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Vブレーキを図解で解説!ブレーキシューの交換方法から片効き調整・走行前チェック方法も

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通勤通学や街乗りに最適なクロスバイク・ミニベロなどに搭載されているVブレーキ。ロードバイクに多いキャリパーブレーキとは何がどう違うのでしょうか?
Vブレーキの仕組みから、ブレーキシューの交換やちょっとした調整など、セルフメンテナンスの方法までガイドします。

Vブレーキとは?

Vブレーキはマウンテンバイクなどに装備されることが多かったブレーキです。ロードバイクでよく見かけるキャリパーブレーキと比べ、制動力が大きいことが特徴。またタイヤとのクリアランスが大きいため、太いタイヤにも対応します。
現在マウンテンバイクはディスクブレーキが主流になっていますが、クロスバイクやミニベロではVブレーキを搭載したモデルが多いです。

シマノの油圧式ディスクブレーキ。ホイールの中心部分にある「ブレーキローター」を挟み込むことで、ホイールの回転を止める

コンパクト(ミニ)Vブレーキとは

Vブレーキは、アームの長さによって大きく2つのタイプに分けられます。アームの長さが107mm前後の一般的なVブレーキと、90mm前後のコンパクト(ミニ)Vブレーキの2つです。
コンパクトVブレーキはアームの長さが短く、ワイヤーの引き量がキャリパーブレーキに近くなっています。ただし左右のアームをつなぐワイヤーの位置が低くなるため、太いタイヤには対応していません。

テクトロのミニVブレーキ「RX1」:アーム長85mm

シマノのVブレーキ「ALIVIO BR-T4000」:アーム長107mm

Vブレーキの構成

Vブレーキは以下のような構成になっています。

  • リード管:ブレーキワイヤーを上方向へ方向転換させるためのパイプ
  • ケーブル固定ボルト:ブレーキワイヤーを固定するためのボルト
  • ブレーキシュー:ホイールのリムを挟んで制動するゴム製のパッド
  • スプリング調整ネジ:ブレーキのセンターを微調整するためのネジ
  • 取り付けボルト:ブレーキアームをフロントフォークやシートステイ上の台座に固定するためのボルト

Vブレーキ:走る前のチェックポイント3点

ブレーキは自転車に安全に乗るために重要なパーツです。走行前のチェックは忘れずに行いましょう。
チェックポイントは大きく3つ。

  1. ブレーキシューは減ってないか
  2. ホイールのリムとブレーキの間隔が一定か、片効きしていないか
  3. ブレーキレバーを握ったときにゆるくないか、異音がしないか

それぞれのチェック方法を具体的に見ていきましょう。

1. ブレーキシューは減ってないか

ブレーキをかけると、ブレーキシューがすり減ります。ブレーキシューの溝の深さを見て、1mm以下になったら交換しましょう。

使用半年、溝の深さが2mmほどに減ったブレーキシュー

特に雨の中での走行は、ブレーキシューの減りが早くなります。まだ使えるかなと思っても、念のため早めの交換をおすすめします。

走行後のメンテナンスでは、ブレーキシューの溝に異物が挟まっていないかもチェックポイントのひとつ。異物があった場合は、先端の尖ったもので取り除いておきましょう。

→「ブレーキシューを交換する

2. 片効きしていないか

リムの片側だけにブレーキパッドが接触してしまう状態を「片効き」といいます。左右アームのスプリング(リターンスプリング)のバランスが取れていないことが主な原因で、片効きはブレーキシューが偏って摩耗したり、異音の原因になることも。

→「ブレーキの片効きを調整する

3. ブレーキがゆるくないか

ブレーキがゆるくなったと感じたら調整しよう

ブレーキシューが減ってきたり、ワイヤーが伸びたりすると、引きしろが増えてブレーキがゆるく感じることがあります。ブレーキレバーの引きしろがゆるいと感じたら、ブレーキレバーの調整ネジを回してワイヤーのテンションを調整します。

ブレーキシューの交換や簡単な調整は初心者でもできますが、ワイヤー調整や交換などコツがいるようなメンテナンスはショップにお願いした方がよいでしょう。
ブレーキの不具合は重大な事故につながります。簡単な調整でもうまくいかないと感じたら、無理せずショップに持ち込みましょう。

→「ブレーキの引きしろを調整する

ブレーキシューを交換する

ブレーキシューは消耗品です。ブレーキの効きが悪くなったと感じたり、摩耗して溝が1mm程度になったら交換しましょう。

ワイヤーの再調整が必要なケースも
古いシューから新しいシューに交換すると、シューの厚みが変わる分、リムとシューのクリアランスが変わります。ブレーキレバーの引きしろが少なくなり、ワイヤーの再調整が必要になる場合があるので注意。

新しいブレーキシューを用意する

ブレーキシューは大きく2つのタイプに分かれます。ブレーキゴムと取り付けネジ部が一体となっているタイプ、金属製のホルダーとゴム製のシューが別々のカートリッジ式があります。適切なブレーキシューに交換しましょう
ブレーキシューは左右1セットで販売されているので、前後のブレーキシューを交換する場合は、2セット必要になります。

