チェーンオイルの注し方と選び方「中級編」ロードバイク初心者でもよく分かる!

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【2021年6月更新】チェーンオイルにはドロドロ系・サラサラ系、もっとサラサラ系(!)まで種類があります。容器もスプレー/リキッドタイプでは使用法が異なります。

メンテナンスをする環境だって人それぞれ。一軒屋か集合住宅か、また水が使えるかどうか。

スポーツバイク専門店の店長があなたのメンテナンススタイルにピッタリのチェーンオイルを提案します。

なぜチェーンオイルをささないといけないの?

読者の皆さんこんにちは。スポーツバイク専門店店長の佐々木です。前回はチェーンオイルの必要性と使い方について解説しました。

チェーンオイルの役割は

  • サビや摩耗からチェーンを守ってくれる
  • 回転抵抗を減らしてスムーズで快適なライドを楽しめる

という点を理解していただけたと思います。

▶チェーンオイルの必要性・さし方・注油時の注意点はこちらでチェック

今回はチェーンオイルの種類と特徴、性能を引き出す使い方やおススメ商品についてまとめていきます。

チェーンオイルの種類

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チェーンオイルと言ってもたくさんの種類があります。ここでチェーンオイルにはどんなものがあるか見ていきましょう

粘度が違う!ドライタイプorウェットタイプ

チェーンオイルの粘度(ドロドロかサラサラか)によって、大きく二種類に分けられます。

ドライタイプ

ドライタイプとはその名の通り注油した後に乾いてくれるタイプ。粘度が低くサラサラ。表面にはテフロンなどの添加剤が残ります。

  • メリット:ウェットタイプに比べると抵抗が少ないものが多く、表面が乾燥しているので汚れにくく油がまわりに飛び散る事も少ない。
  • デメリット:ウェットタイプに比べると長持ちせず、また雨天走行するとすぐにオイルが切れてしまうものも。塗り足しを続けると蓄積された添加剤のせいで汚れが固まってしまう事もあるので注意が必要。

ウェットタイプ

ウェットタイプはこれもその名の通り、注油した後オイルが残りしっとりと濡れた状態を保つタイプです。粘度が高くドロドロ

  • メリット:耐久性があり雨や潮風に強い。
  • デメリット:汚れやすく、抵抗も大きくなる。

「雨の日は乗らないし屋内保管」「可能な限り汚したくない」という方はドライタイプを。

「雨の日も関係なくガンガン乗る」「距離を乗るので長持ちするオイルを」という方はウェットタイプが向いているでしょう。
ただ、ウェットタイプの中でもとても抵抗が少ないもの、晴天での使用を前提としたものもありますので、詳しくはそれぞれの商品の説明を良く読んで下さい。「セミウェット」「ハーフウェット」なんていう物もありますからね。

“サラサラ系かドロドロ系か、それが問題だ”


サラサラした軽めのオイルは抵抗が少なく、ドロドロした重めのオイルは耐久性の高さを狙っているものが多いです。前者は抵抗が少ないので回転も軽やかで、ヒルクライムレースなど淡々と回す場合に好まれます。いっぽう後者は油膜が効いていて「踏み心地が良い」と感じる方も。クリテリウムレースなどで「ガツンッ」と踏みたい場合におすすめです。
商品によっては混ぜて使うことも出来ますので、最初に『サラサラ系』そして上から『ドロドロ系』を塗るという方も。チェーンオイル、奥が深いですね……

ドライタイプよりサラサラ!?ワックスタイプ

ワックスタイプはドライタイプよりもさらに粘度が低くサラサラのチェーンオイル。潤滑性が高く、ロードレースやヒルクライムレースに出るガチ勢におすすめ。

  • メリット:ドライタイプ、ウェットタイプに比べチェーンが汚れにくい。
  • デメリット:水分で流れやすいため、こまめに注油する必要がある。

違いをまとめると・・・

ワックスタイプ ドライタイプ ワックスタイプ
ドロドロサラサラとてもサラサラ
汚れやすい汚れにくい非常に汚れにくい
雨でも落ちにくく耐久性〇耐久性△水分に弱く耐久性×

