(田代さん)

初心者でも体力のある男性はあっと言う間に時速30km、40km出るようになる。スピードは出るのに思ったところで停まれないと、事故や怪我にも繋がりかねないのです。また、女性の場合は男性に比べて手が小さく握力がない人が多いため、ブレーキが遠くしっかり握れない人も。その場合、ブレーキレバーやステムを交換・調整することで、しっかりブレーキを握れるポジションに改善したほうがいい、と田代さん。

「100km走るためには、自分で自転車をコントロールできるようになっていることが一番大事なんですよ。思ったところで停まる、曲がる。曲がるのも左右どちらかが苦手な人が多いですよね。これも1−2時間、車のこない安全な場所でスラロームの練習をすれば、確実にうまくなります

さらに大事なのは、視界の広さ

走れるようになるために大事なのは停まれること。田代さんの意外な話はさらに続きます。
「一番大事なのは視界の広さです。路上で危険を察知できる視界の広さ、すごく大事。視界の広さのために自転車のセッティングを変えたほうがいい場合もあります」

ライダー目線の画角。このくらいの視界、確保できていますか?(C)リンケージサイクリング
ライダー目線の画角。このくらいの視界、確保できていますか?(C)リンケージサイクリング

「初心者は特に、ペダリングがキレイにできるポジション出しをするよりもっと大事なのは、視界を確保することなんじゃないかと僕は考えています。歩道から出てくるスクーター、車道に戻ろうとしている車、停車中の車の陰に隠れて見えない小学生など、道路を走っているときはありとあらゆる情報を瞬時に判断できるように、視界を広くとりましょう。無理な前傾姿勢で下を向いて走ってる人、多いんですよね」と田代さん。

自転車間の距離はこのくらいを保つ。自転車2ー3台分。(C)リンケージサイクリング
自転車間の距離はこのくらいを保つ。自転車2ー3台分。(C)リンケージサイクリング

まとめると

100km走れるようになるためにまずやるべきこととは、とっさのバイクコントロールができる=車道で緊張しない乗り方ができるようになること
そのためには

  1. 安全を確保して走るためのポジションの再確認。視界は広いか、ちゃんとブレーキを握れるか。
  2. 停まる練習をやってみる。車のこない安全な場所で目標物のところでぴたりと停まる。どのくらいの速度ならコントロールできるか、自分のスキルを確認。
  3. クリートなら、両足どちらを外しても止まれるように練習。日本の場合は特に左足がとっさに着けるようになること。
  4. 曲がる練習。車のこない安全な場所でスラロームをやってみる。


ってことですね、田代さん。ちなみに、リンケージサイクリングでは初心者向けのこういった講座も定期的に開催しているそうです。

「自転車、大好きなんです。せっかく始めた人には事故に遭わず楽しく長く乗り続けてもらいたい。そのために僕が教えられることをやっています」
鬼、って言ってすみませんでした!(本当にニコニコやさしいおにいさんです)

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WRITTEN BYヤマショウ

FRAME編集長 山祥ショウコ マガジンハウス『GINZA』を経て英国遊学から帰国後女性サイトの草分け「Cafeglobe.com」の立ち上げに参画。その後『Casa Brutus』『GQ Japan』「Variety Japan」など、雑誌やウェブのスタートアップ時の編集に携わる。自転車歴9年目。四国出身、湘南在住。

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