ストライダー カスタム【サドル・シートポスト編】〜蹴りやすく・乗り心地を快適に〜

ストライダー カスタムの豊富な経験を持つ筆者が、カスタムの効果やおすすめパーツを紹介する連載企画。第三弾となる今回は、サドル・シートポストのカスタムがテーマです。

まずはじめに「ストライダーに楽しく乗れる、一番の秘訣」は、乗っている時におしりが痛くならないこと。そして、蹴りやすい形状のサドルは「速く走らせるために必要なアイテム」です。サドル・シートポストをカスタムするときのポイントとオススメなものをご紹介したいと思いますので、ぜひ参考にしてください。

サドル・シートポストのカスタムの位置づけ

サドル・シートポスト

ストライダー カスタムの人気が、ますます盛んになってきました。カスタムパーツも数多くの種類が出揃っており、どれを選んでいいか悩みますね。

どんな乗り物でも、ポジショニングは非常に大切です。例えばクルマに乗った時、座席の位置を最初に調整しますよね。つまり、サドルとシートポストのカスタムは、最初に手をつけて欲しいカスタムと言えます。

「レースで良い成績を収めたい」「ストライダーを誰よりもカッコよくしたい!」レースに出る・出ないにかかわらず、乗りやすいサドルにカスタムすることは「お子さんのやる気アップにつながる」ことでしょう!

サドル・シートポストをカスタムする効果は?

モリワキエンジニアリング カスタムのストライダー

「ストライダースポーツ」「ストライダープロ」の純正品であるパフォーマンスシート《ワイドタイプ》は、座面のクッション性が以前のものより格段に向上しました。簡単に言えば、お尻が痛くなりにくくなっています。しかしストライダーは、蹴って走る必要があるため、このワイドな形状だとサドルの横の部分が邪魔になってしまい、しっかり最後まで後ろに蹴ることができません

ストライダー 純正品のパフォーマンスシート《ワイドタイプ》

そして「ストライダークラシックモデル」や純正カスタムパーツの【12インチ用】カラーシートは、座面が固いプラスチック製で、クッション性がほとんどありません。これではお尻が痛くなって「もう乗りたくないって!」となってしまうかもしれません。まだストライダーに乗り慣れてない頃は、お尻の痛みを感じやすい傾向があるようです。レースに出る方なら、軽量化も考えないといけませんね。

ストライダー 純正品のカラーシート&シートポスト(全7色)

これらを改善するために行うのが、サドル・シートポストのカスタムであり、レースでは走りに適したものが、より多く使われています。これらのカスタムは「非常に、大きな効果がある!」と断言できます。

サドルをカスタムする

ストライダー カスタム例

サドル カスタム 3つのポイント

1.ナロー化(横幅が絞り込まれたタイプにする)
2.クッション性の向上
3.カチ上げ(後ろの部分が跳ね上がってる形状を選ぶ)

1.ナロー化する

サドル幅が狭い「ナロータイプ」を選んだ方が「より速く蹴って進む」ことができます。下の写真を見ると、脚を前後に動かしても、邪魔にならない形状をしているのがよくわかりますね。

ナロー化されたサドル(2点ともOCFさんのもの。左が現行品)

2.クッション性を向上させる

次に重要なのが「クッション性が高い物を選ぶ」ことです。先ほど述べましたが、これも大事なポイントになります。

うちの子もサドルの硬さに敏感で、純正品は嫌がって乗ってくれませんでした。その後カスタムしてからは、1日中乗るようになっています。これだけでも「すごく大きな、カスタム効果があったな」と感心してしまったほどです。

3.「カチ上げ」タイプを選ぶ

サドル選びでは、後ろが跳ね上がった形状「カチ上げタイプ」も意識して欲しいポイントになります。走っている時、お尻が後部に滑っていかないようにするためです。

安定したポジションで乗ることは、操作性の向上だけでなく「蹴ったチカラを、効率よく推進力に変える」という、大きな効果があります。滑らないように、サドルにノンスリップテープを貼っている方も見受けられます。

ナロー化されたサドル(2点ともOCFさんのもの)

※豆知識
以前、ナローサドルは一つひとつ技術屋さんの手で、熱を加え精魂込めて作られていました。しかしこれではコストが上がってしまい、購入する側もそれを作る側も大変です。最近になって、型でナロー化されたものが販売されるようになり、価格がだいぶ安くなりました

しかし1点だけ気になるのが、クッション性の低下です。コスト削減の影響もあるかと思いますが「クッションが薄くなったことで、以前より硬くなってしまった」印象があります。そんな理由で、うちは今でも手作りタイプ(旧型)を愛用しています。

しかし「ランバイクパンツ」というものがこの世に出てからは、クッション性が少々悪くても、厚手のパッドが入っているので、お尻が痛くなることはありません。「求められるモノは、変わっていく」んですね。

