いつもの階段で“ペダリング筋”を鍛える~教えてハシケン先生#14

サイクルスポーツジャーナリストで、さらに国内トップクラスの強豪ヒルクライマーでもある “ハシケン先生”が、自転車がさらに楽しくなるように、乗り方のテクニックを紹介する連載企画です。前々回から週末サイクリストにオススメな、自転車を使わなくても日常生活の中で簡単に鍛えられる“ながらエクササイズ”を紹介しています。今回も前回に続いて、正しいペダリングに欠かせない足の筋肉に着目します!

ながらエクササイズで効率的なペダリングが身につく

前回は、腸腰筋(ちょうようきん:太ももの付け根の筋肉)と大臀筋(だいでんきん:お尻の筋肉)を積極的に使えるようになることが、脱・初心者のペダリングの鍵になることを説明しました。そして、それぞれの筋肉を意識させるための“ながらエクササイズ”も紹介しました。
腸腰筋と大臀筋。この2つの“ペダリング筋”は、ライド時に意識することも大切ですが、自転車の上ではなかなか難しいです。今回も、日常生活の中で、これらの“ペダリング筋”を刺激して鍛えられるながらエクササイズを紹介していきます。

太ももの付け根から持ち上げて腸腰筋を鍛える

今回のながらエクササイズのシチュエーションは、自宅や駅の階段です。
ひとつ目は、太ももの引き上げを意識しながら腸腰筋を鍛えます。無意識に階段を上るだけでは膝まわりや太ももの一部だけを使う動きになります。そうならないように、付け根側からしっかりと引き上げていきます。

太ももの付け根の腸腰筋から、脚を持ち上げる意識で取り組もう。
▲太ももの付け根の腸腰筋から、脚を持ち上げる意識で取り組もう。

ポイントは、膝から下はリラックスさせて、脚全体をダイナミックに持ち上がるイメージを持つことです。この動きは、バイクの上で行っているペダリングと同じです。階段でのながらエクササイズをしながら、実際のペダリングをイメージしながら取り組むようにしましょう。ちなみに、この時、上体がブレないように体幹への意識を高めることも大切です。体幹については、前々回でお話をしています。

前傾姿勢で大臀筋の動きを意識する

2つ目のエクササイズも、同じく通勤途中などの駅の階段で実践できるもので、こちらは大臀筋を積極的に使えるようになります。
階段を上るときに、やや前傾姿勢で骨盤を前へ寝かせると、大臀筋の動きを意識しやすくなります。お尻の動き(筋肉の収縮)を感じながら、階段を上りましょう。骨盤の角度を変えるだけで、ペダリングで使われる筋肉の感覚が異なることを実感できるはずです。

骨盤を前傾させることで臀筋を使いやすくなる。
▲骨盤を前傾させることで臀筋を使いやすくなる。

階段を使ったながらドリルのイメージを持って、バイクの上で実践しよう。
▲階段を使ったながらドリルのイメージを持って、バイクの上で実践しよう。

このように、サドルの上では意識しにくい2つの”ペダリング筋“を、日頃の通勤途中の駅や職場の階段を使って積極的に刺激することがでます。日々のわずかな取り組みこそ、理想的なペダリングの習得ヘの近道なのです。

●バックナンバー「教えてハシケン先生」
第1回 上りのペダリングのコツは空き缶つぶし?
第2回 “上りやすい”フォームで走ろう!
第3回 ペダリングはタイミングが重要
第4回 ダンシングは“踏まずに乗せる”がポイント!
第5回 キツい坂道を楽に走るための呼吸法
第6回 “休めるダンシング”で急な上り坂も怖くない!
第7回 ラクに上れる!シフトチェンジの基本テクニック
第8回 腰が痛いと思ったら・・・1分ストレッチで筋肉をほぐす
第9回 首・肩のコリは30秒ストレッチで解消
第10回 お尻の痛みを解消する3つの方法
第11回 ひざ痛を予防するフォームとセッティング
第12回 努力いらずで楽に走れる“ながらエクササイズ”
第13回 座って寝て早くなる体幹トレーニング

Y’s Road オンライン アウトレットコーナー

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WRITTEN BY橋本 謙司

自転車を専門にするフリーランスのスポーツジャーナリスト。自転車専門誌の編集部時代から、ライディングスキルなどのノウハウ企画を数多く手がけ、プロ選手やコーチ、週末サイクリストなど幅広い層のサイクリストたちと交流を深めてきた。自身も強豪ヒルクライマーとして、国内外のヒルクライムやロードレースに積極的に参加。「ツールド八ヶ岳」のチャンピオンクラス優勝、国内最大のヒルクライムレース「Mt.富士ヒルクライム」の一般の部で総合優勝など、国内ヒルクライムレースで優勝・入賞多数。http://www.hashikenbase.com

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