スポーツバイクにヘルメットは必須? 自転車の法律に関する疑問を弁護士が解説

スポーツバイクに乗るとき避けて通れないのが法律問題。街中を走るときは道路交通法を守らねばなりませんし、万が一事故に遭ってしまったら賠償問題も出てきます。

今日はけんたさんがサイクル弁護士の萩原さんとZwiftしながら、「ヘルメットを被ってないと捕まっちゃうの?」など、自転車に乗るときのルールや法律に関する疑問について聞いてみました。

サイクル弁護士 萩原さん

サイクル弁護士はぎわらさん
サイクル弁護士萩原さん

萩原さんは自転車専門というわけではなく、民事から刑事まで幅広い分野を取り扱っています。

もともと街乗りでマウンテンバイクに乗っていた萩原さん。ロードバイクに替えてからは最初にFELT、現在は2台目のCannondale CAAD12に乗っており、サイクリングを楽しんでいるそう。法律はもちろん自転車にも詳しい弁護士さんです。

Zwiftとは

新型スマートトレーナー「H3」
新型スマートトレーナー「H3」

『Zwift』とはゲーム形式のサイクリング・ランニング・トレーニングプログラム。世界中の参加者が仮想世界の中でトレーニングしたり、競争したりすることができます。

スマートローラーを使うと斜度が反映されてギアが重たくなったり、集団になると真ん中の方は後ろの方が風よけで疲れにくくなったり、リアルな感覚を味わえることが特徴です。

 
驚異の1000W超え ※左上の数値。ペダリングのパワーになります。
驚異の1000W超え
※左上の数値。ペダリングのパワーになります。

教えて!萩原さん

今回は自宅にいるけんたさんが、35km離れた場所にいる萩原さんに、ヴァーチャルでロンドンの街中を走りながら、自転車の法律に関する疑問について聞いてみました。

ヘルメットしないと警察に捕まりますか?

ヘルメットしないと警察に捕まりますか?

けんたさん「今僕のアバターはヘルメットしていないんですよ。普段は被ってるんですけど。ヘルメットをしていないと警察に捕まりますか?」

萩原さん「実は法律上はヘルメットは義務ではありません。なのでヘルメットしていないからといって捕まるとか罰金とかはないです。ただし、子供の場合は例外的に親が付けさせる努力義務があります。」

 

平成20年6月1日の道路交通法改正により、幼児および児童(13歳未満)に対するヘルメットの着用努力義務が施行されました(道路交通法 第63条の10)。これにより、保護者の方がお子様を自転車に同乗させる、もしくは、お子様自身が自動車を運転する際、ヘルメットを着用するように努めなければなりません。
※命にも関わることなのでヘルメット着用をおすすめします。

自転車は歩道を走ってもいいんですか?

けんたさん「スポーツバイクを始めたばかりだと車道を走るのは怖いので、歩道を走りたいときもあると思います。僕もやむを得ない場合は歩道に一旦入って車道に戻ることがありますが、そういうときはどういう風に走るのが正解なんでしょうか。」

萩原さん「まず大前提として自転車は軽車両なので、車道を走るのが原則です。」

 

例外として歩道を走ってもいいのは

  • 歩道に「普通自転車歩行通行可」の標識などがあるとき
  • 13歳未満の子供や70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が普通自転車を運転しているとき

あとは包括的な例外規定として「やむを得ない事由がある場合」

  • 道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行することが困難な場合や自動車などの交通量が多く、接触事故の危険がある場合など通行の安全を確保するためやむを得ないと認められるとき

これらの場合に、一応車道を走ってもいいということにはなっています。ただし歩行者優先なので、歩道を走る場合は徐行でいつでも止まれる速度を心がける必要があります。

自転車同士の事故の過失ってどうなりますか?

けんたさん「事故は起きないのが一番いいんですけど、起きてしまった場合、車と自転車だったら車の方が過失の割合が多くなりますよね。では、自転車同士の事故の場合、過失の割合ってどうなりますか?」

萩原さん自転車同士の事故の状況によって変わります。自動車と同じで交差点だったらどっち優先の道路か、逆走しないでまっすぐ走っているか、前方不注視があるかないかなどによって決まってきます。」

けんたさん「車同士が自転車同士になったのと変わらないということですね?」

萩原さん「ちょっと違うのは車の事故って今までデータの蓄積がもの凄く多いので、事例が細分化されているんですよね。こうなった場合は何対何とか。でも自転車同士の事故で裁判まで行き、判例が残っているものはそんなに多くない。車の事故の時よりも過去のデータが少ないので、自転車事故の方が振れ幅はあるかもしれません。」

自転車のライトは点けないと違反ですか?

