自転車と歩行者の事故が増加しているとして、兵庫県が自転車保険の加入を義務化する条例案を今年2月に県議会に提出することを表明しました。この条例が制定されれば自転車保険を義務づける条例は全国初となります。罰則は設けないが、自転車販売店や学校と連携し加入を促すとしています。
近年の自転車ブームの影響もあり、兵庫県では歩行者と自転車の事故が2013年までの10年間で約1.9倍に増加しています。ほとんどの場合、自転車側が加害者であり、高額の賠償を命じる判決も相次いでいます。
(参考)
自転車保険義務化へ 全国初条例、工学賠償相次ぎ 兵庫県
約9500万円の賠償命令
自転車に乗った小学生が歩行中の女性と衝突し、女性は後遺症で寝たきりとなってしまった事故がありました。この事故で神戸地裁は、けがを負わせた小学生の保護者に約9500万円の損害賠償を命じました。
自分は安全に自転車に乗っていても、家族が事故を起こしてしまい同様に高額の損害賠償を支払わなければならない場合もあります。このようなケースが今後も起こりうる可能性は十分にあるでしょう。
義務化による保険料の負担への懸念
保険への加入の義務化に伴い、経済的負担の増加が懸念されます。自転車は免許も必要なく、購入費用も自動車やバイクに比べ安価なため、最も開かれた乗り物と言えます。その自転車に保険への加入が義務づけされることにより維持費が増加し、自転車が便利で誰でも気軽に乗れる存在という立ち位置ではなくなるかも知れません。
所得が少ない人ほど保険料の経済的負担が大きく感じるかも知れませんが、事故を起こしてしまったときのことを考えると、所得が少ない人ほど保険に加入しておく恩恵が大きいのではないでしょうか。
(参考)
自転車保険比較リスト (マサルでもわかる自転車保険)
自転車に乗るのは休日のサイクリングだけ。事故の可能性は低い?
自転車で事故を起こす可能性に大きく影響する要素が2つあります。
1つ目の要素は自転車に乗る頻度、距離です。極端に言えば、自転車に乗らなければ自転車で事故を起こすことはありません。つまり、自転車に乗る時間が少なければ、事故を起こす可能性の時間も少なくなります。しかし、日常で自転車を使う機会がある限り、事故の可能性を0にすることはできません。
2つ目の要素は危険予測能力です。「あの交差点を左に曲がると駅だ。前のタクシーは左折するかもしれない!」「あのまがり角の向こうに人がいるかもしれない。曲がって確認してからでは間に合わないから減速しておこう。」周りにどんな危険が潜んでいるか、それをどれだけ予測できるかで事故を起こす可能性は大きく変わります。危険予測能力は日ごろ周りに注意して自転車に乗ることで鍛えられます。
自転車に乗るのは休日のサイクリングだけという方は、自転車に乗る頻度が少ないので事故を起こす可能性は低いと思いがちですが、頻度が少ない分、事故を起こしそうなシチュエーションのサンプル数が少なく危険予測能力が低いことで事故の可能性が高まってしまいます。
終わりに
自転車に乗っていて、ヒヤっとした経験はありませんか? もし、タイミングが悪かったら…。事故をすべて防ぐことはできません。
自動車もバイクも自賠責保険自転車保険への加入が義務であるのにも関わらず、自転車は保険への加入義務がありませんでした。車やバイク同様、自転車も事故で怪我を負わせる危険性は十分にあります。被害者の救済の面からも義務化の重要性は大きいのではないでしょうか?
今後、行政がどのような保険料、補償内容に規定するかについても注目が集まるでしょう。
自転車保険の義務化。あなたはどう思いますか?