「オホーツク SEA TO SUMMIT 2019」つむりの参加レポート!前編

こんにちは、自転車ブログ「つむりの悠々自適ライフ」を管理・運営している神楽坂つむりです。

突然ですがみなさん「SEA TO SUMMIT」というイベントをご存知でしょうか!

総合アウトドアメーカーである株式会社モンベルが特別協賛を務めるイベントで、そのイベント名を素直に紐解くと「海から山頂」ということになります。

内容については全くその通りで、つまり、

カヤックと自転車、登山の3つのアクティビティを駆使して海から山頂までを目指す究極のネイチャー体験型の環境スポーツイベント

ということです。
オホーツクでは初開催となる記念すべき大会に参加してきたので、そのレポートを前編と後編の2回に分けてお送りします!

オホーツクという土地のこと

今回のイベントを語る上で外せないのが開催場所であるオホーツクという土地のこと。
実際に訪れて、漕いで走って登ってわかったけれど、自然の豊かさ、そして多様性がものすごい土地でした。

広大な畑作が広がる小清水町の丘陵地帯。photo:神楽坂つむり

ただただ自然が豊かな場所は日本全国たくさんあるけれど、ここオホーツクは別格です。北側に冬になると一面流氷で覆われるオホーツク海を有していて、その海水と山から流れてくる川の水が混じり合う「汽水湖」であるサロマ湖や濤沸湖(とうふつこ)、能取湖(のとろこ/のとりこ)、網走湖(あばしりこ)など数多くの湖が点在しています。

濤沸湖と国道の牧草地帯で放牧されている馬の群れ。photo:神楽坂つむり

海と湖、そして広大な畑作、さらにはどこからでも肉眼ではっきりと見える斜里岳や知床連山が重なり合って織りなす雄大な風景は北海道広しといえども、ここオホーツクでしか見られない風景でした。

小清水町が誇る野鳥と花の宝庫、小清水原生花園。photo:神楽坂つむり

海、里、山。
自然を全身で感じながら、その循環に思いを馳せて、自らもその中に飛び込んで体験する・・・。
そんな貴重な時間であったことは間違いありません。

能取岬から能取湖畔を遠くに臨む。photo:神楽坂つむり

そう・・・風景が本当に素晴らしかった!
今回は見たままの風景を素直に切り取ることを意識して写真をたくさん撮影したので、写真多めにお送りしたいと思います。

飛行機で北海道入り

北海道の中でも北に位置する場所ですから飛行機で行くしかありません。
今回は日本航空JALさんが提供するパックを利用させていただきました。
現地のレンタカーやホテル、さらには今話題の飛行機輪行専用の輪行箱「SBCON」が使えると言うことで迷わずに申し込みました。

JALが提供する飛行機輪行専用箱、SBCON。photo:神楽坂つむり
飛行機輪行の概念が変わりました。これは・・・いいぞ!photo:神楽坂つむり

オホーツク大会のコース概要

今回の「オホーツクSEA TO SUMMIT2019」は以下のような行程です。

オホーツク大会のコース概要
【カヤック区間】
呼人浦キャンプ場~エコーセンター2000
距離7.5km

【自転車区間】
小清水ツーリストセンター~ハイランド小清水725(標高725m)
距離38.5km 獲得標高810m

【ハイク区間】
ハイランド小清水725~藻琴山頂上(標高1,000m)
距離2km 獲得標高275m

この行程をシングルで参加することにしました。
各種目別に参加者を変更するチームの部門もあり、全体を見ていると結構チームで出場している人も多かったようです。
というのもおそらく荷物や機材の運搬を考えるとチームの方がかなり有利というか・・・(笑)

私は気合でシングルで全種目に出つつ、いろいろと工夫して着替えや荷物、補給食をやりくりしました。
これはこれでめちゃくちゃ良い経験になりました。頭の中でレベルアップのファンファーレが鳴りました、本当に。

コース高低断面図

さらにカヤック区間ゴールがある網走駅から自転車区間スタートがある浜小清水駅まではなんと今回のイベント専用の特別列車が運行するらしい!

