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能登半島は自転車旅の真髄を味わえる。神楽坂つむりさんが行く北陸堪能ライド

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石川県北部に位置する能登半島。東京や大阪から乗り換えなしでアクセスでき、数多くの景勝地に独自の文化、温泉やグルメなど名所が満載のエリアです。

サイクリストなら自転車で能登半島を一周する「能登イチ」というワードを耳にしたことがあるかもしれません。半島と聞くと、美しいながらも同じ景観が続き、どうしても単調なライドになるイメージがありませんか?

自転車ブロガー神楽坂つむりさんいわく、「能登半島はシームレスに移りゆく景観こそ魅力、気付いたら『さっきまでいた場所と全然違う』体験ができる」のだとか。そんなつむりさんに「自転車で巡って感じる能登半島」を案内してもらいましょう。

能登半島は自転車「旅」を楽しめる

能登半島は石川県の北部に位置している日本海に飛び出した半島です。日本海側に突出した半島の中では最大のもので、実際に訪れてみるとその大きさに驚きます。

半島全体の割合的には平野部は少なく、南北それぞれに丘陵地帯が広がっており、海沿いを除けば標高200〜500m程度の場所がたくさんあるのが特徴です。

とはいえ半島全体が広いので実際に走っていると平野部もそれなりに多く、また南部についてはこの平野部に道路が通されているので、過度にアップダウンがあるわけではありません。奥に行けば行くほど地形が複雑になり、アップダウンも多くなっていく印象です。

能登半島に訪れたからには是非とも一周にチャレンジしていただきたいところです!

 

また、能登半島はその美しい自然や文化等が評価され、2021年に「能登の里山里海」が世界農業遺産に認定されています。

 

世界農業遺産とは

世界的に重要な農業地域を残すことを目的に、国連食糧農業機関(FAO)主導で2002年よりスタートしたもの。伝統的な農林漁法、伝統技術、農村文化や景観、生物多様性などを構成要素とした「地域システム」を認定、保全することを目指しています。

 

海沿いを走るもよし、内陸部を走るもよし。そしてただただ走るだけではなく「旅」を楽しむことを強くおすすめします。

能登半島にはここでしか見ることができない名所や、ここでしか食べられないグルメ、さらには文化や体験があり、そのどれもが魅力的です。移動日を除けば2日間、余裕があれば3日間確保できれば理想だと思います。

アクセス:東京・大阪から乗り換えなし! 輪行しやすい

玄関口は金沢駅です。北陸新幹線が開業以来、毎年のように発展を重ねている北陸最大のターミナルステーションであり、この金沢駅周辺だけでも兼六園や茶屋町、市場等があり十分に観光旅行が成立します。

金沢駅までは大阪駅から在来線特急で2時間40分程度東京駅からは北陸新幹線で2時間30分程度で到着します。意外と近いと思われる方もいるのではないでしょうか。

いずれも都心部から乗り換えなしで、ゆっくりと旅情を味わいながら移動することができます。輪行で移動する時にも、乗り換えなしかつハブターミナル駅が始発であるのは助かります。

フル一周? ピックアップ旅? どちらも十分魅力的!

金沢駅から能登半島の最も奥に位置する狼煙(のろし)町までは160km程度です。

ルートによりますが金沢駅からフル自走で能登半島を一周しようとすると350km〜400km程度を見越しておくのが無難です。

が、実際にそこまでガッツリ一周するのではなく、地域毎に分割して旅をしたり、興味があるところだけをピックアップして旅をするだけでも十分に楽しい場所ですのでご安心ください。

金沢駅から能登半島の美味しいエリアまでは距離があります。この区間は電車でショートカットするのもおすすめ!

JR七尾(ななお)線やのと鉄道というローカル路線があり、今回紹介する羽咋(はくい)や和倉(わくら)温泉、穴水(あなみず)といった能登半島の真ん中あたりまで輪行することができます。

私は大阪から一気に和倉温泉まで輪行をして、そこから半周したり、金沢駅ゴールでルートを組んだりと、あえて一周にこだわらずに旅程を組んでいます。

半島だけど単調でない!「シームレスな変化体験」こそ能登半島の魅力かも

先述したように能登半島は広く、それゆえに一言で能登半島と言ってもその表情はさまざまです。

実際に自転車で旅をしていても、その変化を肌で感じることができます。ここに能登半島の魅力がある、個人的にはそう思っています。

2泊3日のような行程でも決して飽きることなく、町から町へ移動するたびに見るもの感じるもの食べるものが変化していく様は、まさに旅そのもの。

道中の景色はシームレスに様変わりして気付いたら「さっきまでいた場所と全然違う!」体験ができます。半島を走るとなるとひたすら海と山で景色は良いものの単調……と言うパターンがよくありますが、能登半島はその心配はありません。

