子供を乗せて気軽に移動できる“子供乗せ電動アシスト自転車”。

便利に使える一方で「転倒してしまった」「バランスを崩しそうになった」など、怖い思いをした経験がある人もいるのではないでしょうか?

車体の重い子供乗せ自転車は「転倒」のリスクが高い乗り物です。どんなに気を付けていても、100%事故をなくすことはできません。

しかしこれまでの事故の事例を知れば、注意を払うべきポイントが分かり、“予防できる事故”も増えるのではないでしょうか。

今回は、子供乗せ自転車で実際に起きた事故の事例から、事故が発生しやすいシーンを紐解き、事故を防ぐために注意しておきたいポイントを解説します。

事故が起きた際、どのような対応をすれば良いのかについてもあわせてチェックしていきましょう。

子供乗せ自転車における事故の事例

まずは子供乗せ自転車で実際に発生した事故の事例を見てみましょう。

医療機関ネットワーク事業に寄せられた事故や過去のニュースから、自分の身に起こってもおかしくなさそうな、身近な事例をピックアップしました。

“3人乗りの電動アシスト付自転車の前部の幼児用座席に子どもを乗せて走行し、道路と歩道の段差を乗り越えようとして、自転車が右側に転倒した。子どもはコンクリートの地面に顔面からぶつかった。シートベルトは着用していたが、ヘルメットはしていなかった。右側頭骨骨折及び頭蓋内損傷で7日間入院。
(医療機関ネットワーク事業 事故発生:平成 23 年 5 月、1歳、中等症)”

引用:子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議資料内、「(2)医療機関ネットワーク事業による、幼児用座席付自転車の事故報告件数」より

“買物に行った帰り道に、子どもを2人乗せて走行していた。荷物もたくさんあったため、自転車がふらつき左側に転倒。ヘルメットとシートベルトを着用して後部座席に乗っていた子どもが左腕を打撲した。夜に腫れが見られ、翌朝になっても左腕を動かさないため受診。左腕の骨折。

 (医療機関ネットワーク事業 事故発生:平成 26 年 10 月、3歳、中等症)”

引用:子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議資料内、「(2)医療機関ネットワーク事業による、幼児用座席付自転車の事故報告件数」より

“朝、兄を幼稚園に送るために慌てており、年下の子どもにヘルメットを着用せずに前部座席に座らせシートベルトをした。その後、兄を後部座席に座らせるために移動した際に、自転車がぐらつき左側に転倒。前部座席の子どもは、コンクリートの地面に左頭頂部を強打し、頭蓋内を損傷し、9日間入院。

 (医療機関ネットワーク事業 事故発生:平成 25 年 9 月、1歳、中等症)”

引用:子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議資料内、「(2)医療機関ネットワーク事業による、幼児用座席付自転車の事故報告件数」より

“家の駐車場で、自転車の後部座席に子どもを乗せていたが、保護者が離れた間に右側に自転車ごと転倒した。ヘルメットはしていなかったが、頭部打撲はなかった。しかし、右肘の痛みを訴えたため、レントゲンをしたところ、右腕を骨折していることが分かった。

 (医療機関ネットワーク事業 事故発生:平成 25 年 9 月、4歳、中等症)”

引用:子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議資料内、「(2)医療機関ネットワーク事業による、幼児用座席付自転車の事故報告件数」より

上記4件の事故を見てみると、いずれも転倒により乗車中の子供が負傷していることが分かります。

「段差を乗り越えようとして」「バランスを崩して」といった走行中の事故から、「子供の乗せ降ろし中に」「ほんの少し目を離した隙に」といった停車中の事故まで、あらゆるシーンにおいて転倒の危険性が潜んでいることもいえます。

続いて、下記に2件のニュースを挙げました。

“大阪府東大阪市内の狭い国道で、母親と3歳、5歳の幼児2人が乗った電動アシスト自転車が走行中に転倒。自転車の前方座席に座っていた3歳の男の子が道路に投げ出され、後ろから来たトラックにはねられ死亡した。”

