こんにちは、FRAME編集部です。2回に渡って議論してきた「自転車の免許制導入について」ですが、今回は、最初に議論を投げかけてくれた“日本で一番自転車乗りの権利を考える“事務局長・内海潤さんの最終回答エッセイを掲載いたします。
第一回:内海事務局長の問題提起「日本で一番自転車乗りの権利を考える
事務局長「自転車の免許制度導入に反対」>>
第二回:Twitterアンケートまとめ「自転車に免許は必要?みんなはこう考えている」>>

Facebook、Twitterともにたくさんのご意見をありがとうございました。では内海さんが再度皆さんの意見やコメントに目を通しての回答編エッセイです、どうぞ。

自転車の免許制パート2


コメントありがとうございました。

毎回多くのコメントをいただき感謝している。自転車問題は無関心が最大の敵なので、とにかく多くの方が関心を持っていただくことが大変重要なこと。国民全体で免許制に踏み切る前に出来ることはないのか、考える必要があると思っているが、いただいたコメントは概ね筆者の意図を汲んでくれたようだ。


アンケート結果を見る限り免許制肯定派がやや多いものの、あまりにひどい現状に対する危機感の現れだと思われる。制度というものは一旦始めたら簡単にやめるわけにはいかない。よくよく考えて、もうそれしか手がないと結論づけられてから導入するべきだ。そうしないと後になって拙速だったと後悔することになる。

自転車免許の必要性

自転車免許の必要性



人間社会には最低限のルールと秩序が必要だが、所詮は人間が決めて共有し守って行くものだから、分からない人には分かるように、守らない人には守らせるように努めなければならない。
とは言っても中世さながらに魔女狩りをするような時代でもない。周囲の人たちが気持ちよく過ごせるために、自分には何ができるか考えられる人が増えて欲しいと願っている。思いやりという言葉の意味を改めて考えたい。


現実的でない客観的に見て免許制が現実的でないことは理解していただけたと思うが、だからと言って現状の改善も諦めるという話ではない。将来的に免許制が唯一の解決策という判断になったならば現実的でない云々を言わずやるしかないが、ほとんど何も講じてない段階で踏み切るのは時期尚早だと言わざるを得ない。

自転車に対してストレスを溜めているプロドライバーたちにしてみれば、イライラも限界まで来ているとは思うが、だからと言って即免許制でもないだろう。


ご指摘があった通り原付バイクの筆記試験より簡単にしなければいけないのであれば、自転車安全利用五則を徹底させればいいレベルだし、わざわざ費用と時間をかけて試験をするまでもない。本質はルールを守って走る自転車利用者を増やすことであり、免許証の交付が必要条件ではないはずだ。目的と手段を混同してはいけない。
ママチャリについて

ママチャリについて


とにかくママチャリなんとかしろご指摘の通りだが、最も忙しくて会合にも出てこない人たちなので伝える場が限られているのがネックだ。必要なのは「自分事」だと捉えてもらうことだと思う。


電動アシスト自転車で歩道を暴走しても「私たち事故なんて関係ありません」と思っているから、どこまでもゴーイングマイウェイなのだろう。


ACがマナーアップCMでも流してくれないかしらと密かに期待してみたりするが、そんな淡い期待をするより現実的にできることを少しずつでも進めるしかない。


最も忙しいが最も損得に敏感な人たちでもあるので、インセンティブがあれば時間をやりくりして参加してもらえると思っている。現に親子連れで参加できる自転車教室がある地域では大勢のママさんが参加してくれている。
ママ友同士で気軽に参加できる仕組みを官民が協力して作り、できるところから始めてみてはどうだろうか。


小学生や中学生に対する教育が必要

子供の自転車教育

子供の自転車教育


道路交通法(以下、道交法と略)原理主義者にしてみれば、違反する人間は大人だろうが、子どもだろうが違反者は違反者である。絶対に許すまじとなる。ところが道交法はクルマの免許証を持っている人にとっては当然の知識でも、持っていない人にとっては知らないことも多い。


