スーリーのサイクルキャリアを紹介|各モデルの違いや注意点を解説!

スーリーサイクルキャリア

サイクリングロードを探す旅や遠征をしたいときに活躍するサイクルキャリア。自転車は車内に積むこともできますが、「車内に持ち込むのは抵抗がある」「車内を狭くしたくない」と思う人もいるでしょう。

サイクルキャリアに自転車を積載すれば自転車の汚れを気にする必要もなく、後部座席を倒してベルトで固定して……といった手間もかかりません。

今回は、高い品質を誇るスーリー(THULE)のサイクルキャリアを紹介します。さまざまな製品があるので、あなたの自転車にぴったりの製品を見つけましょう。

スーリー(THULE)とは?

スーリー(THULE)
Image:THULE

スーリーは1942年に創業されたスウェーデンの企業です。創業当初は漁具などの金属製を加工販売していましたが、カーレジャー需要の高まりを受けて金属加工技術を生かしたカーキャリア製品を製造するように。これが今日のスーリーのカーキャリア部門につながりました。

1980年代には日本にも輸入されるようになり、1997年にはスーリージャパン株式会社を設立。現在はカーキャリアを中心としたアウトドアギアを扱うブランドと認識されています。

各種キャリアやルーフテントといったクルマに搭載するアイテムを扱う一方、ジョギングでも使える大口径車輪を採用したベビーカーも。さらにそのベビーカーをサイクルトレーラーとして親子でのサイクリングを可能にした製品や、自転車用チャイルドシートなども販売しています。

また金属加工技術以外の製品も製造しており、レジャーで使えるバックパックやトラベルパックなども扱うようになり、今ではノートパソコン用バッグも登場。スーリーのアウトドア志向は健在であり、その信念はサイクルキャリアにも活かされているのです。

THULEサイクルキャリアの種類は3つ

さまざまな製品を展開しているスーリーですが、今回は「サイクルキャリア」にスポットをあててみます。クルマへの積載方法によって各種スタイルがあり、大きく分けると「ルーフマウント」「トウバーマウント」「リアドアマウント」の3種類に大別できます。

➀ルーフマウント型

ルーフマウント
Image:THULE

クルマの屋根に積載するスタイルが「ルーフマウント型」です。考え方としてはルーフボックスなどと同じであり、取り付け土台となるベースキャリアを設置して、そこにサイクルキャリアシステムを取り付けます。

サイクルキャリアを2つ用意すれば自転車2台を左右に並べて搭載でき、ツーリング仲間と一緒に出掛けることも可能。タイヤホイールやフレームなどにしっかりと固定でき、見た目以上に安定感があります。

しかしクルマの屋根まで自転車を持ち上げる必要があるので「車高が高いクルマに乗っている」「車に足をかけるステップがない」という人は、折り畳み式の脚立があると便利でしょう。

②トウバーマウント型

トウバーマウント
Image:THULE

トウバーマウント型はクルマの牽引装置である「トウバー」や「ヒッチメンバー」にサイクルキャリアを装着する積載方法です。自転車を積載する部分がリアバンパー付近の高さになるので、自転車を高く持ち上げる必要がなくて楽に積み降ろしできます。

複数台を積載できることも魅力で、スーリーのトウバーマウント型サイクルキャリアであれば最大4台まで対応。重量がある電動自転車を積載したい人にも最適です。装着したままトランクが開閉できる可変式もラインナップしています。

トウバーやヒッチメンバーなどの牽引装置を別途車両にとりつけることが必要になりますが、低い位置で自転車を積載できることは大きなメリットです。ルーフへのアクセスが難しいクルマにオススメのサイクルキャリアといえます。

➂リヤドアマウント型

リヤドアマウント
Image:THULE

リアドアにサイクルキャリアを装着して自転車を積載する方法で、ベースキャリアやトウバーがなくても取り付けが可能です。

欠点としては取り付けできる車両が限定されること。多くの国産車はリアプラスチックスポイラー装備のためリアドアマウントは利用できず、リアドアの強度などの制約があります。一見するとリアドアが開きそうに見えるのですが、自転車を積載した状態でリアドアの開閉動作は禁止されています。

積載台数は1~3台まで対応しており、比較的に軽い自転車の積載に向いています。

リアのサイクルキャリアを使用する際の注意点4つ

リアのサイクルキャリア

サイクルキャリアをリアに取り付ける「トウバーマウント型」「リヤドアマウント型」は、道路交通法を守って使用する必要があります。以下の4つに注意しましょう。

➀リアナンバーを隠さない

サイクルキャリアに自転車を積載した状態でリアナンバーが隠れるクルマは、道路交通法の違反となる可能性があります。クルマの後部に取り付けるサイクルキャリアが日本であまり見かけないのは、これが1つの要因といえるでしょう。

