神奈川県足柄下郡箱根町。
箱根の山は古来より旅人の旅人の行く手を阻み、現在ではアニメ「弱虫ペダル」の舞台としても登場、多くのヒルクライマー達を魅了しています。
湯煙とともに行く箱根旧街道、とにかく長い椿ライン、富士山に見守られて登る乙女道路に、寄り道も楽しい三島からの箱根峠、激坂続きの熱海峠、そして名もなき数々の坂たち。
坂に挑みトレーニングに励むのももちろん結構ですが、下を向いてサイコンのデータを見るばかりではなく、登っている最中の四季折々の豊かな自然もぜひ堪能していただきたいところです。
神奈川県で生まれ育ち、湘南・西湘と自転車LOVEのワタクシCheeが
登り切った人にしか見られない絶景たちを、お勧めのルートを交えてご紹介します!
目次
長尾峠~パノラマビューを一人占め
芦ノ湖から仙石原、大涌谷、箱根外輪山の一角である明星ヶ岳まで、箱根のハイライトをぐるりと見渡せる贅沢なパノラマビューが魅力の長尾峠。
箱根にドライブで来たことがあっても、この峠は知らない方が多いかもしれません。箱根から御殿場へ抜ける旧道のため、通常だと乙女道路に抜けていく車がほとんどだからです。
ですが自転車ならそこが狙い目!車の通行が少なく緩やかな斜度の上りは、とても気持ちよく走ることができるのです。
人も少なく、静かに絶景を堪能できるのが魅力ですが、絶景以外には何もない場所なので補給やトイレなどは下のコンビニで済ませておきましょう。
駐輪場:路肩、ですが停めて長時間自転車から離れるような場所ではありません。
トイレ:なし
それまで狭い路肩で後ろから飛ばして来る車にびくびくしていたのがウソみたい!
長尾峠までのおススメルート
小田原駅からひたすら国道1号線を走り、宮の下の信号からはひたすら国道138号線を走るオーソドックスなルートです。仙石原を過ぎ、登るのにも飽きた頃、乙女峠と長尾峠の分岐の看板が出てきたら左折です。
距離 24.1km 最大標高差 905m
平均斜度 全体:3.8% 上り:5.1% 下り:3.4%
獲得標高 上り:945m 下り:54m
大観山~ヒルクライムレースのゴールで富士を眺める
箱根ターンパイクと湯河原側から上る椿ラインが交わるこの場所は、9月に箱根で開催される「箱根ヒルクライム」のゴール地点でもあります。この標識の前で愛車と記念撮影する方は多いですね。大観山スカイラウンジがあるので、食事やトイレも心配ないのが嬉しいところ。天気が良ければ富士山と芦ノ湖の贅沢なコラボが楽しめます。
一般道と自転車禁止のターンパイクが交差する場所なので、帰りに間違ってターンパイクに入らないよう注意してくださいね。
駐輪場:なし 駐車場の片隅に停める。
トイレ:あり 大観山スカイラウンジ内
幼いころから富士山が見えるところに住んでいる私ですが、この光景はやっぱり感動モノ!
大観山までのおススメルート
大観山への最短距離、かつ最難関の椿ラインに挑戦!獲得標高が上り946mに対して下り9m(しかも平均斜度2%!)という登りっぱなしで休めないコースです。湯河原駅からスタートのヒルクライムになりますが、湯河原の街中を過ぎると自販機を含めた補給ポイントが格段に減るので準備は万全に!
また、車でアクセスする方ならスルガ銀行のサイクルステーションを利用するのもいいですね。(ただし予約制、スルガ銀行と取引のある方のみ)
距離 18.4km 最大標高差 953m
平均斜度 全体:5.1% 上り:5.6% 下り:2%
獲得標高 上り:946m 下り:9m
箱根神社~旧街道で行く定番パワースポット
757年に創建された箱根神社は、芦ノ湖周辺の定番観光地です。関東総鎮守として祀られ、近くの九頭龍神社とあわせて関東屈指のパワースポットとしても人気があります。
そういったスピリチュアルな事を差し引いても、巨木が立ち並ぶ参道はそこにいるだけで、すがすがしい気持ちにさせてくれます。観光バスがかなり多いので車道はもちろん駐車場でも注意してください。敷地内はどこも人が多いですが、特に芦ノ湖へせり出す赤い鳥居は、フォトジェニックな箱根神社のシンボルとして写真に収めようと多くの人で賑わいます。
本殿へお参りするのが筋だとは思いますが、ビンディングシューズで長い石段を登り降りするのはかなりの覚悟が必要です!