これまで歩道しか通ったことのない人が車道に出て三灯式信号機に従えと言われてもピンとこないだろう。一方、路面に自転車マークと矢印を描くことで子どもたちにも分かるルール教育ができると思うので、インフラの整備は今後もどんどん進めてもらいたい。


実は今年5月に施行された自転車活用推進法でも草案段階では義務教育過程でルールを教えるべきと書いてあったのだが、法案が役所内で朱入れされる過程で、ひとつのスポーツとして教えると丸められてしまった。


ここで文科省の悪口を書いても詮無いことだし、警察が絡む話なので遠慮したのかもしれない。流行りの言葉で言えば忖度(そんたく)だ。いずれにしても命に関わる話だし、将来にわたって自分の身を守る上で必要な知識なので子どもの内にしっかりと理解してもらいたいと願っている。


自転車安全教室も少しずつ様変わりしており、京都市などでは教育委員会からの依頼で自活研理事が各高校をまわり自転車の運転で何が危険かについて講演したりしているので、他地域でも理解が広がり徐々に変化していくと期待している。


取り締まりや指導を徹底してほしい

日本の交通事情

日本の自転車事情


これについては大賛成である。現時点で自転車に対する指導は無きに等しく何をやってもお咎めなしという共通認識が残念ながら確立してしまっている。無政府状態では自転車関連の事故が減らないのも当然で、そこに何らかの秩序をもたらさなければならない。

警察にその意志と能力がないと認めてしまうのであれば権限を自治体に移譲すればいいし、あるのであれば部内職員たちにも道交法を徹底教育して市民の模範となるべきだ。

先日、弁護士の先生方と飲む機会があり、そんな話をしたところ恐らく大人の事情があるのだろうと擁護されていたが、平成23年10月25日に良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進についてという通達が出ているのだから、とっとと行動を起こしてもらいたい。お上の顔色を見て行動を決める国民性だから警察が変われば一気に変わると思っている。

燃えるごみの袋だって、あっという間に白くなったし日本人は優秀だから必ずできる。先述の暴走ママチャリも見なくなるはずだ。


購入時や点検時に販売店でできること

自転車屋さんの取り組み

自転車屋さんの取り組み


これについては各現場でも工夫が始まっている。自転車業界最後の砦として納車時には必ず最低限のルールを伝えるとか、点検をしないと安全に走ることができなくなるから定期的に来店しチェックを受けるようアドバイスするなど売りっぱなしにしない体制づくりを進めている。


従来は専門店でも少ない人数で多く販売して来たので、いちいち説明している暇がなかった。現在は需要が一巡し各社とも顧客対応を重視して来ているので丁寧に説明するようになっている。


顧客側に一旦自転車がわたったら、次はいつ来店してくれるか分かったものでないから、納車時の販売店への期待は大きい。SNSなどで口コミが拡散する時代だから接客対応が良い販売店には顧客が集まる。
一昔前まではサイズの合わない自転車を無理やり勧める不届きな販売店も散見されたが、いずれは駆逐されるだろう。各社とも生き残りをかけて顧客を大切に扱ってもらいたい。


自転車のルールを守ってもらうためには

自転車の交通ルールを守るには

自転車の交通ルール


小学校などで独自の免許証を発行しているところもあるが、取得できた子は自信を持つし規範意識が高まると聞いている。示唆に富む話だし、教育効果もあって素晴らしいのだが、国家制度となると話は別で多額の税金が必要になる。


上に下手をすると利用者減の憂き目を見ることになる。まずは財源あるなしに関わらず本当に必要かどうかを議論すべきで、個人的には不要だと考えている。北風と表現した通り、確かに教育効果は高いが劇薬なので毒になることを心配しているのだ。


最初から全てが揃わなくてもいい。できるところから始めて徐々に仕組みを作り上げていく。クルマについては免許制度と反則金制度がマッチして機能している。自転車についてはどういう在り方がベストなのだろうか。ゆめゆめ目的と手段を混同しないようにしなくてはならない。

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