「自転車競技」というと、みなさんは何を思い浮かべますか?インターハイ?ロードレース? 実は漫画「弱虫ペダル」や「ツール・ド・フランス」などで知られるロードレースは、「自転車競技」のごく一部。使用する自転車も、MTB、ケイリンに代表されるトラック競技用のバイク、シクロクロスバイクまで実に多様です。
東京オリンピックを控えた今、自転車競技の種類や見どころ、レースの参加方法まで徹底解説します!

自転車競技の歴史


自転車競技の歴史
自転車競技は、自転車を使用して人と自転車が一組として進行する競技です。

自転車が発明されたのは18世紀末ごろと言われています。発明当時はペダルを回すのではなく、地面を蹴って進む道具でした。

1892年には最古のロードレースとして「リエージュ-バストーニュ-リエージュ」が開催されています。その後、1893年に最初の世界選手権自転車競技大会が開催され、1896年に第1回のオリンピック大会でロードレースとトラックレースが正式種目として開催されています。


競技の種類


自転車競技の国際統括団体である「国際自転車競技連合(UCI)」が管理する世界選手権種目では主に8種目あります。

またUCIの管轄ではありませんが、競技の一部に自転車を使う「トライアスロン」も有名です。

ロードレース



一般公道や隔離された周回道路を使って行われる走力を競う競技で、最初にゴールした人が勝者となります。

1903年から始まった有名な「ツール・ド・フランス」や日本では「ツアー・オブ・ジャパン」などがあります。

NTN presents 2018 Tour of Japan – Stage8 TOKYO #toj2018

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一般公道でのレースなので、標高の高い山岳コースや、田園地帯、海岸線など、さまざまなコースを走ります。コースの美しい風景や、レースの駆け引き、ゴール前スプリントなど多彩な見どころがあります。

トラックレース


トラックレース
自転車競技場や競輪場で行われる競技で、板張りで1周250mの内側に傾斜のある専用コースで走力を競います。トラック用のバイクはブレーキと変速ギアがなく、固定ギアで常にペダルを踏み続けます



短距離のスプリント、ケイリン、タイムトライアルから、中・長距離レースのパーシュート、スクラッチ、ポイント・レース、オムニアム、マディソンまで多くの種目があります。

個人/団体の種目ともに、スピード追求と戦術的な駆け引きは見ごたえ満載。チーム戦のゴール前で勝負を仕掛ける駆け引きも見どころの一つです。

マウンテンバイク


マウンテンバイク
マウンテンバイクを用いて行う競技で、オフロードで行われるクロスカントリーや、ダウンヒル、フォークロスなどが主な競技です。起伏のある山岳コースを走るので、パワーやバイクコントロールなどのテクニックも必要になります。

マウンテンバイク
マウンテンバイク

MTBで坂道と階段を駆け下りるダウンヒル大会の様子を知りたいなら、こちらの記事をどうぞ。
→「広島県尾道市で再び MTBダウンヒルレース Red Bull Holy Ride 2017開催

シクロクロス


シクロクロス
激しい坂や林間、砂場など車両通行を想定していない変化に富んだコースで走力を競います。自転車を担いで走るような厳しい箇所もコース上には含まれています。

男子1時間、女子40分という競技時間の目安があるため、一般の人も参加しやすく人気があります。レースは主に冬に開催されます。

2月に開催されるシクロクロス東京

▲2月に開催されるシクロクロス東京は砂浜のセクションが名物。レインボーブリッジをバックに開催される。



シクロクロスについてもっと知りたいならこちらをどうぞ!
→「2018年はシクロクロスに挑戦しよう!初心者向け完全ガイド

BMX


BMX

バイシクルモトクロス(通称、BMX)と呼ばれる小型の専用自転車で、オフロードやスケートパークなどで開催される競技です。自転車でモトクロスを真似たのが発祥と言われており、速さを競う「レース」とジャンプやトリックなどの技を競う「フリースタイル」があります。