Zwiftでは夜になるとライトが点きます。 リアライトもちゃんと点いています。
Zwiftでは夜になるとライトが点きます。リアライトもちゃんと点いています。

萩原さんライトは義務ですね!道路交通法で決められていますので。前と後ろも。危ないですから。」

けんたさん「つけないと警察に捕まっちゃうもんなんですか?」

萩原さん「無灯火は捕まります。少なくとも刑事罰の対象になる。夜間に無灯火で走行することは本当に危険です。民事の場面においても当然に過失として評価されます。あと実際の問題として、警察の人は無灯火の自転車を見つけると結構すぐ職務質問をするので、時間をとられるのが嫌だったらつけた方がいいですね。やましいことがなくても時間が掛かっちゃいますから。」

けんたさん「ちなみに萩原の愛用しているライトは?」

萩原さん「フロントがガシロン。本当に明るくてすごくいいです。リアライトはドライブレコーダー搭載のCycliq Fly6をつけています。」

自転車にもドライブレコーダーは必要?

けんたさん「ドラレコって車につけてると事故のとき証拠映像として見せられますが、自転車もしっかり映像を撮っておいた方が裁判の証拠としては結構有力な材料になりますか?」
萩原さん絶対にあった方がいいです。あるのとないのだったら絶対にあった方がいい。自分が不利な証拠にもなることもありますが、争いになると結構大変なので。」

自転車保険には入ったほうがいいですか?

萩原さん絶対入ったほうがいいですね!まず相手方への賠償に備えてということがひとつ。傷害の金額が膨れ上がったりするので。相手が高齢者の場合だったり、そうでなくても亡くなったりしたらちょっともう自分で払える金額ではないので備えておかないと。」

けんたさん「ちなみに金額感は?」

萩原さん「8000万、9000万の事例も出ていますので*。1億円くらいの賠償保険は入っていた方がいいですね。」

*)過去の自転車事故の事例では賠償金9500万円の支払いが発生しています。

萩原さん「あとは弁護士費用特約があれば入っておいた方が良いですね。事故の時の弁護士費用が出るってやつです。」

けんたさん「示談代行サービスですか?」

萩原さん「示談代行サービスと弁護士費用特約はちょっと違うんですけど、弁護士費用特約がついていれば費用の心配をせずに弁護士に交渉を任せられるので楽です。損害が小さかったら弁護士費用の方が高くなってしまいます。その点でも入れておいた方がいいですね。」

 

示談交渉代行サービスと弁護士費用特約の違い:
加入している保険に示談交渉代行サービスの特約がついていれば、相手との示談交渉を保険会社がしてくれます。ただし、被害者に過失のないもらい事故については、示談交渉代行サービスを利用することができません。

弁護士費用特約を利用すれば、もらい事故の場合でも弁護士に交渉を依頼することが可能です。損害額が小さいときも、費用の心配をせずに弁護士に依頼できます。弁護士は依頼者の最善の利益を図ることが任務ですので、保険会社の担当者に任せるよりも示談交渉を有利に進めやすくなることもメリットです。

自転車に乗る時気をつけることは?

萩原さん「信号とか標識とか停止線は絶対守らないと不利になるのは間違いないですね。グレーじゃないところは守らないと。」

けんたさん「普段から気をつけることってありますか?」

萩原さん「自分が乗ってて気になるのは、みんな停止線を守らないじゃないですか。軽車両なので停止線を越えると信号無視での交差点侵入の扱いになるので、それだけで過失割合がガラッと変わります。2メーター、3メーターにそれだけの価値があるのか、よく考えたほうがいいなぁと思いながら見ています。」

※「車がいないから」「まぁ大丈夫でしょ」みたいなことが、意外に大問題につながりかねないので注意が必要です。

サイクル弁護士はぎわらさん

弁護士さんと言えば、なるのが難しい職業のひとつですよね。動画ではけんたさんが萩原さんに

  • 弁護士さんになろうと思ったきっかけは?
  • 弁護士さんって儲かりまっか!?
  • 法定で異議あり!って言ったことありますか?

などの質問をしていたり、Zwiftでスプリント体験したりしています。現実世界で全力疾走できる機会って意外に少ないもの。興味のある方は、ぜひ動画をチェックしてみて下さい。

 

本日のゲスト:萩原 崇宏 弁護士
まだ自転車保険に加入していない方はこちらから

取材協力:ワイズロード

FRAME編集部

WRITTEN BYFRAME編集部

FRAME編集部はロードバイク、MTB、ミニベロ、トライアスリートなど、全員が自転車乗りのメンバーで構成されています。メンテナンスなど役立つ情報から、サイクリングのおすすめのスポット情報、ロードレースの観戦まで、自転車をもっと楽しくするライフスタイル情報をお届けします。

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