レースプレビュー 2018ツアー・ダウンアンダー | リッチー・ポートの2連覇が濃厚!?

1月16日よりオーストラリアの南オーストラリア州アデレード周辺で、6日間のステージレース「ツアー・ダウンアンダー」が開幕する。このシーズン始めのビッグレースを制するのは誰だろうか? 大胆に占ってみたい。

シーズン開幕戦として定着

ツアー・ダウンアンダーは第1回大会が1999年という若い大会であるが、2008年にワールドツアーに指定されると、新しい年に入って最初のビッグレースということもあり、すっかりその年の開幕戦という位置づけとなった。北半球とは季節が逆の南半球なので、1月は温暖で調整レースとしても最適。近年ではオーストラリアだけでなく、ヨーロッパのビッグネームたちもこぞって参加するようになってきた。

これまでの国別の総合優勝回数を見てみると、オーストラリアが11勝と圧倒的な成績を収めている。これは「地の利」ということだけでなく、近年オーストラリアの選手がヨーロッパでも非常に強い存在になってきたことの現れであり、じつにあっぱれな結果であるということができるだろう。

今年もサガンなどのビッグネームたちが集う


▲世界チャンピオンのピーテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は、ステージ優勝争いでも総合優勝争いでも上位に入ってくるだろう

今年はディフェンディングチャンピオンのリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)を始めとして、世界チャンピオンのピーテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)、2008年の覇者アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・スーダル)、強豪スプリンターのケイレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)、2017ツールで非凡な総合力を見せつけたジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)、同じくステージレースに強いロベルト・へーシング(オランダ、ロットNLユンボ)など例年にもまして豪華なメンバーが揃っている。

新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)の活躍にも期待 (C)BAHRAIN MERIDA
▲新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)の活躍にも期待 (C)BAHRAIN MERIDA

また、新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)と別府史之(日本、トレック・セガフレード)の参加も決まっており、日本のファンにとっても彼らの走りが見られるという楽しみがある。展開次第では、彼らのプロツアー初ステージ優勝も期待できるから、ファンは目が離せない。

別府史之(日本、トレック・セガフレード)の円熟の走りにも期待したい (C)TREK SEGAFREDO
▲別府史之(日本、トレック・セガフレード)の円熟の走りにも期待したい (C)TREK SEGAFREDO

優勝候補筆頭はリッチー・ポート

優勝候補筆頭のリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) (C)BMC RACING TEAM
▲優勝候補筆頭のリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング) (C)BMC RACING TEAM

さて、今年のレースの予想であるが、やはりディフェンディングチャンピオンのリッチー・ポートが一歩抜きん出ているように思える。というのも、直前に行われたオーストラリア選手権でもまずまずの仕上がり具合を見せていたし、何よりも脇を固めるアシスト陣が鉄壁だからだ。なかでも、2006、2012、2014、2016年と過去4度もこのレースを制しているサイモン・ゲランス(オーストラリア、BMCレーシング)の存在が心強い。

そして、3年連続でオーストラリアTTチャンピオンに輝いたローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)もいる。デニスも2015年に総合優勝を経験しており、このレースの勝ち方を熟知しているのだ。ポートに何かあった場合には、ゲランスもデニスも交代でエースとして走れるだけの実力を持っているといえるだろう。

総合の対抗馬としては、前出のロベルト・へーシングのほか、2013年に総合優勝しているトムイェルテ・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ)、2011年に総合優勝しているキャメロン・マイヤー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)らが挙げられる。また、ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン)、ヨン・イサギーレ(スペイン、バーレーン・メリダ)、ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)あたりも、展開がはまれば面白い存在になるだろう。

ステージ優勝争いも見逃せない

平坦ステージのスプリント争いでは、ケイレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が優勝争いに食い込んでくるはずだ (C)MITCHELTON SCOTT
▲平坦ステージのスプリント争いでは、ケイレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が優勝争いに食い込んでくるはずだ (C)MITCHELTON SCOTT

総合には絡まないものの、ステージ優勝を狙ってくるゴールハンターたちの活躍も楽しみだ。平坦ステージでは、前出のアンドレ・グライペル、ケイレブ・ユアンのほか、エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)やサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が優勝争いに食い込んでくるはずだ。

逃げを得意とする選手では、前出のルイ・コスタのほか、チームメイトのディエゴ・ウリッシ(イタリア、UAEチームエミレーツ)、ジャック・バウアー(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット)、オーストラリアチャンピオンのアレクサンダー・エドモンソン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)らの活躍が期待できる。また、ピーテル・サガンは、ステージ優勝でも総合争いでも上位に入ってくるだろう。

Top photo(C)BORA HANSGROHE

Y’s Road オンライン アウトレットコーナー

あわせて読みたい!

アバター画像

WRITTEN BY仲沢 隆

仲沢 隆 自転車ジャーナリスト。早稲田大学大学院で、ヨーロッパの自転車文化史を研究。著書に『ロードバイク進化論』『超一流選手の愛用品』、訳書に『カンパニョーロ −自転車競技の歴史を“変速”した革新のパーツたち−』がある。

他の記事も読む

pagetop