サイクルコンピューターCC-SC100Bパドローネスマートプラスを実際に使用してみた
先月キャットアイから発売された、スマートフォンのGPSデータなどと連動できるスピードメーター「パドローネスマートプラス(CC-SC100B)」を使用してみました。
まずこのパドローネスマートプラスですが、昨年発売されたストラーダスマートとパドローネスマートの上位モデルとなります。※この2モデルはワールドサイクルで取り扱いがございます。
もともとスマートフォンというものは、アプリをインストールしてハンドルに固定することで、GPSナビとしてスピードや距離を表示し、走行ログまで記録することができるのですが、これをそのまま自転車で利用する場合、3つの大きな欠点があります。
1.画面を表示させておくことで、スマートフォンの電力消費が大きい。1日サイクリングする場合、モバイルバッテリーとの併用が前提となり、携帯性が悪い。
2.路面状況が悪いところなどを走行すると、スマートフォンが落下する危険性があります。
3.雨に弱い(防水ケースを併用することで、雨でも使用できます)。
そこでキャットアイは、スマートフォン本体はバックポケットなど安全なスペースに入れたままGPSデータを受信し、ハンドル上にマウントしたスピードメーターと通信し、コレまでよりも多くの情報を取得することが出来るというスピードメーターを開発したのです。
本体とスマートフォンの接続は、ブルートゥースという仕組みを使用します。純正品のスピード・ケイデンスセンサーとの接続にもブルートゥースを使用します。このブルートゥースというのは、キャットアイの独自企画ではありません。したがって、他社製のブルートゥース対応の心拍計やパワーメーターとも接続し、データを拾うことが出来るというのです。
自転車通勤・通学や、いつものコースで毎回走行ログを取るほどのこともない場合、毎回スマホと接続するのは面倒です。そんな場合は、スピード・ケイデンスセンサーを取り付ければ、スマートフォンと接続せずとも速度や距離を表示させることも出来ます。
最初に発売された2モデルと、今回発売されたパドローネスマートプラスは実はかなり大きな違いがあります。スピードメーター本体のソフトウェアーがアップデートできることと、本体画面に表示する情報がカスタマイズできること、そして液晶が見易いフルドットディスプレイになった点です。
実際に取り付けてみましょう。まず驚いたのが、商品に取扱説明書が付属しません。エコです。スマートフォンに無料専用アプリをダウンロードすることで、初めて説明書を見ることが出来ます。(別途パソコンからも閲覧可能です。) しかしここで一つ問題が。日ごろ無線LANなどのWiFiや、ブルートゥースを使い慣れている方であれば、本体とスマートフォン、ケイデンスセンサーや心拍センサーとの接続は難なく行えると思いますが、そうでない方にとっては難しいかもしれませんね。実際キャットアイのサポートセンターへの問合せが、このモデル発売後に急増したそうですよ。エコは分かりやすい便利さと紙一重です。
付属の説明書は、この1枚のみ。
作業自体は簡単です。電池を入れて、本体をフォーマットします。電池ボックスの蓋の開閉にはコインを使用しますが、防水パッキンがかなりしっかりしているため、500円玉が最もやりやすいと感じました。
スマートフォンにアプリを入れて接続しようとすると、すぐにファームウェアのアップデートが始まります。これには数分かかります。その間スマートフォンと本体を離さないようにしてくださいね。無線が切れてしまいますから。
ファームウェアーの更新頻度ですが、9月中に3回もありました。iOS9のバージョンアップなど、スマートフォンのOSに依存する部分が多くなるので、開発者も大変だと思います。
今回私は「スピード+ケイデンスキット」を購入しましたので、あわせて取り付けます。これがあれば、いつも走る道であればわざわざスマートフォンに接続しなくても、スピードやケイデンス、距離など基本的なデータが表示されます。
「スピード+ケイデンスキット」はフレームのチェーンステーというところに取り付けるのですが、私がオススメするのはチェーンステーの下に取り付ける方法です。このほうが万が一センサーを車輪に巻き込んだ際のダメージが小さいのと、上から見たときに目立たないからです。ただし、電池交換は後輪を外さないと出来なくなります。
それともう一つ、ケイデンスを計測するためのマグネットの取り付け方法について、昔から説明書では左クランクにタイラップで取り付けるとなっています。でもそれって、見た目が良くないんですよね。
ケイデンス用のマグネットって、車輪に取り付けるマグネットより強力なネオジム磁石を使用しているって、ご存知でしたか? そのため、ペダル軸の裏に磁力でくっつけておくだけで、実際充分なんですよね。
