はたから見れば「変態」としか思えない程の坂好きが集まるイベント「The PEAKS」。一度降りたところを登り返す?そこまでして登りたい!?
参加者はなぜわざわざ辛く苦しいことに挑戦するのか。今回は単なる坂バカではない人たちが参加するイベント「The PEAKS」をご紹介します。

The PEAKSとは?



The PEAKSは誰でも気軽に参加できるイベントではありません。総距離150km以上、獲得標高5000m以上というコースを、制限時間内に走らなければなりません。

獲得標高5000mって、ピンとこないという方、単純計算で富士ヒルのスバルラインを4回登るのと同じです。

The PEAKSでは、道を間違えないようコースの案内表示板や、車の規制はありません。途中でコースを間違ったり、パンクや走行不能のトラブルがあっても基本的には自力で戻らなければならず、あくまで個人の「自己責任・自己対応」。いわばブルべのようなライドになります。

やろうと思えば走れる人は、かなりいるでしょう。しかし、誰があえてこの厳しい条件で走りたいと思うでしょうか? The PEAKSに参加するかどうかはあなたの選択次第です。

「変態か〜?」
「ド変態?」
「女性もいるぞ」「アマゾネス*さながら…!」

受付前の参加者の間でこのような会話が聞かれるほど、The PEAKS参加者は普通の人とは思われておりません…

*)アマゾネス:ギリシア神話に出てくる女性だけの勇猛な部族

The PEAKS参加者は変態坂バカだと思われている。

自己完結のイベント、The PEAKS


The PEAKSは自分ですべて対応できる人を対象にしたイベントです。逆に言えば自分でコースのナビゲーション、体調管理、トラブルに対応できない人は参加は難しいということになります。イベントの趣旨を十分理解した上で、参加しましょう。

  1. コースに案内スタッフの配置や案内看板の設置は一切ありません
  2. バイク機材の整備がちゃんとできない方は参加できません
  3. スタート&ゴール地点までは、必ず自分で戻る。これが約束です
  4. 交通法規は必ず遵守し、マナーあるライドをしてください
  5. 体調不良や怪我への対応も自己対応が原則です
  6. 補給はマップに記載したエイドステーションで行えます
  7. トイレの位置を把握してください
  8. 完走認定のためのルールを把握してください

基本的に雨でも主催者側が可能と思われた場合はイベントは開催されます。雨天の場合の上り下りでも安全に走行できるスキルが必要です。

The PEAKSのコースではコンディションの悪い道を走ることもある(ラウンド1)

▲The PEAKSのコースではコンディションの悪い道を走ることもある(ラウンド1)


基本的に雨でも走行可能と判断された場合は開催。当日走行するかの判断は参加者に委ねられる(ラウンド2)

▲基本的に雨でも走行可能と判断された場合は開催。当日走行するかの判断は参加者に委ねられる(ラウンド2)



通常エントリーで物足りない方へ。「変態割」「ド変態増し」


通常エントリーでも十分厳しいですが、それでも自分には物足りないという変態領域へ入っている方には、「変態割」「ド変態増し」という、エントリーフィーが割引になるお得(?)なオプションもあります。先日開催されたラウンド7(奥多摩)での例をあげてみます。

  • 変態割・・・通常コースのスタート時間を1時間遅くして、走行制限時間を厳しくしたもの
  • ド変態増し・・・通常コースより距離をプラスして走行距離、獲得標高を追加したもの

※「変態割」の時間差は各ラウンドごとに変わることがあります。
※「ド変態増し」の条件もラウンドごとに変わります。「ド変態増し」がないこともあり、各ラウンドのコースプランニングにより決定されています。

エントリーフィーにも違いがあり、同じくラウンド7(奥多摩)を例にとると以下のとおり。堅実に通常エントリーにするか、安さに惹かれて玉砕覚悟でド変態増しエントリーにするのか、どのコースにするかは貴方次第です。

  • 通常エントリー(5:30~5:40スタート):15,000円
  • 変態割エントリー(6:30スタート):14,000円
  • ド変態増しエントリー(5:10スタート):12,000円

変態割、ド変態増しの人はヘルメットにステッカーを貼って走ります。

変態割、ド変態増しにエントリーするともらえるステッカー(ラウンド4)。左下には「(ド)変態と間違われる危険性があります。イベント終了度、はがし忘れにご注意ください」の文字が。

▲変態割、ド変態増しにエントリーするともらえるステッカー(ラウンド4)。左下に「(ド)変態と間違われる危険性があります。イベント終了度、はがし忘れにご注意ください」の文字が。


