洞門を抜けると、そこは北アルプスでした。
山頂や尾根を覆う純白の残雪と雪解けを迎えて露出した山肌とが織りなすコントラスト、ドラマチックなまでの美しさを見せる北アルプスの姿がそこに。写真を撮ってみると自分のロードの小さなこと! こんなにも北アルプスが近いとは。

そんな長野ならではの体験ができるのが、白馬村にある「嶺方峠」。山好きサイクリストの間で絶景との評判が高い峠のひとつです。

長野というとどこか遠そうなイメージもありますが、そんなことはありません。東京からであれば日帰りで楽しんで帰ってくることも可能です。この記事ではそんな嶺方峠まで楽しみながらたどり着けるコースを紹介します。

ヒルクライム口コミサービス「RoadQuest」で嶺方峠(白沢峠)の口コミを見る。

朝イチで北陸新幹線に乗れば日帰りは十分可能


日帰りで長野に行くときのポイントはライドと観光を楽しむ時間を確保するために北陸新幹線の始発に乗ること。6時すぎに東京駅を出て、現地に到着するのは7時半すぎです。朝の8時には走り出すことができます。午後にはライドを終え、夜には東京に戻ってくることができます。



走るコースはシンプルです。JR長野駅をスタートし、国道406号線をひたすら西に進むだけ(途中でちょっと寄り道しますが)。走行距離61km・獲得標高1450mという内容で、獲得標高はそれなりですが、ほとんどがゆるやかな上り程度であり、難易度はそこまで高くありません。交通量は大型連休でもそれほど多くなく、総じて走りやすいでしょう。サイクリストの姿もちらほらと見られます。ゴールはJR大糸線 白馬駅です。

大橋・ダム・洞門なんでもござれのバリエーション豊かなコース


JR長野駅 善光寺口を出発 Photo: やざわすみひこ

▲JR長野駅 善光寺口を出発 Photo: やざわすみひこ


コースと見どころを順を追って紹介していきましょう。

JR長野駅をスタート、善光寺の前で左折してR406に入ります。3kmも進むと景色はもう完全に山岳地帯です。山間によく出現する巨大な橋やダム、洞門といったオブジェクトが多数お出迎え、初っ端から山好きにはたまらないものがあります。

茂管大橋 Photo: やざわすみひこ

▲茂管大橋 Photo: やざわすみひこ


湯の瀬ダム Photo: やざわすみひこ

▲湯の瀬ダム Photo: やざわすみひこ


Photo: やざわすみひこ

▲Photo: やざわすみひこ


Photo: やざわすみひこ

▲Photo: やざわすみひこ



戸隠連峰を横目に大望峠を上る。頂上では北アルプスが大パノラマで


20kmほど進むと鬼無里という集落に到着します。休憩にするには少し早いでしょうから、さっそく「大望峠」に寄り道です。

長野の見どころといえばやはりその雄大な景色。大望峠も展望が期待できる峠であり、メインディッシュの嶺方峠に劣らぬ絶景スポットだったりします。

Photo: やざわすみひこ

▲Photo: やざわすみひこ


序盤は山村風景の中をゆるゆると上っていくのですが、いきなり戸隠方面の山が眼前に。上った先にはどんな景色があるのか? テンションが上がってくる走り出しです。

大望峠の全長は7.8km、獲得標高は391m。平均斜度は4.8%ですが、序盤はゆるく中盤以降に勾配がきつくなるタイプ。後半はサイコンの斜度表示が頻繁に10%を超えるようになり、ちょっとしんどめ。

Photo: やざわすみひこ

▲Photo: やざわすみひこ


とはいえ、足取りは軽やかではないかと思います。横を向けばこの景色ですから。登山道としては中上級者向けとされる戸隠連峰の切り立った山容を堪能できる、すばらしいロケーションなのです。

Photo: やざわすみひこ

▲Photo: やざわすみひこ


展望台からは北アルプスを大パノラマで一望できます。白い雲と青空、緑の山々の間に純白の北アルプスが広がっている様は、非常に印象的です。

伝承の里 鬼無里(きなさ)


鬼無里神社 Photo: やざわすみひこ

▲鬼無里神社 Photo: やざわすみひこ


大望峠を上ったあとはさすがに休憩と補給がしたくなるでしょう。大望峠のある集落「鬼無里」には以下のようなグルメスポットがあり、一息つくにはぴったりです。

  • いろは堂 長野本店:長野と東京の多くのお店で取り扱いのあるおやきの老舗、その本店。サイクルラックあり。
  • そば処鬼無里:鬼無里地区を中心とした長野市そばだけを使った野性味ある、風味豊かな十割そばが食べられるお店。道の駅内にあり、サイクルラックもあり。
  • おに屋:手打ちそばのお店。山菜を使ったメニューが豊富。