容器のタイプは2つ!スプレータイプorリキッドタイプ

スプレータイプ

スプレータイプは制汗剤や虫よけスプレーのような容器に入っていて、ボタンを押せば勢いよく「シューッ」とチェーンオイルが出てきます。

  • メリット:スプレーで一気に挿せるので簡単。
  • デメリット:飛び散りやすかったり、使いすぎてしまう事がある。同じ性能、同じ分量で比べるとリキッドタイプより割高。

リキッドタイプ

リキッドタイプはプラスチックボトルに入っていて形は大きな目薬のよう。

  • メリット:チェーンのコマやリンク部など狙ったところに適量挿せる。
  • デメリット:慣れるまでは少し面倒&時間がかかる

日々のメンテナンスにはスプレータイプ。レースやイベント、ロングライド前にはリキッドタイプなんていう使い分けをされている方もいらっしゃいます。

チェーンオイルの使い方

それでは実際にチェーンオイルのさし方をチェックしていきましょう。注油前に必要なお手入れもこのあと紹介するのであわせて確認してくださいね。

注油をする部分は「チェーンのコマ&プレートの間」

注油をする箇所はチェーンのコマ部分、そしてプレートの間です。

チェーンに注油

リキッドタイプなら、ひとコマずつ注油。スプレータイプは、当て布をしながら吹きかけます。
チェーンプレート表面は余分なオイルを拭き取る時に馴染む程度で大丈夫です。

ブレーキやタイヤにかからないように!
注油の際に特に気を付けて頂きたいのが、ブレーキへのオイル付着。オイルがブレーキ面などについてしまうと、ブレーキが効かなくなり大変危険です。
またタイヤ等に付着するとスリップの原因になる事もあります。注油の際は他の箇所に飛ばないように当て布をする等、注意して実施しましょう。

注油前に汚れを落とそう!レベル別の対処法4選

いきなり注油するのではなく、まずは大前提として、出来るだけチェーンの汚れを落としからオイルを挿してください。汚れが残ったまま注油してしまうとせっかくのチェーンオイルの性能が発揮されないのはもちろん、チェーン内部の砂や鉄粉がチェーンプレートを攻撃して摩耗を早めてしまいます。
理想は、完全に油分や汚れを取り除いてクリーン&ドライな状態にしてから注油すること。驚くほどペダリングが軽くなり、変速もスムーズに。高いパーツに交換するよりもよっぽど効果が高いとも言われてます。

また注油の際は良く振ってから。スプレータイプ、リキッドタイプ問わずしっかりと良く振ってから使わないと潤滑成分が乗らず、効果が出ないことがあります。(商品の説明書を良くお読みください)


メンテナンス環境は人によって異なります。一軒屋か集合住宅か、水が使えるかどうか、どれくらいメンテナンスに時間をかけられるかなど。
ここでは簡単に実践できるレベル1から、プロ仕様のレベル4まで分けて紹介します。レベルが低いものほど、頻繁に実施するイメージです。自分に合った方法を見つけてトライしてみてください。

レベル1:2in1タイプで簡単に

「大前提としてチェーンの汚れを落としてから注油してください」とお伝えしたばかりですが、「面倒くさい」「ワンステップで終わらせたい!」という方はまずはこの方法から試してみてください。

チェーンオイルの中には1ステップで洗浄と潤滑両方の性能を持った商品があります。チェーンにシューっと注油すると、古いオイルや汚れが浮いてきて、拭き取れば綺麗になってクリーニングと注油が1ステップで完了というもの。汚れの度合いによっては効果が得られない場合もあります。

デメリットとしては、チェーン内部に溜まった汚れが落ち切らないので、残った砂や鉄粉がチェーンの摩耗を早めてしまう可能性があります。また通常のチェーンオイルと比べると耐久性が無かったり、飛び散りやすい場合もあります。
この手法が使えるのはワンステップ仕様の商品のみ。2in1タイプでない、テフロンやパラフィンなどの添加剤が入っている商品ですと、オイルの塗り足しによって固まってしまい逆に抵抗が増えてしまう場合も。
要するに「洗浄・潤滑1ステップでいけますよ」という商品のみで通用するやり方です。

レベル2:パーツクリーナーで汚れを吹き飛ばす!