BMX

BMXについての解説記事はこちらから!
→「BMXとはどんな競技?日本の注目選手とその魅力を徹底解説

トライアル



スピードや競技を競わず、岩場や倒木、斜面などの乗車走行困難なコースを制限時間内に通過する競技です。自転車を静止させたり、ジャンプをしたりと、繊細なバイクコントロール技術やバランス能力に魅せられます。

バイクはBMXに似ていますが、サドルのない、ギアの小さいバイクを使用します。

室内自転車競技(インドア)



19世紀後期の自転車を楽しむ人による曲乗りなどが発祥とされている競技で、「サイクルサッカー」と「サイクルフィギュア」があります。
サイクルサッカーは、2名1チームのサッカーのようなボールゲームで、自転車に乗ってブレーします。また、サイクルフィギュアは、規定の6分間で、演技の美しさや難易度を競います。どちらも特殊な自転車を使用します。


パラサイクリング


UCIの規定の規則のもとに行われる障害者による自転車競技です。

障害の種類と使用する自転車(通常二輪自転車、タンデム自転車、三輪自転車、ハンドバイク)によって4つのクラスに分けられます。更に障害の度合いによっても分けられ、計13クラスに分類されます。

「ロードレース」と「トラックレース」があります。


トライアスロン


トライアスロン
1974年にアメリカで誕生した比較的新しい競技で、水泳(スイム)、自転車(バイク)、ランニング(ラン)の3つを連続して行うレースです。

トライアスロンには、距離の短い「スーパースプリント」(スイム0.4km、バイク10km、ラン2.5km)から「アイアンマン・ディスタンス」(スイム3.8km、バイク180km、ラン42.195km)のような長距離のものまであり、距離やドラフティングなどのルールはレースによって異なります。

オリンピックや世界選手権などでは、スイム1.5km、バイク40km、ラン10kmの「スタンダード・ディスタンス」(オリンピック・ディスタンス)で行われています。


トライアスロンに使用するバイクはUCI管轄外なので制限がなく、タイムトライアルバイクに補給食や修理機材を積めるようにしたバイクが主に使用されています。

競技の関係上、水陸両方のコースが必要になるので、海や湖と山など景色の良い場所が会場になることが多いです。また、スイムからバイク、バイクからランに切り替わる「トランジション」は順位が変わる可能性があるポイントで、見どころの一つになっています。

その他


他にも、屋外のフラットダートや屋内に設置したショートトラックを周回する「サイクルスピードウェイ」や、自転車に乗りながら、当たっても怪我をしない軟質素材のチャンバラ刀をもった選手同士が互いの背面をヒットし合う「バイクチャンバラ」などの対戦競技もあります。

自転車競技に参加してみたいとき


競技の種類にもよりますが、初心者がいきなり競技に参加はハードルが高いです。
もしロードレースやトラックレースに参加してみたい場合、手近な方法はレースに参加しているチームに入るか、初心者向けのイベントに参加してみるか。それぞれの競技にはルールや決まり事などがあるため、最初は体験から入ってみるのがおすすめです。

初めてのレース参戦を考えているならこちらの記事は必見!エンデューロやクリテリウムなど、レースの種類についても解説しています。
→「初めてレースに参加するなら!タイプ別おすすめのロードバイクレースを紹介

集団走行のルールを知る


レースなど集団で走行する場合のルール
例えばクリテリウムやエンデューロなどのレースでは、空気抵抗を軽減し、脚力温存のために集団で走行します。

少人数でバラバラに走っているときは路面状況も事前に把握でき、好きなように走ることができますが、自分の前に集団で何人か走っているような状態だと、直前まで路面状況が見えません。

前方を走っている人は、段差や穴などタイヤを取られるような危険箇所がある場合は声を出して周囲のライダーに知らせなければなりません。また、周囲に人が密集しているために自分の好きな走行ラインで走れないなど、単独走行の時と同じようには走ることができません。

4つの注意ポイント


集団走行時には主に以下のことに注意しましょう

  1. 急なブレーキは避ける
  2. 急な動きをしない
  3. 走行ラインを守る、斜行しない
  4. 路面上の危険箇所やトラブルなど、何かあれば「声を出して」周囲に知らせる

