初心者ライダーがひとりで100㎞ライドに出かけて問題なく帰ってくるためのメンテナンス方法を紹介する連載企画。続けて読んでもらえれば、ライド前に必要な準備はもちろん、ライド中のトラブルに対応/回避するために必要なメンテナンスの知識が身につくと思います。無事に100㎞ライドを終えたころには脱・初心者です!

ケミカルを知る者はバイクメンテを制す


前回は自転車のメンテナンスによく使う一般工具(六角レンチ・ドライバー)の選び方と使い方をお届けしました。今回はオイルや洗浄剤などケミカル類の基礎知識を紹介します。前回同様、すぐに「ひとりで100km走る」チャレンジに使えるノウハウではないです。ですが、種類が多いケミカル類の使い分けは本格的なメンテナンスに欠かせない知識なので、ぜひお付き合いください。

自転車用のケミカルは、用途に応じて数多くの商品が販売されています。まずは洗車に使う「①洗浄剤」、そしてオイルやグリスなどの「②潤滑剤」。それにカーボンパーツの滑り止めのジェルやネジ止め剤などの「③特殊用途のケミカル類」、この3つに分類できます。前編では①洗浄剤と②潤滑剤のうちチェーンオイルを紹介します。この2つは最も使用頻度が高く消費量も多いです。各社から多くの製品が販売されていますので、自分の用途に合った製品の選び方を知っておきましょう。

洗車に必要なケミカル類


空気圧管理とチェーン洗浄は自転車メンテナンスの基本です。洗浄剤は連載の第3回で紹介したこの2つがあれば室内でもバイク全体を洗浄できます。

エバーズ 自転車丸洗いクリーナー(左)と、ワコーズ CHA-C チェーンクリーナー(右)

▲エバーズ 自転車丸洗いクリーナー(左)と、ワコーズ CHA-C チェーンクリーナー(右)


チェーンやスプロケット、チェーンリングなどの駆動系と前後ディレイラーは汚れやすいので、油汚れに対して強力な洗浄剤を使います。上の写真の組み合わせではワコーズ CHA-C チェーンクリーナーがそれに該当します。

屋外で水を使った洗車ができる環境では、同じくワコーズから出ているワコーズ パーツディグリーザー(PD)V461もおすすめです。成分はほぼ一緒ですが、スプレー式のチェーンクリーナーに対してディグリーザーは液体なので、パークツールのサイクロンのようなチェーンクリーニングのマシンに入れて使うこともできます。ワコーズの両製品や、他社から出ているものでも自転車用のディグリーザーならほとんどが水ですすげるので、外で水が使える環境なら経済的です。

室内でチェーンクリーナーをすすいだり、自転車全体の汗や泥、ホコリなどの軽い汚れを洗浄する場合は泡タイプのクリーナが使いやすいです。屋外で水を使った洗車ができるならば、台所や室内用の中性洗剤を使います。十分に泡立てて、柔らかいブラシやスポンジで優しく洗ってあげてしてください。

ライド中に泥などでバイクがひどく汚れたときは、ライドの後半に水場を見つけるか、携帯しているボトルの水を噴射して下洗いしておくと、輪行や帰宅後が楽になります。付着したばかりの汚れは落ちやすいですし、少し走れば水は乾きますからね。

洗車後のフレームなどはワックスやコーティング剤で仕上げてあげるとピカピカになります。ワコーズのバリアスコートフィニッシュラインのショールーム ポリッシュ&プロテクタントが定番です。ペドロスのバイクラストはマットカラーのフレームにも使えます。自動車用の各種コーティング剤やワックスも流用できますよ。ただし、モノによっては滑りやすくなるものもあるので、コーティング剤の特性を把握して、リムやブレーキパッドなどに付着しないように施工してくださいね。

あれ? スプレータイプのパーツクリーナーは紹介しないの? っていう方もいるかもしれません。パーツクリーナーは洗浄力こそ強力ですが、同時に樹脂やゴム、塗装面への攻撃性も強いです。パーツを分解して洗浄したり、うまく汚れた箇所だけに噴射できる人には良いですが、ビギナーにはあまりお勧めしません。

