性能と特徴を徹底比較!自転車チェーンルブ(チェーンオイル)14選
チェーンルブ(チェーンオイル)を買いにショップへ行くと、ケミカル用品の棚に所狭しと様々なオイルが陳列されています。「チェーンを潤滑させる」という点については一致しているのですが、実は得意・不得意なシチュエーションは製品ごとに様々です。
今回はチェーンオイルの分類と、代表的な製品について紹介していきます。ちなみにチェーンルブのルブとはルブリカントの略からきており潤滑剤という意味を持っている言葉です。
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万能系
「これ1本あればとりあえず大丈夫」という製品。晴天・雨天どちらでも利用でき、かつ持続性もそこそこ長い製品です。
WAKO’S(ワコーズ) CHL チェーンルブ 浸透性チェーン用防錆潤滑剤
ド直球なネーミング。あまり見ない特徴として「水置換性」を持っています。
雨の後や、洗車の後にチェーンに水分が残っていても水を追い出してくれるので、濡れたまま注油がすることができます。
性能が高く利用者からの評価も高いことで知られています。また最近、弱虫ペダルとのコラボでも話題になりました。
モーガンブルー “Race oil”
多くのプロチームで利用されている「Morgan Blue」というブランドのスタンダードなオイルです。
晴天雨天兼用。スタンダードな製品の為、読者の皆さんの方が多くの知識を既に知っているかもしれません。
ドライ系
晴天を前提として開発されていますが、一応雨天でも利用可能です。雨の中走った後は再注油が推奨されるタイプとなります。
メリットとして、「油の飛び散らなさ」「汚れにくさ」が挙げられます。バイク・チェーンの見た目を気にしており、雨の日は乗らない人におすすめです。
FINISH LINE(フィニッシュライン) “Dry bike Lubericant”
通称「フィニッシュラインの赤」殆どのショップに置いてあるので、勧められた方も多いのでは?
汚れにくさは、後述する「ウェット系」に比べるとそれでも汚れにくいといった程度なので、あまり期待するのは良くないかもしれません。
KURE(呉工業) 自転車専用チェーンルブドライ
KUREはホームセンターでおなじみ「呉556」や自動車向けのケミカル用品で有名なブランドですが、実は自転車用オイルも販売しています。
WAKO’Sのチェーンルブと同じく、水置換性を持っています。車整備用の技術力を転用しているだけあって、性能は折り紙つきです。
WELDTITE(ウェルドタイト)TF2 PLUS DRY LUBRICANT(プラスドライルブ) テフロン配合
(LINK:サイクルベースあさひ)
WELDTITE(ウェルドタイト)社が展開しているTF2シリーズはパフォーマンスとコストパフォーマンスに優れたチェーンルブ(チェーンオイル)です。
70年以上の歴史をもつWELDTITE社は信頼性とサポートに重点を置いており、オイルの研究を重ねながらも競合他社より同様品質の商品を安く提供しています。世界最長のメンテナンスブランド肩書きは伊達じゃありません。
WELDTITE社以外ではFINISH LINE社しか配合を許可されていないテフロンを使用して、フリクションロス(摩擦抵抗)を抑えたPLUS DRY LUBRICANT。晴れている日にちょうど良いオイルです。
こちらもドライ系とだけあってEXTREME WET LUBRICANTよりも軽めの漕ぎ感が特徴的。総耐久距離は150km程でしょうか。いずれも汚れが付きにくいので再度のオイル差しも楽でした。
WELDTITE(ウェルドタイト)TF2 ULTRA DRY WAX(ウルトラドライワックス) テフロンルブ
(LINK:サイクルベースあさひ)
紹介しているWELDTITEチェーンルブの中で最も汚れが付きにくいのがこちらのULTRA DRY WAX。軽いと感じたPLUS DRY LUBRICANTよりもさらに軽快な漕ぎ感を楽しめるのにも驚きでしたが、それよりも走行後のチェーンがほとんど汚れていないことに2度驚きました。
お手入れが楽々なので日々の走行のお供にはもちろん、ここ一番の場面に使用しても良いかもしれません。
ウェット系
雨天走行・潤滑性能の維持を重視したタイプです。粘度が高くなっている分、汚れを呼びやすくなっています。
FINISH LINE(フィニッシュライン) “WET bike Lubericant”( セラミック ウエット ルーブ )
通称「フィニッシュラインの緑」
すぐ汚れてしまいますが、潤滑性能の維持に関しては確かです。
MTBやシクロクロスなどのオフロードを走る際に、ドライオイルでは砂埃でオイルを吸われてしまい、潤滑されなくなってしまいますが、このオイルならそんなことは起こりません。
モーガンブルー ”SYN LUBE”
並大抵のことでは中止にならないプロのレースでの利用を想定しているだけあり、豪雨でもチェーンに油分を維持できるそうです。
自転車通勤をしている人におすすめ!
