【世界の事例】ニッポンよ、これが自転車インフラの世界標準だ(Vol. 2 駐輪場編〜後編)
ヨーロッパの自転車インフラ事情紹介シリーズ駐輪場編、後編です。
前回は、議論の前提として「経由地の駐輪場(そこに自転車を置いて鉄道など別の交通機関で別の場所に行くための駐輪場)として大規模集中型も必要だけど、目的地の駐輪場(そこに自転車を置いて近くで用を足すための駐輪場)として小規模分散型もあると便利」、という話を書きました。
というわけで今回は、先日の旅行で撮ってきた、ヨーロッパ3ヶ国8つの街の小規模分散型駐輪場をご覧いただきます。
- オーストリア、インスブルック
これが基本形。数台〜10台程度の自転車をくくりつける金属バーが路上にあるだけ、というものです。
- オーストリア、インスブルック
前の写真は金属バーを置いただけの可動バージョンですが、こちらはバーを埋め込んで固定したバージョンです。
- オーストリア、ハル
同じく、埋め込み固定バージョン。
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オーストリア、インスブルック
同じく埋め込み固定バージョンですが、歩行者天国にありました。そのせいかデザインもおしゃれ。
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オーストリア、ザルツブルク
斜め置きにすることで、車道上でも幅をとらないように工夫しています。
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ドイツ、ガルミッシュ・パルテンキルヘン
歩道上でも斜め置きにすることで歩行空間と折り合いをつけています。
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イタリア、ブレッサノーネ
少し大きめのバージョンです。
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イタリア、ブレッサノーネ
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オーストリア、ザンクトアントン
企業広告つきです。どういうビジネスモデルで成り立っているのか非常に興味があります。どなたかご存じありませんか?
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ドイツ、ミッテンヴァルト
同じく、企業広告つき。
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オーストリア、ハルシュタット
今回見た中で最小です。わずか3台分。う〜ん、小規模分散。
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オーストリア、パッチャーコーフェル
形は普通ですが、ここはなんと標高2000メートルの山頂なのです。マウンテンバイカー用に置いてあるんですね。ちなみに広告主のZipferというのはオーストリアのビールメーカーです。
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オーストリア、インスブルック
ちょっと変わり種、街路樹を活用したバージョンです。
いかがですか?
おそらくほとんどの方が、これは良い、日本でもあればよいのに、と思うのではないでしょうか。
と同時に、こんな疑問を持たれると思います。
「日本でも作るとしたら、スペースはどうするの?」
はい、スペースはここに作りましょう。
歩道上の植栽を、駐輪場に一部転換するのです。
以前も同じことを書きましたが、日本の歩道には低灌木の植栽が非常に多いです。
元々は街の緑化が目的で始まったのだと思いますが、その多くが手入れも管理も行き届いておらず、景観の点でもスペース活用の点でも逆効果になっているところが目につきます。
246沿い。お店の看板立てと化しています。手前の駐輪禁止サインがなんとも皮肉です。
表参道沿い。ゴミ回収場を兼ねているためか、いつもゴミが散乱しています。
商業エリアの主要道路沿い数百メートルおきに植栽の一部を舗装しなおして、上で見たような金属バーを置く。
この形態であれば、行政が意思決定さえすれば、東京都心に数千〜1万台規模の駐輪スペースを一気呵成に作ることができます。
コスト面のメリットも大きいでしょう。おそらく1ヶ所あたり数万円単位、1台あたり単価は1万円を切ることが可能ではないでしょうか(深く検証はしていませんが)。
早い、安い、そして便利な小規模分散型駐輪場。
オリンピックが来る前に、ニッポンでも、トーキョーでも、やりませんか。やりましょうよ!
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冒頭の写真はオーストリアの湖畔の村、ハルシュタット。鉄道の駅から渡し船で対岸の街に渡ります。なかなかの風情。
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WRITTEN BY小林正樹
株式会社イルカ創業者・代表取締役。「連れて歩く自転車 iruka」を開発中。ネット広告代理店オプトの創業メンバー、元取締役CFO。 http://masakikobayashi.blogspot.jp/