汚れ落としで、初心者の方でも実施しやすいのがパーツクリーナーでの洗浄。チェーンなど汚れている箇所に吹きかけて拭き取れば洗浄完了!というもの。レベル3、レベル4の洗浄効果に比べると効果は大きく落ちるものの、大まかな汚れはこれで落ちますので、その後チェーンオイルをさせばOK!
レベル3のディグリーザーでの洗浄は、汚れは良く落ちるのですが、その後ディグリーザー成分をしっかりと洗い流さなければいけない為手間がかかります。その点こちらはパーツクリーナーとチェーンオイルの2ステップで終了!
ちなみにパーツクリーナーは揮発性がありますので屋外で実施するか、しっかり換気をしながら実施してください。また塗装面やタイヤ、樹脂パーツを傷めてしまう場合がありますので、しっかりと当て布をしながら作業をするようにして下さい。
パーツクリーナーによって速乾性・遅乾性、またしっかりと乾燥するかどうか違いがあります。パーツクリーナー成分が残ったまま注油しても効果が得られませんので、しっかりと確認して購入、使用するようにしましょう。
画像のVipro’s チェーン&パーツクリーナー CPC 840ml はじっくり浸透する遅乾性にもかかわらずしっかりと乾燥してくれるのでおススメです。

レベル3:ディグリーザーでしっかり洗浄

パーツクリーナーもディグリーザーも汚れを落とすためのアイテム。違いは「乾きやすさ」です。パーツクリーナーに比べディグリーザーは乾きにくくチェーン内部に留まって汚れを溶かしてくれるので、しっかりと洗浄したい方におススメ。スプレータイプか液体タイプか選べるものもあります。
注意点は、塗布したディグリーザーがチェーン表面、内部に残っているとその後せっかくチェーンオイルを挿しても定着しません。

専用の洗剤で洗浄するのがベストですが、水洗いやしっかり濡らしたウェスで拭き取るなどしっかりとディグリーザーを落として下さい。
またその後の注油では、水気もしっかりと飛ばしてから注油して下さい(水置換性のオイル以外)。

レベル4:プロレベルの状態に!チェーンクリーニングマシンを使おう

AZ チェーンクリーニングマシーン

是非トライして頂きたいのが、チェーンマシンでの洗浄。
専用のキットにディグリーザーを入れてクランクを回すと、ディグリーザーとブラシの効果で奥に溜まった汚れもすみずみまで掻き出してくれるというもの!
ディグリーザーでしっかり汚れを落としたら、その後チェーンマシンに水を入れて回せばしっかり「すすぎ」も出来てしまいます。これで水けを切って注油したら完璧!

ちなみに使用するディグリーザーは何でも良いわけではなく、使用する物によってはチェーンマシンの回転や水との反応で乳化して固まってしまう事もあります。商品説明を良く読むか、「チェーンマシンで使えるディグリーザー」と指定してお買い求めください。

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汚れたチェーンも

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しっかりとキレイになります。

最後に

前回の初級編に比べ、情報量を増やしてお届けした中級編、いかがでしたでしょうか?
メンテナンスはまだまだ奥が深くお伝えしきれていない物もありますが、参考になれば幸いです。
ちなみに今回お伝えしたチェーンオイルの使い方等は製品によって大きく異なる場合もありますので、実際に使用される製品の取扱説明書をよく読んでから実施してください。もし不安なところがあればショップで聞けば教えてくれるはずです!)


 

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WRITTEN BY佐々木亮

佐々木 亮(ささき りょう) Cycle Days代表 1984年生まれ。愛知県名古屋市出身 19歳でスポーツ自転車に関わる仕事に出会い、29歳の時に海外修行旅へ。主にアフリカのナミビア共和国にてバイクチャリティや青少年サイクリングチームの運営に携わり、帰国後2016年4月、半地下の駐車場を改装したガレージスペースにCycle Days をオープン。

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