引用:東洋経済オンライン「子乗せ自転車「3人乗り」の悲惨な事故を防ぐ方法」より

“女性は7月5日、都筑区の市道で、次男をひもで抱っこし、左手首に傘を下げた状態で電動自転車を運転。自転車は3人乗りで、前部の幼児用座席には長男(当時2歳)を乗せていた。傘の先が自転車のフレームと前輪の泥よけの間に挟まったせいでハンドルが動かなくなり、転倒につながったとみられている。(1歳4カ月の次男を抱っこしたまま自転車で転倒し、次男が死亡した事故)”

引用:毎日新聞「3人乗り自転車 幼児を必ず座らせ安全に」より

いずれも転倒が招いた大変傷ましい事故です。

特に、転倒により道路に投げ出された子供がトラックにはねられ死亡したニュースは、前述した4件の事故も、もし近くに車が走っていたら似たような事故につながっていたかもしれません。

筆者も長男が一歳のころ、自転車で保育園の送迎中、住宅街のわき道からノンブレーキで出てきた自転車に衝突されて、その衝撃で前席に座っていた長男が道路に投げ出されるといった怖い経験をしたことがあります。(シートベルト・ヘルメット着用)

車がいなかったから大事故には至らなかったものの、もし車が走ってきたらと思うと……。今でもゾッとします。

このように子供乗せ自転車の「転倒による事故」が多発していますが、中には“転倒を発生させない”、親の心構えひとつで防げる事故もあります。

子供乗せ自転車事故が発生しやすいのは?

上記に挙げた事故の事例を踏まえて、改めて子供乗せ電動アシスト自転車の事故が発生しやすい場面や場所について、一緒に考えてみましょう。

【停車中】子供の乗せ降ろし時

子供の乗せ降ろし時は、前後どちらか一方に重心が偏るため、車体のバランスが不安定になりやすい状態です。まずはハンドルが動かないよう、「ハンドルロック」を必ずかけましょう。ハンドルロックに不具合が生じている場合は、速やかに自転車専門店にて修理を依頼することをおすすめします。

前後に子供を乗せる場合は、「後ろから乗せ、前から降ろす」を徹底しましょう。

【走行中】段差を乗り越える時

車道から歩道へ移動する際のちょっとした段差を乗り越えるときも、転倒が発生しやすく危険です。

段差の高さが5cm以上あるときは、転倒のリスクも高くなるため注意しましょう。また雨の日など、滑りやすい路面状況である場合は、ちょっとした段差であっても転倒のリスクが高まります。

いずれにせよ段差を乗り越える際は、可能な限り一旦停止し、電動アシスト自転車を押して安全に段差を乗り越えるのが良いでしょう。周りに歩行者や自転車がいないか確認する意味でも、一旦停止は事故の予防に有効です。

漕ぎ出しも転倒が起こりやすい

段差を乗り越える際、一旦停止することを推奨しましたが、電動アシスト自転車の漕ぎ出しは最も車体のバランスが崩れやすくなります。

他にも信号待ちや、走行中、歩行者や障害物を避けるために一旦停止するシーンは多くあるでしょう。

アシスト0の状態から一気に加速するため、体が置き去りになるような感覚でバランスを崩したり、ハンドルがとられたりといった事態に陥りやすくなります。

少しでも危ないと感じたら一旦足を地面につけて停止し、体勢を立て直してから再度ゆっくり発進しましょう。

安全な子供の乗せ降ろし手順

「子供の乗せ降ろし時にも転倒のリスクがあることは分かったけど、安全に乗せ降ろしするコツってあるの?」と思った人もいるのではないでしょうか?

