「大阪城でトライアスロン?ホンマかいな」
噂を聞いた人間は皆そう思ったに違いない。私ももちろんそう。でも噂は本当になり、事務局ができてHPやFacebookで広報が始まった時、私は決めた。
「これは絶対出るしかない」
真田丸も欠かさず見ていた私は、「真田幸村がいた大阪城で行うトライアスロンにぜひ出て見たい!しかも一回きりとかで無くなるかもしれん!」とミーハーにも思ったのだが、もう一つ強い理由があった。私の実家にあたる、現在の母(推定70歳後半)の住まいが、大阪城まで歩いて10分のところにあるからだった。実家に泊まりがてら参戦でき、ミーハーなオカンは多分私を応援して盛り上がれるだろうし、コレはいい!と考えたのであった。
いつも、帰省した時いつも、ランニングしている、あの大阪城周りで、一体どんなふうに大会が開催させるのか、興味シンシン・・・。
出るぞ!出ようよ!まわりのトライアスロン友達に、話すと、反応は分かれた。
「えーお堀でしょ~。汚そう。なんか変なもんうつるんとちゃう?」
「それおもろそう!ネタで出てもいいかな。食い倒れも出来るし」
なんだかんだで、私の属するアヤトトライアスロンスクール(関東です)からは、七名ほど参加することになった。皆一般の抽選をくぐり抜け、参加決定。しかし私は必ず出たかったので何とチャリティ枠で先着順に応募。確か4万くらいか・・・なんとも高いコストをかけ、出ることが決定したのであった。
さてさて時はすぎ、試合前日。必ず参加しなくてはいけないレース説明会のため、皆で大阪で集合。コースを少し下見する。もちろん、まずはお堀のチェックから。
「お。これやったら、横浜港の海よりましかも」
「川崎港とか、東京湾や、渡良瀬の水よりマシそう」
いったいトライスリートはどこまでお気楽なのかといわれそうな感想が主でした。しかし緑の湖面にポカリポカリと浮かんでいるのは亀さん軍団。
声をかけるとこっちを向いて反応までする。亀軍団は餌付けされてんのかもしれん。この堀で多数の人間様がバシャバシャやってる時はビックリするやろなあと、お堀を後にするのであった。
オカンパワーで晴れてしまった
6月25日、日曜日、レース当日。朝5時前に起きた私はビックリした。「雨ふってないやん・・・」前日までの大雨予報が一転、曇りに変わっていたのだ。「私が絶対晴らしてあげるよ。照る姫だから」前日に恥ずかしげもなく晴れ女を主張した推定70歳後半のオカンを、チョット尊敬した瞬間でもあった。これはラッキー。こんなクネクネしたバイクコース、雨降ったらとてもじゃ無いけど走れない。発表されていたバイクコースは、半分ほど公園の中でジグザグ走り、半分は公道の直線コースだが180度ターンを2度も強いられる、一周4.4キロのコース。それを9周もする、トライアスロンとしては面倒臭い難易度の高いコースなのであった。トライアスリートは大体2台くらいバイクを持っており、一台はロードバイク、もう一台はTTバイクを所持してる。さすがにこのコースは電動変速機、電デュラ等を有して無いTTバイクは変速が面倒すぎて×。私もいつものサーベロP2君はお留守番で、久々のロードバイク、ルック君をチョイスしていた。
6時半にはレース会場に到着して、準備をする僕たち。結構テレビカメラが入っていて、関西ローカルでは、少しは話題になっているようだった。よく知らないがお笑いのシャンプーハットの何某が挑戦するとか、テレビ局のアナウンサー何某が挑戦するとか・・ホリエモンもスタートリストに名前がはいっており・・、スイムスタートの頃には上空にヘリコプターが、下界を撮影しており、おもろそうな絵を狙ってる感満載だ。
トライアスロンは年代別に分かれて時間差でスタートする、ウェイブスタートと呼ばれるものが一般的。私は45歳から50歳未満の年代で、5番目のスタート。スタートの5分前にやっとお堀に入れる、試泳の時間がやってきた。仮設の階段をおりて、いざお堀へ!!
多分スイムした多くのトライアスリートはこう感じたに違いない。
「無味無臭な水質かも、水は緑だけど意外に悪く無い」
そう。意外にも水の感触は悪く無い。ウエットスーツは着用義務なので、そもそも浮きやすいし、波は無いから、泳ぎやすそうなのである。すっかりお堀の主、亀さん軍団のことなど忘れてバシバシ試泳したのち、スタートラインに立ち泳ぎしながら場所取りを開始した。
ファーーーン!
