アマチュア向けのスポーツイベントや運動会などでプロカメラマンが撮影した写真をイベント参加者向けに販売する「オールスポーツコミュニティ」を運営している株式会社フォトクリエイト。
今回は、フォトソリューション本部 CS部長 兼 fotopedia編集長の古川大祐氏と、「オールスポーツコミュニティ」でフォトグラファーとして活躍されている杉本宏貴氏に、スポーツ × 写真の楽しさや撮影テクニックなどを伺いました。
前編では、年間約61,000のイベントを撮影するプロ集団、フォトクリエイトが目指すものを紹介してきました。
・【スポーツ×写真 】年間約61,000のイベントを撮影するプロ集団、フォトクリエイトが目指すもの
そして、この後半では、プロカメラマンに聞くスポーツ写真を撮影するコツも紹介します。
スポーツの感動の瞬間を切り取るフォトグラファー
– 今回はスポーツ大好きな杉本さんを通じて、写真を撮る楽しさを伝えていきたいと思っていますが、杉本さんにとって写真の楽しさや、スポーツを撮る楽しさとはどこにありますか?
杉本:カメラマンは自分でやろうと思ってやりはじめたことなので、人に褒められるとかそういうものの前に、自分で納得できる仕事をするかが大事だと思っています。上手くやろうとして、それができたという感覚を味わいたい。スポーツ選手と一緒なんじゃないかと思います。
上手くいったら嬉しい、上手くいかなかったら次はもっとこうしよう、と。そういう感覚を味わえるのが、僕にとってスポーツ写真だったんですね。
– 写真はプレーの瞬間を切り取るみたいなところはプロのなせる技なのかなと思いますが、いかがでしょう。
杉本:スポーツ写真っていうのは、速いものにフォーカスして、自分が思っているものに当てはまるととても気持ちが良くて、私自身もスポーツ的な感覚でやってますね。動体視力とか反射神経とかもスポーツに近い。
– 今まで自転車というジャンルでの撮影はどのくらいでしょうか?
杉本:自転車の大会はかなり撮影していますね。
古川:杉本さんに撮影して頂いた、一番過去のイベントは2007年の12月に行われた「東京エンデューロ2007クリスマスエディション」で、一番最近では2015年10月10日に行われた「ツール・ド・ちば」ですね(2015年11月現在)。あとは、自転車に限らず今まで撮影していただいたイベント数で言うと、959イベント。1年間に平均120イベント撮影していただいています。マラソン大会が一番多いんですけど、サッカー、野球、あとはチアダンス、マーチングバンドとかですね。スポーツクラブとか、本当にもうジャンル問わず様々なイベントを撮影していただいています。
– 杉本さんの中で印象深い写真、大会はありますか。
杉本:印象深いですか……自転車自体そんなに詳しいわけじゃないんですが、サイクリングといういわゆるレースとは違う形式でその土地を回る「ツール・ド・ちば」という大会は、一般人の方が走るのを撮るのは初めてだったこともあり印象に残っていますね。
– 自転車って同じところをビューっと通って行くじゃないですか。そういうのを撮るポイントとかってあるんですか。
杉本:例えば、自転車で走っている人が海を見ながら走っているような場所では、それが伝わるような構図を考えます。
あとは、競技選手が自転車に乗っている時はダラッとしてるんじゃなくて、カッコよく運転しているので、そのかっこ良さを伝えるのがプロとしての腕の見せ所。さすがプロだねと言われるのは、普通に走っているところでもカッコ良く撮るっていうところで、そこは意識していますね。
– プロのような技術は無くても、カメラ愛好者として写真を撮っている人に撮影のアドバイスするとしたら何かありますか?
杉本:自転車の撮影はスキル的に結構難しく、特に大きく撮るのが難しいですね。
それと、風景を活かすのがいいと思います。そうすれば、画として成立するんです。人を撮ろうとするとやっぱりスキル的には難しいので、はじめのうちは綺麗なロケーションを走る人を撮る方がいいと思います。
– なるほど!他にテクニックも大事ですが、競技に向いているカメラや機材のおすすめはありますか。
杉本:フラッグシップモデルはハイスピードでシャッターを切れて、フォーカス精度も高いですし、屋外で撮影する際の耐久性とか、レスポンスも速いです。ただ、おすすめかというと……やっぱり高いです。
– レースでは三脚は使いますか?
杉本:自転車競技を撮るときは……三脚は使わないですね。細かい画角だとか、カメラの動かし方って微妙なので、三脚だと加減が難しいんです。この場所にこの通る瞬間というのだったら、固定というのもありますけど。
スポーツを撮影する難しさはやはり被写体が動いていることですね。立っている人だったら自分が近づいて行ったりとか出来るんですけど、それがその瞬間はできないので。
スポーツを撮影する際に心がけること
スポーツを撮影する際に心がけること
– 撮るときに「フォトグラファーは黒子になる」とか意識していることはありますか。目立たないようにするとか、逆に個性を出すとか。
杉本:極力目立たないようにしようと思ってますね。まぁ競技の内容によっても違いますし、自分がその大会に対してどういったイメージを持っているのかというところでも変わる部分があります。
あとは、自転車で言うとカッコ良く撮りたいというのがあるので、黒子になりますが、やっぱりのんびりゆっくり走っている時とかは、こっちに気づいてもらって笑って手を振ってくれた方が良かったりとか。
– ご自身が参加したいスポーツとかはありますか。
杉本:それはあまり言いたくないなぁ(笑) でも感化はされますよ。
古川:フォトクリエイトに関わっている方は、やっぱりスポーツ好きな方が多くいます。例えば、マラソン担当の営業社員は、ランナーの気持ちになることが大切なので、フルマラソンを完走しているメンバーも非常に多くいますよ。実は私もトライアスロンに挑戦していたりします(笑)
– 最後にカメラに興味のある読者の方に一言お願いします。
杉本:写真という視点で上手く撮ろうとかスキル的なところも大事ですが、写真はあくまでも情報です。情報を広げていくというか、写真というのは文章だけでは伝えられないものを伝えるもの。その表現の手法です。