子供の乗せ降ろし時の転倒を防ぐために、安全な乗せ降ろしの手順をおさらいしておきましょう。

【乗車時】

  1. ハンドルロック・スタンドロックがかかっているか確認する
  2. ヘルメットを装着させる
  3. 子供を乗車させる(後席→前席)
  4. シートベルトを装着する

車体を安定させるため、ハンドルとスタンドのロックが確実に掛けられていることを確認しましょう。また、子供を乗車させる前にヘルメットを確実に装着させておくことが大切です。

前後に子供を乗せる場合は、後席から順にシートベルトの装着を行いましょう。このとき、子供1人で席に座らせるのではなく必ず大人が手伝います。

【降車時】

  1. 安全な場所(平坦な道)に停車し、スタンドを立てる
  2. ハンドルロックをかける
  3. 子供を降ろす(前席→後席)
  4. ヘルメットを外す

乗車時と同じく、スタンドロックとハンドルロックは確実に掛けましょう。

坂道や段差のある場所は、ロックをしていても不安定になりやすいので、なるべく平坦な道に停車させます。

子供を2人乗せている場合、前席から順に降車させていきます。万が一の転倒に備え、完全に降りるまでヘルメットはつけたままがおすすめです。

事故を起こさないために注意すべきこと

いくら気を付けていても、事故を100%防ぐのは難しいもの。それでも、ほんの少しの心構えが事故を防ぐきっかけにつながるかもしれません。

ここでは、電動アシスト自転車の転倒事故を引き起こさないために、日頃から注意しておきたい5つのポイントについてお話していきます。

子供から目を離さない

子供の乗せ降ろし時など、停車時に転倒が発生しケガをするケースが多くあります。

そのうち、子供を電動アシスト自転車に乗せたまま離れている間に転倒するといったケースが見受けられているのも現状です。

停車時であっても転倒の可能性は否めません。子供がちょっと動いただけでも危険ですし、何かの衝撃を受けて転倒することも考えられます。

「電動アシスト自転車に子供を乗せている間は子供から目を離さない」を徹底することで、停車時の転倒事故を防ぎましょう。

走行環境に気を付ける

段差や坂道、マンホール、点字ブロックといった場所の走行や、雨の日の道路のような滑りやすく転倒が発生しやすいシーンを走行する際は、注意が必要です。

スピードを出しているときとゆっくり走行しているときでは、転倒時に受ける衝撃の度合いも大きく異なるため、万が一を想定してバランスのとりやすい範囲でゆっくり走行することを推奨します。

荷物の積載場所を考える

子供乗せ電動アシスト自転車は、子供を乗せると荷物の積載場所が無くなる点も問題ですよね。よく見かけるのはハンドル部分に荷物をかけるスタイルですが、左右いずれかに重心が偏るためバランスを崩しやすく危険です。実際に、それが原因で転倒事故につながるケースも見受けられています。

後席チャイルドシートにフックを取り付けるなどして荷物を掛けるスタイルも時折見かけますが、こちらも荷物の落下や荷物がタイヤに絡まる危険性などを考慮すると避けたほうが良いでしょう。

「どこにも荷物をのせる場所がない」というときは、可能な限り自分が背負う“リュックスタイル”がおすすめです。

リュックタイプの買い物用エコバッグ

「どうしても電動アシスト自転車に子供を乗せて買い物に行かなければならない!」という人は、こちらのような背負えるタイプのエコバッグがあると便利に使えますよ。

基本的な交通ルールを守る

当たり前ではありますが、基本的な交通ルールを守って走行することも事故を予防するための重要なポイントです。

・左側通行を厳守する

・一時停止場所では一旦停車し、安全を確認する

・抱っこひもを使う場合は、前ではなく後ろ(おんぶ)にする

・シートベルト&ヘルメットは確実に装着する

上記はほんの一例です。自分の普段の走行シーンを思い浮かべて、交通ルールがおざなりになっていないか、いま一度確認してみましょう。

定期的に自転車の点検を行う

タイヤやブレーキといったパーツの定期的なメンテナンスも、事故の発生を防ぐための大事な工程となります。

  • タイヤの溝のすり減り
  • タイヤの空気圧不足
  • ブレーキパッドの摩耗

などは、タイヤが滑りやすくなったり、とっさの場面でブレーキが効きづらくなったりといったトラブルを起こしやすく、事故につながりやすい大変危険な状態です。

メンテナンス不足が事故を招く原因となる前に、定期的に電動アシスト自転車の点検を行いましょう。

もしも自転車事故に遭ったらどうする?