JR北海道さん全面協力のもとで、この日の参加者だけが乗車することができるなんて・・・もうこれが楽しみで仕方ありません。(鉄道好きな私です・・・!)

それにしてもこうして事前に配布された資料を眺めていると、よくこんなイベントを思いついたなあ・・・と感動しちゃいました。

「人力だけで海・川・湖から山頂を目指す。」
調べてみると本州でも江田島や大山、伊予や鳥海山など、全国各地で開催されており、各地で全く特色が異なるのだとか。

その地域の自然を満喫するならもうこれしかないってくらい自然との距離が近いイベント。一つのジャンルに偏ることなく様々な角度から自然を解釈できるというのも魅力的な一面だなあと思います。

天気は晴れ!条件は良し?

ぶっちゃけアウトドアイベントの印象は天気次第、と言っても過言ではないくらい天気が重要です。とにかく晴れている方が良いに決まっています。自転車にしろカヤックにしろ登山にしろなんでもそうです。

この日の現地天気予報は最高気温18度、最低気温12度。
風向きは南風で、風速は3~4m/s。
北海道らしいカラッとした湿度で、天気予報は曇り時々晴れ。

ホテルの窓からオホーツク海から昇ってくる太陽を眺める。東に位置するせいか朝の3時半でこの明るさです。6時ともなるともうすっかり太陽が登り切っていて思わず笑いました。photo:神楽坂つむり
ホテルの窓からオホーツク海から昇ってくる太陽を眺める。東に位置するせいか朝の3時半でこの明るさです。6時ともなるともうすっかり太陽が登り切っていて思わず笑いました。photo:神楽坂つむり

実際のところこの日は天気が良すぎるくらい良かった!!
実は週間予報では曇り〜雨と予想されていたので正直かなり憂鬱でしたが・・・・。
晴れ男パワーを使い果たしてしまったんじゃないかと心配になるくらいの晴れに感謝しかありません。

憂鬱から一転、めちゃくちゃ楽しみになってきたぞー!

呼人浦キャンプ場からスタート

スタート地点の呼人浦(よびとうら)キャンプ場には参加者が続々と集まってきました。7時のスタートに向けて着々と準備が進められています。photo:神楽坂つむり
スタート地点の呼人浦(よびとうら)キャンプ場には参加者が続々と集まってきました。7時のスタートに向けて着々と準備が進められています。photo:神楽坂つむり
スタート地点の呼人浦(よびとうら)キャンプ場には参加者が続々と集まってきました。7時のスタートに向けて着々と準備が進められています。photo:神楽坂つむり
スタート地点の呼人浦(よびとうら)キャンプ場には参加者が続々と集まってきました。7時のスタートに向けて着々と準備が進められています。photo:神楽坂つむり
日本航空さんからは普段機内でサービスされている飲み物と塩タブレットのプレゼントがありました。チョイスが渋すぎる~~!ありがたし。photo:神楽坂つむり
やる気満々の参加者たち!今度は私もチームで出てみたいぞ〜〜〜。photo:それってあれでしょ?(@CHARBLURNEN)
モンベルグループ代表の辰野勇さんによる挨拶。ユーモアのある挨拶でみんなが笑顔に。photo:神楽坂つむり
TEAM GARVYさんによる選手宣誓。大会を盛り上げてくださいました!photo:神楽坂つむり

さあ、いよいよカヤックのスタートです。
網走湖畔からスタートし、流れに沿って網走川河口を目指し、網走川を経て最後にはエコーセンター2000までの全行程7.5kmの道のりです。

そもそもカヤックを漕いだことがない!

そう、私、人生初カヤックです!