特に印象的だった4つのエリアを紹介します。

①羽咋(はくい)

羽咋(はくい)は能登半島の中でも比較的金沢寄り、金沢駅から距離にして42km程の場所にある街です。特急列車が止まる鉄道駅もあり、このエリアでは中心的な街として発展しています。

羽咋は実際に訪れるまであまりイメージするものがなかったのですが、一度でも訪れるとどんな街か頭の中で綺麗に再現することができます。それくらい印象的な街で、歴史的な建物や、特徴的な観光地、そして日本で唯一砂浜を走ることができる「千里浜なぎさドライブウェイ」など結構な数のコンテンツがそろっていました。

特に有名なのがこの千里浜なぎさドライブウェイ

世界的にも珍しい車やバイク、自転車でも走ることができる全長8kmの「砂浜」です。真横に日本海を望みながら走る直線の砂浜走行体験は唯一無二!

「自転車で本当に走れるの?」と気になる方も多いと思いますが、ちゃんと走ることができます。ただし砂浜と一言で言ってもコンディションは様々。

砂が乾いていて白っぽくなっている場所はズズズ……とタイヤが埋まっていってしまいます。波打ち際もタイヤがハマる原因になるでしょう。

そういった場所さえ避ければ爽快そのもの!よく晴れた日であれば青い海を青い空を全身に浴びながら走行することができます。

注意点としては必ず通行止め情報を確認すること。風が強い日や天候によっては通行止めになることも珍しくありません。必ず通行情報を提供している公式サイトをチェックすることをおすすめします。

その他にも羽咋には古い神社やお寺もいくつかあったり、お菓子の美味しいお店や一風変わったローカルチェーン店など見どころ満載。

気多(けた)大社

祭神の大己貴命は出雲から舟で能登に入り、国土を開拓したのち守護神としてこの地に鎮まったとされています。古くから北陸の大社として知られ、現在は本殿など5棟の社殿が国の重要文化財に指定されているほか、国の天然記念物の社叢「入らずの森」で知られています。

妙成(みょうじょう)寺の五重塔

金栄山妙成寺は、日蓮宗本山の格式をもつ北陸地方の名刹で、永仁2年(1294年)に開山しました。加賀藩前田家から加護を受けて隆盛を極めました。 現存する数々の建造物では書院造と庭園の美しさには定評がありますが、特に五重塔は北陸随一の美しさです。

 

特に個人的に刺さったのがこの「コスモアイル羽咋」。

言うなれば「宇宙博物館」。なんとあのNASA特別協力で造られた施設であり、宇宙に行ったロケットや宇宙服、さらには世界最大・最古の隕石跡である「フレデフォートクレーター」の隕石まで、正真正銘の「本物」を見ることができます。

「イミテーションでは?」と思って軽い気持ちで行ったらそのボリュームと臨場感に自転車旅の途中であることも忘れて夢中になってしまいました。

館内の隅々まで宇宙一色! 技術的にも世界トップクラスのものを垣間見ることができます。興味がある方は是非立ち寄ってみてください!

コスモアイル羽咋

TEL:0767-22-9888 FAX:0767-22-1947
〒925-0027 石川県羽咋市鶴多町免田25番地
OPEN 8:30~17:00(最終入場16:30) 休館日 毎週火曜日(祝日の場合は翌平日)

公式サイト

②輪島(わじま)

輪島(わじま)は能登半島の北部に位置しており、北部エリアでは最大となる中核を担う街です。金沢駅から距離にして120km程の場所ですので、自走で能登半島を楽しまれる場合には、一泊目の宿泊地として最有力候補になると思います(右回り・時計回りの場合)。

 

鉄道は通っていないですが、のと鉄道の終着駅である穴水駅からは22km程度なので輪行と組み合わせればその日中に行き帰りすることも可能です。

輪島で特に有名なのが輪島塗と朝市。山の産物、海の産物を持ち寄り、神社の祭礼日などで物々交換したのが朝市の始まりと言われていますが、輪島の朝市は勝浦(千葉県)、高山宮川(岐阜県)と並んで日本三大朝市に数えられています。