もしも実際に事故に遭ったら、どのような対応をすれば良いのでしょうか?

自転車は道路交通法上、軽車両にあたるので、車と同じように適切な対応をとらなければなりません。基本的な初期対応は、「負傷者の保護」「二次被害の防止」「110番通報」の3つがカギとなります。

例え軽度な事故であっても、当事者同士その場で示談交渉を済ませてしまうのはNGです。

適切な初期対応をした上で、段階を踏んで示談交渉へと進んでいきます。

続いて、加害者・被害者、それぞれのケースを見ていきましょう。

加害者になった場合

自分が加害者になった場合、被害者である相手側に損害賠償金を支払わなければなりません。

このとき「個人賠償責任保険」に加入していれば、賠償金は保険で補償されますが、未加入の場合は自らの財産から捻出して支払う必要があります。

加入中の個人賠償責任保険に「示談交渉サービス」が付帯していれば、示談交渉までの流れを保険会社がサポートしてくれます。

被害者になった場合

事故の被害者になった場合は、被害の大小にかかわらずすぐに病院を受診しましょう。

日が経ってから不調を感じるケースも多くありますが、事故から日が経つほど事故との因果関係が曖昧になってしまいます。

治療終了または症状固定と診断された後、示談交渉を行い損害賠償金を受け取ります。

被害者のほうが、“黙っていれば損害賠償が受け取れる”ように思われがちですが、回復までの時間や家族への負担はもちろんのこと、示談交渉ひとつをとっても多くの問題を抱えることになりかねません。

1人で悩まず、弁護士や各自治体の相談窓口などの専門家に相談しながら解決へと導く形をとるのが理想です。

転倒による事故の場合、保険はおりる?

みなさんが加入されている“自転車保険”は、どういった種類のものでしょうか?

自動車保険や火災保険といった損害保険や共済などに「個人賠償責任補償」を特約として付帯しているケースと、損害保険各社が展開する「自転車保険」に加入しているケース、どちらに当てはまるかによって保険がおりるかどうかが変わります。

転倒事故(=単独事故)の場合、各自治体で加入義務の対象になっている「個人賠償責任保険」のみ特約として加入している人は、補償の対象外となります。

一方で、傷害補償と個人賠償がセットになった「自転車保険」に加入していれば、転倒によるケガであっても通院や入院費用を補償される場合があります。(※契約プランの補償内容により異なります)

転倒事故によるケガの通院や入院費用を保険でまかないたい場合には、傷害補償+個人賠償がセットになった「自転車保険」への加入がおすすめです。

各地域で自転車保険の加入義務化が進んでいる

ここまで電動アシスト自転車の事故事例や、事故に遭わないようにするための方法などを解説してきました。

とはいえ、事故を絶対に回避できるようにするのは不可能ですので、日頃から万が一の事態に備えておく必要があります。

実際に各地域では自転車保険の加入義務化が進んでおり、2022年9月時点で32都府県で加入が義務付けられています。(一部の市のみ義務付けている地域を含む)

これから自転車保険に加入を検討している方は、下記の記事でおすすめの保険を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ:子乗せ自転車の事故の事例を知って、予防できる事故の発生をなくそう

ただでさえ車体の重い子供乗せ電動アシスト自転車は、便利に使える半面、あらゆるシーンでバランスを崩しやすく転倒の危険性を秘めています。

常に事故のリスクと隣り合わせである意識を持ち、“防げる事故”からなくしていきましょう。

もし自転車保険に加入していない人は、これを機に加入を検討してみませんか?