スポーツバイクで車道デビューする時に注意すべきこと
こんにちは、FRAME編集部です。
今回はNPO法人 自転車活用推進研究会 事務局長の内海潤さんにスポーツバイクデビューするのにあたり何に注意をして走行をすべきかについて執筆していただきました。
新しくスポーツバイクを買って春から車道デビューしようと考えている人も多いだろう。逸る気持ちは分かるが、注意しておきたいことが幾つかあるのであらかじめチェックしていただきたい。
心がけ編
毎年春にケガする人が多いことをご存知だろうか? 暖かくなり外で運動したくなって、つい張り切ってしまう。冬の間、あまり運動をしなかった人が急に激しい運動をすると関節や筋肉を痛めてしまうケースが多いので要注意。
冬からデビューする人は必ずウォーミングアップをしてから走りだそう。寒い時期は筋断裂を起こしやすいので下半身中心にストレッチしてほしい。
準備編
新しく購入した自転車であれば問題ないが、長期間乗らずにいた自転車はオイルが流出してサビが浮いたり、ワイヤーが切れかかったりしているかもしれない。目で確認したあとは動かしてみて異音がしないか、確実に作動するかチェックしてから乗るようにしたい。
セルフ点検に自信がない人はプロを頼ろう。有料だが、お店でチェックしてもらえば安心して乗れる。なお簡単なメンテナンスは自分で出来るようになろう。最も重要なのは空気圧を適正値に保つこと。少なくとも1週間に1回は空気を入れよう。
自転車保険に入らず事故を起こすと一生を棒に振ってしまう危険があるので、必ず入ること。自分の身を守るためにもヘルメットはかぶってほしい。また、愛車を盗まれないためにロックは2つ用意し、ひとつは構造物に固定しよう。(アースロックと呼ぶ)
実践編〜ルール通りに走る
さあ、いよいよ実践編だ。自転車で車道を走る際は左側をクルマと同じ向きで。車線(走行レーン)が対向の一車線ずつしかない場合は左端を走る。複数車線ある場合は第一車線内のどこを走っても構わない。
また、第一車線を進んで行くと左折レーンになって、そこから直進したい場合でも車線変更せず左折レーンから直進すればOK。正対するクルマ用の三灯式信号機に従い、赤信号では停止線で止まる。周りのクルマとコミュニケーションを取り、スムーズな走行を心がけよう。
路線バスを追い抜いていいのは停車した直後のみだ。バスは車体が長く抜くのに時間がかかる。確実に抜かないと危険なので、抜くタイミングを守ろう。バス停に止まっても、すぐ動き出すので直後でなければ抜かずに待つこと。
立体交差の跨線橋やアンダーパスは基本的に自転車の通行が禁止されているので無茶せず側道へ。右折時は二段階で曲がることになっているので、決してクルマの右折レーンから一発で曲がらないこと。変形交差点など複雑な右折方法を取らなければならない時や正しいルールが分からない時は最も安全な方法は何かを考えて臨機応変に。もちろん遵法意識は大切だが、クルマ用に書かれてある道路交通法を完璧に守って自転車で走ると危険な場合だってあるのだ。
それと、せっかく車道へ降りたのだから、緊急時以外は車道に居続けよう。横断歩道しかない道路の信号機が赤だと歩道へ上がって通り抜けたり、路側帯にいる歩行者を脅かしたりしてはいけない。
車道には段差がなく、自転車も走りやすいのでクルマの仲間として堂々と振る舞いたい。ただしオートバイとは同じ空間をシェアするので気を付けよう。まずエンジン付きには勝てないから決して勝負はしないこと。
危険察知は情報収集から
歩道と車道で大きく異なるのは相対的に自転車が速いか遅いかだ。歩道では最強の自転車も車道では弱者に回る。車道では自分より速いクルマたちと一緒に走る上で、後方から迫り来るクルマが1台なのか複数台連なっているのか、乗用車なのかトラックなのかを把握しつつ走りたい。
歩道では追い抜かれないので必要なかったバックミラーがあると後方の情報収集に便利だ。色々なタイプのミラーがあるので好みに合う物を右側に装着しよう。さて路上駐車車両は自転車の敵だ。いきなりドアが開くこともあれば急に発車する場合もあるので注意したい。
なおブレーキランプが点いているクルマは動き出す可能性が高い。追い抜く際は後方のクルマに合図を出し、路駐車両から1mほど離れて走る。
車道脇で人が手を挙げていたらタクシーが接近している。バックミラーで確認して距離があれば速度を上げてその場を素早く走り抜ける。すぐ後ろまで迫っていたら無理せずタクシーを先に行かせよう。さらに信号で止まった直後のタクシーは客が降りることがあるので、左側をすり抜けせず後ろで待つこと。
細街路の交差点では子どもの飛び出しに気を付けて、一時停止と安全確認を忘れずに。これさえ守れば事故の大半は防げるはずだ。見通しの悪い交差点の手前ではベルを鳴らして構わない。日本が世界に誇る設置数のカーブミラーもぜひ活用してほしい。
目立つこと
クルマのドライバーは案外、自転車を見ていない。自転車側が思うほどには見えていない。でも事故が起きると痛い思いをするのは生身の自転車側なので、ドライバーに気づいてもらう工夫をしよう。
できればライトは複数装着したい。必ずひとつは点灯させ、あとは点滅させても構わない。前方は白か黄、後方は赤と覚えておく。それから、なるべく明るい色の服を着て走ろう。あとは実際に走って慣れることだ。
車道デビューする皆さん、ようこそ自転車本来の走行空間へ! 快適な車道走行を心ゆくまで楽しんでいただきたい。そして交通参加者として義務と責任を果たす大人の自転車乗りが増えると、この国の自転車文化も発展するだろう。もうその予感はある。そんな時代の到来が少しでも早いことを願ってやまない。