初心者サイクリストのための読書ガイド・厳選10冊

楽しみながら自転車の「知らなかった」「困った」「どうしよう」を解決

楽しみながら自転車の「知らなかった」「困った」「どうしよう」を解決
ようやく寒かった冬も終わりに近づき、気持ち良く自転車に乗れるシーズンがやってきました。自転車に乗り始めたばかりの人には乗り方やメンテナンスの方法を教えてくれる人がいるといいのですが、なかなか見つからないかも知れません。

そんなときには、本を読んで少しずつ知識を増やしていかがでしょう。本で覚えたことが実際にできるようになったりすると、自転車がもっと楽しくなること確実です。

今回は、あまり苦労せずに読めて、自転車に関する知識が増やせる10冊をご紹介します。

読むだけで自転車に詳しくなりたい

松本規之「南鎌倉高校女子自転車部」

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自転車に乗れなかった女子高生が自転車の楽しさに気づき、ロードレースに出たり、長距離ライドに出かけたりする成長物語。特に冒頭のエピソードでは、ロード、クロス、小径車などの特長がていねいに説明されていて参考になります。女子高生の目線で自転車を見たり、語ったりしているので、雑誌などとは少し違った視点にちょっと感心します。

また、走りながらいろいろなことを発見したり、知らなかった楽しさを見つけながらだんだん自転車にハマって行く過程を見て、うん、そうそうと、ニンマリできます。

自転車が細かく書き込まれているのもこの漫画の良いところで、絵を見ながら「ほほぉ」と感心しながら、だんだんストーリーに引き込まれていきます。

渡辺航「弱虫ペダル」

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アキバにママチャリで通っていたオタク主人公がふとしたことから自転車競技の世界に入り込み、レースを通して競ったり、協力したり、勝ったり負けたりを経験しながら強くなっていくというスポーツ漫画。「スラムダンク」に共通した高校スポーツの中の人のドラマにワクワクします。

ロードレースは、かけひきや作戦が大事で脚力だけでは決して勝てない奥深いスポーツです。有利な位置を取り合ったり、相手のペースを乱したりして、最後に残った力をすべて使って先にゴールを通過すれば勝ち。平昌冬季オリンピックで高木菜選手が金メダルを取った女子マススタートは、まさにロードレースそっくりだと思って観ていました。

サイクリングの基本を知りたい

中村博司「大人のサイクリングビギナーズ―自転車ライフを楽しむ! (ヤエスメディアムック 291) 」

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これから自転車生活を始める人に向けて、サイクリング歴45年の著者が自転車の歴史から始まり、自転車と装備の選び方、乗車フォーム、初心者のありがちなミスなど、かゆいところに手が届くノウハウが満載です。まずは、こういった本で自転車ってどんなものか、何を選べばいいのか、どう乗ればいいのか、メンテナンス方法などをひととおり眺めておいてから、興味のある分野をさらに詳しく調べてみてはどうでしょうか。

無理なく走れるようになりたい

堂城 賢「自転車の教科書」

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自転車に乗るときはどういう姿勢がいいのか?骨盤を立てる、いや寝かせるんだ。背中を丸める、いやまっすぐにするんだ。いろいろな議論があり、いろいろな乗り方が提案されてきました。でも、乗る人それぞれの身体が違い、乗り方も違うわけですから、全員が同じ乗り方とはいきません。うーん、どうしたらいいんだろうとみんなが考えていたときに、この本は「おじぎ乗り」という乗り方を提案して、自転車に無理なく、自然に力を伝える方法を教えてくれました。

2013年に発行された当時は大変話題になり、続編の「自転車の教科書―身体の使い方編―」が2年後に発行され、さらに詳しく説明されています。

それまではレースに出る選手の乗り方を真似るような乗り方がもてはやされていましたが、この本のおかげで無理なく、自分の力を使う乗り方が見つけられるようになったので、どう乗ればいいのかな?と考えている方におすすめします。

痛みやケガなく健康的に走りたい

ドロンジョーヌ恩田、蔵元理恵子「自転車女医のサイクリニック」

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自転車シーズンが来た!自転車も買った!さて、走りに行くぞー、と意気込んで出かけてみたものの途中であちこち痛くなったり、肩がこったりして、帰り道がやけに遠く感じた。そんなことはありませんか?

私も最初のロードバイクを買い、喜び勇んでお店から走って、ほんの数kmで腰が痛くなり、「ロードバイクって乗りづらいものなんだな」と思いました。不慣れだったことはもちろんですが、正しいフォームだったり、痛くならないためのコツを知らなかったので、こういうものかと思って乗り続けていました。

しかし、この本を読んで目からウロコ。な~んだ、痛くならないコツがあるんですね。もう早く教えてくださいよ。自転車で出る痛み(肩こり、腰痛、ヒジ、ヒザ、マタなど)やケガの対処方法がイラストを使って説明されています。イラストが無駄にセクシーなのはご愛嬌ですが、中身は整形外科医の女医さんがしっかりまとめていますよ。

自転車でダイエットしたい

高千穂遥「自転車で痩せた人」

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50歳で高コレステロール、高血圧、体脂肪率24%の著者がロードバイクに乗り始め、多摩川サイクリングロードを毎日走り、2年で20kgの減量、体脂肪率10%の改善を果たすました。