ナンバープレートが隠れた場合の対策として「オリジナルの自作ナンバープレートを見える位置に設置する」という方法もありましたが、現在ではこれも違反として扱われています。2016年4月1日よりナンバープレートに関するルールは厳格化され、隠す行為とみなされる曲げ加工や傾け、または著しく汚れている場合も違反となるのです。

②灯火を隠さない

ナンバープレートは明確に見える位置に設置という取り決めがあると同時に、各種灯火類も正しく見える必要があります。

この灯火類というのはブレーキランプ、ウインカー、バックランプ、ナンバー灯、反射板などが該当し、サイクルキャリアに自転車を搭載した状態で隠れるのはNGです。ブレーキを後続車が検知できないと、追突されるリスクも考えられます。

なお、ナンバープレートと灯火が隠れているかどうかの判断は、その現場の責任者や管理者の判断にゆだねられるものであり、数値化されておらず主観による場合が多いです。車検場であれば検査員の判断、道路上であれば警察官の判断とされています。

➂全幅を超えない

クルマの積載には「クルマの横幅(全幅)を超えてはならない」という決まりがあります。ルーフマウント型が自転車をクルマと並行に積載するのに対し、リアサイクルキャリアはクルマと横向きに積載するため、横幅がはみ出すケースがあるのです。

全幅はサイドミラーを含めた幅だと勘違いされることもありますが、実際には含まれていません。走行する上でドライバーが認識している全幅は確かにドアミラーまでなのですが、ドラミラーは格納が可能=全幅が可変になるという構造になってしまうので、正確な数値としては採用されていないのです。

いずれにしてもボディの幅を超えて自転車を積載すると違反になります。走行中に接触するリスクもあるので、ルールを守って正しく使用しましょう。

④全長の10%を超えない

全幅はクルマのボディの幅までという制限がありますが、全長(前後方向)に関しては若干猶予があり「全長の10%まで」となっています。よく見かけるケースとしてトラックなどが長物の荷物を荷台からはみ出す形で積載している場合がありますが、10%までは問題ありません。

どうしても積載制限の範囲からはみ出してしまうという場合は、出発地となる警察署にて「制限外積載許可」を貰うことが可能な場合があります。

サイクルキャリアはルーフマウント型がおすすめ

ルーフマウント

上記のとおりでリアのサイクルキャリアには、さまざまなハードルがあります。一部グレーな部分もあるので、気にせず使用しているユーザーがいるのも確か。とはいえ、「ナンバーが見えずに警察に捕まった」「灯火が見えずに追突された」となってしまっては、楽しいサイクリングも台無しです。

これらを考えてみると、クルマのルーフへの積載が日本の道路交通法には向いているのかもしれません。見た目のインパクトはありますが、思った以上にシンプルな設計となっておりスムーズに積み降ろしできます。

なにより土台となるルーフキャリアが取り外し可能な指定部品であり、そのまま車検を通すことも可能。車検証の記載内容も変更する必要もありません。自動車メーカー側でルーフキャリアのオプションが用意しているぐらいなので、システム自体の認知度が高く公道を安心して走ることができます。

ここからは、スーリーのルーフマウント型サイクルキャリアを見ていきましょう。

THULEサイクルキャリアのルーフマウント型は3タイプ

クルマのルーフ部に自転車を積載する「ルーフマウント型」は、以下の3タイプがあります。

タイヤホイール固定式
➀タイヤホイール固定式
フレーム固定式
②フレーム固定式
フォーク固定式
➂フォーク固定式

Image:THULE

➀タイヤホイール固定式

Thule UpRide 599(スーリー アップライド)

スーリーのラインナップの中で、タイヤホイールに固定できる唯一の製品です。フレームではなくタイヤを挟み込む方式なので、カーボンフレームにも最適。サスペンションやボトルケージが付いたモデルにもオススメです。

前輪は伸縮するフレームで2ヶ所を固定、後輪はラチェット式ストラップで締めれば固定が完了します。キャリア後部には鍵で引き出せるワイヤーが内蔵されており、施錠が可能です。大切な自転車の盗難防止機能も備えています。

フロントロック機構の関係で左右非対称デザインですが、各パーツそのものはリバーシブル仕様となっているので、分解して組み変えれば左右どちらからでも積み降ろしが可能。ベースキャリアはTトラックと呼ばれるレールを採用した物となり、スクエアバータイプなどに固定する場合は別売りのアダプターを用意しましょう。