テクトロ RX1適応ブレーキシュー836.12(一体型)
シマノBR-T4010適応ブレーキシューM70R2(カートリッジ型)

ブレーキシューの交換手順

必要な工具:小さめのプラスドライバー、アーレンキー
  1. ホイールがまっすぐはまっているかを確認しておく
  2. フックからリード管を外し*、ブレーキパッドを開く
    Vブレーキを上から見たところ。わかりやすくするため黒いラバーブーツを右にずらしています。リード管(ワイヤー)のパーツがフックにひっかかっていることがわかります。

    リード管(ワイヤー)を矢印の方向へ引き寄せる
    リード管を引き寄せたまま、もう片方の手でアームをホイール側へ押し寄せる(人差し指をフリーな状態にしておく)
    人差し指でアームのフック部分をを下げるように、同時にリード管は上方向へあげる
    フックからリード管(ワイヤー)が外れ、ブレーキパッドが開く

    *)フックからリード管がうまく外れない場合は、ワイヤー調整が必要かもしれません。無理せずショップへ持ち込みましょう。

  3. ブレーキシューを外す
    ブレーキシューを取り付けているナットをゆるめて外します。ブレーキアームの内側と外側にそれぞれワッシャーがあるので、元通りにできるよう向きや順序に気を付けて外しましょう。
    新しいシューを取り付ける際に順番がわかるようにしておこう
  4. 新しいブレーキシューを取り付ける
    ブレーキシューにFORWARD(前)、L(左側)、R(右側)など向きの指定がある場合は間違えないように取り付けます。
    ワッシャー等を元通りの順番にはめ、ブレーキシューをだいたいの位置にナットで仮止めします。
    「(B)シュー固定リンク」がブレーキアーム部分
    Image:SHIMANO
  5. 逆サイドのブレーキシューも同様に交換する
  6. 解放されたブレーキアーチを戻す
    左右のブレーキシューを仮止めしたら、2で外したワイヤーを逆の手順で元に戻します。
  7. ブレーキシューがリムに正確に当たるか確認する
    ブレーキレバーを握って、ブレーキシューがリムにきちんと当たるかを確認します。
    ブレーキシューの適正位置
    ブレーキレバーを握ったとき、リムの上端から1mm程の高さに、リムに対して水平・垂直に当たるようセットします。
    Image:SHIMANO
  8. ボルトを本締めする
    ブレーキシュー本体の位置が決まったら、シューが動かないよう手で押さえながらボルトを本締めします。
  9. ブレーキの偏りがないか確認する
    ブレーキレバーを引いて、ブレーキが偏っていないか確認します。偏っている場合は、「スプリング調整ネジ」を締めたりゆるめたりして調整します。(次項「ブレーキの片効きを調整する」を参考)

ブレーキの片効きを調整する

ホイールがセンターに入っているにも関わらず、ブレーキシューが均等にリムに当たらないときは、センタリングの調整をします。

  1. ブレーキの左右に1か所ずつ付いている「スプリング調整ネジ」を90度ずつ回していきます。
    調整ネジを締める → 隙間が広がる
    調整ネジをゆるめる → 隙間が狭くなる
    (A)がスプリング調整ネジ。(z)は左右いずれも1mm間隔を目安に。
    Image:SHIMANO
  2. 片方のネジを締めたら、逆をゆるめるというように、ネジを回すごとにブレーキレバーを引いてバランスを確認していきます。左右のアームが均等に動き、左右両方のシューが同時にリムに当たるようになったら調整完了です。
    ゆるめすぎてボルトを抜いてしまわないよう注意してください。
    慣れないうちは無理せずに、自転車屋さんに相談しましょう

ブレーキの引きしろを調整する

ブレーキレバー側の調整ネジ

ブレーキの引きしろが増えてきたときは、ブレーキレバーのネジを回して微調整します。
ワイヤーの張りを調整するネジと、固定するネジがあります。

  1. 調整ネジと固定ネジを一緒に回して調整します。半回転ずつ回し、その都度レバーを引いて引きしろを確認します。
  2. グッと引ける感覚*があり調整が完了したら、固定ネジだけを戻して固定します。
    *)明確なポイントはありませんが、少なくとも、2フィンガーでブレーキをかけた時(人差し指と中指でレバーを握った時)、レバーが薬指・小指に当たらない程度までは調整が必要です。カツカツに詰めるのも悪いことではありません。

調整ネジの微調整でうまくいかない場合は、ワイヤー調整が必要になります。ブレーキレバーの調整ネジでの対応の範疇を超えたらショップで見てもらうようにしましょう。

また調整ネジの回し過ぎ(ゆるめ過ぎ)は、レバーから調整ネジが外れる可能性があり危険です。調整ネジのネジ山が1cm以上見えるようなら、無理せずショップへ。

おわりに

今回は構成が単純で調整のしやすいVブレーキのメンテナンス方法をご紹介しました。ブレーキに不具合があると大変危険なので、うまくできない場合は無理せずに自転車屋さんに相談してくださいね。

監修:サイクルアシスト オオバ 大場忠徳
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