ZBF ランバイクパンツ

ZBF ランバイクパンツ
価格:税込6,820円

ランバイク専用に開発された、フィット感抜群のパンツです。
従来のサイクルパンツとは違い、専用設計のパッドを前面にまでつけることにより「股ずれを防ぎ、最高のパフォーマンスを提供」してくれます。

タイヤの高い空気圧による衝撃にも耐え、お尻の悩みを解決してくれる大人気のアイテム。お子さんが快適にストライダーに乗れて、長時間楽しんでくれたら嬉しいですよね。

特徴
  • 動きやすく、履きやすい!ランバイクのために作られた立体縫製
  • パッドをランバイク専用に開発
  • 水にも強く、速乾性あり!伸縮性と耐久性のある素材を使用
  • UVカット効果も期待できる
Size

胴囲 45cm~60cm
身長 90cm~120cm

ZBF ランバイクパンツをZERO BIKE FACTORYで見る

シートポストをカスタムする

シートポスト カスタム 2つのポイント

1.強度
2.軽量化

ストライダー カスタムにとって「安全性と軽量化は、最も大切な要素」です。例えば、シートポストが折れてしまっては、怪我につながります。また、加速やスタート時のアドバンテージになるのが「軽さ」。車両重量が重いと、ストライダーレースにおいて不利になってしまいます。

純正のシートポストは、重いスチール製(鉄)。速くするためのカスタムでは、できるだけ「スチール製の使用は避けたい」ものです。

それではここで、材質について少し勉強してみましょう!

図① 材質による比重(重さ)の違い(g/cm³)
図① 材質による比重(重さ)の違い(g/cm³)

図①は、比重を表しています(水が基準です。1より大きいと沈みます)。
同じ体積で比較した場合、比重が大きいほど重くなります。

これをみると、アルミは鉄に比べて1/3、カーボンだと鉄の1/4の軽さです。
アルミでも十分軽量化できますし、カーボンだと笑っちゃうくらい軽くなります。

しかし、これは単に比重での比較であり、製品としての比較は比強度等が関係してくるので、あくまで目安としてください。

図② 材質による引張強度の違い(MPa)
図② 材質による引張強度の違い(MPa)

次に考えたいのが、強度です。図②を見ると、先ほどの重さ(図①)とは違った傾向になっています。T800カーボン*は、鉄やアルミと比べて5倍近い強度を持ちます。カーボンは、軽さだけでなく、強度もあることが分かりますね。
これが「カーボンは軽くて強い、最強の材料」と言われるゆえんです。

但し、カーボンは衝撃にとても弱いので、要注意!クラックが入りやすく、折れやすい性質があるためです。参考までに、アルミ合金もある程度は大丈夫ですが、無理やり力を加えると、しならずに折れてしまいます。

シートポストの材質は「最低でもアルミ、欲を言えばカーボン」にするのが、よりレーシングなカスタムとなります。しかしながら、カーボンは製造コストの関係で、アルミよりも高価なことが悩みどころです。

また、カーボンと言ってもピンキリで「強度がないカーボン」もあります。中華製などは、どんなカーボン素材を使っているかが、いささか不明なものもあります。「製品安全を第一」に考えているメーカーの製品を購入することをおススメします。

*T800カーボンは、世界をリードする日本の炭素繊維メーカー「東レ」の商品です。航空機にも使われている高密度なカーボンで、輸出するには経済産業省の許可が必要なほど、カーボンの中でも高品質なものになります。繊維が細かいほど、強く、耐久性や靭性がアップします。T800カーボンは近年、国内メーカーによりランバイクにも使われ始めており、今後が注目される素材です。

おすすめのサドル

OCF(オーシーエフ) Narrow Saddle(ナローサドル)

価格:税込3,630円

知る人ぞ知る「OCFナローサドル」です。OCFはオーシャンプロダクツが展開するブランド。ナローサドルの「元祖」としても知られています。幾度となく改良が加えられ、上記の写真は今現在売られているものになります。

クッション性が良く、そして何より「形状そのものが素晴らしい」の一言に尽きます。
ナロー化やカチ上げなど、どれをとっても申し分がありません。
オプションで、跳ね上げ角度が選べるのも興味深いですね!