輪島塗は堅牢な塗りと加飾の優美さが最大の特徴であり、日本を代表する漆器として古来より高い評価を受けています。輪島で採取される珪藻土を下地として塗り上げるまでの総工程数は75〜124回にも及び、輪島塗会館ではその行程を一つずつ見て学ぶことができます。

自然との距離が近いエリアでもあり、海に面していることから、里海風景の素晴らしさはピカイチ

輪島市内から自転車で15分ほどの場所にある鴨ヶ浦は海蝕作用で出来た白い岩礁が広がり、独特な景観を生み出していて見応え抜群! 潮風を浴びながらゆったりと散歩することができるようにコースが整えられています。

遊歩道内には海水を使った登録有形文化財に指定されている「鴨ケ浦塩水プール」もあり、観光がてら立ち寄るのにはぴったりの場所です。

また輪島市内から海沿いに東へ10km程度走った場所にあるのが「白米千枚田」。輪島、ひいては能登半島を代表する日本の原風景です。

日本海に面して、小さな田が重なり海岸まで続く絶景は、日本の棚田百選、国指定文化財名勝に指定され、奥能登を代表する観光スポットに。

四季折々で表情を変えるこの場所は、春の田植え、秋の収穫、秋冬イルミネーション「あぜのきらめき」といったイベントも定期的に開催されています。

展望台横の駐車場に併設された「道の駅千枚田ポケットパーク」では、奥能登ならではの特産品やお土産、フードメニューが楽しめます。

個人的に訪れたら必ず食べているのが棚田のお米を使ったおにぎり!口の中いっぱいにお米の香ばしい香りが広がる最高の逸品です。

奥能登を訪れた際には補給食がてらに是非召し上がってください!

道の駅千枚田ポケットパーク

TEL:0768-34-1004
石川県輪島市白米町ハ部99番地5
OPEN 8:30~17:30

公式サイト

③七尾(ななお)

七尾(ななお)は能登半島の西部に位置している能登地方の中心的な街です。金沢駅から距離にして65km程の場所です。

 

JR七尾線やのと鉄道の列車が全て停車するため電車でのアクセスも抜群。金沢駅からは普通列車で1時間30分、在来線特急であれば1時間程度で到着します。羽咋駅と並んで能登半島へのアクセスに便利な街です。 

能登半島は全体を俯瞰してみると二つの海に囲まれていることが分かります。一方は羽咋や輪島に面している日本海でありこちらを「外浦」と表現することもあります。

もう一方は七尾や和倉温泉が面した七尾湾を含む富山湾であり、こちらは外浦に対して「内浦」と呼ばれています。

外浦は白波が立つほど荒れていても、内浦は凪が出るくらい穏やかなんてことも珍しくありません。偏西風の影響も少なく穏やかな七尾湾では、富山県のアルプスから流れ込んでくる川の水に含まれた豊富な栄養源によって育まれた海の幸を獲ることができ、海鮮グルメを満喫するにもうってつけの場所でもあります。

中でも七尾湾に浮かぶ能登島は観光やサイクリングにおすすめ。完全な離島ですが「能登島大橋」と「ツインブリッジのと」二つの橋で繋がっているため、周回サイクリングが可能です。

能登島大橋は展望台からの景色も絶景!

ツインブリッジのと。2本の橋脚が美しい島と本土を繋ぐ交通の要です

能登半島一周となると気合と体力と時間が必要ですが、能登島一周であれば比較的ライトに楽しむことができます。

それでいて能登エリアのエッセンスがぎゅっと濃縮されているため、個人的には能登半島入門編としておすすめのスポットです。

のとじま水族館では大水槽も!豊富な展示で見応えたっぷりです

 

のとじま水族館

TEL:0767-84-1271(代) FAX:0767-84-1273
石川県七尾市能登島曲町15部40
OPEN 9:00~17:00(12/1~3/19は~16:30まで)

公式サイト

 

また北陸最大級の温泉街である和倉温泉は宿泊地としてもおすすめ。

国内宿泊施設ランキングでは常時トップクラス入りの「加賀屋」さんを始めとして、和倉の良質な温泉を楽しむことができるお宿が点在していて旅の疲れを癒すにはピッタリです。

ランチもディナーも海鮮を楽しむには困りませんので、サイクリングのご褒美に是非ご賞味あれ!

④穴水(あなみず)

穴水(あなみず)は奥能登エリアの玄関口。のと鉄道の終着駅である穴水駅があり、金沢駅から距離にして85km程の場所にある街です。アクセスの概要でも解説しましたが、ここ穴水駅をスタート/ゴールにして能登半島を楽しむこともできます。例えば初回は穴水駅より北、二回目は穴水駅より南、と言う風に分割して楽しむ際の拠点としてもおすすめです!