駐輪場:なし 駐車場の片隅に停める。
トイレ:あり 第一駐車場奥(芦ノ湖周辺はトイレスポットが充実しています)
箱根神社までのおススメルート
小田原駅から箱根旧街道を抜ける定番コース。キツイ登りの「七曲り」が有名ですが、実は七つ以上あります(笑)信じて数えながら登ると心を折られますのでご用心!国道1号線経由より全体的に斜度がありますが、距離はこちらの方が5kmほど短くなりますし車の往来はずっと少ないので坂バカさんたちにはおススメです。
距離 17.9km 最大標高差 776m
平均斜度 全体:4.2% 上り:6.4% 下り:4.3%
獲得標高 上り:819m 下り:86m
仙石原~エヴァンゲリオンでもおなじみ、雄大なススキ野原
秋になるとものすごい人出でにぎわうススキ野原が有名です。ススキ野原の中にモーゼの十戒のように一本道が走っています(自転車は乗り入れ禁止なので)。構図次第でまるで日本ではないような雄大な写真が撮れる場所なのでインスタ好きな方におススメです。ただし、ダラダラと結構登るのでビンディングシューズの方はほどほどで引き返すのが吉ですよ。
そして仙石原といえばアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のメイン舞台としても有名!
名シーンを思い出し、妄想するのも聖地ならではの楽しみ方ですね。
駐輪場:なし 入口付近に邪魔にならないように
トイレ:なし ただしすぐ近くにコンビニあり
仙石原付近のローソン3店舗は「第3新東京市**店」が正式名称となっております。
ススキ野原向かいのローソンは「第3新東京市西店」です。他に「北店」と「南店」があります。
仙石原までのおススメルート
趣向を変えて御殿場駅から箱根裏街道を登ってくるのはいかがでしょう?、神奈川県側からよりも距離は短いし、御殿場の標高が高いので平均斜度がぐっと緩くなります。ただし、輪行の場合はJR御殿場線の本数がかなり少ないことがネックとなりそう。
車での場合は、御殿場プレミアム・アウトレットで奥様に買い物を堪能してもらっている間に、旦那様はヒルクライム!なんて荒技もありかも!?
距離 15.1km 最大標高差 369m
平均斜度 全体:1.4% 上り:4.9% 下り:4.3%
獲得標高 上り:387m 下り:179m
大涌谷~火星的風景を味わう
今なお噴煙を上げる活火山。2015年5月に箱根火山の観測史上初めてごく小規模な噴火が起こり話題になりましたね。いまだに周辺道路の一部が閉鎖されたままですが、自転車でもアプローチ可能です。石がごろごろと転がりあちこちから噴煙が上がる様は非日常的で火星のような風景です。標高1040mとかなり高いので真夏でも念のため防寒対策は忘れずに!足元が悪いので散策するならクリートカバー持参の方が良さそうです。
また、火山活動の影響でつねに火山性ガスが発生しています。
■アレルギー性ぜん息の方 ■気管支疾患の方 ■呼吸器(肺)疾患の方 ■心臓疾患の方
■心臓ペースメーカーを装着している方 ■体調不良の方
などは命の危険もあるため避けた方が無難です(心臓疾患系の方はそもそも自転車では来ないと思いますけど…)
駐輪場:なし 駐車場の片隅に停める。
トイレ:あり
一つ食べると7年寿命が延びるという名物の黒玉子も大涌谷に来たら外せないB級グルメです。ただし、口の中の水分をごっそり持っていかれるので補給食には向きません!
