ひざ痛を予防するフォームとセッティング~教えてハシケン先生#11

サイクルスポーツジャーナリストで、さらに国内トップクラスの強豪ヒルクライマーでもある “ハシケン先生”が、自転車がさらに楽しくなるように、乗り方のテクニックを紹介する連載企画です。「もっと速く、ラクに走れるようになりたい」。そんな思いを持っているサイクリストの皆さんが抱える悩みのひとつに、カラダの痛みがあります。今回はひざの痛みの対処法、防止法を紹介します。

1時間のライドで約5000回転以上。ひざは酷使される部位

腰の痛みと並んで、サイクリストが故障を経験しやすいカラダの部位がひざです。ひざを痛める原因には、走りすぎによる関節の酷使もありますが、主にペダリングのひざの軌道がスムーズでなく、わずかな歪みが負担を与えていることが原因です。

1分間あたり90回転近いペダリングをするわけですから、1時間で5400回転。ロングライドに出かければ、それは信じられない数になりますね。そのため、ペダリング時のわずかな違和感も、ひざを痛めてしまう決定的な原因になりうるのです。
また、一度痛めてしまうとクセになりやすいため、ひざはカラダの他の部位以上に、きちんとしたセッティングが必要だと言えます。痛める前にフィッティングに時間をかけて、ひざへのストレスがかからないペダリングを追求しましょう。

まずは、フォームを真横から見たときにスムーズにペダリングの円運動ができているかどうかを確認しましょう。適正なサドルの高さにセッティングできていることがポイントです。
続いて、正面から見たときに骨盤とひざと足首のラインがスムーズな軌道を描けているかどうか。ここは、単純に見た目だけでなく、人によって関節の角度にクセがある(O脚やX脚など)ため、本人の感覚を大切にしながら微調整することも大切です。

それでは、それぞれのセッティング方法を詳しく解説していきましょう。

スムーズなペダリングができるサドルの高さを見つける

初めに、サドルが適正な高さにあるかどうかのチェックから始めましょう。準備するものは固定ローラーです。固定ローラー台は、次のクリートの微調整の際にも使います。

12時の位置を通過するときに、ひざが通過できるスペースを確保する。
▲12時の位置を通過するときに、ひざが通過できるスペースを確保する。

6時を通過するときは、ひざが伸びきらないこと。
▲6時を通過するときは、ひざが伸びきらないこと。

ペダリング中のチェックポイントは2カ所。足がクランクが真上(上死点)の時とクランクが真下(下死点)の時の足の通過のスムーズさをチェックします。下肢の関節の柔軟性が不足していると、真上を通過する際に窮屈になりがちなので、サドルを高くセッティングして通過のスペースを確保したくなります。ところが、サドルが高すぎると下死点の通過時にひざが伸びきってしまいますよね。そうなるとペダリングに違和感を感じるはずです。下死点で脚が伸びきってしまいやすい場合は、上死点と下死点の通過がスムーズにできる位置までサドルを下げて対処します。サドルの高さ調整の着地点は、サドルの高さを適正範囲内に収めることです。数mm単位の微調整は、その後ある程度の期間をかけて熟成調整していくイメージです。

クリートの調整でひざの違和感をなくす

ひざに違和感がなくなるよう、クリートを調整する。
▲ひざに違和感がなくなるよう、クリートを調整する。

クランクの円運動がスムーズにできるサドルの高さにセッティングできたら、続いて、正面からペダリングをチェックしましょう。この時、ひざへの負担を減らすためには、シューズをペダルに固定するクリートのわずかな微調整が欠かせません。固定ローラーの上で、まずは軽いトルクでペダリングに集中しましょう。左右いずれかに違和感があれば、一旦バイクから降りてクリートの位置を調整します。クリートは必ずしもシューズに対して垂直に固定しなければいけないものではありません。微調整したら、再びローラーの上でチェック。この繰り返しでクリートのベストな位置を決めていきましょう。

自分に合ったクリートを選ぼう

クリートの微調整はもちろん、自分に適したタイプを使用する。
▲クリートの微調整はもちろん、自分に適したタイプを使用する。

またクリートには、シマノやLOOKといったブランドの他に、クリートの固定力の違いによってタイプが展開されており、がっちりと固定されるタイプから、やや動きに遊びがあるタイプがあります。初心者でスムーズなペダリングの位置を模索中なら、やや遊びがあるタイプのクリートを選ぶことをオススメします。実際に私も、以前に遊びがないクリートで乗り続けていたところ、ほんのわずかなひざの違和感から痛めてしまった経験があります。
遊びがないクリートは、ピタリとクリート位置が決まれば、無駄のない安定したペダリング軌道をサポートしてくれます。しかし確実に位置が決まるまでは、多少動きに逃がしがあるクリートから試してみましょう。こういったクリートのタイプの選び方も、痛めないための予防策なのです。

●バックナンバー「教えてハシケン先生」
第1回 上りのペダリングのコツは空き缶つぶし?
第2回 “上りやすい”フォームで走ろう!
第3回 ペダリングはタイミングが重要
第4回 ダンシングは“踏まずに乗せる”がポイント!
第5回 キツい坂道を楽に走るための呼吸法
第6回 “休めるダンシング”で急な上り坂も怖くない!
第7回 ラクに上れる!シフトチェンジの基本テクニック
第8回 腰が痛いと思ったら・・・1分ストレッチで筋肉をほぐす
第9回 首・肩のコリは30秒ストレッチで解消
第10回 お尻の痛みを解消する3つの方法

橋本 謙司

WRITTEN BY橋本 謙司

自転車を専門にするフリーランスのスポーツジャーナリスト。自転車専門誌の編集部時代から、ライディングスキルなどのノウハウ企画を数多く手がけ、プロ選手やコーチ、週末サイクリストなど幅広い層のサイクリストたちと交流を深めてきた。自身も強豪ヒルクライマーとして、国内外のヒルクライムやロードレースに積極的に参加。「ツールド八ヶ岳」のチャンピオンクラス優勝、国内最大のヒルクライムレース「Mt.富士ヒルクライム」の一般の部で総合優勝など、国内ヒルクライムレースで優勝・入賞多数。http://www.hashikenbase.com

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