5月11日に開幕のジロ・デ・イタリア。24年前から、3大グランツールの幕開けを飾るこの大会は、毎年マリアローザ(ジロ・デ・イタリアの総合優勝者が着るピンク色のリーダージャージ)をかけて、熱い戦いが繰り広げられます。

今回の記事では、今年のジロの見どころを、コース解説と出走予定選手の2つの視点から解説します。
(注:この記事の内容は2019年4月29日時点の情報によるものです)


コース解説


最終日前日のアスタナの総攻撃は見られるか。2019年のブエルタ・アンダルシアにて。 筆者撮影。

▲最終日前日のアスタナの総攻撃は見られるか。2019年のブエルタ・アンダルシアにて筆者撮影。


今年はイタリアの離島に行かず、イタリア半島内でのレースとなったジロ。ヨーロッパ最も古い大学を持つイタリア街・ボローニャがスタート地点です。今回のジロのコースの特徴は以下の3つです。

タイムトライアルのステージが3つ。


まず、第1ステージ。ボローニャをスタートし、サンルッカがゴール地点となる8.2kmの距離。最後の2kmは登り基調です。

続いて第9ステージ。リチオーネからサンマリノ共和国へ続く登り道のタイムトライアルで、距離は長めの約35km。

そして、最終第21ステージ。ベローナをスタート・ゴールとする15.6km。
最終ステージのタイムトライアルの距離は長くありません。そのため、最後まで優勝争いをしたい選手は、第20ステージ終了時点でトップの選手から30秒以内の僅差にいる必要があります。しかし、最終週の舞台はイタリア・アルプス。タイム差が開かないことを予想するのは難しいでしょう。

また、意外とカギにあるのが、第9ステージのタイムトライアルです。距離も35kmと長めで、登りのタイムトライアル。加えて、神経質になりがちな第1週目にもし、何らかの落車に巻き込まれた総合狙いの選手がいたとすれば、このステージでのタイム差が致命傷になる可能性もあります。

頂上ゴールは5ステージ。しかも最終週に集中。


前述のとおり、ジロでは最終週に山岳の頂上ゴールが集中します。今年もその例外ではありません。最後の休養日後6ステージのうち、4ステージが登りゴールです。

また、この最終週、スプリントのステージは第18ステージのみ。いったい何人のスプリンターが生き残っているのかという点でも注目です。

下りの重要性


ここ数年、3週間のグランツールのレースの行方を左右しているのが、坂の下りの重要性ではないでしょうか。去年のジロのクリス・フルームの大逃げをよく覚えていらっしゃる人も多いのではないでしょうか。

今回のジロで、比較的長めの下り坂があるのは、第5・12・13・14・16・17の各ステージ。このようなステージで、レースの流れが大きく変わる可能性もありえますので、ご注目を。

優勝候補


すでにジロ不参加を表明したファビオ・アル。優勝候補の一角が崩れ、今年のジロのマリアローザの行方は、混戦模様です。今回の優勝候補を3人を挙げたいと思います。

ヴィンチェンツォ・ニバリ(バーレーン・メリダ)


2018年のブエルタ・エスパーニャにて筆者撮影。

▲2018年のブエルタ・エスパーニャにて筆者撮影。


ジロの優勝経験もあり、このレースを知り尽くしているニバリ。ファビオ・アルというライバルがいない状態では、優勝候補の一番手に挙げられるのも当然ではないでしょうか。元々バーレーン・メリダは、ニバリのためのチームと言ってもさしつかえないくらい、ニバリの総合優勝をチームの主要目的としています。にもかかわらず、2017年に彼がこのチームに移籍してから、グランツールの優勝はいまだにありません。2021年には引退のうわさもある彼。残された時間のなかで、ジロを総合優勝候補として走る機会は決して多くはないでしょう。今年34歳を迎えるニバリ。最後にもう一度、マリアローザを着て表彰台に立ちたいと思っているのではないでしょうか。

プリモシュ・ログリッチ(ユンボ・ヴィスマ)


