フルームを倒すのはバルデだ!2018ツール・ド・フランス大予想

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いよいよ7月7日からツール・ド・フランスが始まる。今年のツールで、最も優勝に近い選手は誰なのか? 大胆に予想してみたいと思う。

優勝候補筆頭は、クリス・フルーム。一連の騒動の影響は、、

まず、誰もが優勝候補筆頭に挙げているのが、2013、2015、2016、2017年のツールの覇者クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)だ。昨年のブエルタ・ア・エスパーニャで起きたサルブタモール問題が長引き、直前でツールを主催するA.S.O.(アモリー・スポール・オルガニザシオン)から出場を拒否されたフルームだったが、翌日にはUCI(国際自転車競技連合)から潔白が言い渡され、なんとか出場にこぎつけることができた。

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今年も優勝候補筆頭は、クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)だ。今年はオーシャン・レスキューのスペシャルジャージを着る (C)TEAM SKY

5月のジロ・デ・イタリアで奇跡とも言える逆転優勝を果たし、万全の体制で調整してきたフルームだったが、この一連の騒動でかなりメンタル面を傷つけられたことは想像に難くない。これが吉と出るか凶と出るかは、正直なところレースが始まってみないと本人ですらわからないのではないだろうか。

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チームスカイのツール出場メンバー。クリテリウム・デュ・ドフィネを制したゲラント・トーマスら、強力なアシスト陣がフルームをサポートする (C)TEAM SKY

フランス国民期待のバルデ

フルーム最大のライバルとしてまず名前を挙げておきたいのは、昨年総合3位、おととしはフルームに次ぐ総合2位だったロマン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアル)だ。何しろ、フランス人によるツール優勝は1985年のベルナール・イノー以来途絶えているのであるから、フランス国民が彼にかける期待はものすごく大きい。いや、フランス人だけではない。自転車レースファンの多くが「そろそろフランス人選手に勝ってもらわないと」と思っているはず。ツールだけでなく、ドフィネやボルタ・ア・カタルーニャ、パリ〜ニース、ツール・ド・ロマンディなどで1桁の成績は数多く残しているのだが、バルデに不足しているのは「優勝」の2文字。このツールで一皮むけることを期待したい。

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フランス期待の星、ロマン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアル)。1985年のベルナール・イノー以来途絶えているフランス人選手の優勝だが、この男が今年はやってくれるか? クリテリウム・デュ・ドフィネを総合3位で終え、仕上がりも順調だ (C) AG2R LA MONDIALE

折り紙付きの強さ リッチー・ポート

さて、バルデに次ぐ対抗馬であるが、やはりリッチー・ポートだろう。4月のツール・ド・ロマンディで総合3位、そして6月のツール・ド・スイスでは総合優勝と、順調に調整を続けてきており、その強さは折り紙付きだ。いわゆる「バッドデー」さえ克服できれば、そして昨年のような落車事故さえ気をつければ、総合優勝の可能性はじゅうぶんにある。事実フルームは、ことあるたびに最大のライバルとして、ポートの名を挙げている。かつてのチームメイトだけに、そのパフォーマンスの高さを知りつくしているのだろう。

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ツール・ド・スイスで総合優勝したリッチー・ポート(オーストラリア、BMCレーシング)。フルームも最大のライバルとしてポートの名前を挙げている。左は総合2位だったヤコブ・フールサン(デンマーク、アスタナ)、左は総合3位だったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)。やはり、優勝候補として名前を挙げておかなければいけない選手たちである (C)BMC RACING TEAM

ウラン、キンタナのコロンビア勢

昨年、総合2位となったリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)も手強いが、コロンビア勢としてはナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)の名前を挙げておかなければいけないだろう。2014年にジロ・デ・イタリアを、2016年にはブエルタ・ア・エスパーニャを制したキンタナに足りないのは、ツール・ド・フランスの制覇のみだ。本人のモチベーションもかなり高い。これまで参加したツールでは2013年に2位、2015年にも2位、2016年は3位と抜群の安定感を示しており、ウランよりもむしろ怖いのはキンタナの方ではないかと思われる。チームメイトに百戦錬磨の強豪アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)がいるというのも心強いところだ。

昨年ジロ覇者のデュムラン

そして、トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)も万全の体制でツールに乗り込んでくる。デュムランは昨年ジロを制したことで、グランツールの勝ち方をキッチリと身につけた。1980年のヨープ・ズートメルク以来優勝から遠ざかっているオランダに、そろそろ勝利をもたらしたいという意気込みも強い。

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ジロ・デ・イタリアではフルームに惜敗して総合2位となったトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)だが、レースごとに力強さを増している感がある (C)TEAM SUNWEB

ツール優勝経験のあるニバリ

このところ影を潜めているヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、バーレーン・メリダ)だが、ツールにもジロにも勝ったことがある実力者であることを忘れてはならない。残念ながらチームメイトの新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)は今回のツールのメンバーに選ばれなかったが、ニバリの走りには注目したい。

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バーレーン・メリダのツール出場メンバー。エースはもちろんヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア)だ。それにしても、新城幸也がメンバーに選ばれなかったのは、つくづく残念だった (C)TEAM BAHRAIN MERIDA

ダークホースは現れるか?

サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)とヤコブ・フールサン(デンマーク、アスタナ)、プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ロットNLユンボ)の名前も挙げておかなければいけないだろう。1週間程度のステージレースでは抜群の強さを見せる3人だが、3週間も続くツールとなると、まだ未知数な部分が多い。しかし、見事に才能が開花すれば、「もしかして」ということがあるかもしれない。ダークホースとしてサイモン・イェーツとフールサン、ログリッチを挙げておきたい

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ツアー・オブ・スロベニアで総合優勝したマテイ・モホリッチ(スロベニア、ロットNLユンボ)。スキージャンプ出身の選手で、近年メキメキと力を付けている。左は総合2位のリゴベルト・ウラン(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)。やはり、ツールの優勝候補だ (C)LOTTO NL JUMBO

その他にも、ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)、ティボー・ピノ(フランス、FDJ)、ダニエル・マーティン(アイルランド、UAEチームエミレーツ)など、活躍しそうな選手を挙げればきりがない。果たして、今年のマイヨジョーヌは誰が獲得するのだろうか? しばらく眠れない夜が続きそうだ。

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ツールの象徴、ひまわり畑を行く集団。今年もしばらく、眠れない夜が続く (C)A.S.O.
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WRITTEN BY仲沢 隆

仲沢 隆 自転車ジャーナリスト。早稲田大学大学院で、ヨーロッパの自転車文化史を研究。著書に『ロードバイク進化論』『超一流選手の愛用品』、訳書に『カンパニョーロ −自転車競技の歴史を“変速”した革新のパーツたち−』がある。

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