集団走行ともなれば、自分の4方向すべてを選手に囲まれて走ります。しかも普段の走行ではあり得ないくらい接近されます。
そんな状態でフラフラと走行すると接触の恐れもあり、落車を招きかねません。
集団内では不用意に進路変更やフラついた走りはしない、それがルールであり常識です。

また集団内での位置取りを変えるときや、後ろから追い抜きたいときは、「右から行きまーす」といった感じで声掛けをするのがエチケット。
ハンドサインや声を出すことで周りのライダーへの情報伝達をするのも事故防止のための知識です。


他にもドラフティングや先頭交代など、レベルが上がるほどスキルも必要になります。集団の中ではルールを守らないと落車の原因となり、非常に危険です。

監修メカニックからのワンポイントアドバイス
自分よりレベルの上の人(たち)とのライドを経験するのも良いことです。自分の知らなかったことを教わる絶好のチャンス!先輩ライダーは生きた教科書ですから。
最初は何事も緊張するものですが、まずは気負わず楽しく参加することだと思います。鼻息荒くしないで「とりあえず楽しく経験してみようかな」くらいの気持ちの余裕が欲しいところです。

ショップの練習会や初心者向けのレースで経験を積もう


ほとんどのレースは、年代やスキルによってカテゴリー別に分けられているので、初心者向けのレースやチームの走行会などで練習がてら経験を積むとよいでしょう。サイクルショップでもショップのチームで練習会などを行っているところもあります。

女性用レースも男性用レースと同時に開催されています。ただし、男性に比べると絶対的に人数が少ないこともあり、レベル別にされずに女性全員で1つのカテゴリーにされてしまうことがほとんどです。

レース初心者向けに「ピュアビギナー」「女子ビギナー」のカテゴリーがある「大磯クリテリウム」

▲レース初心者向けに「ピュアビギナー」「女子ビギナー」のカテゴリーがある「大磯クリテリウム」


写真出典:ウォークライド

女性参加者はレディース割引もある「しもふさクリテ」

▲女性参加者はレディース割引もある「しもふさクリテ」


画像出典:Challenge Leageu ’18

トラック自転車未経験者から経験者まで、女性限定のトラック自転車体験合宿「ガールズサマーキャンプ2018」

▲トラック自転車未経験者から経験者まで、女性限定のトラック自転車体験合宿「ガールズサマーキャンプ2018」


出典:Girl’s Summer Camp 2018

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レース観戦の楽しみ方


自転車レースは参加するだけでなく、見ても楽しいものです。日本で観戦できる大きなレースでは「Tour of Japan」や、「ジャパンカップ」、「ツール・ド・フランス さいたまクリテリウム」などがあります。いずれも公道で走る選手たちの姿を間近に見ることができます。

また、会場には参加チームや各種メーカーのブースなどもあります。普段会えない憧れのゲスト選手のサイン会が開かれたりして、レース観戦以外にもお楽しみがあります。

アジア最大のレースのひとつ「ジャパンカップ」。オープンレース男子のスタート直前

▲アジア最大のレースのひとつ「ジャパンカップ」。オープンレース男子のスタート直前


路面にはファンから応援メッセージ

▲路面にはファンから応援メッセージ


レース前には、コース周辺の観客にノベルティや応援グッズが巻かれたりするのも楽しい

▲レース前には、コース周辺の観客にノベルティや応援グッズが巻かれたりするのも楽しい



周回コースの観戦がおすすめ


レース観戦はTVやライブ動画の方がいいんじゃない?と思うかもしれませんが、周回コースなら、コース上を回ってくる選手たちの姿を何度も見ることができます。

レースでの観戦ポイントは、コーナーや登りの頂上、ゴール前などがおすすめです。

ジャパンカップクリテリウム。迫力あるコーナリングが見られる

▲ジャパンカップクリテリウム。迫力あるコーナリングが見られる

ジャパンカップ。古賀志林道の山岳賞(KOM)ポイント手前

▲ジャパンカップ。古賀志林道の山岳賞(KOM)ポイント手前


秩父宮杯埼玉県自転車道路競走大会。最終周回ゴール前の様子

▲秩父宮杯埼玉県自転車道路競走大会。最終周回ゴール前の様子



「弱虫ペダル」のインターハイって本当にある?