2016年のブエルタ・コムニタット・バレンシアーナにて筆者撮影。

▲2016年のブエルタ・コムニタット・バレンシアーナにて筆者撮影。


ここ数年、ステージレースでトップクラスの選手の仲間入りをしたといってもよい選手の一人が、このログリッチ。自転車選手になる前は、スキージャンプの選手だったこともある経歴を持つ選手としても有名です。今年のUAEツアーとティレーノ・アドリアティコで総合優勝をしたことも、記憶に新しいところでしょう。また、昨年のツール・ド・フランスでは総合4位。いつ3週間のレースの表彰台に上っても、おかしくない実力を持っています。登りを苦にしないうえにタイムトライアルも得意とする彼は、今年のジロ向きの選手と言えるかもしれません。年齢も今年で30歳。そろそろ大きなレースを勝ってもおかしくないのではないでしょう。

サイモン・イェーツ(ミチェルトン・スコット)


2019年のブエルタ・アンダルシアにて筆者撮影。

▲2019年のブエルタ・アンダルシアにて筆者撮影。


昨年のブエルタ・エスパーニャの優勝者である、サイモン・イェーツ選手も今回のジロの優勝候補の一角です。昨年のジロでは13日間マリアローザを着るも、第19ステージでクリス・フルームの捨て身の大逃げに屈した形で、最終的には総合21位へと沈みました。今年こそ、最終日にマリアローザに袖を通したいところではないでしょうか。

注目選手


ここでは、優勝候補とは言えないながらも、今年のジロを盛り上げるであろう選手を4人ご紹介します。

アレハンドロ・バルベルデ(モビスター)


2018年のクラシカ・プリマベーラにて筆者撮影。

▲2018年のクラシカ・プリマベーラにて筆者撮影。


言わずと知れた、現役の世界チャンピオン。今年のジロにも出走予定です。彼の目標はステージ優勝。総合優勝というプレッシャーから解放されたバルベルデ。この人が本気でジロを楽しんで走ったら、総合順位の番狂わせもありえます。

ヨン・イサギレ(アスタナ)


2019年の イツリア・バスク・カントリーでの優勝会見にて。筆者撮影。

▲2019年の イツリア・バスク・カントリーでの優勝会見にて。筆者撮影。


今年4月にスペインで開催された6日間のレース、イツリア・バスク・カントリーで総合優勝を飾った彼。登りはもちろん、タイムトライアルも決して苦手ではありません。しかし、選手の層が厚いアスタナ。イサギレ選手がアスタナのエースとして今年のジロで走るかどうかは、まだはっきりしませんが、ステージ優勝はもちろん、状況次第では総合上位も狙うことができる選手です。加えてこの春、アスタナは絶好調。最終日前日に、このチームがリーダージャージ奪取のための総攻撃をかけると、他のチームはひとたまりもありません。

エマヌエル・ブッフマン(ボーラ・ハンスグローエ)


2019年の イツリア・バスク・カントリーにて 筆者撮影。

▲2019年の イツリア・バスク・カントリーにて 筆者撮影。


今年27歳のドイツ人サイクリスト。昨年のブエルタ・エスパーニャで総合12位の実績を持つクライマーです。今年のイツリア・バスク・カントリーの山岳ステージで、1分以上の差をつけてステージ優勝し、総合でも第3位に入賞。この春絶好調の選手の一人です。ジロの最終週の山岳で飛び出し、そのままステージ優勝というシナリオも、彼の実力ではありえます。

ヴィクトール・カンペナールツ(ロット・ソウダル)


2018年のブエルタ・エスパ―ニャにて筆者撮影。

▲2018年のブエルタ・エスパーニャにて筆者撮影。


先日、アワーレコードで世界記録を達成したカンペナールツ選手。今年のジロにも出走予定です。いつも平地のタイムトライアルでは抜群の強さを見せる彼。世界一速い選手の走りにご注目下さい。

終わりに


今年は、山岳・タイムトライアルと見どころ豊富なジロ・デ・イタリア。三大グランツールの第1戦目を思い切り楽しみましょう。

TOP画像:ミケル・スカルポーニ。2017年に亡くなった彼は、2011年のジロ・デ・イタリアで総合優勝。2016年のブエルタ・エスパーニャにて筆者撮影。

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