  • 最大重量:20 kg
  • 最大タイヤ幅:3 インチまで(別売りのファットバイクアダプターTH5991で5インチまで対応)
  • 最大ホイールサイズ:29 インチ
  • 最大ホイールベース:1,300 mm
  • 本体重量:7.7 kg
  • メーカー価格:48,400 円(税込)

②フレーム固定式

Thule FreeRide 532(スーリー フリーライド)

ダウンチューブを左右から挟み込むタイプのサイクルキャリアで、クランプレバーにはロック機構があり、固定と同時に施錠が可能。別売りの「Wheel Strap Locks」をベルトストラップに装備すれば、盗難防止の効果がアップします。

後輪タイヤの固定はクイックリリース式のベルトストラップとなっており、ベルトを締めるだけで完了。解除はスイッチを押すだけで行えます。

ベースキャリアへの固定は、Tトラックとスクエアバーの両方に対応。それぞれに合わせてアダプターを付け替えるだけで装着できます。本体重量も3.5㎏と軽量なので、クルマへの取り付け作業も楽に行えるでしょう。

  • 最大重量:17 kg
  • 最大タイヤ幅:3 インチ
  • 最大ホイールサイズ: 29インチ
  • 最大ホイールベース:1,245 mm
  • 本体重量:3.5 kg
  • メーカー価格:16,500 円(税込)

Thule ProRide 598(スーリー プロライド)

一番人気だった「ProRide 591」の後継モデルで、2016年に発売されました。大きく変わったのは、トルクリミッターによるフレームホルダーの締め付け調整。適切なトルクになると締め付けダイヤルが空転するので、フレームを確実に固定することができます。

ダイヤル形状も591では一本のバーだったのに対し、598では三又形状に改良されて回しやすくなりました。タイヤを固定するベルトストラップはラチェット機構で、左右に動きにくい斜め掛けに変更。ホイールトレイも安定感が高くなるように再設計されています。

左右の付け替えも容易な構造となっており、各パーツは付属のキーで固定されているため工具は不要です。12年ぶりのモデルチェンジで強度や安定感が増しており、完成度の高いサイクルキャリアといえます。

  • 最大重量:20 kg
  • 最大タイヤ幅: 3インチ(別売りのファットバイクアダプターTH5981で5インチまで対応)
  • 最大ホイールサイズ:29 インチ
  • 最大ホイールベース:1,235 mm
  • 本体重量: 4.2 kg
  • メーカー価格:30,800 円~(税込)

➂フォーク固定式

Thule OutRide 561(スーリー アウトライド)

前輪タイヤを外してフォークに固定するタイプは、フレームへの接触がないサイクルキャリアとしてニーズがあります。高価なカーボンフレームを運搬中に傷めることリスクがなく、積載時の高さを低く抑えられることもメリット。タイヤの取り外しに手間はかかりますが、自転車の積み降ろしは楽になります。

OutRide 561はレバーによるクイックリリース式を採用しており、レバーを倒すだけでフォークの固定が可能。ディスクブレーキやブレーキキャリパーがあるフォークも積載できますが、レバーの力で挟み込む構造なのでフルカーボン製のフロントフォークには未対応となります。

キャリアへの取り付けはTトラックに対応しており、ベースキャリアの溝に合わせて取り付けます。アウトライド561は旧式モデルなので、スーリー公式サイトのラインナップからは外されており、現在は流通している在庫のみ購入可能です。

  • 最大重量:17 kg
  • 最大タイヤ幅: 3インチ
  • 本体重量:2.5 kg
  • スルーアスクル:アダプターで対応可(20 mmアダプター付属)
  • メーカー価格:24,200 円(税込)

Thule FastRide 564(スーリー ファストライド)

上記のThule OutRide 561の後継モデルで、2021年6月に販売された新製品です。フロントを固定するフォークは、標準の9mmクイックリリースが取り付け可能。オプションのアダプターを使用すれば9mm~15mmまで対応でき、スルーアクスル用のアダプターも用意されています。

OutRide 561ではレバーによる挟み込み方式でしたが、FastRide 564はトルクリミッター付きのノブを回して締める方式に変更。適切なトルクがなるとノブが空回りして固定が完了したことを知らせてくれます。ディスクブレーキ付きの自転車にも引き続き対応しています。

後部にはワイヤー式ロックが内蔵されており、盗難防止に効果を発揮します。ワンランク上の本格的なサイクルキャリアが欲しい人にオススメの製品です。

  • 最大重量: 18 kg
  • 最大タイヤ幅:3 インチ
  • 最大ホイールサイズ: 29 インチ
  • 最大ホイールベース:1,250 mm
  • 本体重量:3.3 kg
  • スルーアスクル:アダプターで対応可
  • メーカー価格:37,400 円(税込)

Thule ThruRide 565(スーリー スルーライド)

