千葉サイクルクラブって?
千葉競輪では月2~3回、サイクリストに500mバンクを開放したイベントを開催している。主催するのは「千葉サイクルクラブ」。2013年7月、日本写真判定㈱が千葉競輪場の包括委託運営をスタートさせたのとほぼ同時に設立。500mバンクを思いっきり楽しもうというのが趣旨だ。初回は無料。ピストバイク、ロードバイク、ママチャリでも、バンクを走れてしまうのだ。
クラブへは側道に面した通用口から入場。入ると、お知らせボードもあり、迷うことなく、辿り着いた。専用ラウンジは手作り感たっぷりの楽しい空間だ。千葉競輪場の本場開催及び場外開催日の午前9時50分から日中開催最終レース終了後まで開放(ただし、イベント実施時は時間変更の場合有り)。ラウンジ隣には選手専用のジムもあり、見学も可能だ。
競輪と聞くと、「シニア層の嗜み」との印象を持つ人もいるかもしれないが、イベントの参加者は小学生、中学生、ママさん、シニア層まで総勢40人。自転車の種類も本格的なピストバイクから、ロードバイク、視覚障がい者も楽しめるタンデムバイクもと幅広い。
ロードバイクの貸し出しもあるので、これからサイクリングを始めたい、という人も気軽に参加できる。スペシャリストの集まりだから、目的に応じた自転車選びの相談にも乗ってくれるだろう。
トライアスロン日本代表メカニックによるチューブ交換講座
今回の走行会の前には、チューブ交換講座も開催された。講師は、JR稲毛駅近くにあるトライアスロンに特化したサイクルショップ「フリート・バイク&トライアスロン」の店長、相田博幸さん。トライアスロン日本ナショナルチームの世界戦メカニックを務め、リオ五輪にも同行した実力派だ。
今回は前輪がパンクしたという想定。相田さんは見事な手さばきで、脱輪しさせ、チューブを取り出す。タイヤレバーは通常、3つ入っているが、コツさえつかめば、2個で十分とか。
予備のチューブは2個、サドルバッグに入れるのがオススメだという。箱に入れたままだと、転倒などの折、バルブに衝撃がかかり、傷をつけてしまうこともある。サランラップに包んでおくと、コンパクトで、使い勝手もよい。
空気入れは携帯性を取るか、ポンピングのしやすさを取るか、お好みで。相田さんが持ってきたのは超軽量型(全長99mm)。300回ポンプすると、十分な空気圧になる。空気圧のチェックはサイドではなく、接地面を確かめること。バルブを締めるゴムキャップは使用前はチューブの保護の役割があるが、装着後は不要という。約30分、こんな目ウロコの知識を日本代表のメカニックから教えてもらえた。
いざ、バンクへ
バンクへの通路は選手たちが通るバックヤード。普段は見られない場所も見学できる。途中には喫煙所、医務室、ローラー練習所、記者室への入り口がある。選手たちは練習の準備に勤しんでいた。この長い通路が気分を高揚させる。レーサーズ・ゲートを出ると、500mバンクだ。
まずはバンク内にあるテニスコートで準備体操し体を十分にほぐした後は、初心者組と上級者によるアドバンスコースに分かれる。主催者によると、アドバンスコースの開設は今回が初めてというバンクを見ると、5人程度の集団に分けてグループでの周回練習を行っている。講師は、日本写真判定所属の日本代表、中村妃智(きさと)選手。トラックには、選手たちも愛用しているスペシャルドリンクも用意されている。
「初心者の人も、バンクへどうぞ」との声がかかり、自前のロードバイクKHS CX100で走る。最初は内側のレーン。抜く時は①必ず右側から、②「抜きます」と声をかけること。バンクは異次元の走りやすさだ。舗装したてのアスファルトよりも滑らかで、ペダルを漕ぐと、想像以上にスピードが出る。路面が違うと、こんなにも違うものなのか。
1周目は若干、怖さもあったが、周回を重ねると、慣れてくる。アドバンスコースのグループは外側のレーンを走って、軽々と抜いていく。3周目は思い切って、一つ外側のレーンを走り、4周目はさらに外側へ。競輪レースを見ていると、よくあんな傾斜を走れるなと思うが、スピードが乗ってくると、走れるものなのだ。5周目はさらなる傾斜へ。おそらく10周くらいは走っただろうか。初めてのバンクは想像以上に気持ち良かった。
日本競輪選手会千葉支部長・中村浩士選手が個人指導
30~40分の走行を終えると、S級1班の中村浩士選手が登場する。日本競輪選手会千葉支部長という要職にある千葉のエースだ。「まずは乗ってみてください」と中村選手。
アドバンスコースの参加者はテニスコートを周回する。中村選手は、すぐにピンときたようで、「ちょっといいですか」と工具を取り出す。少し前傾になっているサドルを調整して、水平の位置に直す。
ポイントは自転車に対して、正しく荷重がかかっているか。体が前傾していないと、「ちゃんと乗れていない」ということになるようだ。その調整を終えて、再び参加者が試走する。2周走って戻ってくると、開口一番、「前よりも乗りやすいです」と驚きの表情を見せていた。
アドバンス・コースでは、ハロンのタイム計測もあり、本格的な内容。最後は全員でインターバル走を行った。妃智選手の合図で全力疾走。その後はクールダウン。それを繰り返していく。約2時間半のイベントはあっという間に終わった。
サイクルクラブ責任者に聞く
千葉サイクルクラブのスタート時から運営に関わってきた日本写真判定千葉事業所所長代理の石塚達雄さんに話を聞いた。
「競輪=ピストという印象もあり、最初は愛好家の方が4、5人だったでしょうか。少ない時は2人という時も。社員に専門家もいたので、サイクル教室的なこともやっていたのですが、3年前、その人間が転勤などで異動になり、自転車経験のない私が引き継ぎました。広く自転車を楽しんでもらおうという形にシフトし、『弱虫ペダル』とのコラボイベントや、不定期で年に1回のレース・イベントを開催してから、徐々に参加人数が増え、現在では40人前後の方に楽しんでいただいています。サイクルクラブをきっかけに、競輪にも興味を持って頂ければ、うれしいですね」
その試みは成功している。時間いっぱいまで、参加者にアドバイスを送る中村選手の姿にファンになった。次回、競輪の車券を買うときには中村選手を軸に買いたい。東京五輪2020での妃智選手の活躍も期待したい。
次回のイベントは6月24日(土)。「サイクルクラブ」(12~13時)、「タンデム体験会 第一部パイロット養成」(13時10分~13時50分)、「タンデム体験会 第二部タンデム体験」(14〜15時)で、タンデム自転車でバンクを走ることができる。7月は9日(日)13~15時、23日(日)13~15時を予定している。
参加資格は特になし。ロードバイクのレンタル(希望が多数の場合は交代制)もあり。参加費は基本的に初回無料、2回目以降は500円。希望者は、管理通用門を入って右手にある、千葉サイクルクラブラウンジ前集合。
問い合わせは日本写真判定株式会社千葉事業所、千葉サイクルクラブ担当(043-441-3443)まで。公式フェイスブックも展開している。