そば処鬼無里の十割そば Photo: やざわすみひこ

▲そば処鬼無里の十割そば Photo: やざわすみひこ


また、鬼無里にはたくさんの伝承が伝わっており、それにちなんだ史跡も散在しています。足を運んでみるのも一興かもしれません。

伝承の中で特に有名なのは「鬼女紅葉」。紅葉というのは京都から鬼無里にやってきた鬼女で、貴族のもとに嫁ぐも悪事を働いたため流刑に処されたのです。その後、鬼無里近隣の村でも悪事を働いたため、京都から派遣された武将に成敗されたといいます。

この伝承には別の形もあって、こちらでは紅葉が悲劇のヒロインとして扱われているのがおもしろいところです。こちらでは紅葉はふつうの女性ですが、嫁いだ貴族の正妻に疎まれ流刑となり鬼無里で京を想いながら暮らすも、最後は鬼女の烙印を押され、謀殺されるという悲しい最後を迎えることになります。

松巖寺の境内にはそんな紅葉の古く小さな墓があり、堂内にはその姿を描いた掛け軸などが展示されています。

Photo: やざわすみひこ

▲Photo: やざわすみひこ



嶺方峠へ


補給のあとはいよいよ本命・嶺方峠へ向かいます。鬼無里から山頂までの距離は約16kmほど。嶺方峠の手前には、鬼無里の湯という温泉施設があり、そこがラスト補給スポットとなりますが、鬼無里で補給しておけばまずゴールまでもつでしょう。

Photo: やざわすみひこ

▲Photo: やざわすみひこ


嶺方峠をヒルクライム中の景色はこんな感じ、ちょっと地味めですね。距離3.5km・獲得標高167m・平均斜度4.5%というコンパクトな峠で、あまり苦労することもないでしょう。交通量も少なめでさくさく上れるため、すぐにトップに掲載した写真を撮った「白沢洞門」が見えてきます。

Photo: やざわすみひこ

▲Photo: やざわすみひこ


洞門から北アルプスがチラ見えした瞬間、テンションが一気に上がるはず。洞門を抜けると目の前に北アルプスの山々がどーんと登場し、圧倒されることまちがいなし。あとは記念撮影を楽しむだけです。

白馬駅から東京へ


見かけた空き地で適当に写真を撮っても北アルプスが入ってくる白馬村 Photo: やざわすみひこ

▲見かけた空き地で適当に写真を撮っても北アルプスが入ってくる白馬村 Photo: やざわすみひこ


あとは道なりに下ってJR大糸線 白馬駅に到着すればゴールです。大糸線で松本駅まで行き、そこで中央本線特急(あずさ)に乗り換えれば、都内の新宿まで帰ることができます。

大糸線は電車間隔が広く、待ち時間は長くなるかと思いますが、白馬村には飲食店や温泉施設が多いため、食事をするなり汗を流すなりして調整するとよいでしょう。リゾート地である白馬村は雰囲気も景色もすばらしいので、少し村内をゆるぽたしてさらに写真を撮ったりするのもおすすめです。

白馬のグルメ


駅から近めで評判の良いお店をピックアップしておきます。和洋に麺類とお好みに合わせて選べますが、お昼の営業時間が14:00までのお店がほとんどなのに要注意。


道の駅白馬のソフトクリーム Photo: やざわすみひこ

道の駅白馬のソフトクリーム Photo: やざわすみひこ



白馬の日帰り温泉


白馬駅周辺には日帰り温泉が豊富。輪行前に汗を流しておきたいところです。露天風呂からの見晴らしがよく、駅に特に近いものを挙げておきます。


嶺方峠日帰りライドまとめ


嶺方峠を日帰りで訪れるにあたっていちばんポイントになるのは電車の時間です。特に帰りの電車の時間には注意してください。大糸線は1時間に1本ほどで、終電も早いです。

  • 東京駅→長野駅:北陸新幹線 始発 6:16発 7:38着(8200円)
  • 白馬駅→松本駅→新宿駅:大糸線→中央本線特急(あずさ) 終電 18:14発 22:45着(7900円)

※ 時刻は土曜日のもの(2019年5月12日時点)

また、もうひとつ重要なのが天気です。嶺方峠の展望は雲があると地味になってしまいます。白馬方面の天気を常に確認し、晴れるという確信がもてたら新幹線に飛び乗る、くらいの感覚でもいいと思います。また、6月〜9月には雪がなくなる、というのも押さえておきたいポイントです。雪があったほうが北アルプスの美しさが際立つので、もし今年訪れるのでしたらお早めに。雪が一度なくなって次に積もるのは10月頃になります。

しかし、写真でお見せしたように嶺方峠は長野でも屈指の絶景。タイミングを見計らって訪れてみる価値のある峠のひとつではないかと思います。

ヒルクライム口コミサービス「RoadQuest」で嶺方峠(白沢峠)の口コミを見る。

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