ラウンド4の「ド変態」ステッカー。これがヘルメットについている人はツワモノのド変態だ

▲ラウンド4の「ド変態」ステッカー。これがヘルメットについている人はツワモノのド変態だ



過去のコース紹介


The PEAKSは全部で7回イベント募集されています。
ただし、実際に開催されたのは先日開催されたラウンド7奥多摩を入れて5回。残念ながら悪天候により2018年には2回連続での開催中止となりました。

The PEAKSは1回の開催イベントをラウンドと呼んでいます。各ラウンド毎に開催地が異なり、コースや獲得標高も変わります。走行距離や獲得標高が低くても激坂があったりと参加者の期待を裏切りません。

過去の開催コースは以下の通りです。


  • ラウンド1(2014/9/7@上田):走行距離152.8km、獲得標高5,069m
    ラウンド1(2014/9/7@上田)
  • ラウンド2(2016/7/9@赤城):走行距離168km、獲得標高5,327m
    ラウンド2(2016/7/9@赤城):走行距離168km、獲得標高5,327m

  • ラウンド3(2017/4/23@熱海):走行距離163km、獲得標高4,841m

  • ラウンド4(2017/9/3@奥多摩):走行距離194km、獲得標高6,176m
    ラウンド4(2017/9/3@奥多摩):走行距離194km、獲得標高6,176m

  • ラウンド5(2018/7/8@蓼科)悪天候の為開催中止
  • ラウンド6(2018/9/30@熱海2)悪天候の為開催中止

完走すればフィニッシャージャージ製作権、ラウンド1~4全完走者は21名にも


The PEAKS完走者には、各ラウンド専用のフィニッシャージャージを製作できる権利が与えられます。

前回ラウンド4の時点で、3つのラウンドを完走した「トリプルクラウン」が31名、4回すべてのラウンド完走者はなんと21名にもなりました。

歴代の完走者がサインしたフィニッシャーボード

▲歴代の完走者がサインしたフィニッシャーボード


ラウンド4のフィニッシャージャージ。着ている人はPEAKS完走者であることが一目で分かる

▲ラウンド4のフィニッシャージャージ。着ている人はPEAKS完走者であることが一目で分かる



果たして今回のラウンド7、私は完走できたのか!??
参戦記はこちらから。


完走するには? The PEAKS対策


完走するには? The PEAKS対策
脚に自信がある方は別にして、普通のサイクリストには完走が厳しい「The PEAKS」。

完走するにはどうしたらよいのでしょうか?私ごときがおこがましいですが、今までの参加経験をもとにいくつかアドバイスします。

完走するにはスタートの選択が肝心


The PEAKSではエントリーの際、スタート方向を選択することがあります。例えば今回のラウンド7でいうと、今川峠側に行くか、松姫峠&鶴峠の方向に行くかを選ぶ必要があるのです。

これを単なる人数調整と思ってはいけません。ラウンドによっては、このスタート時のコース選択が完走の成否を分けるので、エントリー前によく考えてからスタート方向を決めましょう。

各チェックポイントまでの制限時間を考え、きついコースを先にするか後にするか、自分の脚力を考えて選択しましょう。

①今川峠か、④松姫峠&⑤鶴峠か。各ステッカー配布にはタイムリミットがあるので、時間配分を考えて選択する必要がある。
①今川峠か、④松姫峠&⑤鶴峠か。各ステッカー配布にはタイムリミットがあるので、時間配分を考えて選択する必要がある。

▲①今川峠か、④松姫峠&⑤鶴峠か。各ステッカー配布にはタイムリミットがあるので、時間配分を考えて選択する必要がある。


私の場合は勾配のきつい上日川峠を後回しにしたくなかったので、今川スタートを選択しました。

試走に行こう


脚力に自信ありの人を除いて、当日いきなり走るのは無謀でしょう。あらかじめコース状況を把握するためにも、試走に行くことをおすすめします。

試走は1日で全部走らなくても、2回か3回にコースを分けて走っても大丈夫。イベント当日に立ち寄れないところで食事をしたり、落ち着いて景色を見ることもできます。

コースの斜度路面状況道路の見通し車両の通行量があらかじめ分かっていれば、当日の装備やペース配分の参考にもなります。

私は脚力に自信がないので、試走タイムからリミットの通過時間を逆算。エイドでの滞在時間の目安にもします(画像はラウンド4の場合)

▲私は脚力に自信がないので、試走タイムからリミットの通過時間を逆算。エイドでの滞在時間の目安にもします(画像はラウンド4の場合)



獲得標高3,500mを超えてわかること


私の場合は、獲得標高3,500mを越えるライドだと足に痛みが出ました。シューズを脱いで足を解放すると楽になるのですが、何か解決策はないかと考え、ソックスを5本指、薄手のものに変更しました。