ハンドルには別売りのOF-100 アウトフロントブラケットを使用しました。ハンドル周りがスッキリしますね。
偶然フロントライトのサイドから漏れる光で、夜間もスピードが読み取れます。バックライト機能も装備されて折ります。これはあらかじめ任意に時間を設定しておくと、その間何かしら操作をするとバックライトが点灯するというものです。全体が発光しますので、視認性はかなり高いです。
ファームウェアアップデート中は、スマートフォンとメーター本体を離さないようにしてください。バイクのそばを離れる際は、かならずメーターも外して一緒に持ち歩いてください。
このアップデート、いざ使おうとしたときに気が付くのですが、出発前で急いでいることが多いですよね。アップデートの時間は、その内容や通信速度にも依存すると思いますが、私の場合およそ4~5分かかりました。
となると、朝急いでいると出来ません。帰ってきてから忘れずにアップデートしておいて下さい。
計測画面は、これでもかというくらい細かくカスタマイズできます。重複して登録することも出来ますので、自分の使い方に合わせて、何度か調整してみてください。
私が最も気になったのが、バッテリーのもち具合です。実際に使ってみると、8時間つけっぱなしで50~60%ほどのバッテリーの消耗具合でした。その間写真も数十枚撮影しましたが、ネット閲覧やメール送受信はほんの数回です。バッテリーの消耗を抑えるように、画面の明るさを中の下にしたり、使わないアプリは落としておくなど最低限のバッテリー持続作戦はしておいたほうが良いと思います。
バッテリーの残量はメーター本体に表示されるので、とても便利です。
ただし、スマートフォンの実行中のアプリを「キャットアイサイクリング(専用品)」にしておくと、画面のオートオフが効かないようです。ホーム画面や他のアプリにしておくと、オートオフとなります。うっかりキャットアイアプリのまま液晶をオフにせずにバックポケットに入れてしまうと、バッテリーの消耗は相当激しくなりますので、ご注意ください。
それさえうっかり忘れなければ、スマートフォンのバッテリーの持ち具合はかなり良いと思います。
本体のバッテリーの持ち具合については、およそ4ヶ月だそうです。条件は1日1時間の使用ということなので、ザックリ120時間ですね。週1で約8時間走行する場合は、4ヶ月持ちませんね。バッテリーは一般的なCR2032x2枚ですので、あらかじめ多めに購入しておくのが良いと思います。
実際に走行したデータをご覧ください。
現時点での不具合(2015/9/28)報告
とても優れたスピードメータだと思いますが、改善されることを期待して、現状の問題点を指摘したいと思います。
1.スロープ(傾斜)が表示されない。
「○○%の坂道」というのがわかるのが楽しみでしたが、表示されません。センサーはスマートフォンに依存しているということなので、古いスマートフォンの場合は表示されませんが、私の場合iPhone6なので、本来表示されるはずです。その他OSがアンドロイドのスマートフォンの場合、気圧計が内蔵されていないので、スロープは表示されません。
2.センサーキットを使用しても、速度のタイムラグが大きい。
スピード・ケイデンスセンサーと本体・スマートフォンの接続もブルートゥースを使用しているのですが、急激なスピード変化があった場合、反応するまでに4~5秒かかります。例えば30キロ程度から赤信号で止まる場合、完全に停止してから速度が時速0キロになるまで4~5秒かかります。キャットアイの従来タイプのセンサー(有線・無線共)と比較すると、どうしても機能的には退化しています。
3.キャットアイの専用ウェブサイト「キャットアイアトラス」がどうにも使いづらい。
・走行ルートには線が惹かれますが、国道・県道何号線かのマークを上から塗りつぶしてしまい、判別不能。
・コースの任意の地点の拡大が出来ないので、全体的な把握しか出来ない。
4.時々速度が0キロになる。時々本体とスマートフォンの接続が切れてしまい、サーチ状態に入る。
ただし、極時々ですので、支障があるといえばありますが、それほどたいしたことではないと思います。そういうものだと思っておけば、びっくりせずにすみます。
※いずれもiPhone6(au)と組み合わせた場合のレポートとなります。
以上の3点はキャットアイには伝えておりますので、是非とも早期解決を期待したいところです。
スピードメーターやGPSに求める機能というのは、人それぞれでえすよね。機能が多すぎても使いこなすことが出来なければ、持っている意味がありません。その点、このパドローネスマートプラスは私が求める機能を過不足なく満たしております。
一部指摘したような不具合はありますが、本体のファームウェアーのバージョンアップが可能というのは、かなり将来に期待が持てますね。