大涌谷おススメルート
最大標高差が1000mを超えるタフなコースです。体力温存のため、小田原駅から無難に国道1号線で進みます。風向きによってはかなり離れた場所からも硫黄のニオイがわかります。コース終盤に現れる強羅からの急坂にはかなり苦しめられるでしょう。火山性ガスが絶えず噴出していることもあり、体調は万全に、無理は禁物です。
距離 21.6km 最大標高差 1020m
平均斜度 全体:4.7% 上り:6.3% 下り:3.1%
獲得標高 上り:1038m 下り:39m
箱根峠~きらめく駿河湾を望む
箱根町と静岡県三島市を分ける箱根峠は、峠にドライブイン、少し下ったところに道の駅があり、登頂後の休憩場所にはもってこいです。とくにアップダウンはなく淡々と登るだけのコースですが、振り返れば三島の市街地が広がりその先にはきらめく駿河湾が一望できます。天気が良ければ(そして余裕があれば…)とても風光明美なヒルクライムとなるでしょう。
途中には、日本最長400mの人道吊橋「三島スカイウォーク」があるので帰りに寄り道するのも面白いですね。また、三島駅から修善寺方面へ行ける、伊豆箱根鉄道・駿豆線では17年4月より毎日サイクルトレインが運行してます。箱根のあとに修善寺方面へ行くなら自走を止めてあえて乗ってみるのも楽しそうです!
箱根峠おススメルート
静岡県三島市から攻めます。新幹線も停まるJR三島駅は比較的便も多くアクセスが容易です。このルートは三島大社や江戸時代の東海道を偲ばせる松並木、山中城址があったりと歴史好きの方にはたまらないポイントが点在します。交通量が多めですが、現在 笹原山中バイパスが途中まで開通。平成30年までに全区間が開通予定で、そうなれば車が少ない快適なルートになるでしょう。
距離 17.3km 最大標高差 826m
平均斜度 全体:4.7% 上り:5.8% 下り:2.7%
獲得標高 上り:832m 下り:28m
国道1号最高地点~なにもないけど記念撮影スポット
毎年お正月に放送される箱根駅伝でも必ず出てくるこの看板。
意外なことに前述の箱根峠より高いんです(箱根峠の標高は846m)。見晴らしも何もない場所なので、ゆるいカーブの先に突如現れる看板がなければ止まる人などいないでしょう。交通量もそこそこ多いので通行の邪魔にならないよう、撮影の際は十分お気を付け下さいね。
駐輪場:なし
トイレ:なし
国道1号最高地点おススメルート
せっかくなので国道一号線をずっと辿りましょう。じわじわと高度を上げていきながら、東海道を行き来した古の旅人に思いを馳せるのも乙なものです。(私にはそんな余裕はありませんが)
距離 19.4km 最大標高差 865m
平均斜度 全体:4.4% 上り:5.9% 下り:3.1%
獲得標高 上り:882m 下り:40m
熱海峠&十国峠~ちょっと足を延ばして激坂おかわり!
え?熱海?箱根じゃないじゃん(←湘南弁)と思うかもしれませんが、ここは十国峠~湯河原峠を経由して箱根峠へ続く、まさに峠天国!それにいたる登りの平均斜度は8.9%!10km足らずの行程の中で10%越えの坂が何度も現れ、色々な意味で天国へ誘ってくれます。
熱海峠には休憩施設がないので、休憩や補給はその先の十国峠のレストハウスがおススメです。
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熱海峠&十石峠おススメルート
最寄りは来宮駅ですが、手前の熱海駅が東海道線の終点で乗り換えになるので熱海で降りましょう。運動量が多い上に南側の日陰のないコースですので、暑い時期には熱中症に十分お気を付け下さいね。さらに十国峠~箱根へと足を延ばす場合は十分な補給を用意して挑んでください!
距離 9.4km 最大標高差 630m
平均斜度 全体:6% 上り:8.9% 下り:4.9%
獲得標高 上り:634m 下り:74m
おわりに
箱根はヒルクライムには事欠かないロケーションです。都心から電車でたった1時間半で、極上のヒルクライムと名湯を選び放題に味わえる贅沢は箱根ならでは!
アクセスも小田原駅、御殿場駅、三島駅、熱海駅とさまざまな方面から可能ですので、いろいろなアプローチを楽しんでいただけますよ。
箱根は時間帯により激しい渋滞が発生しますし、意外と駐車場探しが面倒くさいので、輪行がオススメです。「弱虫ペダル」「新世紀エヴァンゲリオン」が好きな方も、自転車なら聖地を思う存分ゆっくり巡れますので、ぜひチャレンジしてみてくださいね!!