普段ヒルクライムしていても、走行距離や、獲得標高が大きくなれば身体の負担が変わります。本番までに距離や獲得標高が大きいライドを経験しておき、身体に負担が出ないか確認しておきましょう。

補給食は自分に合ったものを


カレーやけんちん汁を提供するエイドもある

▲カレーやけんちん汁を提供するエイドもある


エイドで補給はできますが、自分に合ったものがあるかはわかりません。遅い時間に到着した人は選択肢が少なかったり、エイド間の間隔が長く途中で補給が必要なこともあるので、念のため自分に合った補給食を携帯しておくとよいでしょう。

私の場合はカフェイン入りのジェルを摂った後は目がちかちかしたり、効果が切れた後は眠気に襲われたりすることがあったので、前半の走行中には使わず、なるべく最後に使用することにしています。試走のときなどに試しておくとよいでしょう。

また、エイドでは水分補給やポケットに入るお菓子をもらうなど最短の滞在を心掛け、長時間滞在は避けました。

エイドでも補給はできるが、念のため自分に合った補給食を少量携帯しておくのも〇

▲エイドでも補給はできるが、念のため自分に合った補給食を少量携帯しておくのも〇



軽量化は必須、だけど必要装備は万全に


走行するのに楽なのは、軽量な装備です。ただし、下りの防寒着やパンク対策用品、補給食など万一のときの装備は必要になります。自分の力量に合った必要最低限な装備を考えておきましょう。

ライトの点灯、ベルの装着も必要です。また走行時間が12時間近くなるので、サイコンやスマホのナビゲーション用に予備バッテリーからの充電対策も必要です。

タイヤ、ブレーキ、変速調整など装備は万全に


ホイール/タイヤのチェック、ブレーキや変速調整、ライトのバッテリーなど事前に自転車の見直しは必須です。もし当日雨天になればブレーキシューの減りが早くなります。ブレーキシューの交換も視野に入れておきましょう。不安があれば一週間前までには新しいものに交換して、一度走っておくと良いでしょう。

また、発生が予測できないパンク。リム打ちやサイドカットなど、一度起こると、時間制限のあるThe PEAKSでは代償が大きいです。The PEAKSでは他のイベントほどパンクしている人は見かけませんが、それでも最適な空気圧を維持しておいて、不要なパンクは避けましょう。

最も避けたいのは、パンクでの時間ロス

▲最も避けたいのは、パンクでの時間ロス



これだけは逃さないように! ステッカーポイント(ST)、チェックポイント(CP)


The PEAKSのコースでは、コース通過を証明するステッカー(通過チップ)を配布します。配布時間が決まっており、通過チップが揃わないと完走が認められません。

また、チェックポイントが設定されている場合は、制限時間までに通過しないとタイムオーバーになり、それ以上先に進むことはできず、強制リタイアになります。

必ずコースの制限時間を把握してイベントに臨みましょう。

コース通過の証明には、ステッカーが配布される(The PEAKS ラウンド4)

▲コース通過の証明には、ステッカーが配布される(The PEAKS ラウンド4)



次回は2019年9月1日のThe PEAKS ラウンド5 蓼科 エントリー受付中


ラウンド7が終わったのに、次回はラウンド5?

昨年2018年7月に予定されていたラウンド5蓼科は、悪天候により開催中止に。そして今年2019年の9月に再び開催されることになったのです。

目の前に蓼科高原の白樺の林の中や遠くまで見渡せる霧ケ峰の絶景を見ながら走ることができます。この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

開催日:2019年9月1日(日)
開催地:蓼科・霧ヶ峰エリア(長野県)、立科町女神湖畔スタートゴール
走行距離:193km(ド変態増の場合は226km)
獲得標高:5,154m

ラウンド5蓼科では女神湖を中心に、4方向へのアップダウンを攻略しなければならない

▲ラウンド5蓼科では女神湖を中心に、4方向へのアップダウンを攻略しなければならない


蓼科高原では目の前を横切る鹿が見られた

▲蓼科高原では目の前を横切る鹿が見られた


霧ケ峰方面への試走の様子。絶景を見ながら走れる

▲霧ケ峰方面への試走の様子。絶景を見ながら走れる



おわりに


The PEAKSが「日本最強!最悪!のイベント」とされる理由が少しはわかってもらえたのではないでしょうか。その本質を知りたい?確かめるには参戦あるのみ、です。

“チャレンジを忘れたサイクリスト達へ”

このコピーに反応したなら、自分のカラダで、脚で、ココロで、「変態」の真髄を味わってみては。

ラウンド7の参戦記はこちらからどうぞ。


Photos(C):longridefan.com、Neko chigura
LINK:The PEAKS

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