ただ、体重を減らすために走っているのではなく、すっかりロードバイクにはまり、峠も上るし、ロングライドにも出かけるようになりました。著者は書いています。「自転車はすごい。自転車はいい。自転車は楽しい。いまわたしは、胸を張ってそう断言する。」

ダイエット本ではなく、初心者が自転車にのめり込んでいく中でいろいろなお宝を見つけるストーリーとして読むと、おもしろく読めます。

事故なく安全に走りたい

疋田智「自転車の安全鉄則 (朝日新書)」

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道路交通法では、軽車両となっています。歩行者ではなく、車両の仲間なので、原則として車道を走り、信号や交通標識を自動車などと同様に守る。そう決められています。しかし、現実は必ずしもそうなってはいません。車道を走ればクルマからは邪魔もの扱いされ、歩道を走れば歩行者から冷たい目で見られる。このままでいいのか。

この本は、その答えを「道路を上手にシェアする」ことに求めています。道路は自転車でもクルマのものでもなく、走るみんなで共有して使うものだと。そのために自転車もクルマもきちんとルールを守り、お互いに気持ちよく走れるように気づかいしようという提言は、自転車レーンなどが未発達の日本の道路では常に頭の片隅に入れておく必要があるのではないでしょうか。

ちなみに、後ろからクルマに「プップー」と鳴らされたときに、うるさいぞ!(怒)と反応する人が多いかと思いますが、私は「応援ありがとう」と思うことで心の平安を保っています。

自分でメンテナンスしたい

スタジオタッククリエイティブ刊「はじめてのロードバイク ベーシックメンテナンス編」

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身体の痛みとメンテナンスは、自転車に乗り始めた人にとって手ごわい問題にです。「下手にいじっておかしくしたらどうしよう」と思うと、なかなか手が出しにくい。近くに親切な自転車屋さんがあって、気軽に相談に乗ってくれたり、メンテナンスのやり方を教えてくれればいいのですが、うまく見つからないときに頼りになるのがメンテナンス本。

さまざまな本が出ていますが、この本は写真をうまく使って説明し、細かい点も飛ばさずに説明しています。たとえばリアのディレイラーの調整では、回すネジが3箇所ありますがそれぞれどちらに回すとどうなるという説明がされています。例えば、ロー側調整では「ネジを右に回すとプーリーが右に動く」と書かれています。これが「ネジを回してプーリーを動かす」とだけ説明されても、どっちに回せばいいの?となってしまいます。

発行は2008年で少し古いですが、基本的なやり方は変わりませんので、おそるおそるだけどメンテナンスしてみようかなという方におすすめです。

そこまで、詳しくなくてもいいという方には丹羽隆志「新版 自転車トラブル解決ブック」もおすすめです。

楽しいコースを探したい

自転車人編集部「自転車散歩シリーズ」

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乗り方、メンテナンスなどをだんだん覚えてくると、自転車で遠出したり、絶景を見に行きたくなりますね。そんなときに頼りになるのが、このシリーズ。東京、神奈川、東海、大阪・神戸、京都・奈良とほぼ全国をカバーしています。

コース設定にバラエティがあるのが特徴で、短いコース、長いコース、平坦コース、峠越えコースが取り上げられているので、お好みのコースが探せます。「東京周辺自転車散歩」を開いてみると、まずは20km以下の都心めぐりコースから始まり、20~40kmの下町コース、郊外コースと続き、奥多摩、風張峠、和田峠と峠好きのサイクリストの定番コースが載っています。神奈川編、埼玉・千葉編と合わせて読めば、選ぶのに迷うほどのコースが網羅されています。

自転車で旅に出る

瀬戸圭祐「自転車ツーリングビギナーズ―時速20kmの旅を楽しむノウハウ満載 (ヤエスメディアムック 227) 」

「自転車ツーリングビギナーズ―時速20kmの旅を楽しむノウハウ満載」をAmazonで見る

「時速20㎞の旅を楽しむノウハウ満載」というサブタイトルどおり、ゆったりしたペースで長い距離を走るノウハウが満載です。ツーリングだけではなく、自転車で走るための多くのノウハウが写真や図を豊富に使ってわかりやすく説明されています。「自転車で旅行する」というと、ハードルが高く感じますが、この本は自転車旅行に必要な知識とノウハウを豊富に提供しています。巻頭でしまなみ海道、とびしま海道の旅が詳しく説明されて、出かけたくなります。2009年の発行なので少し古い情報もありますが、基本は変わっていませんので、ツーリングに出る前に目を通しておくときっと役に立つでしょう。

迷った時・モチベーションが下がった時の「良き師」にもなる

スポーツバイクに乗り始めた時はわからないことだらけ・迷うことだらけかもしれません。あるいは雨が続いたり寒かったり忙しかったりで、自転車に乗ることからやむなく遠ざかってしまうこともあるでしょう。

そんなときにこれらの本から得た感動や知識が、あなたの「サイクリスト心」をじんわりあたためてくれるのだと思います。

Y’s Road オンライン アウトレットコーナー

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WRITTEN BYモモンガ

築地市場に水揚げされ、テニスやバスケットに夢中になっていたが、自転車に目覚めたのが40代の後半。それ以来、東京、長野を拠点に走る。ヒルクライムにはまって乗鞍などを上っていたが、今は、楽しく、安全なロングライドが大好物。

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