漫画「弱虫ペダル」に出てくるインターハイ(正式名称「全国高等学校総合体育大会自転車競技大会」)って、実際に見れるのかな?……そう思ったことがある人も多いのでは。

漫画では長距離のロードレースが3日間にわたって開催されますが、実際のインターハイでは最初の3日間でトラックレース、残りの1日でロードレースを行い、学校対抗はトラックとロードの成績の合計で競われます

2018年のロードレースは、日本サイクルスポーツセンターの5kmサーキットで行われ、男子は14周の70km、女子は8周の40kmを走ります。

漫画「弱虫ペダル」は非常におもしろいのですが、内容は渡辺航先生の創作なのですね。

2020年東京オリンピック/パラリンピックはどうなる?


出典:TOKYO 2020

出典:TOKYO 2020


2020年に東京で開催されることが決まったオリンピックとパラリンピック。オリンピックの開催日程は2020年7月24日~8月9日、パラリンピックは2020年8月25日~9月6日になります。

自転車競技は、第1回のアテネ大会からの正式種目になっています。2020年の東京オリンピック大会では、トラック競技でマディソン、BMX競技でフリースタイルが追加されました。

トライアスロンは、2000年のシドニー大会から正式種目になりました。2020年の東京大会では、男女による混合リレーが新しく追加されています。

2020年オリンピック/パラリンピックの自転車競技の種目


2020年の東京オリンピックでは、以下の種目が男女それぞれ開催されます。

  • BMX:フリースタイル、レーシング
  • マウンテンバイク:クロスカントリー
  • ロード:ロードレース、個人タイムトライアル
  • トラック:チームスプリント、スプリント、ケイリン、チームパシュート、オムニアム、マディソン
  • トライアスロン:個人、団体リレー(男女混合)

また、パラリンピックでは以下のトラック競技とロード競技、トライアスロン競技があります。種目毎に更に細かくカテゴリーが分かれています。

  • トラック:タイムトライアル、チームスプリント、パシュート
  • ロード:ロードレース、タイムトライアル、チームリレー
  • トライアスロン:2017年以降の新たな6クラス制の内、男女各4クラスを実施予定

開催予定場所


ロードレース以外の各競技の開催予定場所は、種目によって東京都と静岡県の2か所に分かれます。

  • BMX:東京都有明「有明BMXコース」。BMXレーシングやフリースタイル以外にもスケートボードなども実施されます。


有明BMXコース
〒135-0063 東京都江東区有明1丁目7

  • マウンテンバイク:全日本選手権大会なども開かれる修善寺「伊豆マウンテンバイクコース」で開催されます。全長2,500m、高低差85mのオフロードコースは、初級者から上級者までが利用できるように、エリアやルートが分かれています。


サイクルスポーツセンターMTBコース
〒410-2402 静岡県伊豆市大野

  • ロード:ロードレースのコースは、スタートは調布市の「武蔵の森総合スポーツプラザ」、ゴールは個人TT会場と同じ「富士スピードウェイ」となっています。


富士スピードウェイ
〒410-1307 静岡県 駿東郡小山町 中日向694

  • トラック競技:静岡県伊豆市の「伊豆ベロドローム」で開催されます。


伊豆ベロドローム
〒410-2402 静岡県伊豆市大野 大野1826

  • トライアスロン:東京都の「お台場海浜公園」で開催されます。


お台場海浜公園
〒135-0091 東京都港区台場1丁目4

東京2020大会まで、あと約2年となりました。オリンピックを目指している選手を応援するとともに、誰が選ばれるのか今から楽しみです。

おわりに


公道を使って200km前後を走るロードレースやトラックコースを走るトラックレース、オフロードを走るマウンテンバイクやBMXなど、自転車競技は多種多様です。使われる自転車も、普段見慣れない特殊な自転車もあり、奥が深いことを伺わせます。こんな競技もあるということを知って自転車の新たな魅力発見になればうれしいです。

監修:サイクルアシスト オオバ 大場忠徳