WELDTITE(ウェルドタイト)TF2 EXTREME WET LUBRICANT(エクストリームウェットルブ)
(LINK:サイクルベースあさひ)
EXTREME WET LUBRICANTは雨の日や気温の低い日に最適なチェーンルブです。試しに50kmほど小雨の中を走行してみましたが、スルスルと滑らかな走り心地を楽しめます。また、走り終わってもチェーン全体を油膜が保護してくれていました。
驚きだったのが、汚れが付きにくいこと。他社製品のウェット系オイルはよく埃や泥、すすなどを拾ってすぐにチェーンが黒くなってしまうのですが、EXTREME WET LUBRICANTはそれがだいぶ抑えられていました。
ウェットな路面だけでなくドライな環境でも使用しても十分な効力を発揮できると思いますので、頻繁にメンテナンスを行えない方にとっては良い製品ではないでしょうか。
ワックス系
チェーンの汚れを呼ばないことを主眼に置いたオイルです。
表面及び内部に薄いコーティングを行い、液体成分は揮発させるため、雨に弱く晴天でも維持力は短くなっています。
FINISH LINE “Ceramic WAX chain Lube”
使っている人が少ないからか、FINISHLINE製品には珍しくアダ名なし。
極小セラミック粒子をチェーンに付着させることで、潤滑と綺麗さを両立しています。粉末なので雨にはとても弱いです…
PEDROS “アイスワックス2.0”
蜜蝋と原料とした珍しいオイルです。チェーンの表面に皮膜を作り、汚れがすぐ落ちるそうです。
特殊系
一癖も二癖もある特化型。
innotech “SIL105”
知る限り、最もチェーンが綺麗に保たれるオイルです。そして、過去最高に施工が面倒なオイルでもあります。
皮膜を作る点ではアイスワックスと同様ですが、オイルを塗布する前にチェーンを完全に脱脂する必要があり、注油後は乾燥が1日~2日ほど必要というクセモノです。
あまりに面倒かつ難易度が高いのでメーカーで塗布した後のチェーンを売っているほど。しかし、皮膜がなくなる寸前になっても他のオイルの散布一日目程度までしか汚れない優れものです。
ヴィプロス “MUON”
抵抗の低さを極限まで追求したオイルです。その名の通り、チェーン音が無音になるとか…
水置換性や潤滑の維持性能も高く、容量あたりの価格も高い。
モーガンブルー シンルブ
オフロード特化のオイルです。
トルクのかかる場面に対応したチェーンの潤滑はしなければなりませんが、ウェットタイプだと泥や砂を拾ってしまうという点を解決した「綺麗で粘度の高いオイル」です。
その代わり、200km~300kmしか持ちませんのでロードバイクだと注油頻度が高くなってしまう欠点があります。
さいごに
世の中にはまだまだ沢山のチェーンオイルが存在しているので、自分の走りや使用頻度に最も合うものが見つけられればいいですね。
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