スポーツの問題点は素因数分解で解決できる!-TIスイム代表の竹内さんにお話を聞いてきた

水泳のコーチは将来性のない職業。それを変えたい

-水泳は入門しやすい反面離れもしやすいものですが、改善したいと考えたことはありましたか

昔は気持ちがありましたが今はもうないですね。総務省の統計では、水泳の人口が25年で半分以下に減ってるんですよ。だからプールを閉鎖しているところも多い。何で今もっているかというと、高齢の方のおかげ。若い人はほとんど行かない。特に女性はお化粧や髪や肌の手入れの手間もありますね。すると足腰の弱い方が残されている運動として、プールへ泳ぎにしか来ない。引き算で人が集まってくるこのトレンドは変えられないですよ。

-スイムブームを作るというのはいかがでしょうか

ブームというのはいつかなくなるものですよね。だからブームにするためのエネルギーを使ってもそれが下がっちゃうと、無駄になるわけです。ただ、昔はなんとかしたいと思ってアクションも起こしました。でも、私は世界に目を向けたほうがいいのかな、と。だから海外での活動を増やして、残された時間を考えてしなければいけないことを絞ってますね。オンラインコーチングの仕組みは今年中に完成させる。かなりピンポイントな思考ですね。

あとは教える側の問題は徹底的に解決する。コーチは入水しないといけないんですが、これの大きな問題は、キャリアパスとして長く続かない。イメージしてもらえればわかると思うんですけど、水の中へ浸かるからレッスンは4時間が限界。若くなくなればみんな辞めちゃう。皆さんは60歳のコーチを見たことがありますか?水泳のコーチっていうと、せいぜい40歳くらい。白髪のコーチなんてみたことないでしょ。ということはその人たちはどこへ行ってしまったかって話ですよ。切り捨てられて、別の仕事をしている場合も多い。

だからオンラインで解決できる方法はないのか、ということを前提に今まで積み上げてきたんですよ。それが何かって言うと素因数分解です。中途半端な因数分解、すなわち6はダメなんですよ。それが2なの?3なの?って解釈が分かれるから。完全に分解できる方法を10年かけてやってきたんです。

水泳は上達のスピードが格段に速い

-言語化ですが、それは他のスポーツにも応用可能だと思いますか

実は今年自転車を始めたんですが、自転車の身体の使い方も水泳と同じように素因数分解して研究できました。例えば、自転車だと体幹とはなにかがよくわかる。水泳の場合、体幹を維持しようというよりは結果として体幹が維持される、受動的なイメージなんですね。でも自転車の場合は能動的に体幹を意識しないと維持できない。

だから、能動的な体幹を自転車で意識したことで水泳でもいつ体幹を意識すればいいのかというスイッチの入れどきがわかるわけです。

次に骨盤の使い方ですが、これはかなり参考になりました。自転車におけるペダリングというのは、いかに効率よくペダルを回せるかという話ですよね?ペダルを押すだけじゃなく、上がってくる引き足も利用して。そこで骨盤や腸腰筋をうまく使うことで効率的なペダリングを可能にする仕組みを作るのは、水泳のキックとすごく似てるんですよ。

自分の泳ぎの弱いところが気づけたのは自転車のおかげですね。僕は速く走れるわけでも長距離を走れるわけでもないけど、自転車を誰かに教えるにあたっての素数はたまっている感じがあります。素因数分解をして素数、つまり問題点を見つけて教えてあげることができれば、誰でもコーチになれると思います。

-自転車とスイムはそれぞれで関連性が得られやすいと

自転車というスポーツは今までの知見を水泳に変換しやすいと思います。アドバンテージだと思うんです。登りにしてもスプリントにしても、泳ぎの時にどう変換すればいいのかということを考えていってほしい。自転車をやる人なりの見方で水泳を見ていけば、やりやすいと思うし覚えやすいと思う。そこでまた水泳が楽しくなると思いますね。

また、水泳のほうが上達の度合いが早いと思います。自転車は距離を伸ばすことやどこまで登れるか、が目的の一つだったりしますよね。水泳の場合であれば今まで苦手な分だけ楽になっていくのが感じられますので、自転車に比べて上達のスピードが格段に違う。楽しみながら、水泳をやっていけばいいし、あるいは得られた知見を自転車に落とし込んでいければいいなと思いますね。

終わりに

ご多忙な中とても密度の濃い内容をお話しいただいた竹内さん。水泳(スポーツ)は素因数分解であり、動きを研究することで問題点を克服できる。詳細に言語化することにより、自分のみではなく周りの人々にも情報を共有できることが可能です。皆さんも今回のお話を通して「なるほど!」と感じたところも多かったのではないでしょうか。

TIスイム 公式サイト

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WRITTEN BYonzk

毎日往復50kmを通学する学生サイクリスト。ホームセンターに売られていたノーブランドのクロスバイクをドロップハンドルへ改造した事からロードバイクに目覚め、現在はSCULTURA 400を所有。冬にはスキーを嗜む。

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