東大生ローディー成長記 第3話「え!?補給ってご飯いっぱい食べればいいんじゃないんですか!?」
date : 2017.09.15 update : 2017.10.24

こんにちは、東京大学農学部4年の大島拓司です。最近はツール・ド・おきなわにむけて、平日は毎日ローラーを回し、週末は100km以上のロングライドに出かけるという生活をしています。

100km以上のロングライドに出かけるなら、途中の補給は必須。ジェルとかエナジーバーで補給してもいいですが、どうせならご当地名物とか食べたいですよね。

とはいえ、好き放題食べてしまうといろいろ良くないことが起きるみたいです。

そこで、今回はエネルギー補給について調べて、理論的な補給を実践すべく実際に160km走ってきました。

そもそも補給って必要なの?

65kgの私が平均時速25km/hで160kmを走る場合、カロリー消費量はどれくらいになると思いますか?

答えは、なんと約4,500kcal。

そして、基礎代謝が1,500kcalとすると、総カロリー消費量は約6,000kcal。160kmのロングライドをする日は、1日でこれくらいは摂取しないと体が動かなくなります。

大変!!とりあえずめっちゃ食べないと!!!

というわけでカロリー高そうなものをいっぱい買ってきました。これで補給はばっちり。

こ、これ全部食べていいんですか!?(元デブ)

こ、これ全部食べていいんですか!?(元デブ)

効率的な補給とは

自律神経と消化力

??「ちょっと待った!!」

「そ、その声は!!」

引用元:<a href="https://jitensha-hoken.jp/blog/2017/08/university-of-tokyo-roddy-growth-story-02/" target="_blank">第2話</a>(新しいの撮るのがめんどくさかった)

引用元:第2話(新しいの撮るのがめんどくさかった)


銅像「運動中は交感神経が有意になっていて、消化力が弱い。だから、消化しづらい脂質、蛋白質が少なく、消化しやすい糖質が多く含まれているものを摂取するべきだ!」

「ど、銅像さん!今回は出てこないのかと思った!」

銅像「インタビュー形式の方が難しいこと書きやすいんだよね」

「さっきの話、詳しく教えて下さい!」

銅像「君は自律神経というものを知っているかい?自律神経というのは呼吸器や消化器などの自分が意識して動かしていない部分のはたらきを調節する神経だ。自律神経は交感神経と副交感神経の2つのバランスで成り立っている。

交感神経は活動していたり緊張しているときに活発になる神経で、胃腸の活動を抑える。逆に副交感神経はリラックスしているときに活発になる神経で、胃腸の活動を促進するんだ」

「なるほど、大勢の人の前で話す直前とかに食欲がなくなって、終わってホッとしたらおなかがすいたりするのは、自律神経が大きく関わっていそうだね」

銅像「その通りだ。そして、運動中は交感神経が有意になっているから消化力が弱い。なので、脂質や蛋白質のような消化に時間のかかるものを摂取してもすぐにエネルギーにならないんだ。出来るだけ糖質メインのものを摂取するのが良いとされているよ。」

「だから補給用のジェルとかスポーツようかんとかはほぼ糖質なんですね」

インスリン

「でも、レースじゃなくてロングライドのときの補給なら休憩して食べるわけだし、そんなに気にしなくても良さそうですね。」

銅像「気にすべきことはまだあるよ。運動をする直前に大量の糖質を摂取するのは避けた方がいいんだ。食事をして血糖値が上がったとき、膵臓からインスリンというホルモンが分泌される。インスリンは血糖が筋肉内などに取り込まれて血糖値が下がるよう促すほか、血中の遊離脂肪酸を減少させるはたらきがある」

「ふむふむ、それの何が問題なんです?」

何が問題なんです?

何が問題なんです?


銅像「少しではなく大量に糖質を摂取すると、インスリンが過剰に分泌されて血糖値が下がりすぎてしまうインスリンショックが起きる。そうなると、運動能力や判断能力の低下を招く。また、遊離脂肪酸の量が減少すると、3つのエネルギー生成回路の1つである有酸素系によるエネルギー生成がしづらくなってしまうんだ。こうなると、運動を長時間続けられないし、脂肪燃焼効率も悪くなる。レースにもダイエットにも悪影響なんだ」

GI値

「でも、運動前に糖質を大量に摂取してはいけないとなると、ロングライド中の食事どうすればいいんだろう…」

銅像「なにも糖質が全てダメと言っているわけではない。むしろ、糖質は大事なエネルギー源なのだから摂取した方が良い。そこで出てくるのが低GI食品だ。GIとは『グリセミック指数』の略で、食品ごとの血糖値の上がりやすさを示している。低GI食品なら血糖値が急激に上がらず、インスリンの分泌が抑えられるというわけだ」

「低GI食品すごい!低GI食品にはどういうものがあるんですか?」

銅像「玄米、そば、果物なんかが低GIだね。ちなみに、高GIの食品でもよくかんで食べたり野菜から先に食べたりすれば血糖値の上昇はある程度抑えられるよ」

炭水化物含有量の多い主な食品のGI値一覧

炭水化物含有量の多い主な食品のGI値一覧


「勉強になるなぁ」

銅像「話をまとめよう。レース中などで運動しながら補給する場合は、糖質中心で消化しやすいものを摂取するとよい。レース前やロングライド中に休憩して補給する場合は、GI値が低く血糖値が上がりにくいものを摂取するとよい。