標準で12mm~20mmまでのスルーアクスルに対応するサイクルキャリアです。付属のアダプター使用すれば9mmのクイックリリースに対応可能。キーロック機能がないので、盗難が心配な人はオプションのロック付きアダプターを装備しましょう。

ディスクブレーキ付きの自転車にも対応していますが、カーボン製のスルーアクスルシャフトには固定できません。ThruRide 565は旧モデルなので、流通している在庫のみ購入できます。

  • 最大重量: 17 kg
  • 本体重量:2.7 g
  • スルーアスクル:対応
  • メーカー価格:46,200 円(税込)

Thule TopRide 568(スーリー トップライド)

上記のThule ThruRide 565の後継モデルで、前途したFastRide 564と同時期に発売された新製品です。

フロントの固定は9〜15mmのスルーアクスル、もしくは9mmのクイックリリースに対応しています。自転車を地面に置いてフォークアダプターを装着すれば、サイクルキャリアの指定位置にはめ込むだけで簡単かつ確実に積載できます。

降ろす際はリリースレバーでスピーディに脱着が可能。スマートに積み降ろしできる点が大きな魅力です。素早い固定ができるようになった反面、フロント部にはロック機能がありません。施錠にはサイクルキャリア後部にあるワイヤーロックを使用しましょう。

  • 最大重量:18 kg
  • 最大タイヤ幅: 3 インチ
  • 最大ホイールサイズ: 29 インチ
  • 最大ホイールベース: 1,250 mm
  • 本体重量:3.5 kg
  • スルーアスクル:対応
  • メーカー価格:50,600 円(税込)

ルーフマウント型の取り付けには「ベースキャリア」が必要

スーリーベースキャリア
Image:THULE

スーリーに限らずルーフマウント型のサイクルキャリアは、クルマのルーフに「ベースキャリア」がないと取り付けできません。スーリーではサイクルキャリアの装着にスーリー製のベースキャリアを推奨しています。

ベースキャリアがあるとルーフボックスやサーフボードをはじめ、スキー板、スノーボードなども積載可能。自転車以外にも活用できます。

Thuleのベースキャリアはラインナップが豊富に用意されています。自分のクルマに合う製品を選ぶ必要があるので、気になる人は以下を参考にしてみてください。

  • Thuleベースキャリアの車種適合はこちらより

ベースキャリアガイド(Thule公式サイト)

Thuleサイクルキャリアのよくある質問Q&A

ルーフに自転車を積むときの高さは何メートルまで?

積載時の高さ制限は軽自動車で「2.5m」、普通車を含むそれ以外は「3.8m」となっています。どうしてもオーバーしてしまう場合はフォーク固定式のサイクルキャリアがオススメで、高さを抑えることが可能です。

通常の自転車においては地面より一番高い位置となるのは、ハンドルもしくはサドルになります。この状態からフロントタイヤを外すとハンドルの位置が大きく下がり、さらにサドルも外すと一番高い部分をリアタイヤもしくはサドルの取り付け部にすることができます。

カーボンフレームやカーボンホイールでも大丈夫?

THULEではカーボンフレーム対応アダプターやトルクリミッターによって対応されています。カーボンフレーム・ホイールはモデルにより強度が異なるため、THULEではサイクルキャリアに積載してよいかどうかをサイクルメーカーに確認することを推奨しています。

走行中に自転車が落下しないか心配

スーリーは品質に高い定評があります。過酷なテストも行っており、正しく使えば落下する心配はありません。

“Thuleが一番大切にしていること ― ユーザーの皆様の安全、そして周囲の人々の安全を守るために実施している

引用元:Thule Test Center™

  • 「Thule Test Program – Bike」1分15秒

まとめ

日本は都心以外で自転車専用通行帯の整備が進んでおらず、狭い国土ゆえの道路事情もあって自転車が走りづらい環境でもあります。ただ交通量の多い場所を避ければ安全に走りやすくなり、なおかつ景色も良い場所も楽しめるでしょう。

良くも悪くもクルマ社会となっているので、逆にクルマを活用することで自転車での活動の幅が広がるといえそうです。

スーリーならサイクルキャリア以外のキャリアシステムとの併用も可能で、サイクリング以外のアウトドアシーンでも活躍してくれます。スーリーのサイクルキャリアを導入して、快適なサイクリングをお楽しみください。

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WRITTEN BYamarunba

1987年生まれ。養成学校卒業後、一級自動車整備士としてディーラーに勤務。病気を理由にディーラー退職後は、稲作をしながら2015年よりフリーライターとして活動を開始。自動車関連以外では趣味であるクワガタの採集と育成、PCゲームおよびゲーミングPC関連の記事も執筆中。

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