押さえておきたいSRAMの新電動コンポ「Force eTap AXS」のポイント5つ

アメリカの自転車パーツメーカー「SRAM」が先日発表した新コンポーネント「FORCE eTap AXS」(以下、FORCE AXS)。SNSなどで話題になっていたので、その名を目にした人も多いのではないかと。

FORCE AXSは、SRAM電動コンポのセカンドグレード。要は、SRAM版ULTEGRA Di2ですね。トップグレードのRED eTap AXS(以下、RED AXS)と機能的には同等、パーツの素材やデザインを変えて価格を安くし、代わりに重くなっています。“安く”SRAMの電動コンポが使えるようになったということで話題になったわけです。

しかし、このFORCE AXS、実はかなり複雑な立ち位置の製品だったりします。価格を意識した製品ということで、ほかの電動コンポとの価格関係は特に見逃せないポイントでしょう。

そんなわけで、この記事ではFORCE AXSというコンポーネントの特徴を紹介するとともに、FORCE AXSが価格的にどんな位置付けの製品なのかを見ていきましょう。

機能的に優れた12速完全ワイヤレス電動コンポである

Image: SRAM
▲Image: SRAM

機能面の特徴はRED AXSとまったく同じです。主なものは以下になります。

  • 完全ワイヤレス電動コンポ
  • リア12段変速。ギア比が一新されており、従来のコンポ(要はShimanoやCampagnoloの製品を含む11速コンポ)よりも効率的に走れるようになっている
  • リアディレイラーにチェーンを暴れにくくするダンパーを標準搭載。グラベルロードなどでも使えるレベルのオフロード対応が施されている

各種設定はスマートフォンアプリから行え、フロント変速時にケイデンスが大きく変化しないようにサポートしてくれる機能(Shimanoでいうシンクロシフト)もあることから、機能的に見てFORCE AXS(とRED AXS)は現時点でもっとも優れた電動コンポだと思われます。

完全ワイヤレス(=ケーブルで接続しない)なので、慣れた人なら飛行機輪行時など破損が怖いシーンでは外して保護してしまう、なんてことも可能です。見た目もすっきりで、ビジュアルを気にする人にとってもSRAMは魅力的。完全ワイヤレスにはShimanoもCampagnoloも対応しておらず、現時点ではSRAMコンポの特権です。

加えて、効率化されたギア比によって平坦用のスプロケットでも今までより登りが楽で、登坂用のスプロケットでも平坦が速く走れるようになっています。汎用性を突き詰めたような感じで、性能的にはホビーサイクリストからシリアスライダーまで、幅広くおすすめできるものになっています。

詳細はRED AXSの記事にまとめてあるので、気になる人は見てみてください。

フロントシングル/ダブル・リムブレーキ/ディスクブレーキを選べ、グループセットは計4種あり。RED AXSとは素材やデザイン、カラーリングに差があり、特に真っ黒なスプロケットが印象的。電動グループセットのみの価格はフロントダブル/リムブレーキ版が220,200円(税別)、フロントダブル/ディスクブレーキ版が266,800円(税別)。 Image: INTERMAX
▲フロントシングル/ダブル・リムブレーキ/ディスクブレーキを選べ、グループセットは計4種あり。RED AXSとは素材やデザイン、カラーリングに差があり、特に真っ黒なスプロケットが印象的。電動グループセットのみの価格はフロントダブル/リムブレーキ版が220,200円(税別)、フロントダブル/ディスクブレーキ版が266,800円(税別)。 Image: INTERMAX

もっとも安い「完全ワイヤレス電動コンポ」である

機能的に優れたFORCE AXSですが、コンポーネント市場全体を見渡したときに、どんな立ち位置にあるのでしょうか? それは以下の表を見てもらうのが早いでしょう(*)。

各社電動コンポ価格・重量まとめ(リムブレーキ版)
まずはSRAMコンポ内での位置づけから。

FORCE AXSフルセットは税込でおよそ32万円。RED AXSとの比較だと、重量差が約350gありますが、価格差は約170,000円。機能が同等であることを考えると、FORCE AXSは格段に安いと言えます。

一方で、旧トップグレードであるRED eTapと比べると若干安いかな、くらい。機能的にも勝っていますが、重量では実に約500gも負けているので、AXS特有のギア比に魅力を感じず、価格と重量を重視するならRED eTapもまだまだアリという感じ。

とはいえ、SRAMのラインナップでは最安であり、それはもっとも安い完全ワイヤレス電動コンポであるということを意味します。

(*)リムブレーキ版フルセットの総額(税込)と総重量(g)。電動グループセット価格+クランクセット+スプロケット+チェーンの価格・重量を合計したもの。価格についてはあくまで参考とお考えください。メーカー・代理店が詳細を公表していないパーツがあったため、以下のサイトを参考にさせていただき作成しているため、実店舗での価格とズレがある可能性があります。

「安い電動コンポ」ではない

予算に限界があるホビーサイクリストにとってもっとも重要なのは、いちばん安く手に入る電動コンポは変わらずULTEGRA Di2であるということかもしれません。FORCE AXSとの価格差は約150,000円、機能面でのアドバンテージを覆すものになっています。

また、Dura-Ace Di2と約55,000円差というのも悩ましい。安いのはFORCE AXSですが、トップグレードの製品は作り込みがすばらしく、美しいんですよね。「もうちょっと出してデュラDi2にするか…」という邪念が湧いてくるのも無理からぬこと。重量でもDura-Ace Di2に軍配が上がります。なお、Dura-Ace Di2は何気にトップグレードの電動コンポではいちばん安かったり。

機能面の優位は覆るかもしれない

FORCE AXSには現状、ULTEGRA Di2やDura-Ace Di2に対して機能面でアドバンテージがあります。しかしそれには「この記事を執筆中の2019年4月12日時点では」という注釈がつきます。Shimanoがまだ今年のコンポのアップデート内容を発表していないため、機能的優位が数ヶ月先にも残っているか不明なのです。

今年、Shimanoのコンポがどう変化するかは闇の中ですが、カンパも12速化していることから、少なくとも12速化はされる気がします。それに伴ってギア比にも調整が入る可能性があります。価格面で大きなアドバンテージがあるULTEGRA Di2が大進化を遂げるなら、そちらがいちばん幅広くおすすめできる電動コンポになってくるのは必至。

コストも踏まえてどれにするか迷っているという人は、ShimanoがSRAMの攻勢にどう応じるかを見極めてから決めるのがいいように思います。

「真剣に遊びまくる人」向きか

ニーズも予算も多様である以上、単純に「FORCE AXSを買っておけばOK」とは言えません(GP5000のようにはいきませんね)。

現状だとFORCE AXSに手を出せるのは、自転車の乗り方はホビーよりだけど毎週がっつり走るという人でしょう。山だろうが平坦だろうが、(タイヤを変えれば)未舗装路だろうが走れてしまう超オールラウンドな1台を組めるのは、特にアドベンチャー志向の人にはありがたいのではないでしょうか。峠好き・超ロングライダーにもおすすめできるでしょう。

セカンドグレードとはいえ、価格的には高級なコンポです。乗る回数やライドの強度がそこまででもなかったり、走る場所が決まっているという人の場合は、ULTEGRA Di2が無難でしょう。
(やざわすみひこ)

TOP画像:SRAM

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WRITTEN BYやざわ すみひこ

都内近郊の峠に週末繰り出すヒルクライム・ロングライド好き。長期休暇で自転車旅に出て日本国内を走りまわる。

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