付属品:M6ボルトナット
※類似品や模造品が出ているようですが、本物はシリアルナンバーが入っています。

OCFナローサドルは、自転車やビッちゃんのほか、全国のストライダーパーツのお店で購入可能です。

OCF ナローサドルをZERO BIKE FACTORYで見る

おすすめのシートポスト

OCF AL Seat Post(アルミ シートポスト)

OCF AL Seat Post
価格:税込3,080円

アルミ製のシートポスト。純正の鉄製シートポストの重量<204g>に対して、こちらのアルミ製のシートポストは、重量が<74g>になります。ものすごい軽量化です。
アルミでも軽量化は、十分と言えますね。
※重さは製品のばらつきがあるため、平均値です。

OCF アルミ シートポストを自転車屋ビッちゃん web shopで見る

OCF Carbon Seat Post(カーボン シートポスト)

OCF Carbon Seat Post(カーボン シートポスト)
価格:税込6,270円

こちらは、カーボン製のシートポストです。泣く子も黙る、高品質なシートポストになります。
重さは、上記のアルミ製に対して10g軽い、64gとなっています。10gしか変わらないのではなく「10gも変わる」と言ってよいでしょう。
※重さは製品のばらつきがあるため、平均値です。

「軽量化は全体で考える」ことが重要で、一つひとつの積み重ねです。しかし、お値段が倍以上するので、お財布と相談ですね。

この商品に、取付穴はあいていません。サドル側の穴に合わせて、加工する必要があります。J4系は5mm、スポーツとクラシック、NEWプロは6mm、それ以外は、4mmのドリルで穴あけをしてください。穴あけを希望する場合は、サドルをお店に送ると、加工してくれるようです。

ロゴの色:白とピンクの2種類

OCF カーボン シートポストを自転車屋ビッちゃん web shopで見る

おすすめのセット

OCF Narrow Saddle & Carbon Seat Post
価格:税込11,550~12,100円

ナローサドルとカーボンシートポストのセットです。

加工する手間がなく取付け済なので、すぐに使用できます。シートポストのカットが必要な方は、カット済を選択し、備考欄にカット後の長さを記入すると、有償ですが切断してくれます。かなり長いので、切断した方がよいでしょう。

シートポストのロゴの色:白とピンクの2種類

OCF ナローサドルとカーボン シートポストのセットを自転車屋ビッちゃん web shopで見る

注意するポイントは?

ストライダー

サドルをシートポストに取り付ける際は、カスタムメーカーやストライダーの種類によって「締め付ける穴径がまちまちのため、加工が必要」になります。

電動ドライバーや穴径に合ったドリルの刃を持っていれば問題ありませんが、揃えるとなると初期投資がかかってしまいます。この場合はお店に頼むか、DIYのプロにお願いするという選択肢もあります。安上りで、品質もいいと思います。

でも自分で挑戦することは、とっても楽しいですよね。加工する際は、慎重に勇気をもってトライしてみて下さい!

購入する前に確認すること

  • サドルには穴があけられていて、固定するボルトが付属しているかに注意する。
  • シートポストは、穴があいていないものがあるので注意してください。
    ※加工が必要になります。
  • ストライダーのシートポスト径は「φ22.2」です。これにも注意です!
    ※ストライダー専用の商品なら問題ありません。

購入後に注意すること

  • シートポストは、脚の長さによってサドルの高さを変えるため、あらかじめ長く作られています。お子さんに合った長さに、思い切って切断してください。
  • カーボン製品は、クランプを締めすぎると折れる原因になります。トルク管理に注意して、調整して締めるようにして下さい。くれぐれも、締めすぎないこと!

まとめ

今回紹介したもの以外にも、他のメーカからさまざまなサドルやシートポストが発売されています。新しく発売が予定されているものもあるようです。購入する時は「触ってサドルの硬さを確認」してから、買う方がいいでしょう。SNS等(#ナローサドル)でも、情報がたくさん載っていますので、探してみて下さい。サドル周りをカスタムして、お子さんが「より楽しく、より速く」走れるようになるといいですね!

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  1. ストライダー カスタム【タイヤ・ホイール編】~より速く・安全に~
  2. ストライダー カスタム【ステム・ハンドル・グリップ編】~乗りやすく・軽く・頑丈に~
  3. ストライダー カスタム【サドル・シートポスト編】~蹴りやすく・乗り心地を快適に~
  4. ストライダー カスタム【シャフト・スキュアー・ベアリング編】~抵抗を減らし・スムーズな走りを~
  5. ストライダー カスタム【オフセッター、ヘッドパーツ、その他編】~軽快で・心地よいハンドリングを~
  6. 【愛車紹介】ストライダーからレース用ランバイクまで~こだわり抜いたカスタムへの道筋~
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WRITTEN BY"ランバイクカスタム講座"管理人

東京都在住。個人ブログ「Tsuguo Yamaguchiのランバイクカスタム講座」を書いています。自身が所有していたレーサーレプリカNSR250SEをカスタムした経験から、子供用のランバイクも妥協のないカスタマイズをしています。大学で自動車工学を学び、専門分野はエンジンです。二輪・四輪以外にも、ヨットの運転も大好きです。

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