じゃあ、ここからは実践編だ。低GIを心がけつつロングライドに行ってみよう」

「はい!」

改心しました

改心しました

ロングライドに行ってきた

というわけで、愛車のAllez Elite(名前はブラックリベリオン号にしました)とともにロングライドへ。

平日はローラーという鎖に繋がれているブラックリベリオン号

平日はローラーという鎖に繋がれているブラックリベリオン号


今回のルートはこんな感じ。

自宅~境川サイクリングロード~江ノ島~三浦半島~横須賀~横浜~自宅。距離は160kmとそこそこあるが、起伏がなくて走りやすそう。

補給その1(スタート前)

7時起床。本日最初の食事は自分で作った親子丼。肉は鳥むねなので脂肪が少なくて消化に良く、米は玄米なので低GI。見た目が悪いことを除けば完璧な朝食。

見た目が悪いのでモザイク処理を施しています。

見た目が悪いのでモザイク処理を施しています。

補給その2(35km地点)

まずは境川サイクリングロードを下って江の島へ向かう。途中で補給のため、飯田牧場に立ち寄った。飯田牧場は日本一小さな牧場で、補給のためここに立ち寄るローディーは多いらしい。

美味しそうに撮るのって難しいですね

美味しそうに撮るのって難しいですね


私が頼んだのは、ミルクと巨峰のダブルのソフトクリーム。ミルクは超濃厚で、さすが牧場。巨峰は期間限定の味。甘ったるくなくほどよい酸味でさっぱりしてこれまた美味。

ソフトクリームのGI値は60~70くらいだから血糖値は大丈夫そう。だけど、脂質多めな点はちょっと気になる。とりあえずめちゃ美味しかったので元気になった。

補給その3(45km地点)

そのまま南下して江ノ島に到着。とびっちょ問屋本店にてしらす丼を頂く。

釜揚げしらすネギトロ丼

釜揚げしらすネギトロ丼


しらすが肉厚でふわっふわしていて美味い。何もかけなくても醤油をかけてもわさびを付けても美味い。さすが人気店。

とても美味しかったが白米は高GIの代表格。血糖値がガンガン上がってインスリンがドバドバ出ている気がする…。海辺のベンチで寝転がって休憩してから出発。

江ノ島の空と海とブラックリベリオン号

江ノ島の空と海とブラックリベリオン号

補給その4(60km地点)

江ノ島から三浦半島へ向かう途中で、プリンはとても美味しいと評判のマーロウ秋谷本店に立ち寄った。

まずこのお店、海沿いにあるため眺めが最高。この日はちょっと暑かったが、テラス席に座る。

テラスからの眺め

テラスからの眺め


そして出てきたプリンが濃厚でウメェ!ミカンジュースも疲れた体に染み渡る!プリンはGI値どのくらいなんだろう?まぁいいか。

プリンとミカンジュース~後ろに伝票を添えて~

プリンとミカンジュース~後ろに伝票を添えて~

補給その5(105km地点)

そこから三浦半島をぐるっと回って横須賀へ。三浦半島の先端は思ったよりレトロな雰囲気でした。

三浦海岸と釣り人とブラックリベリオン号

三浦海岸と釣り人とブラックリベリオン号

そして横須賀ではウッドアイランドというお店で海軍カレーを頂く。45km補給なしだったのでお腹はペコペコ。

海軍カレー。ほっこり。

海軍カレー。ほっこり。

アットホームな雰囲気のお店で、出てきたカレーも少し甘めの家庭の味。紙パックの牛乳もついてきてなんだかすごく落ち着く。

補給その6(125km地点)~帰宅

そこから20kmほど北上して横浜へ。そして、家系ラーメン発祥の店、吉村家にピットイン。

元祖家系ラーメン。神々しい…。

元祖家系ラーメン。神々しい…。

麺中盛りの固め濃いめ油少な目をオーダー。味は意外とあっさりしていて上品!毎日食べたい!途中ニンニクチップやこしょうなども加えつつ完食。ごっそさん。

その後35km走って帰宅しました。いやーうまいものいっぱい食って幸せだなぁ。

~そして帰宅後、記事執筆中~

ん…?

ん…?


あれ…これ結局…

あれ…これ結局…


全然理論に基づけてないやんけーーーーーーー!!

全然理論に基づけてないやんけーーーーーーー!!


いやぁでも楽しかった…。ロードバイクと楽しい思い出作るのも、ツール・ド・おきなわを完走するのに必要…なはず…。

参考文献

  • (独)国立健康・栄養研究所『改訂版 身体活動のメッツ(METs)表』
  • (http://www.nibiohn.go.jp/eiken/programs/2011mets.pdf 2017/9/13アクセス)
  • 山本順一郎編(2014)『運動生理学 第三版』,化学同人
  • 中野昭一,竹宮隆編(1996)『運動とエネルギーの科学』,杏林書院

自転車提供:スペシャライズド・ジャパン


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Written by 大島拓司

リレー式トライアスロンにスイム担当として出場した時に、「ロードバイクカッケェ!!」と思ってしまったのをきっかけにロードバイクに乗り始め、ツール・ド・おきなわを目指す。他にはドラムと麻雀が好き。一応東大生。