緩い坂は“もも裏”を使って効率的に上る!~自転車の処方箋 #04~

2015年 群馬グリフィン時代の筆者(撮影:河西正史 )
2015年 群馬グリフィン時代の筆者(撮影:河西正史 )

「自転車の処方箋」は、サイクリストの悩みに元プロロードレーサーが、スパっと回答する連載企画です。神奈川県のユウさんから「長い上りに苦手意識がある」という悩みに前編・中編とお答えいただきました。後編の今回は、実際のヒルクライムコースを例に、コースに応じたフォームとその選択方法について回答していただきます。それでは管さん、今回もよろしくお願いします!

プロサイクリングチームAVENTURA CYCLINGの運営代表/プレイングディレクター 管洋介さん

コースに合わせたフォームで走る

前回はルートラボなどの地図上でコースの形状と勾配の特徴つかむ、というところまでお話ししました。赤城山のコースは大きく分けて3つの大きな特徴があります。今回は緩い坂のスタート地点の走り方についてです。
どの坂にもいえることですが、特徴に対応したフォームで上ることが大切になります。

緩い坂が多い「スタート~旧料金所」は、もも裏の筋肉を使って踏み込む

距離:8.9km、標高差:411m、平均勾配約:4.6%(ほぼ直登)。
序盤の緩い上りはバイクが惰性で走ってくれるで、それを生かしやや前傾の深いフォームをとり、ハムストリングス(ももの裏側の筋肉)中心で踏んでいきます。

腰を引き気味に80回転前後で回すフォームで

腰を引き気味に80回転前後で回すフォームで
後半の平均7%強の勾配に向けて、ここは脚を温存する区間です。これはペースを落とす(強度を落とす)という意味ではなく、まだ惰性が利く緩い登りではハムストリングを中心にじっくりテンポよく踏んでいこうという目標です。

ハムストリング主導で走るポイントは、腰回りの屈曲をやや深めにして(平地と同じ程度に)硬いサイクリングシューズのソール全体をペダルと捉えて、足の指を開いて足裏全体で踏み込むことです。そしてカカトで円を描きながらペダリングを行うとスムーズなペダリングにつながりロスが少ない80回転前後のペダリングをすることができます。

次のポイントはブラケットを小指と薬指で握り、ヒジを「くの字」に。胸を上げると腹筋に力が入りやすくなり、しっかりとハムストリングで踏んでいけるでしょう。

さらに走りのリズムを高めていくには、片足ずつ踏み込む瞬間に腹筋(主に腹直筋)に力を入れてあげると上体のピッチもリズミカルに腰への負担も減るでしょう。

意識したいのは以下の4点

  • A.使いたい筋肉はハムストリング!腰はやや深めに座ろう
  • B.靴のソールをペダルと捉えてカカトで円を描く
  • C.ヒジを「くの字」に胸を上げて!
  • D.片足ずつ踏み込むタイミングで腹筋に力を加えよう

次回は激坂区間の走り方のアドバイスをします。お楽しみに!

●バックナンバー
怖さを克服! うまい「下り」のための3つの基本フォーム ~自転車の処方箋 #01~
ヒルクライムの走り方。“いい感じ”で上るためのペーシングを知ろう!前編 ~自転車の処方箋 #02~
ヒルクライムの走り方。 “いい感じ”で上るためのペーシングを知ろう!中編 ~自転車の処方箋 #03~

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WRITTEN BY管洋介

1980年生 A型 日本スポーツ協会公認コーチ 競技歴22年のベテラン。国内外で50ステージレース以上経験し、スペインで5シーズン BRICO IBERIA 、VIVEROS [現 CONTROL PACK]と契約、国内ではアクアタマを設立、インタープロ、マトリックス、群馬グリフィンを経て、国内の有望な若手選手とファーストエイドなど安全啓蒙を指南できるメンバーを集めたAVENTURA CYCLINGを2017年に設立、走りながら監督を務める。プロカメラマンでもあり、自転車雑誌の製作に長く関わっている。現在はプロライディングアドバイザーとして初心者向けのライディングレッスンなどを多く手がける。

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