今回は神奈川県横浜市で行われたFUJIの2017年モデル新製品展示会のレポートをお伝えします。
FUJIは日本メーカーと思っている方も多いかもしれませんが、実はアメリカの会社です。以前は日米富士自転車株式会社という日本メーカーとして展開をしていたのですが、時代の流れもあり、90年代後半アドバンススポーツというアメリカの自転車メーカーに吸収され、2005年以降は日本での展開は株式会社アキボウが輸入代理店となり、FUJIはアメリカンブランドとして再スタートし現在に至ります。
それでは、FUJI の2017年モデルを見ていきましょう。
FUJIの代名詞、アーバンクロモリバイク
FUJIが自信をもって放つ、アーバンクロモリバイクの決定版です。クロモリとはクロムモリブデンの略で、スチールの一種。強度や、重量など様々な面で自転車のフレームにふさわしく昔から用いられてきた素材です。BALLAD R はドロップハンドル仕様でノスタルジックな雰囲気がビンテージバイクのような重厚感を持たせます。
クラシカルな雰囲気はフレームだけではなく、シフトレバーも手元変速レバーが登場する前のいわゆるWレバーを採用し、こだわりを感じさせます。前2段、後8段の合計16段変速でロードバイク並みのスピード感ももたらします。
フラットハンドル仕様で、フロントギアも1枚にし、チェーンガードを設けることでパンツの裾を守り、シンプルなギアチェンジと扱いやすさを高めたモデルです。BALLAD R はドロップハンドル仕様ということもあり、乗車ポジションは前傾姿勢が強めでしたが、BALLAD は適度な前傾姿勢はあるものの、肩肘張らずにハンドルを握ることができるでしょう。
British Green、Aurora White、Carrot Orange の3色展開です。
こちらは一見、BALLADと見間違えそうですが、STROLLという車種。BALLADよりもシンプルさとクラシックさが増しています。大きな特徴はシングルスピードということ。漕いだ分だけ走るという自転車の原点が楽しめる1台です。
Ruby Red、Black、Silver の3色展開です。
明るいカラーリングをそろえるPALETTE。こちらはBALLADやSTROLLと違いアルミフレームのバイクです。しかし一般的なアルミフレームよりも細めのデザインで、クロモリに見間違えてしまうほど。5万円台のお手軽なクロスバイクです。全5色展開。
シングルスピードのパイオニア
若者の新しい自転車の楽しみ方として定着したシングルスピードバイク。以前、都市部を中心に流行ったピストという言葉を聞いたことがある方も多いと思います。ピストとはシングルスピードバイクの一種で、主に競輪をはじめとした競技用の自転車の事を指します。そのシングルスピードブームのパイオニアとも言えるのがFEATHERです。
メンテナンス性が高く、何より変速機が無い為、乗り手の個性を最大限に引き出すことができます。例えば、好きなパーツをカスタマイズすることでオリジナリティが高い自分らしい自転車にできます。
そのFEATHERから走破性と実用性を持たせたモデルがFEATHER CX+です。ベースとなるFEATHERのフレームから、前後ギア、ディスクブレーキ、太めのタイヤが入るクリアランスなどすべての路面コンディションに対応できるバイクです。
オプションでフロント、リアの両キャリアの取付が可能。キャンプをしながら長距離ツーリングをしたりアドベンチャー的な使い方もおすすめです。
ミニベロもシンプルさを追求
FUJIはクロモリをメインに押し、カラーリングにこだわることで街乗りバイクのブランドイメージを確立しています。こちらのHELION もミニベロながらクロモリフレームを採用し、細いフレームだからこそできる個性的なカラーは他社ではあまり見られないFUJIらしさを感じます。
キッズバイクの充実
キッズバイクといえばMTBタイプが主流ですが、FUJIはシマノのギアを搭載した本格的キッズロードバイクも展開しています。
こちらは従来のMTBタイプ。
週末に家族でサイクリングなんて良いですね。
フレーム重量695gの衝撃
ここからはFUJIのハイエンドロードバイクを紹介します。今までの街乗りというイメージから大きく変わりますのでご注意ください。
従来のFUJIの最軽量フレームよりも19%もの軽量化を実現し、世界で最も軽いロードフレームのひとつ、なんとフレーム重量695gのSL ELITE。ヒルクライムや登りに圧倒的なアドバンテージをもたらすフレームです。
SL ELITEはただ軽いだけではなく、パワー伝達効率を上げるための先代モデルより剛性アップを実現。路面からの衝撃は楕円形状の極細シートステーが振動吸収性を高めます。
機能性とは別に、フロントフォークの内側には遊び心あるデザインも。ここまでの軽量性と剛性を合わせ持ったフレームが税別240,000円とは非常に魅力的な価格ではないでしょうか。
エアロダイナミクス、いわゆる空気抵抗を抑え推進力に変えるために開発されたのがTRANSONIC ELITEです。同じFIJIのTTバイクやトラックバイクが行ってきた風洞実験の結果をもとに作り出されました。
楕円形のシートポストやブレーキのマウント位置など、すべて計算された場所に配置されています。ワイヤーケーブルもすべてフレーム内部を通過しそのおかげですっきりとした印象です。展示車はSRAM社製のワイヤレス電動シフトE-TAPで組み付けられていたため、よりフレームの形状が際立っていました。
こちらは現在スペインで熱戦が繰り広げられているヨーロッパ3大レースのブエルタにも参加しているカハ・ルラルいうチームが使用しているTRANSONIC ELITE のレプリカモデルです。今後販売が予定されていますが、時期、価格ともに未定となっています。
まとめ
FUJIはライフスタイルに合わせた街乗りバイクから、後半に紹介したハイエンドロードバイクまで、幅広いラインアップを持つブランドです。特にBALLADをはじめとしたクロモリ素材を使ったクロスバイクはもはやFUJIの代名詞となっています。昨今オシャレなアイテムのひとつとしてクロモリバイクを選ぶ人が非常に多いと聞きます。街中でもFUJIのバイクが颯爽と走る姿を見て、街との一体感がある自転車だなと改めて感じました。