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ロンドンでプラントベースト・ダイエットを始めるアスリートが急増中!

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前々回の当コラムで、英米欧などでは「リアルフード」を使ったナチュラルな補給食が人気を集めていることをご報告しました。この同じヘルシー食ブームの流れで、今、「プラントベースト・ダイエット」を始めるアスリートが激増していることを今回はご紹介します。

プラントベースト・ダイエット(plant-based diet)とは、植物性の食事という意味。動物性の肉を食べないヴェジタリアン、特にその中でも魚・乳製品や卵も食べないヴィーガンな人たちの食事がそれです。

筋肉を酷使しビタミンやミネラルの消費も激しいアスリートの食事には動物性のタンパク質、つまり肉が不可欠…というのが従来は広く信じられてきた言説ですが、食事内容に気をつければそんなことはないということが栄養学的にも通説となり始めたのが大きく広がるきっかけになりました。

カシューナッツペースト、アーモンドバターなど、タンパク質と質のいい油脂を取れるナッツを使った食材は消費量も急増中。(c)Yoko Aoki

日本とは逆に、肉食が減っている欧米

背景には、社会全体でヴェジタリアンやヴィーガンが急増していることがあります。肉食が気候変動の最大要因の一つになっていることや、大量生産される肉に使われているホルモン剤や抗生物質の害、そして動物虐待などが知られるにつれ、イギリスでは10代や20代を中心に肉食を減らす人が増え、現時点で人口7000万人の3%、およそ200万人がヴェジタリアンかヴィーガンと推測されています。

また、ヴィーガンであることを公言している有名アスリートも大勢います。日本でも有名なところではテニス選手のヴィーナス&セレナ・ウィリアムズやウルトラマラソンのスコット・ジュレク、ロードレース選手ではグランツールでマイヨジョーヌにも袖を通したデビッド・ザブリスキーがそうです。英オリンピック金メダリストのリジー・ダイグナン(旧姓アーミステッド)は10歳からヴィーガンとか。イギリスでは最近、選手全員少なくとも試合の日はヴィーガンというプロフットボールチームも登場して話題になりました。

プラントベースト・ダイエットを薦めるアスリートによれば、体に無駄な脂肪がつきにくくなった、気分も体も軽く快調になった、腸の調子が整った、肌や髪が綺麗になった、運動能力が上がった/下がらなかった…などなど色々な「効果」が言われていますが、こればかりは個人個人の体質にもよるでしょうし、植物性の食品もピンからキリまであり、食べ方もあるので、自分でやってみるしかないでしょう。

ともかく、スポーツをするなら肉を食べなくちゃ! という都市伝説はすっかり過去のものになったという状況なのです。

ロンドンの10代20代の場合、10人集まれば2〜3人はヴィーガンやヴェジタリアンな今日この頃。大学のそばやオフィス街にはフムスやアボカド、キヌアにアーモンドミルクといった食材を使ったプラントベーストなお惣菜弁当やレストランが多い。(c)Yoko Aoki

植物だけで栄養補給を十分にするための商品が豊富

英国の自転車競技連盟ブリティッシュ・サイクリングのサイトには、サイクリストのためのヴェジタリアン/ヴィーガン食事法という記事があり、体格に応じた量のタンパク質の摂取、必須アミノ酸のバランス、B12の摂取に気をつけることなどの基本から、瞬発力の発揮に有効と言われるクレアチンをサプリで摂ることなどのアドバイスがされています。

特にヴィーガンアスリートのこの辺りのニーズに応える食品やサプリも続々登場してきていて、ホエイの代わりに豆タンパクを使いミネラルを多めに配した運動後の回復食シェイクミックス、筋肉増量のための豆タンパクパウダー、アーモンドやカシューなどのナッツミルクやバターなどは、一般的なスーパーなどにも現れ始めています。

これらの他、スピルリナ、チアシード、キヌアなどタンパク質と腸内フローラに良い食物繊維、オメガ3油などが多い健康食材がどこでも手に入りやすくなったことも、食事から肉を減らしてプラントベースト・ダイエットを増やしてみようかと思うアスリートが増えている一因かもしれません。

欧米に比べるとヴェジタリアンやヴィーガンに興味を持っている人がまだ多くなく、商品も少ない日本。でも、環境にも体にも動物にも残念な大量生産の安い肉を減らし、プラントベースト・ダイエットを意識して増やしてみるのはどうでしょうか。化石燃料を燃やすクルマから自転車に乗り換えた時のような、あの気持ち良さも味わえますよ!

それでもまだちょっとお肉が恋しいかなーという人も嬉しいベジバーガー。グルテンを忌避する人も多いので、パティは数種類の豆や野菜を混ぜたもので、ヴィーガンマヨネーズ、砂糖不使用のケチャップなどでいただきますが、これがびっくりするほど美味しくて満足!(c)Yoko Aoki
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