また穴水エリアには「のと里山空港」があり(実際の住所は輪島市に属します)、空港から穴水駅まではわずか10km程度。羽田空港からのと里山空港までは飛行機で60分。つまり東京から穴水まではわずか70分で移動できるということですね!

遠いようで実は近く感じてきたのではないでしょうか? 北陸新幹線を利用して金沢駅を玄関口とするのがセオリーですが、あえてこの飛行機ルートを採用してみるのも旅の自由度が上がって面白いと思います。

また、のと里山空港から穴水までは飛行機の発着時間に対応した「ふるさとタクシー」が運行しているのでとても便利です(要予約)。

穴水も七尾と同様に内浦に面しており、穴水湾は非常に穏やかで風がない日にはまるで湖のような美しさを醸し出してくれます。町内には、穴水湾をはじめとした日本海で獲れる海の幸を堪能できる飲食店が多く、一年を通してグルメを楽しむこともできちゃいます。

海鮮グルメ。穴水に訪れたのであれば是非食べていただきたいです!

比較的コンパクトなエリア内に能登長寿大仏、穴水町歴史民族資料館、潮騒の道、中井湾ふれあいパーク、能登中居鋳物館、中井南の街並み等、観光スポットがぎゅっと詰まっているので散歩感覚でサイクリングをしながらゆるっと巡るスタイルがおすすめ。

中でも能登長寿大仏は北陸では最大級の大仏様です。富山県で製造された青銅製の大仏様であり、大仏様が収められている真和園を建立した方が100歳の天寿を全うされたことで長寿大仏と言われるようになりました。

園内は公園のようになっていて遊歩道があり、ゆっくりと歩いて散策すると30分〜1時間程度で一周することができます。旅の中であえてゆっくりと地に足をつけて自然の中を散歩してみる時間も素敵ですね。

(c) kazukiatuko / PIXTA

能登半島を巡るのに便利なサポート

サイクリングコースを教えてくれるアプリ「ツール・ド」

今回紹介した能登半島を巡るにあたって、サイクリングコースをスマホ上で確認することができるアプリ「ツール・ド」があります。予め各地を巡るのに便利なサイクリングコースが登録されており、アプリを起動している間は自身の現在地とこれから走るルートをリアルタイムで確認することができます。

また観光スポットや絶景ポイントなども登録されているため、知らない土地でも迷うことなくサイクリングを楽しむことができます。能登半島をサイクリングする際の一助になりそうですね!

※自転車走行中のアプリの使用は大変危険です。アプリの操作は停車時安全な場所で行いましょう。

>> 公式サイトからアプリをダウンロード

レンタサイクル

また各地でレンタサイクルの導入が進んでいます。自転車を輪行してサイクリングを楽しむだけではなく、手ぶらで気楽に観光ついでにサイクリング、というのもおすすめ!

いきなり能登半島一周と言われてもハードルが高い…と思うので、まずは能登半島旅行ついでにアクティビティの一つとしてサイクリングを楽しまれてみてはいかがでしょうか。

例えば先ほど紹介した七尾や和倉温泉ではスポーツ自転車のクロスバイクだけではなく、一般的なママチャリタイプの自転車や電動アシスト自転車をレンタルすることも可能です。

>> レンタサイクルななりん

>> 和倉温泉レンタサイクル

 

また輪島では電動アシスト自転車が30台程度配備されており、利用料金も1時間あたり400円とリーズナブル!輪島市内の散策には車よりも自転車の方が機動力があっておすすめです。

>> レンタサイクル楽輪々(らくりんりん)

 

車やバスからは見られない、感じることができない世界が広がっていますよ!

二度はおいで能登半島

ここでは書ききれない魅力が能登半島には詰まっています。「一度はおいでよ」はもちろんですが、「二度はおいでよ」と言えるのが能登半島です!

私も5回ほど能登半島を訪れたことがありますが、まだまだ行ってみたい場所、体験したいことがあります。訪れる度に新しい発見があり、またそれは季節や時間が変わればまた変化していきます。

四季折々の豊かな自然と文化が調和する能登半島は、グルメやアクティビティ、観光や文化など様々な観点で楽しむことができる懐の深い場所。

是非「一度は訪れて」そしてまた自分だけの楽しみ方を見つけて二度三度と足を運んでみてください!

 

All photos except(c) kazukiatuko / PIXTA are by 神楽坂つむり

提供:能登半島広域観光協会

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