自転車は車道が原則!歩道で事故に遭わないためにできること

こんにちは、FRAME編集部です。

警視庁が作成している自転車安全利用五則にも、自転車は車道(走行)が原則と書かれています。しかし残念なことにまだまだ多い、歩道を走る自転車。中には車道と同じスピードで歩道を走る自転車に怖い思いをした方もいるのではないでしょうか?

そんな昨今の事情に関して歩道で自転車事故に遭わないために意識しておきたいことというテーマで、NPO法人 自転車活用推進研究会 事務局長の内海潤さんに記事を執筆してもらいました。

歩道は歩行者のためのもの


歩道を自転車が我が物顔で暴走する時代は、そろそろ終わりにしたい。前後にお子さんを乗せた電動アシスト自転車のお母さんが増えたが、彼女たちは真の交通弱者ではなく、例えば車椅子に乗る方々や幼児たち、白杖をついた視覚障害を持つ方々こそ守られるべき人たちだ。

そこを勘違いし歩道で自転車乗りが視覚障害を持つ方に向かって「どこ見て歩いてるんだ」などと罵声を浴びせるのは論外である。また、その白杖を何本も自転車のスポークで折られて動けなくなるケースも多いと聞く。

以前、私内海が事務局長を務める自転車活用推進研究会の理事が東京都盲人福祉協会を取材した際に「自転車は車道を走って欲しいんです」と対応してくれたパラリンピアンから涙ながらに訴えられたそうだ。残念ながら、全て実話なので本当に情けない。歩道は本来、歩行者のためのものなのに。

歩道を通る場合、自転車は車道側を徐行


1970年に緊急避難的とは言え自転車の歩道通行を認め、歩行者と共存させようとした施策は間違いだったと旧建設省の元官僚が数年前に認めて謝罪した。立派な行為だが時間は戻せない。

以来、約半世紀が経ち「自転車の通行空間は歩道」という間違ったコンセンサスが浸透してしまった。道交法 第六十三条の四に例外を除き、標識で通行が認められた歩道に限って車道側を徐行すれば通行できると書いてあるが、自転車は原則、車道の左側をクルマと同じ向きに走るもの。その上で危険回避など、やむを得ない場合は歩道を通っても良いが、あくまでも歩行者優先で車道側を徐行する。

この徐行という部分が意識にない自転車乗りがあまりに多いが、もし意識していたとしても電動アシスト自転車で徐行するのは難しい。あっと言う間に時速10kmを超えてしまうし、さすがにブレーキはアシストが利かない。前後に子どもを乗せたお母さんの自転車は総重量が100kgを超える場合だってあるが、お母さんたちは握力が弱い上に制動力の高いディスクブレーキ*なんて当然装着してないから、急に止まれる訳がない。

事故にならなければ単なる怖い話だが、すぐに止まれない重量物が今日も全国の歩道を徐行せずに走る。何とか車道を走ってもらわなければ、いずれ事故が起きるのは誰の目にも明らかだ。自転車活用推進法が成立したので、インフラ整備も進むはず。近い将来、自転車も安全快適に車道を走るようになるだろう。

(*ディスクブレーキ・・・ブレーキローターと呼ばれる円盤のプレートを挟み込むことで止まることのできるブレーキで、一般的なブレーキよりも止まる力、制動力が高いと言われる。)

自転車活用推進法については、昨年国会で法案が可決した際に同じく内海さんに寄稿していただいた、この記事を読んでいただきたい。

歩行者は建物側を歩く


歩道を色分けして自転車の通行帯を設置してある場所が近所にあれば確認して欲しいのだが、必ず歩行者は建物側を歩くよう設定されている。その上で、道交法には歩行者が自転車の通行帯に入らないよう努めることと書いてある。

現状どうなっているかと言えば、どこであろうとお構いなしに歩いている訳で、歩行者側も意識する必要がある。もちろん、歩道は歩行者のためのものなので堂々と歩けば良いのだが、事故に遭って痛い思いをするのは常に弱者側だから、身を守るため出来るだけ建物側を歩くように意識するのは有効だ。

もし、自転車側から邪魔だと罵られたり、ベルを鳴らされたりしたら「あなたたちは本来、あっち(車道)でしょ!」と言って構わない。そう言われる回数が増えることで肩身が狭くなり、歩道で大きな顔が出来なくなることを期待したい。

歩道上の事故は自転車側の過失10割


2011年に警察庁が「自転車は車道の左側走行徹底」と通達をしてから、法曹界では歩道上で自転車と歩行者が衝突する事故が起きた場合、自転車側の過失10割から審議開始することで意見がまとまり、以降それに沿った判決が出ていることをご存知だろうか?

つまり歩行者が飛び出そうが、脇見をして自転車にぶつかって来ようが、まずは自転車が悪いと疑われる。もちろん、情状酌量があれば9対1や8対2にもなるが、以前は5対5から始まったことを考えると極めて分が悪い。

車道にいるべき自転車が歩道にいたということは、あくまで例外的であり、すぐに止まれる速度で通行(徐行)していたはず。その上で歩行者と衝突したなら自転車側に不注意があったはずだと仮定するのは理屈が通っている。

ただ自転車乗りに法曹界の新常識は浸透していないから、直面して初めて驚愕することになる。相手の状況次第では多額の損害賠償金を請求されることだってあり得るので、できるだけ自転車は歩道に近寄らない方がいいと思うのだが如何だろうか?

歩いて暮らせる街にしたい


平成11年11月11日に小渕内閣は、日本は歩いて暮らせる街を目指していくことを閣議決定した。

少子高齢化に適応した街はコンパクトで歩いて暮らせ、過度なクルマ依存とも無縁だ。適度な運動を日々やれば健康に長生きできることが分かっている。

安心して歩いて暮らせる時代になれば、自転車に怯えながら歩く必要もなくなる。まして事故など、もってのほかだ。そんな時代が間もなくやって来るに違いない。歩行者の皆様、もうしばらくの辛抱を。

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WRITTEN BY内海潤

NPO法人 自転車活用推進研究会 事務局長 東京サイクルデザイン専門学校の非常勤講師として次世代の自転車人を育てる一方、イベントや講演会などを通じて自転車の楽しさや正しい活用を訴える活動を続けている。テレビへの出演多数。共著書に「これが男の痩せ方だ!」「移動貧困社会からの脱却」がある。別名「日本で一番自転車乗りの権利を考えている*事務局長」(*FRAME編集部見解)

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