ちなみにカヤックは大会側が用意するレンタル艇を利用しました。流石にカヤックを買って現地に持って来るのは厳しい。ですが結構ご自身のカヤックを持ち込んでいる参加者も見受けられました。知らない乗り物は眺めているだけで楽しいです。photo:神楽坂つむり

けれど念のためにYouTubeでしっかりとイメージトレーニングをしてきました。効率の良い漕ぎ方、転覆してしまった時の対処法、持ち物、服装、補給の仕方などなど・・・。
これがよくよく考えると普段私が趣味にしている自転車や登山と根底にあるものは一緒だなと気がつきました。

それは

  • パドリングは力を抜く
  • トルクよりも回転数!(自転車で言うところのケイデンス型)
  • 正しいフォームを意識する
  • ペース配分を考えてスロースタートでOK
  • 怪我をしないことが大事!

偶然なのか、主催者が狙ったのか、全種目共にこの辺りの共通認識があるおかげで無理なく望めたと感じています。
人力だけで自然に挑もうとするのですから、無理は禁物。

何よりせっかくの機会なんだから「楽しみ尽くしてやろう!」と言う気持ちで漕ぎ始めました。

いよいよスタート!photo:神楽坂つむり

スタッフさんのサポートのもとでカヤックが網走湖面を滑り出しました。まずは網走川を目指して河口へと向かいます。
イメージトレーニング通りにパドルを肩幅よりちょっと広めに持ち、ロゴが自分から正しく読める角度と向きで保持して、パドル先端が足のつま先あたりに着水するように右、左、右、左と漕ぎます。

穏やかな湖面にパドルが着水するたびに「チャプ・・・チャプ・・・」と音がします。
小さい頃にどこか河原で遊んでいるときに聞いたことがあるような心地が良い音です。

左が私です!photo:それってあれでしょ?(@CHARBLURNEN)

右手で漕ぐ時には逆手を前に出すと自然と無理なくパドルを動かすことができます。

「(自転車のペダリングと同じだな・・・・)」

と思いながらこの動作を繰り返すと、カヤックは湖面上をスーッと滑り出しました。

(ああ・・・・カヤックって楽しい!)

と漕ぎ出して1分もしないうちに素直にそう思えました。

どんどん他の参加者に抜かれていく私(笑)photo:神楽坂つむり

見上げるとどこまでも広がる青い空、北海道らしい薄く伸びた雲のおかげで夏だけど夏じゃない不思議な感覚になります。網走湖は湖畔から眺めているだけでも美しいですが、こうして湖面上から見ると全く視点が異なることに気が付きます。

目線が低いおかげで湖面が近く、まだら模様に波打つ水面に太陽の光が反射してキラキラと輝いて見えます。パドルを漕ぐたびに水が巻き上がって滴るのを見ていると、なんだかちゃんとカヤックを漕げているんだぞ!と言う気分になってきました。

辰野勇さんと小清水町長の久保弘志さん、激走!photo:それってあれでしょ?(@CHARBLURNEN)
SUP(スタンドアップパドル)で参加されているツワモノも。私が漕いだら絶対すぐ転覆する自信があります。photo:神楽坂つむり

まさか水上からこんなパノラマビューを堪能できるなんて・・・。人生初カヤック体験は、私をカヤックの世界に引きずり込むのに十分すぎるロケーションとシチュエーションです。

うーーん、これ以上趣味を増やして良いのか!?(良いでしょ!)

カヤックの難しさを体感

少し迷走しながらも無事に網走湖の河口へと到着しました。
ここからは網走川を下ってオホーツク海手前のエコーセンター2000まで漕ぎます。

思うように前に進まずに蛇行運転を繰り返す私。photo:神楽坂つむり

難しいな!と感じたのが水の流れを読みながらカヤックを「真っ直ぐ進ませる」こと。
自分では左右均等の力で漕いでいるつもりが右に左に船首がブレる。
パドルの着水の角度が悪いのか、水中での角度が悪いのか、抜くタイミングがずれているのか、あれこれ考えながらちょっとずつ修正を試みるもののなかなか上手くいかない!