チェーンオイルの選び方


チェーンオイルは必需品ですから、皆さんお持ちですよね。家にあったからといってKURE5-56を使っちゃダメですよ。粘度が低すぎてスポーツバイクの潤滑には向きません。各メーカーからチェーンに適した商品が多数販売されており、粘度が高めのウェット系とドライ系に大別できます。

ウエット系は潤滑が滑らかで保ちも良いですが、汚れが付きやすいのがマイナスポイントです。ドライ系(ワックスタイプを含む)はチェーンが汚れにくいのがウリです。ですが、モノによっては、負荷のかかる場面での潤滑がイマイチだったり、雨に弱かったり、あるいは注油にコツが要るなど、タフなライドには向いていないかなと思います。街乗りで普段着を汚したくないような人には良いでしょう。

使用頻度が高く消費量も多いチェーンオイルはいくつか試してみよう

▲使用頻度が高く消費量も多いチェーンオイルはいくつか試してみよう


シマノ PTFE LUBEKURE 自転車専用チェーンルブドライはドライ系として販売されていますが、使用感はセミウェットに近く、雨でもすぐには落ちないのでおススメです。ただし、100kmも走ればそれなりに汚れてきますので、ウェット系に比べて洗浄サイクルが長くなるということはあまりないです。

ロングライド派にとっての本命は、セミウェットやウエット系のオイルです。KURE 自転車専用チェーンルブセミウェットワコーズ CHL チェーンルブが、軽い走行感と潤滑性能のバランスがとれた最近の定番品です。どちらも開発に日本人のプロ選手やメカニック、ロード乗りが関わっており、日本の道路環境と気候に合わせています。一度使ってみることをおすすめします。

雨もいといとわずガンガン乗りたい人や、「汚れは気にしない、とにかく潤滑しててくれ!」という人には、欧米のウエット系のオイルが良いでしょう。

あちらの人は悪天候をモノともせず長距離を走るケースが多いので、オイル切れしない潤滑の保ちがいいオイルが揃っています。MORGAN BLUE オイル レースオイルシマノ ウェットルーブなどが該当します。シマノはグローバル企業なので、ケミカル類の開発はオランダで行なっていると、P&A(パーツアンドアクセサリー)担当の方に聞きました。ショップによく置いてあるフィニッシュラインのオイルも、老舗だけあって性能は良いですよ。自転車用オイルの開発では一日の長があります。後発の日本メーカーが開発段階で各社のオイルをテストしたところ、フィニッシュラインのオイルが良い数値を示したと、開発に携わった方が感心していました。最近、スポーツ自転車用ケミカル開発に相当な力を入れている日本のAZのオイルもコスパが良いです。全部試したわけではないのですが、リンク先のオイルなど良い製品もありました。洗浄剤はまだちょっと使い勝手が悪いかな、という感想です。

いろいろ紹介してきましたが、自転車ライターの先輩と話していても、各社から良い製品が発売されており、どれも一長一短で、いまのところ、これぞ! という決定版はないという結論に至ります。レスポのチタンスプレーヴィプロスのケイテンといった高級オイルは高いだけあって確かに悪くないです。このあたりはどれだけケミカルにお金を使うか、です。

潤滑の良いオイルはどうしても汚れが付着しやすいです。結局のところ、チェーンの潤滑を良好な状態に保つには、オイル選びに悩むよりも、まめに洗浄してあげるのが一番という結論に落ち着きます。ケースバイケースですが、300kmの走行を目安に洗浄・注油をしてあげましょう。次回はチェーン以外の潤滑剤と、特殊用途のケミカル類を紹介していきます。

●バックナンバー
第1回/空気の入れ方
第2回/簡単なチェーン掃除法
第3回/水を使わずチェーンを洗う(準備編)
第4回/水を使わずチェーンを洗う(実践編)
第5回/出先でのパンク修理に必要な七つのギア
第6回/確実実にサッと行う出先でのパンク修理法
第7回/ねじ、ナメたことない? 正しい工具の選び方

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