気の抜けたようなホーンの音が、トライアスロンレースが始まるいつもの合図。一斉にクロールを開始しコースどりのバトルが始まる。さぞかし上空から見たら、人間の泳ぐ様が、鯉が餌を求めてバシャバシャしているような図に見えるに違いない。
750メートル一周を2周回。何度か水が口から入ってきたが、何の問題も無い。5月に挑戦したレース、茨城県潮来の川の水に比べれば楽勝なのである。デッカい目印のブイもよく見え、コースどりも難しく無い。予想より気持ちよくスイムアップすることができた。次は問題のバイクだ。
トリッキーな自転車のコースに思わず落車
ガガガーッ。アーーッやってもうた!!気がつくと鋭角コーナーを曲がり損ねてスッテンころりん落車したのは最終周回の時、ラスト1キロぐらいのところだった。クネクネしたコース、公園内砂が浮いた舗装道路、ちょうど降り始めた雨が、バイクコースの各所で落車を引き起こしていた。救急車も出動していた。注意を重ねてここまできていたのに、一瞬の隙をついてこけてしまったのは、ロードバイク出身者としては情けない限り。ホイールも雨天気予報にもかかわらず、カーボンをチョイスしていたし、カーボンホイールには昔の行きつけのロードバイク屋のボスが見繕ってくれた、今時細〜い21ミリのチューブラータイヤを履いていたのが、落車を誘発したかもしれない。なにはともあれ、このまま終わっては、黄色い声援を浴びせてくれた、恥ずかしげもなく私のフルネームを書いた登りを多数掲げているオカン軍団を落胆させるわけにいかない!急いでチェーン直してブレーキレバーを力ずくで元に戻しレース復帰。肘や手から血が流れてるがまあええわ!
そしてランパートに突入。少しイタイ・・
ランはお堀沿いのランコースを4周回まわるコースで、なかなか気持ち良い。いつもジョガーが走っているメイン通りを通ってから石垣の方へ登るコースを行ったり来たりするのだ。
もう少し1キロでゴールのところで、足の自由がきかなくなってきたなあと、思っていた途端に、ドーン!とバランスを崩して酷く転倒した。沿道の観客から声が聞こえる
「やばい!やすんで!」「大丈夫か!?」
頭がフラフラし立ち上がっても走り出せない。コレはテレビのマラソンとかでたまに見る、脱水状態の人そのままやん!俺やばいかも!
そんな予感が駆け巡るが、ここでやめるわけにはいかない。バイクコースがクネクネ過ぎて、水分補給がいつもより少なめになってしまったからかもしれない・・後1キロ、最悪歩いても完走できる。そう思い、何とか立ち上がり、ゴールに向けてヨロヨロ走り出した・・。
遠かったゴール。後1キロなのにすごく遠かった。でもやっとこさ完走できた・・。たくさん抜かされたけど、二回もこけたけど・・やりきった感満載のレースとなった。
個人的なレース結果は、ワースト記録更新してしまったが・・。
救護室で怪我の手当てを受けて、OS 1をもらい、飲んで復活!
一般レース【エイジレース】のあとは、ブロたちのレース【エリートレース】がある。
そのエリートレースのカッコいいスタートを皆でワイワイみながら、ふと思う。いやーよくここでこんな大会を開けたなあ。発想を実現に結びつけた大会関係者の見えざる努力を感じた。
そして感謝しなきゃなあと思うのであった。まあ、お堀で泳げて大満足。あのテクニカルなバイクコースだけは、次回何とかして欲しいと思った。雨が降っていなくても、落車が出やすい設定になってるコース。でもそれも全体で見ると、苦心して作られた感じはビシビシ伝わってはくる全体のコース設定なのはとても理解できるのだが。
もう少し良くなることを期待して、改善されるなら、来年もまた、出ようと思った。
イベントとして大きくなる可能性を秘めているのも魅力のひとつ。
大会関係者の皆様ありがとうございました&次回もパワーアップ期待しています!
『余談』
7名の仲間の戦績
DNF2人 1人パンク、1人電動シフト故障
完走4人、2人落車、1人無傷、1人無傷でエイジ三位
ウエットスーツ忘れてバイクから参加
1人 参考記録・・
という、なかなかバラエティに富んだ結果となった。