けれどよくよく考えるとここは水の上です。
道路ではなく、流れが一瞬たりとも一定ではない水の上を滑っていくのです。
網走湖の上はそこまで感じなかった流れを確かに感じます。
右岸と左岸で水の流れが違うことにも気が付きました。

こう言う当たり前の「知識」でも実際にカヤックに乗って水面を滑っていると「体験」としてスッと身体に入ってきます。

「百聞は一見に如かず」と言いますが、まさにその通りだなと感じる時間でもありました。

バードウォッチングを楽しみながら進んでいる参加者も。私もそれに習ってキョロキョロしながら進みました。photo:神楽坂つむり

今回は自転車でも使っているGARMIN EDGE520を使いながらペースを管理していました。おおよそですが時速6〜9km/h前後で進んでいるようです。小走り程度でしょうか。距離が7.5kmなので1時間ちょっとでゴールするペースです。

えっと、これはカヤック経験がないので分からないんですが私は素直に

「1時間も漕ぐの!?」

とひるみました。30分時点で肩周りの筋肉が僅かながらの悲鳴を上げ始めているんですがこれは・・・。

なるほど、これは覚悟しないといけませんね。(明日の筋肉痛)

網走刑務所のレンガ壁を眺めながら進みます。何気にこの観光地を水面から眺めるなんてそうそうないのでは!と思うとレアな体験ができたと思います。photo:神楽坂つむり

ここまで来たら無理せずにゆっくりペースで臨むことにします。
競争じゃないんですから、大丈夫です。
(それにしてもどんどん抜かれていくなあ・・・・)

無事にカヤックゴール

そうは言っても最後の20分間は手がプルプルしていました。漕いでも漕いでも先は長くなかなか進まない感覚です。
普段自転車のペースに慣れているせいか、ものすごく遅く感じちゃうと言うのもなんだかいけません(笑)

もう腕が・・・限界っ・・・・・!photo:モンベル

ゴールが近づいてくると沿道からの応援も増えてきます。

「頑張れー!」
「もう少しだよー!」

(もう少しって言葉は基本的に信じないぞ!)(自転車乗りあるある)

と思いながらも本当にもう少しだったのでカヤックの世界は優しいなあと感動しました。

つ、ついた・・・・・!photo:神楽坂つむり

そして8時30分頃に無事にゴール!!!
心配していた着岸作業もスタッフさんのサポートのおかげで無事に降りることができました。(ここで転けて川にダイブも想定していた)

終わってみれば1時間26分、平均時速は6.1km/h、最高速度は11km/hと自分としては悪くないんじゃない!?と思います。

何より数字よりもカヤック体験がこんなに楽しいものだとは思っていなかったので、もうこれだけでお腹いっぱいになるほどに。
観光地でレンタルボートを借りるだとか、ちょっと体験会に参加するとか、そう言うのとは根本的に違います。

今回は観光列車の発車時間までは待機時間。みなさんバイクのために着替えをされています。photo:神楽坂つむり

自然に触れ合いながらも、ちゃんとチャレンジ要素もあって、達成感が味わえる。
私が人力だけで移動するアクティビティが好きな理由はここにあるのかもしれません。

エイドステーションで飲み物をいただきました。photo:神楽坂つむり

ちなみにカヤック上ではエナジーバー1本とどら焼きを1個食べました。補給については自転車と同じ感覚だったので、特に問題ありません。自転車用のボトルもカヤックに乗せていたので水分補給もバッチリでした!

さあ、次はいよいよ自転車・・・・!

徒歩で網走駅に向かう辰野勇代表。photo:神楽坂つむり

その前に特別列車が待ち構えています。
網走駅まで徒歩で移動するとそこには・・・。

後編に続きます。

取材協力:mont-bell
公式HP:SEA TO SUMMIT

Y’s Road オンライン アウトレットコーナー

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WRITTEN BY神楽坂つむり

ブログ「つむりの悠々自適ライフ」の管理人 大学時代に自転車と出会い、暇があれば各地をツーリングする日々。 最近では海外旅にも挑戦中。機材ネタや旅のノウハウ、旅レポートを執筆中。 http://tsumuri5.com/

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