みなさまいかがお蕎麦し?(編集部註:お過ごし、の意のようです)
さて、梅雨入りした今日このごろ。
年々梅雨が後ろ倒しになっている気がするが、今も幼稚園児たちが描く6月のカレンダーの絵は紫陽花とカタツムリだろう。
と、いうわけで今回のテーマは「つゆ」。つゆで選ぶ立ち蕎麦ベスト3だ。
ラーメンには醤油、味噌、とんこつなど、さまざまな「つゆ」があるが、蕎麦は基本的に出汁とカエシしかない。
関東に多いのはカツオ節がメインでそこに宗田節や鯖節やらが加わる出汁。カエシは醤油に味醂や砂糖を加えたもの。
座る蕎麦も立ち蕎麦もその辺は変わらない。
ただしミシュランに載っちゃうような座る蕎麦のお店が「枕崎の職人が魂を込めて仕上げた本枯れ節」を惜しみなく使っちゃったり、カエシを2週間寝かせちゃったりと、コストをふんだんにかけられるのに対して、ワンコインで提供される立ち蕎麦の原価は推して知るべし。
多くのお店が出来合いのつゆを温めちゃっているだけだったりする。
そんな中で「おいおい嘘だろ!」みたいな素晴らしいつゆに出会う瞬間がたまにある。
それは離島の村で借りたレンタルのアルミロードに乗ってみたら意外と走って、あれ?これ実はDOGMA?と思っちゃうようなハッとする瞬間。だから立ち蕎麦は深く、面白い。
その1.その名も「だし家」
品川区旗の台。東急池上線の踏切のほとりにある「だし家」。
二つある寸胴から出汁とカエシを、年季の入った雪平鍋で合わせて、一杯一杯丁寧に提供されるこちらのつゆ。
東京では珍しく昆布がメインだ。それでいて関西風ではなく、昆布の効いた関東風。ここでしか食べられないのではないか。
一口すすると往年の漫画のあのセリフが脳内を駆け巡る。「OH!MYコンブ!」と。
そしてこのお店の特徴は、麺と揚げ物が「イマイチ」なところである。
特に当日チョイスした紅生姜天は完全にミスマッチだ。素晴らしいつゆをこれでもかと邪魔してくる。
なぜかコロッケも載せちゃったし。
さらに太めの茹で麺がまたぼんやりとやる気のない表情のまま胃へと落ちてゆく。
総じて食後の満足感は低い。出だしが(だしだけに!)良すぎただけに落差を感じるのかもしれない。
上がって、下がる。ヒルクライムもダウンヒルも1杯で楽しめると言えなくもない…かな。
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その2.カツオ節屋さんの立ち蕎麦屋
気を取り直すために中原街道を爆走しよう。
目指すは港区愛宕。最寄駅は神谷町だが歩きだと結構遠い。新橋からも同じくらいの距離だ。
どの駅からも遠いエリアが昔からなんとなく好きだ。西麻布とか、南平台とか。
しかしここに立ち蕎麦界に君臨する「そばよし」が突如降臨し、俄然頻繁にくるエリアになった。
本店は日本橋の昭和通り沿いに未だ君臨しているが、京橋にあった支店が1年ほど前に移転してきたのだ。
ここはみなさんご存知だと思うが「ブラタモリ」や「マツコの知らない世界」に登場してから、いつ来ても並ばされる繁盛店に
なって(しまった)。まぁその価値はあるしラーメン屋ほど待たないので今日も並ぶのである。
こちらはカツオ節店の直営である。2階で削った節のカスをごはんにかけられたりする。昔はカウンターに置いてあってそばにもかけ放題だったのだが、心ないやつらがパクりまくったらしく、今ではライスを注文しないともらえなくなってしまった。
パクリ、ダメ、ゼッタイ!
あとこの店の特徴として店員さんがチャイナの方々なのでよくディスコミュニケーションが起きている。
「冷やかけ頼んだのにただのかけそばじゃん!」とか「かき揚げじゃないよ野菜天!」みたいなのは茶飯事で、明らかに「たぬきそば」なのに「むじなそばだ」と店員が譲らず、お客さんがあきらめるという光景も一度見た。
そして丼を受け取る時に聞かれる「ネギ入れますか?」という問いに「はい」と答えても、刻みネギをちょびっとくらいしか入れてくれないのだ(笑)
しかしながらそんなリスクを背負った上でもこの店のつゆはヤバい。ほんとに。
つゆだけファミマとかとタイアップして売ってくれないかと切に願う。
スタバでフラペチーノを飲むならば、そばよしでかけそばを飲むべきだ。
そしてこの移転先はなんと、激坂の下に位置している。
ここを10本こなす毎に1杯補給するサーキットトレーニングがこれからの立ち蕎麦×バイクのグローバルスタンダードになるだろう。まさにダイバーシティだ。
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その3.立ち蕎麦界の黒いガンダム
10杯は食べた?
ではそろそろ移動しよう。次の目的地は立ち蕎麦の聖地、秋葉原だ。
秋葉原には銘店が多い。かつてこのあたりに製麺業が多かったゆかりらしい。
秋葉原一の人気店はおそらく「二葉」だろう。ここは虎ノ門の峠そばと並び、とにかく行っていただきたいので今回は割愛。
そこからから離れること500mくらい。病院の先に佇む黄色いお店が「川一」だ。
黄色いお店は「六問そば」の系統が多い。特徴は黒い醤油つゆとゲソ天。
こちらもそれにたがわず黒い。とにかく黒い。
だがしかし、他の六問そば系とは一線を画す優雅さがその奥に潜んでいる。
それもそのはず、店内を見渡すと誇らしげな「本枯れ節使用」の文字が。
競輪場に入り浸ってそうなおっちゃんがテレビを見ながら適当に作ってる感じだし、揚げ物は作り置きだし、麺も茹で麺なのだが…ここは素晴らしくうまい。
そうか!ここは黒いそば界のエリート、「ティターンズ」なのか!
そういえばおっちゃんはちょっとジャミトフ提督に似ていなくもない。
立ち蕎麦界の黒いガンダム。
「カミーユ!」
「だめだフォウ!つゆに取り込まれるぞ!」
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まとめ
雨のライドはアガらない人が多いだろう。しかし雨はブルベの練習に最適だ。
さぁゴアテックスを来て飛び出そう。マンホールと白線に気をつけて、ブレーキはゆっくりお早めに。
あ、お店に入る前にびっしゃびしゃのレインウェアは脱いでね♡