ラクに上れる!シフトチェンジの基本テクニック~教えてハシケン先生#07

「もっとラクに走れるようになりたい」、「もっと速く走れるようになりたい」。スポーツバイクを楽しんでいる多くのサイクリストは、そんな思いを持っていることでしょう。これは、サイクルスポーツジャーナリストで、さらに国内トップクラスの強豪ヒルクライマーでもある “ハシケン先生”が、自転車がさらに楽しくなるように、乗り方のテクニックを紹介する連載企画です。

ケイデンス90回転を目安にする

今回は、カラダへの負担を減らしてコースの起伏の変化にもスムーズに対応するシフトチェンジのコツを紹介します。難しいことはありません。ポイントは3つです!

さて、「ケイデンス」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。1分間あたりにペダル(クランク)を回す回数数のことで、サイクリスト同士では「ケイデンス90回転を目安に」などと話したりしますね。

平地を気持ちよくスピードに乗せて走っている時にオススメのケイデンスは、90回転と言われています。もちろん、体力やスキルによって、5〜10回転ほどの差はあるものの、昔から多くの人にとって90回転がそれほど無理なく回し続けやすい回転数なのです。

そして、スピード域が低いヒルクライムでは80回転を目安に走りましょう。もちろん、勾配がキツすぎて軽いギヤが不足してしまうような状況では80回転以下になってしまうこともあります。

そもそもケイデンスが遅すぎると、力づくで踏み込みやすくなるため、筋肉にダメージをあたえやすくなります。逆に、ケイデンスが高すぎると必要以上に心拍数が高まってしまいいます。小まめなシフトチェンジを行なって、目安のケイデンスを一定に保つことがポイントです。

シフトチェンジはこまめに!

道のアップダウンや風向きに合わせて、こまめに変速しよう。
▲道のアップダウンや風向きに合わせて、こまめに変速しよう。

バイクで走っていると、平地や上り・下りなど地形の変化や風向きによって、カラダにかかる負荷は常に変化します。その負荷変化をなるべく少なくするために、シフトチェンジは行うものなのです。

まず心がけることは、脚にかかる負荷の変化を感じたら、無理に筋力で踏み込んだりせず、細かくシフトチェンジ(変速)を繰り返すことです。プロ選手など速い人ほど小まめに変速していて、ビギナーほどその回数が少ない傾向にあります。体力に劣るビギナーこそ、まずはシフトチェンジを積極的に行うクセをつけましょう。

リア側のギアを使いトルクを微調整する

歯数差の少ないリア側のギアを使い、トルク変化の少ないシフトチェンジを心がける。
▲歯数差の少ないリア側のギアを使い、トルク変化の少ないシフトチェンジを心がける。

次に、シフトチェンジのタイミングです。平地から上り坂に差しかかった途端に、慌ててガチャガチャと大きな音を立てて変速していませんか? 現在のロードバイクの多くは、フロント側に2枚、リア側に11枚のギヤがあり、その組み合わせでトルクを調整しています。当然、フロント側は歯数差が大きく、リア側は歯数差が小さいので、トルクの微調整はリア側で行うことが基本になります。

ポイントは、どのようなシーンでも、トルクの変化が少ないシフトチェンジを心がけることです。初心者にありがちなNGパターンが、平地ではフロント側をアウターギヤで回せていても、上り坂に差しかかってギヤが足りなくなり、焦ってフロントをインナー側へ変速してしまうことです。トルクの変化が大きくなり、身体への負荷が増えるだけでなく、チェーン落ちなどのトラブルも起きやすくなるので注意しましょう。

図を使って、具体的なシフトチェンジのタイミングを解説します。

シフトチェンジのタイミング

  1. 平地ではケイデンス90回転を目安にスピードを維持しよう。フロントはアウターギヤに入れ、リアで微調整しよう。
  2. ビギナーは、フロントがアフターギヤのまま坂道へ突入してしまう。坂道へ差し掛かる前にフロントをインナーギヤへ変えておく。
  3. 上り坂の途中では、リアのギヤを小まめに微調整してケイデンスを一定に保とう。ケイデンスは勾配によって変化するが、70~80回転を目安にしたい。
  4. 勾配が緩んで、スピードが乗せられるタイミングになってから、フロントをアウターへ入れよう。「早め」といっても無理に焦ってアフターへ変速する必要はない。

早めにシフトチェンジの準備をする

コースの先を見ながら、シフトチェンジの準備しておくと良い。
▲コースの先を見ながら、シフトチェンジの準備しておくと良い。

効率的でスムーズなシフトチェンジのためには、コースの少し先の状況を意識しながら少し早めにシフトチェンジの準備をしておくことが大切です。決して難しいことはありません。具体的には、上り坂が始まる前に、フロント側をアウターからインナーへ変えておくことです。このとき、ペダリングが軽すぎれば、リア側で微調整すれば良いのです。慣れないうちは、まずフロントをアウターギヤのままで坂道へ突入するクセをなくしましょう。

上り坂に入ってしまえば、あとはリア側でわずかな勾配の変化を感じ取りながら、トルクを微調整しましょう。このとき、ケイデンス80回転を目安にすると、カラダへの負担を抑えることができます。一番軽いギヤを使っても、上り坂で60回転を下回ってしまうような場合は、そもそも体力レベルや坂道の勾配に対して適正に回せるギヤが不足しています。ギヤの歯数を見直すことで効率的な走りができるようになるでしょう。

最後に今回のまとめです。まずは、勾配の変化、風向きの変化を敏感に感じ取って、細かくシフトチェンジをしましょう。ケイデンスの目安は平地で90回転、上り坂で80回転です。初心者はそれぞれ10回転ほど低めの方がキープしやすいです。そして、コースの先の状況を読み取って、余裕を持ったシフトチェンジを意識しましょう。この3点を実践するだけで、スマートで効率的な走りができるようになります。

●バックナンバー
上りのペダリングのコツは空き缶つぶし? ~教えて!ハシケン先生#01
“上りやすい”フォームで走ろう!~教えて!ハシケン先生#02
ペダリングはタイミングが重要~教えて!ハシケン先生#03
ダンシングは“踏まずに乗せる”がポイント! ~教えて!ハシケン先生#04
キツい坂道を楽に走るための呼吸法~教えて!ハシケン先生#05
“休めるダンシング”で急な上り坂も怖くない!~教えて!ハシケン先生#06

橋本 謙司

WRITTEN BY橋本 謙司

自転車を専門にするフリーランスのスポーツジャーナリスト。自転車専門誌の編集部時代から、ライディングスキルなどのノウハウ企画を数多く手がけ、プロ選手やコーチ、週末サイクリストなど幅広い層のサイクリストたちと交流を深めてきた。自身も強豪ヒルクライマーとして、国内外のヒルクライムやロードレースに積極的に参加。「ツールド八ヶ岳」のチャンピオンクラス優勝、国内最大のヒルクライムレース「Mt.富士ヒルクライム」の一般の部で総合優勝など、国内ヒルクライムレースで優勝・入賞多数。http://www.hashikenbase.com

他の記事も読む

関連記事